ケーススタディ 監査員教育1

12.04.20
このところ毎週木曜日の午後は、山田が森本と横山にお話をするのが恒例になってしまった。横山の上司である中野も文句を言わないのでずるずる続いている。
何度か続くと、取り留めのない話ではなく、また監査だけでなく環境管理全般について体系的なことを言わなければならないと山田も思うようになった。
今日は監査システムについて語ろうと考えている。

「それじゃ、今日は監査の流れについて考えましょう。監査とは監査員がやるぞと決めてするものじゃありません。監査とは依頼者から監査をしてきてほしいという指示を受けて始まります」
「でも監査部って、依頼される前から存在しているのでしょう」
早速、横山が突っ込む。
「監査の依頼というか指示は、都度行なわれることもありますし、監査を行う仕組みを作ることで指示される場合もあります。監査部の仕事は会社規則で定められており、その規則は社長の決裁によって制定されている。それによって監査機関として常設されているのです」
「環境監査を環境保護部がしていますが、それは監査部とはどのような関係になるのですか?」
森本は横山より監査について知っているので、具体的なことを質問する。
「監査部は元々会計監査からはじまり、業務監査に幅を広げてきました。そして現在は業務監査の対象分野も広がってきましたが、監査部ではすべての分野の専門家を保有していません。それで専門部門にそれらの業務監査を委嘱しているのです。具体的には環境については環境保護部、情報セキュリティについては情報システム部、外為法に基づく輸出管理については海外管理部などというようにです。私たちが行っている環境監査の直接の依頼者は環境担当役員ですが、正式には監査部であり監査担当役員なのです」
「ああ、そうなのか。前から疑問だったのですが、監査部監査と環境保護部監査は矛盾というか重複はないのですね」
「矛盾はありません。お互いに補完しているのです。これに限らず、会社の仕事とか部門というものは重なりがないように、そして隙間がないように作られているのが当然です」
森本は納得しない顔で発言した。
「ちょっと待ってください。一番大事というか、私にとっては一番の関心ごとなのですが、ISO14001やISO9001に定められている内部監査が、お話に出てきていませんが?」
森本はひたすらISOの内部監査をしてきたので、それを重要視していることは間違いない。
「ISO規格でいう内部監査は、ISOのための内部監査をせよといっているのではありません。ISO規格で定めていることを監査しなさいということです」
「はあ? それはどう違うのですか?」
「ISOのために内部監査をする必要はなく、ISO規格で決めていることを網羅した内部監査をしなさいと言うことです」
「うーん??」
「それは例えば監査部監査でもあるいは他の監査でもいいけれど、ISO規格で定めていることを調査して報告すれば、ISO規格を満たしているということでしょうか?」
山田は、横山は頭の回転が速く、都合の良いときに発言するこずるい女だと思った。良い意味でも悪い意味でもsmartというのだろう。外観はsmartとは言いがたいが・・
「そうです。ISOに限らず内部監査を要求している法規制や、顧客要求である二者間の品質保証協定やグリーン調達基準などもあります」
「へえ、法律で内部監査を求めているものってあるんですか?」
「あります。例えば薬事法では下位の『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令』というもので内部監査を要求しています。もっとも内部監査ではなく『自己点検』と呼んでいます。当社は薬事法と関係ないと思われるかもしれませんが、医療用機器に当社の製品が使われており、薬事法の規制を受けるのです。薬事法といっても、薬だけでなく器具や機械も対象になります。そういうもののためにそれぞれについて監査をしていたら、会社では監査を幾度となく行うことになります。そうではなく、外部の要求を網羅した監査を一度行えばすべてを満たすことになります」
「すると、ISOの内部監査を行わないで、通常の業務監査をそれに充てても良いのですね」
「そのとおり。例えば鷽八百本社ではISO14001認証した当時はISOのための内部監査をしていましたが、私が担当になったときにやめました。そして環境保護部が以前から行っている環境監査と、監査部が環境保護部に対して行っている監査を充てています。環境保護部に対する監査を環境保護部がすることはできませんから」
「お聞きするとなるほどと思いますが、そういう考えが認証機関やその審査員に通用するのでしょうか?」
「森本さん、私たちは会社がより有効により効率的にするにはどうするかを考えて行動しなくてはなりません。そしてISO規格の文言のとおりするのではなく、文言が意味しているものを満たすには、なにが必要かを考える必要があります。監査をしろというなら、元から行われている監査部監査をISOの内部監査に当てはめるというのが素直な解釈でしょう。ISOのために別に環境監査を行ったとしても当社の環境管理が向上するとは思えません。当社の場合、先ほど言いましたように監査部から環境保護部に委託しているのですから、環境保護部の監査をISOの内部監査に充てるのは至極当然です。そして、そういう方法が規格に適合しているか否かを己が考え、判断しなければなりません。正しいと考えたら、それを認証機関に説明して通すということが私たちの責任です。」
「うーん、そういうものなのですか?」
「話を戻しますと、すべての監査は依頼者である社長の指示で行われることになります」
「すると私たちが子会社の環境監査をするということは、社長が監査部にグループ企業の監査をせよと命令し、監査部長が環境保護部長にそれを依頼し、環境保護部長が工場に依頼して、工場が下請けとして監査に行くということになるのですか?」

