最近の審査報告書を読んで 09.05.04

少し前、最近のISO14001の審査報告書の質は若干向上してきたと書いた。お間違えのないように、大幅に向上したのではなく、若干向上したのである。
まず、最近の審査報告書の不適合の記述を見ると、当たり前といえば当たり前なのだが証拠・根拠を書いているものが多くなった。もっともその不適合の内容を見ると、目の付けどころというかもっと目ざとくなってほしいと思うし、現象だけでなく何が不適合なのかを一層深掘りしてほしいし、また「てにをは」を含めて正しく論理的な日本語の文章を書く力の向上を望みたい。
もし私の文を読んで気分を悪くした審査員がいらっしゃいましたら、とにかく審査報告書を20件くらい読んでみてください。主語・述語が合わない文章とか、現象だけで問題点の追求が甘いものなどザクザクあります。そんな報告書でお金がいただけると思いますか?
不適合の記述が若干でも向上したのだから、審査報告書は良くなったのか?といえば、決してそうではないと私は考える。 では本日は最近の審査報告書を読んで気がついたことを書く。
ちなみに食品の袋には「お気づきの点がございましたら、弊社お客様窓口にご連絡ください」と書いてあるが、この場合の「お気づきの点」とはズバリ、不満・苦情の婉曲話法である。上記文章の「気がついたこと」もそれと同類である。


本日のまとめ
確かに審査報告書がどうしようもないと嘆いた2005年頃に比べて質が向上してきたのは認める。しかし大枚をいただくのに見合っているかと考えるとなお一層の努力を要する。

本日のお願い
審査員の方々、認証機関のみなさん、ぜひとも私の疑問にお応え願います。
ご教示をお待ちしております。



名古屋鶏様からお便りを頂きました(09.05.05)
佐為様
お久しぶりです。
首をかしげるような審査報告書というのは、なかなか後を絶たないようで。
特に今回は「行間を読め」が私的には非常にツボで、ひとりで爆笑してしまいました。

プロパンの湯沸しが著しい環境側面ですか・・それは「エネルギーの使用」が著しいのか「排ガス中のNOX」が問題なのか、「CO中毒の恐れ」がダメなのか、「温暖化ガス(CO2)」の排出が問題なのか、審査員は何を以って"著しい"と思ったんでしょうね。「プロパンガス湯沸し」は単に設備であって、環境側面ではないと思います。

まあ、ウチの関連企業でも芝生に撒く(無害の)除草剤が「著しい環境側面だ」と問題提起して頂いた経験がありますが・・・

名古屋鶏様 毎度ありがとうございます。
「爆笑で すむならISOは 笑い話なり」 一茶 
著しい環境側面の新しい定義が判明しました。つまり「審査員がこれは該当すると考えたもの」であります。
まあ、その程度のことでしょう、失笑


まきぞう様からお便りを頂きました(09.05.08)
最近の審査報告書
こんにちは。
素朴な疑問です。
うそ800の閲覧を審査員がしていないとは思えません。これまでに一度も審査員からの反論や意見が無いとは、、、いくらなんでも信じられません。
ネットで発言することも審査員の守秘義務に反する、とでも言いたいのでしょうか。
審査中「いやぁ、昨日見てきた某社さんでは○○が全然できてなくて、いや困りました。」とかいうことをご発言なさる審査員様はたくさんいらっしゃいますが。
もしかしてネットには精通してないのですかね。。。以前、条例改正を見落としていたことを指摘して、「ここに出てますよ」とURLまでご丁寧に教えてくれたぐらいだから、精通してないはずはないですね。でもそのURLは会員専用の情報ページでしたが。
ぜひ審査員の意見、審査機関の意見を聞きたいです。純粋に語ってほしいです。雑誌でのエエカッコシなんかどうでもいいので。

