「環境経営-理論と実践-」

12.11.29
著者出版社ISBN初版定価巻数
金原達夫創成社4-7944-2382-52012/8/201900円全一巻

私が本屋とか図書館で、タイトルに環境とついている本をみると、必ず手に取りパラパラとながめるのは会社を辞めて引退した今でも習慣となっている。困ったものだ。そんな本よりも、定年退職者の節約生活とかわずかばかりのお金を少しでも増やそうって本でも読んだほうがためになりそうだ。
ともかく図書館でこの本を見つけた。見つけたからには読まなければならないという強迫観念がわく。ということで読んだ。読むのに2時間を要したが、結論はこんな本を読まないで昼寝をするかネットでもしていればよかったと後悔してしまった。
とはいえ、せっかくだからというか、もったいないから本日はこの本をネタに一文をひねる。
情報には有用な情報もあり、有用でなかったという情報もあり、双方に価値があるのだ。

この本は大学の学部の環境経営のテキストであるという。学部の学生ならこんなもので良いのだろうか?
 よくないと思う。
まず環境経営ってなんだかよく分らない。この本では、「事業活動に投入される資源、エネルギー、化学物質などの使用から生ずる環境負荷を低減して環境保全を意識的に行いながら、経済価値の創造を同時に追求する経営活動(p.1)」なのだそうだ。
そう言われるとそうなのかもしれないが、なこと無意識にするようにならなければ現代のビジネスは推進できない。環境経営をしようなんて意識しているようでは時代に遅れているように思う。
まあ、1ページ目から悩んでも悲憤慷慨してもしょうがない、ページを進めよう。

環境ホルモンについて言及している(p.9)。
そうか、環境ホルモンか・・・・言葉が続かない。
環境ホルモンとあるので出版年を改めて確認してしまった。2012年発行である。そうか・・・今でも環境ホルモンを信奉してる人がいるんだ。ある意味感動である。
いやしくも本に環境ホルモンを書くなら、SPEED98くらい確認しておくべきだろう。
この時点で読む気が失せたのは本当だ。
私が環境ホルモンに恨みがあるのは事実だ。いや、およそ環境管理に従事していた人なら環境ホルモン騒動やダイオキシン狂想曲に恨みを持たない人はいないのではないだろうか?
ともかく、次に進もう

ツバルが海に沈む(p.10)
そんなことが言われた時代もあったねえ〜、
ツバルが沈むのか海面が上昇しているのか、そのどちらかもわからないが、温暖化によるものであると立証したものを見たことがない。
おっと、地球温暖化も説であって、証明されたわけではない・・
IPCCのいう「地球温暖化」とは、単に地球が暖かくなることではない。
気候変動枠組条約の定義では、「気候変動」とは「地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接又は間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものをいう」となっている。
つまり、自然の気候変動で地球が熱くなっても、それは地球温暖化ではない。あくまでも人間の活動によって地球が暖かくなることを言う。

面白い文章がある。
「1962年に出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』という書物で、殺虫剤や除草剤の大量散布によって多くの動植物が絶滅しかかっていることを明らかにした(p.11)」
これは事実か?
カーソンは明らかにしたのではない。単にそう書いたに過ぎない。そもそも『沈黙の春』は論文じゃなくてエッセイだ。この本でカーソンは証明する事実をあげたわけでもなく、実験や調査を引用もしていない。
ここんとこは非常に重要だ。つまり、「この『環境経営入門』という本は事実と想像を区別していない」ことを示す証拠の一つである。
これはカーソンが書いたことが正しくないという意味ではない。カーソンは「沈黙の春」において、「明らかにした」わけではないということである。

環境配慮製品についていろいろ事例を挙げている。しかしこの先生は現実のビジネスにおける環境配慮の重要性をご理解していないように思える。
「環境への取り組みによって環境費用を上回る経済利益がある、というわけでは必ずしもないことに注意する必要がある(p.45)」
そうだろうか? 現実は大きく異なるように思う。現実は、環境配慮しなければ市場競争力がないという時代であるのように思える。いや、市場競争力を持つためには環境配慮製品でなければならないというのが現実ではないのだろうか?
経営学の先生とあるが、現実の経営をご存じないのかしら?
おっと、私が思うだけですから、この先生はそうでない証拠を把握しているかもしれない。