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「まあ、ひらたく言えばそのとおりです。そして監査報告はそれを逆に伝わって社長に報告されます」
「私が書いた報告書も社長まで行っていたのでしょうか? 内容がプアで恥ずかしくなります」
「個々の監査報告書は監査部まで行きます。監査部は環境ばかりでなく、会計や情報セキュリティなど種々の監査結果をとりまとめて、半年に一度社長に報告しています。だから森本さんの書いた監査報告書は監査部長とまりとなります。社内の監査報告はより重要という判断で、社長までいきます。今度から工場の環境監査には森本さんも参加してもらいますし報告書を書いてもらうことになりますからそのつもりでお願いします」
「責任重大ですね」
「監査とは依頼者の代理ですから、依頼者と同じ権限があると言えますし、同時に責任があるのは当然です」
「依頼を受けて監査をするときに、なにを調査するかも指示されるのですか?」
「もちろんです。ただこれもその都度なにについて調べて来いといわれるのではなく、規則で決められているのが普通です。当たり前ですが、情報セキュリティの監査で環境遵法を調べて来いと言われることはありません。環境監査では環境遵法と事故のリスクの点検です」
「私は監査というのは監査員が計画して行うものとばかり思っていましたが、決められたことをするだけなんですか?」
「横山さん、会社の仕事で好き勝手にして良いことなんてありませんよ。例えば今年の環境報告書では震災復興をテーマにしたと聞きましたが、それだってプランは横山さんが考えたとしても、上長に伺い出て実行してよいかの決裁を受けなければなりません。そして決裁を受けたということは、上長の命令であって、その成功も失敗も上長に帰属します」
「まあ、成功した成果は上長のものなんですか!」
「それが組織というものです。責任権限なんて言葉が良く使われますが、これは明確に異なる概念です。責任といっても、日本語では二つの意味があり、実施責任と結果責任の両方に使われます。実施責任とは横山さんの場合は、環境報告書の調査や編集を決められた日時までに一定品質ものを完成させることです。結果責任とは、たとえば環境報告書が期日までに仕上げることができないとか仕事がイマイチだった場合は解雇とか賃金カットとか・・まあそんなことはないでしょうけど・・そういうことです。『責任をとって腹を切れ』というときは結果責任で、『責任者を出せ』というときは実施責任でしょう」
「責任権限というのはISO規格では4.4.1にありますが、あれを読むと経営者だけにあるように思えますが」
「そうでしょうか? 規格ではresponsibility and authorities shall be defined となっています。この文章には形式主語も実質主語もありませんが、その前のセンテンスに主語がManagementとありまして、それ以降の各項に適用されますから、経営者は責任と権限を決めなさいと言っているだけです。それらを決めるのは経営層の責任でしょうけど、規格が言っているのは経営者の責任だけではありません」
「山田さん、その英文では責任の意味は実施責任だけと読めますよね」
「そうです、ISO規格でいう責任は実施責任です。そもそもISO規格の責任はresponsibilityで、それは命令されてレスポンスつまり反応することですから日本語でいう実施責任です。ISOの責任には、失敗したら腹を切るという意味はありません。もっとも横山さんは女性ですから、自害するときは腹を切るのではなく、のどの頚動脈を切るそうですよ」
以前、女性の自害は短剣でのどを突くと書いたら、Yosh師匠から突っ込みを受けた。のどを突いただけでは人は死なない。