まきぞう様 毎度ありがとうございます。
正直言いまして、過去より現役の審査員から見てますよというお便りをいただいたことは一度もありません。元審査員と名乗るお方からはお便りをいただいたことがあります。
また認証機関の社長からお便りをいただいたことがあります。そのほか、認定審査員からもお便りをいただいたことがあります。
ただお便りではなく、会合などでお会いした複数の現役審査員がうそ800について私に話しかけてきたことがあります。私はそんなのは知らないと言ってごまかしました。いくらなんでも「書いているのは私です」というほど度胸はありませんからね。
まあ、そういうことから考えると、多いか少ないかは想像つきませんが現役審査員もこのウェブを眺めているとは思います。まあみなさんサラリーマンでしょうから、危ないものには関わらないようにしているのでしょう。あるいは認証機関がこのアブナイホームページへの書き込みを禁止しているのかもしれません。
それと事務局もコンサルも審査員も、いろいろな流派があるようで、その流派の家元の考えを金科玉条としている方が多いようで、自分の流派以外の規格の読み方とか考え方には近づかないようです。
もっと虚心坦懐にいろいろな見方考え方を知り、生かしていかなくてはならないのにね、
おかしなことです。


tono様からお便りを頂きました(09.06.10)
ISO、実はよく分からんのです。
我社は基本的に制御・計測機器等を受注して設計・製造する小企業です。
../2008/tono.gif 初めてISOなるものを導入?すると言う話があったとき、現場の担当の一人として会合に出席しました。
我社(我が部所)の特殊性を説明した時に、審査会社の先生様が、どうもその実態を理解できなかったような反応が気になりましたが、以後私は社内の担当に混ざる事は無くなりました。
知人の会社が導入した時に「書類が増えただけ!」と言っていたのが頭をよぎりましたが、以後何とかかんとか9001と14001を更新し続けております。
私が感じている事は、
○我社のような小企業では、品質管理の認識が甘かった部分は否めず、種々の手法はいくつか参考になった。
○特に新規の顧客にはISO信者がまだ多く、名刺やHPの「ISO・・・」は、葵のご紋程の威力は無いが、菓子等で言う「○○賞受賞」位の効果はあるようだ。
○特に製造現場において「しなければ認定が下りない」「頑張って更新しよう」と言う何とも不埒というか情け無い発想に端を発したとは言え、品質管理が認識されつつある。
×我が部所の様に、仕様未定状態から設計開始したり、顧客のマル秘開発の一部をお手伝いしたりする事が多い部所では、ISOに絡む書類、時間、人の全てが無駄に感じる。(社内の担当者の所以かも知れないが)

結論、ISOは「○○賞受賞」や「優良運転者」のシールと同等と考えれば、問題を提起するほどでもなく腹も立たないが、後は費用対効果。
これってあまりに認識不足でしょうか?

おお!織田信長様・・・平伏
まず、普通の方がはじめてISO第三者認証制度というものを聞いて、その意義を理解できるとは思えません。もっとも何度も聞いたとしても意義があると思わない人も多いのではないでしょうか?
UL認定は、もしその電気製品がもとで火災が起きたら火災保険を払いますというから信用します。あの人はいい人だとという事は、もしその人がそうでなかったら推薦した人が責任を取らないとおかしいですよね?
第三者認証をしておいて不祥事がありました、そのとき認証機関は社会にその責任を表明しお詫びするのでしょうか?
そんなことはしません。
審査会社のウェブサイトに小さく、「○○工業の法違反報道を受けて、事実確認及び機関としてのレビューを実施し、その結果環境マネジメントシステムの認証を一時停止することに決定致しました。」なんて掲載するだけです。
ISO認証制度は社会財だなんていう人がいます。辞書にもググっても社会財という言葉が見つからないが、そう語る人は、社会に価値をもたらす素晴らしい財産だという思いがあるのだろう。
ということでお殿様が初めに感じた疑問については、まっとうではないかと思います。
それとISO9001は純粋な研究とか開発には適用外というか、適用できません。
だって、発明発見が標準化されたら、ノーベル賞を取るマネジメントシステムなんてのができちゃいますよね?
そんなことありません。
ISO9001でいう開発とは、研究開発の意味ではありません。設計と開発はあるときは同じ意味でつかわれ、あるときは設計・開発のプロセスの異なる段階を意味します。(ISO9000:2000)
ですからお殿様がなされているような難しい(たぶん)お仕事はISOなんていう下賤のものが携わることができないのです。
認証とは足の裏についた飯粒のようなもので、気になるが別に命には関わりない。取れるなら取りたいものだという程度なのでしょう。

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