組織のために働く人 11.01.01

お正月である。といっても年始の挨拶に来る人がいるわけでもなく、また自分が行く当てもない。家内と二人でごろごろしているだけだ。 140×140 ところが、家内はテレビ人間で私はアンチテレビ人間ときているから、いっしょにいるとろくなことがない。会えない時間が愛を育てる♪(古い!)なら、一緒にいれば愛がうせてしまう恐れがある。家庭内別居が一番である。
そういうこともあろうかと(?)備蓄していた本を引っ張り出して自分の部屋で読んでいる。
そんな中に「江戸の歴史は大正時代にねじ曲げられた」(2008、講談社α新書、古川 愛哲)があった。まあ内容は、江戸風俗とか武士の内職とかトリビア的な雑多なことがいろいろと書いてある。雑多といって悪ければ体系化されていない情報といおう。
あるいは情報ではなくデータなのかもしれない。
情報とデータの違いはなにか?なんていうようでは、ISO屋として一人前でないことは明白だ。
本に書いてある99パーセント、いや100%がどうでもいいことで、読む価値があるかどうかは読む人しだいである。ともかく時間つぶしにはなる。しかしこれはISOにも通じるなと思った記述がひとつあった。
家紋である
「大名は家紋入りの羽織を出入りの与力、同心と旗本に授けた。また職人や商人には法被(はっぴ)を贈った。大店(おおだな)の商人の場合は屋号入りの法被を出入りの職人などに授けたが、これは非常線突破証のようなものである。
なにか事があったとき、町方与力、同心は、家紋入りの羽織を着て大名屋敷に駆けつければ、身内の人間として自由に入れてくれた。商人の場合も、火事などがあると屋号の入った法被を着た職人が駆けつけると、火事場泥棒ではなく店の者として自由に手伝いをさせた。更に重要なことは、家紋や屋号の入った羽織、法被姿で来邸して怪我でもしたら、生涯の生活保障をしてくれたことである。」(p.122)

お断り:文献の引用にあたっては判例を基にしております。
この文章はISO14001でいうところの「組織のために働く人」ということの解説ではないだろうかと思ったのである。
例えば、4.2 環境方針の f)項「組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される。」の「組織のために働く人」である。
「組織のために働く」なんて今じゃ間違えている人はいないよとおっしゃるだろうか? そうでもないようです。2011年1月現在、インターネットに載っているコンサルや認証機関のQ&Aにも次のようなものがある。 こんな人たちを相手にする組織のために働く人たちは大変だね。

さて、まだつぶさなくてはならない時間はたっぷりある。また本を読むとしようか。なにしろ備蓄はまだまだあるから・・



名古屋鶏様からお便りを頂きました(2011.01.03)
あけおめです。
新年おめでとう御座います。
その昔、ウチの工場がISO14001認証を取得した際、審査員御大臣先生様から「組織のために働く人とは下請けのことぞよ」とご教授頂き、「下請けに環境方針を送付して同意書をとる必要があるぞよ」とご宣託を賜ったものです。
それを聞いて今以上にアホだった鶏は「うぅむ・・そうしたら郵便配達のおちゃんや飛び込み営業マン、宅急便の兄ちゃんに至るまで、環境方針の教育をせにゃならんのか・・・」と頭を抱えた記憶があります。
もっとも、2年ほどで「んなこたーない」と気付きましたがw

あれから5年経ちますが、彼の御大臣先生様は今でもご主張を堅持なさっておいでなんでしょうか。聞いてみたいような、聞きたくないような。

名古屋鶏様 あけましておめでとうございます。
なんと送るだけでなく同意書でございますか!
それは強烈でございます。裏どらが3つくらいついたようでもうハコテンでございます。
宅急便のあんちゃんといっても、明日は爺ちゃんが来るかも知れず、あさってはおじさんが来るかも知れず、これは面白い!
何が面白いのかという声がしそうですが
我が人生は巨人の星に負けない試練の道
ところでそのお大臣ならぬお大尽審査員様はその後はどうなんでしょうか?
悠々自適な余生を送ったとか、送らなかったとか