「すると権限とは・・authorityですから、権威という意味なのでしょうか?」
「権威というと日本語では何事かの専門家というニュアンスですが、元々は命令を強制する権力とか、決定するあるいは許可する権利、オーソライズというニュアンスが近いようです」
「なるほど、ISO規格の意味は、決定者と実施者を決めろということですか」
「そういうことですね。日本の多くの企業では、そんなことを考えずに『なになにの責任権限は誰にある』とルールに定めていたり、マニュアルに書いたりしているのが多いと思います。それはちょっとというか大きく外しているように思います。責任と権限は明確に異なるものであり、そんな文章では明確にしたことになりません。ISO規格を読むのも通り一遍でなくて、一語一語読むと深いですよ」
「先生!そのなにを調べて来いといわれても、具体的ではないですよね、どのように監査の項目などを決めるのでしょうか?」
「おいおい、横山さん、私は先生じゃありません。監査は監査員個人の力量やノウハウで行うものではありません。監査システムがあって、それに基づいて行われます。別にシステムといっても情報システムとかネットワークと言う意味ではありません。一般にシステムというとインプットがあってプロセスがありアウトプットがあるものと言う人が多い。特に情報システムとか制御関係にたずさわった人はそうです。しかしシステムの本来の意味は違います。システムの元々の意味は支配体制とか社会制度ということです。システムの要素も諸説ありますが、軍隊などでは『組織、役割、手順』と言われています。私はシステムの本来の意味からはそれが正しいと思います。つまりここでは監査の組織、監査の役割分担、監査の手順を監査システムと呼びましょう」
「監査の組織というと、環境保護部や工場の監査を担当する部門や担当者という意味ですか?」
「森本さん、そのとおりです」
「じゃ、役割とはそれぞれの部門や担当者がなにをするのかということで、手順とはそれぞれの役割をどのように進めていくかということですね」
横山は森本に競争意識があるようだ。
「横山さん、そのとおりです。むずかしいことはありません。そういう監査システムを当社の環境管理規則で決めています」
「システムは分かりましたが、監査システムが重要というのはどういうことでしょうか?」
「監査を良くしようなんてことがよく言われます。もちろん会社の仕事の質向上、生産性向上は至上命令ですから、その意図はよろしいのですが、監査の質向上というと多くの場合、監査員教育とか、監査のチェックリストの改善というテーマになるようです。しかしそれは監査の質向上にはつながらないのです」
「どうしてそれではいけないのですか?」
「監査の質を向上するためには、監査のシステムを改善しなければならないからです」
「ああ、それはわかりますね。先ほど山田さんがおっしゃった監査員が主体的に監査を発動するのではなく、監査の計画も監査人がするのではないということから想像できます。監査を発動するというのか、依頼する人、計画する人、そして監査プログラムもありますし、是正のフォローアップ体制もありますよね」
「そうです、監査を良くしようとするなら、システム全体をみて弱いところを強化するという考えで行わなければなりません。監査のチェックリストを改善する前に監査プログラムを改善しなければならず、その前に監査目的を見直すことが必要でしょう。監査員教育といっても通り一遍ではなく、監査目的や監査基準に見合った力量を持たせることが必要です」
「監査員の力量というと、多くの組織では監査員の資格要件を決めるパターンが多いようです。それも外部の講習会を受けていることとかいうものが多いようですが、そんなものがまったく役に立たないということがよく分かりました」
今日の森本は殊勝だ。
「まったく役に立たないというと言いすぎかもしれませんが、そのようなレベルでは監査員としての最低のレベルにも至らないことは間違いないでしょう。というか、監査の目的に見合っていないということになりますね。前回、監査員の力量として三つあるといいましたが、その前提があるわけです」
「みっつのほかにも要件があるのですか?」
「大げさなことじゃありませんが、私たちは会社で働いているのですから、会社の仕組み、ルール、風土というものを知らなければ会社の監査はできません。いや、もっと遡れば日本の社会のルールや習慣というものを知らなければ会社で仕事ができないし、そういった常識といいますか、そういうものが身についていなければ監査はできないということです」
「監査員教育以前にそういう常識が必要ということですか?」
「そうですねえ〜、案外それが個人的特質であり、それだけでなく監査の技能かもしれません」
「山田さん、僕は山田さんの監査を見て、社会人としての常識や交渉術が監査の力量そのものと思いました。僕が監査の力量がないのは、会社の常識というか会社の仕組みや約束事を十分理解していないからだと思うのです」
「まあまあ、そう卑下しないで、森本さんにそういう監査を教えたオエライ先生方が監査というものを理解していなかったのです」
「山田さん、僕もそう思います。大金をとってあんなウソ八百を講習会で教えているのは犯罪行為です。そして審査員の多くも、形式だけの審査をしているのです。形骸化という言葉の意味は、元々は意味があったことが、その後、状況が変わって意味がなくなったことをさしていると思います。でもISO内部監査員研修とかISO審査員研修などで教えていることは、元々意味がないとしか思えません。私が以前、ISO審査員の審査をみて感心したことが恥ずかしいです」