「ISO14010環境監査」という規格がある。(p.52)
これは20年間もISOで妻子を養ってきた私も知らなかった。ISO14010って2002年に廃止されたような噂を聞いたことがある。でもこの本は2012年に発行されているのだが・・
ひょっとすると、いやたぶん、私の間違いだろう。

60ページから70ページあたりは、各社の環境レポートを読んで、そのダイジェストを書いただけのように思える。
学部の学生のレポート並みといってはまずいか 笑
 まあ、どうでもいいけど

環境イノベーションとは「環境負荷削減を目指して行われるイノベーション」なんだそうだ(p.91)。そういう説明は初めて聞いたが、とくに文句を言うつもりはない。趣味の範疇だろう。
しかし、環境イノベーションの目的は、温室効果ガスを減らす、有害化学物質を減らす、廃棄物を減らすことなんだそうだ(p.92)。
うーん、それって目的じゃなくて課題あるいはテーマのような気がする。まあ、気がするだけだ。

ところでPRTR法というものがあるそうだ。もちろん正式名称として「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」と併記している(p.92)。
ところで日本の法律は長い名称のものが多く、そういう法律には略称が決めてある。この法律は「化学物質排出把握管理促進法」というのが正式な略称であり、それでも長いので通常行政は「化管法」と呼ぶ。行政の発表や講演あるいはそれに類したときは、正式略称を使う。
残念ながら「PRTR法」は正式略称でもなく、そのまた略称でもない。もちろん我々一般人が法律ができる前からそう呼び習わしているのは事実だが、それは正式な略称ではない。だから私は官公庁に行ったときは「化管法」と言っていた。相手がPRTR法でもわかるとは思うけど、気を悪くされたら困るから・・

太陽光発電については、ライフサイクルを通じた効率についての言及が一切ない(pp98-99)。ここは問題じゃなかろうか?
あるいはそんなこと知らなかったのかもしれない。いや、お気になされなかったのだろう。

ということで、私のような若輩者が見ても、これはおかしいなあというところが散見される。これが環境経営のテキストか・・・そうか
この本で学ぶ人たちが、裏を取るという習慣がないとまずいなあと老婆心ながら心配した。
まずいとは、間違えたことを覚えてしまうことだ。その結果、これからの人生の判断や行動で誤ることが起きないかと・・

なんのためにこの駄文を書いたのかと問われると、その答えは簡単だ。
本を読むときはしっかりと読もう。注意して読むとおかしなこと、矛盾すること、論理的でないところが見つかることもある。そのためには反面教師として参考になるかもしれない。
この本を信じると、ケーススタディの岡田のようになってしまう。



名古屋鶏様からお便りを頂きました(2012/11/29)
ダイオキシン騒動ではホントにエラい目に遭いました。会社にあった焼却炉も「ダイオキシンだから」で廃止され、今では市の焼却炉で「重油を使って」焼却しています。どちらが環境によくないのかと小一時間。
テ■朝とニュース■テーションはアノ騒ぎで日本中にどれだけの損害を与えたのか考えたことがあるのでしょうか?
まぁ、損害を与えるのが社是というなら社長賞モノでしょうけど。

名古屋鶏様
ダイオキシンが問題になり始めたとき、パナ○○が「当社は焼却炉をス全廃」といってやめちゃいました。当時勤めていた会社ではえらいさんが「運転を注意すれば大丈夫」なんていっていて、法律ができて使えなくなり、あげくに撤去するのにも大変なお金がかかりました。
さすがパナ○○、
とはいえ、今回の中国暴動ではパナ○○も読めなかったか・・・
そういえば、テ■朝とニュース■テーションも中国進出を進めていましたね。
連中は・・・以下略



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