名古屋鶏様からまたまたお便りを頂きました(11.01.04)
あれからどうしているのやら
毎度です。お大尽様のその後は分かっておりません。
数々の迷言を残された逸材であらせられましたが・・・
ただ、まだ若い方でしたから、いまだ現役であろうとは思います。

ちなみに「工場に来る人全員が"組織のために働く人"なので、彼ら全員に環境方針の教育が必要」という『J◇△専用の要求事項』を満たすための『解答』は、
『工場の入口に畳一畳ほどの馬鹿デカイ環境方針の掲示板を出しておくこと』
だ、そうです。
ウチでは恥ずかしくてやりませんでしたが、実際にやっているのを見たことはあります。
 いと哀れなりや。

毎度ありがとうございます。
もう、常識ではその審査員閣下のお相手はできそうありませんね!
せめてもの抵抗をしたいと思う私は、
審査当日にアドバルンをあげ、葬式の花輪を20個くらい用意して、ちんどんやを頼んで、「歓迎!J◇△様」と対処するくらいしか頭に浮かびません。
残念無念


外資社員様からお便りを頂きました(11.01.05)
佐為さま 本年のどうぞ宜しくお願いします。
年の初めから興味深い話題を有難うございます。

組織の為に働く人の明確な定義は、とても参考になりました。
一方で、そこに下請けまで入れるべきと考える人には、請負に対しても指揮命令権があると思っているのでしょう。
だから機密書類であるべき、社内体制やら、社内規定、品質資料を、気軽に提出させた上に、あれこれ御指導されるのだと思います(笑)
先日、とある会社に要求された社内品質体制の資料を提出したら、社内秘の資料は管理に困るから、消した上で提出してくれと言われました。どうも、機密資料の意味も判っていない人もいるようです。

外資社員様 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
外資社員様のコメントを読んで、やられた!って感じですね、
難しいことを語らず、 指揮命令権 と言えばおしまいですか。
それと人事権でしょうか、
どう考えても、おかしなことを語る人たちは会社で管理職をしたことがないようです。管理職をしたことがない人がマネジメントシステム審査ができるのか、これはまた新しい疑問が湧き出しました。
すばらしいヒントを頂きありがとうございます。

ぶらっくたいがぁ様から名古屋鶏様へのお便りを頂きました(11.01.05)
名古屋鶏様
百歩譲って 「工場に来る人全員が"組織のために働く人"なので、彼ら全員に環境方針の教育が必要」 という通説(珍説?)が正しいとした場合、ではそれは何のためなんでしょうね?
ぜひその審査員先生閣下殿下御一行様御中にお聞きしたいものです。
え? 理由なんてない。規格にそう書いてあるからですって?
トホホ、そりゃないでしょう。せめて「組織のためにしかるべきアクションをとるためであーる。そのために方針を頭に刻み込んでおく必要があるからであーる」とおっしゃって欲しいものです。
しかし、そこで更なる疑問が。。
「郵便配達のおちゃんや飛び込み営業マン、宅急便の兄ちゃん」はさておき、工場出入りの業者さんがウチの環境方針を熟知してそれに応じたアクションを起こさなければならぬと固く決意してくださる保証はどこにあるのでしょうか。
とても同意書をとったぐらいでは保証にならぬように思われます。最低でも血判が必要かと。そして、そんな痛い思いをするなんてまっぴらゴメンだ、お宅の工場だけが客じゃねーと拒絶された場合はどうすればいいのでしょうか。
ちなみにウチの場合、会社方針が環境方針を兼ねておりまして、つまり業者さん自身にはまったく関係のない内容です。また、業者さんには方針に沿ったQCDの具体的なお願いを常々しておりますから、もうそれで十分と考え他には何もしておりません。
つまりこれは、「組織のために働く人」であるところの業者さんに環境方針の教育はおろか周知すら怠るというとんでもない大罪を犯していることになります。
あ、それから「一般の人々」がウチの会社方針を入手することなど不可能なので、これまた大罪がW確定。。
もしウチにその審査員(敬称略)が来たら、「まだこのような不埒モノがおったか!」と鬼の首を取ったように喜び勇まれることでありましょう。