「森本さん、そんなところもあるでしょうね。まあ後ろを向いては進みませんので、前を向いていきましょう」
「山田さん、質問です」
横山が手を上げた。
「ハイ、なんでしょうか?」
「社会人の常識とか、会社の仕組みとかルールとおっしゃっても、共通認識がなければ誤解の始まりです。山田さんがお考えの社会人の常識とはなんでしょうか? 会社の仕組みとかルールというのはどういうものを意味しているのでしょう?」
横山の言うのはもっともだと山田は思ったものの、森本が発言すると必ず横山も発言するのを見て競争心があるなと思った。歳も近いし環境保護部に来たのが同時だから競争意識があるのだろう。
「おっしゃるとおり、大学なら、良い質問ですというのでしょうか。社会人の常識といっても漠然としています。まず業務や社会生活に関わる法律や冠婚葬祭の知識というものがあるでしょう。また論理的な考えができることもあります。以前、ISO審査で環境保護部の監査を監査部がしていることを指摘されました。監査部員にISO規格を理解しているかヒアリングしたらISO規格を知らないので、ISOの内部監査の要件を満たさないので不適合だと言います」
「どうして環境保護部を監査部が関係するのですか?」
「ISO規格ではというと、ISO規格が絶対と思うかもしれませんが、ISO規格に関わらず、監査を受ける部門の人が監査をしてはいけないというのが共通ルールなのです。コンフリクトを避けるために」
「コンフリクトってなんですか?」
「葛藤とか矛盾という意味ですが、監査では客観性がたもてない意味で使います」
「監査する人とされる人が同じでは、確かにそうですね」
「じゃあ、横山さんが発言したついでに、そのISO審査員の指摘が間違いであると説明してください」
えー、ちょっと待ってください。ISO規格を知らない人がISOの内部監査はできないということでしたよね。この場合、監査基準がISO規格なのだから、現実とISO規格を比較しなければなりません。監査基準を知らないなら監査できないということは論理的に思えます」
「僕は監査できると思う」
横山は森本をにらんだ。
「論理的に考えるというのがヒントなのだと思います。ISO規格は要求事項であって、仕様や具体的手順ではありません。まずそれがあります。次に、ISO規格のどの要求事項に不適合かを断定できることが監査の必要条件でもないと思います。第三にISO規格は社内では通用しないわけです。国際法というものはなくて、条約のみがあると昔、環境国際法という学科で習いました。そして条約を国内の規制に使用することは日本の法体系ではできない。どうするかといえば、条約を国内法に展開するわけです。例えばモントリオール議定書はオゾン層保護法やフロン回収破壊法が制定されました。ワシントン条約は外為法などで規制しています。話を戻しましてそれらを積み重ねると、当社の場合、ISO規格は会社規則などや部門の規定に展開されています。そして監査部の業務監査では、環境に限らずすべての法規制の遵守と会社規則類の遵守を点検します。だからもしISO規格に反した行為があれば、それは会社規則などへの不遵守ということになります。そのとき、監査部はISO規格の項番なにの不適合と判定する必要はなく、どの会社規則に不適合かを提示すれば足りるはずです。よってISO規格を知らなくてもISOの内部監査はできるという結論になります」
「すばらしい、合格です。そのとき私は森本さんと同じ理屈で適合を拒否しました。今後は森本さんにお願いします。なにせ毎年来る審査員は違うのですが、みなさんそんなことを考えられないようで、毎回ISO規格を知らない監査部が行う監査はISO規格の内部監査の要件を満たさないといいますからね。」
これは全くの事実である。私は審査員は異なるが同じ認証機関なのに3年連続で同じ質問を受け、同じ説明をした。
世の審査員諸君、文句があるなら聞こう
「さて、横山さんから提起された問題は、常識とは何かということでした。常識といっても法律や会社規則に明記されているものは誰でも認識していると思う。ただなんといいますか、世の中には明文化されたもの、例えば法律とか会社規則だけではなく、暗黙知というのか不文律で決められているものってありますよね。そういうものを明確にしろといわれるとやはりむずかしいね。明確という言葉の意味さえ人によって異なる。ちょっと思い出したんだが、昔もう20年も前、ISO9001が現れた頃、日本語の明確、英語のdefineは文書化することと聞いた覚えがある。今は必ずしも文書化しなくても明確にしたと認められるようだ。ついでにいうと確実にするとはensureで、記録を残す意味に使われたらしい。
とまあ常識といってもあいまいなのですが、私が考えることとしては、まず会社の定款を知ること、会社規則を読みつくすことが最低ラインでしょう」
「定款なんて読んだことありませんが、監査の役に立つのですか?」
「まず会社の存在理由を知ることができるでしょう。そして監査とは法の遵守だけでなく、会社の目的に反することは不適合と判断しなければならない。それは会社規則以前のことです。たとえば、会社の事業に人材派遣が記載されていないのに人材派遣を行っていれば、人材派遣の許可があっても、それは不適合でしょう」
「子会社に監査に行くときは、子会社の定款を読んでいくのですか?」
「そうすべきです。見た目が販売会社であっても建設業も記載されているとか、その他の事業をしているかもしれない。そういうことは定款を読めば事前にわかります。そして多くの会社では定款はウェブにアップしています。今日はシステム改善以前にシステムとはなんぞやでおしまいになってしまいました。では続きは次回にしましょう」