ええい、この愚か者めが、審査員閣下に代わってぶらっくたいがぁを退治してやろう!
 ひと〜つ、人の世の生き血をすすり、ふたつ、不埒な悪行三昧、
 み〜つ醜い浮世の鬼を、退治てくれよう、桃太郎
まさかそんなことはありませんが、ここはやはり名古屋鶏様のコメントをいただきましょう。
名古屋鶏さん〜、待ってますよう


ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(11.01.06)
おはようございます。
名古屋鶏さんのウィットに富んだコメントが楽しみですね。

ところで、ウチのマニュアルにはかなり前から社員であろうが請負作業者であろうが「会社の指揮命令権が及ぶ人」と定義してあります。つまり、実質的にはアルバイトや派遣社員までが対象であって、宅配便のあんちゃんや出入り業者は対象外です。J□○△を含めてこれで審査員からとやかく言われたことはありません。

ぶらっくたいがぁ様 毎度ありがとうございます。
外資社員様といい、たいがぁ様といい、私のレベルをはるかに超えていることを認識しました。
私の不勉強を恥じるところです。
もっと勉強せねば・・

外資社員様からお便りを頂きました(11.01.06)
「指揮命令権」は、労働契約では委託か派遣かの区別で、キーワードです。
私はISOは専門ではありませんが、労働契約の締結は仕事なので、この点はとても気にしています。
労務管理でも、ISO同様 細かい点を気にするも多いし勘違いが多いのです。
制服や設備の貸与、事業所の時間割や休日に従うかなど瑣末な部分を気にする人が多いのですが、本質は、委託か派遣かの差は指揮命令権の有無だと思います。
但し、例外もあって、業務委託でも 安全管理上必要なことは要求や命令が可能です。
危険行為をしていながら指揮命令権が無いから注意できないことはありませんし、事業所が閉まっているような時に安全管理上の理由で業務を禁止することは全く問題ありません。
こうやって、労務管理の問題と比較してみると、どうでもよいこと:例として制服や設備の貸与などを気にする人は、労務管理の世界でも、ISOと同様 勘違いが多いのです。
こういう人は、本質を捉えることはしないで、細かいことには目に行くようです。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
私の経験では同じ部屋に事務所を構えている時は、机と机を何センチ以上空けろとか、制服を変えて一目瞭然にするなどしておりました。
それが本質か否かは分かりませんが、第三者に客観的にわかるので良いと思いました。
どうなんでしょうか?

名古屋鶏様からお便りを頂きました(11.01.06)
まいどです。ご返答申し上げますと・・・・

百歩譲って「工場に来る人全員が"組織のために働く人"なので、彼ら全員に環境方針の教育が必要」という通説(珍説?)が正しいとした場合、ではそれは何のためなんでしょうね?

「下請けは全て”組織のために働く人”」と言って憚らぬ方達も、よくよく聞くとその「境界線」については極めて曖昧なのが実態です。
例えば「一次の下請けは”対象範囲”だが、二次の下請けは”非対象”」とか「御社が発注を止めると潰れる会社は”対象”だが、影響が少ない会社は”非対象”」など等。よー分かりません(笑)。
結局、スタート地点が大間違いなので、間違いを間違いで上塗りするハメに陥っているのですね。
では、何のために教育を?というと、「規格要求事項だからです(キリッ」という迷快な答えが返ってくること請け合いです。何せ彼らにとってお規格様は神様なのですから。

「郵便配達のおっちゃんや飛び込み営業マン、宅急便の兄ちゃん」はさておき、工場出入りの業者さんがウチの環境方針を熟知してそれに応じたアクションを起こさなければならぬと固く決意してくださる保証はどこにあるのでしょうか。

規格原理主義者ご一同様たちは「規格要求事項(というより審査機関要求事項)」以外に興味はありません。なので、出入りの業者さんが「それに応じたアクション」をとることを規格が要求していない(審査機関の念頭にない)以上、そんな細事にはご興味ござらんのです。
あくまで、「教育したぞ、同意をもらったぞ」という「 記 録 」があればお喜びなのです。

お宅の工場だけが客じゃねーと拒絶された場合はどうすればいいのでしょうか。

去年来た審査員猊下によれば「これは審査員からの指摘事項ぞよ!」と唱えれば、いかな相手と言えども「それ」に従うであろう、と 本 気 で 仰せであらしゃいました。

あまりにアホらしくて試したことはありませんが(笑)


ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(11.01.07)
名古屋鶏様
コメントありがとうございます。
「御社が発注を止めると潰れる会社は”対象”だが、影響が少ない会社は”非対象”」ですか。うーむ、それはスゴイ。実話ですか?
発注を止めたら潰れるか潰れないかなんてどうやってわかるんでしょうか。
実際にやってみるしか判別しようがないわけで、そんなものを基準にされてもなあ。
仮に、間違いなく潰れるだろうとこっちが思っていても、相手だって倒産するわけにはいきませんから必死になって次の顧客を探すでしょうし、そうすると「間違いなく潰れるだろうと思っていたのに潰れなかった」ということになっちゃいます。
こういう場合は”組織のために働く人”じゃなかったことが後になってわかるというわけですね。いや、スゴイ基準ですな。
教育(あるいは同意)した記録が大事であってその効果のほどは問わないとか、審査員の指摘であれば社外の人でさえ従うとか、普通のビジネス感覚ではちょっと理解できないですね。
「怖いもの見たさ」という言葉がありますが、そんな審査員閣下にお目にかかってみたいです。


外資社員様からお便りを頂きました(2011.01.07)
佐為さま
コメントが長くなり恐縮ですが、常々感じていたこともあるので、この際に便乗させて頂きます。
請負であるかの細かいルールを決めるのは間違っていません。
(もちろん、それが本質を、その職場に反映したものならばが前提です。)
理由は簡単で、請負か社員(派遣)かの判断は、まず厚労省管轄の労働相談窓口などがするからです。
そして、これらの部門ではお役人(またはOB)が判断しますので、これらの人はルールや規定に基づきそれで判断することが多いからです。
とは言え、社会保険料削減の為に偽装請負をする会社は、体裁を整えることをします。
ルールがあればそれを逆用します。この場合にはルールに会おうが、本質が間違っていますから、何かにつけてボロが出ます。

指揮命令権は、大手でも勘違いが多いですね。
私の会社は業務委託が多いのですが、平気で“勤務時間”を決めたり、納期が厳しいと“残業、休日出勤をして下さい”などと平気で口にする人がおりますので(笑)
ですから、細かい規定を増やすよりは、“DO、DO NOT”リスト的を決めた方が効果があるかもしれません。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
理由は簡単で、請負か社員(派遣)かの判断は、まず厚労省管轄の労働相談窓口などがするからです。
それってなんだか、ISOが劣化してきた原因と同じように思います。
私自身、形を教えられたからそれを実施してきたのですが、本質じゃないといわれると教えた人はどうなんだあ!という感じになります。
ISOだって、そういう風に教えて審査してきた人はどうなんだああ!


VEM様からお便りを頂きました(11.01.11)
世のため人のために働く
正月に高校の同級生が集まって神田明神で初参りをいたしました。折角だから記念にもなるしということで、集団で特別祈祷なるものをあげていただきました。
祝詞の中に、「同じ学び舎で学びし者達が世のため人のために働き・・・」といった行が織り込まれていました。
日本って素晴らしいなと皆が感じました。

VEM様 あけましておめでとうございます。
お話を聞くだけで、私の昔の仲間を思い出し懐かしさで涙がこみあげます。
蛍の光
止まるも行くも、限りとて、
互いに思ふ、千萬の、
心の端を、一言に、
幸くと許り、歌うなり。

千島の奥も、沖繩も、
八洲の内の、護りなり、
至らん國に、勲しく、
努めよ我が背、恙無く。


うそ800の目次にもどる