本日言いたいこと
監査をするとき、その監査目的を理解していなければならない。その前に監査システムを知らなければならない。そしてその前に会社の存在する目的である定款を知らないと監査などできません。
監査目的という言葉を知らない人も多いだろう。知らなくてよく監査ができるものだ。



Yosh様からお便りを頂きました(2012/4/21)
以前、女性の自害は短剣でのどを突くと書いたら、Yosh師匠から突っ込みを受けた。のどを突いただけでは人は死なない。

のどを突くと損傷して非常な痛みや出血で何も治療を施さぬと、苦しみ乍らに死に至ります。
例えば器官が詰まりのどをに穴をあけて管を差し込み救命する処置が有りますようにその程度では死に至りません。
自害するには”外頸動脈”を切断することでのどを突き損傷させたのよりも苦なく死に至ることが出来ます。
男の場合腹切りをする時に介錯がない場合には腹を切つた後、持ち直した刃で”外頸動脈”を切断するのが手順だと聞きました。

Yosh師匠 毎度ありがとうございます。
すみません、弟子の出来が悪くて・・・まあ、師匠も弟子を指導するのも老化防止になるかと思います。

ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(2012/4/21)
お聞きするとなるほどと思いますが、そういう考えが認証機関やその審査員に通用するのでしょうか?

通用しないでしょうね。だから、そういうアホなところとは手を切って、通用するところを選んで審査させるのです。

ぶらっくたいがぁ様 毎度ありがとうございます。
しかし、あなた物騒な・・腹を切る、のどを突くの次は手を切るですか 笑
世の中はしがらみばかりで、なかなか縁を切ることはできません。そういう審査員をいかにマタドールのごとくかわして観客の喝さいをあびるかということが大事なんですよ。
規格を理解している論理的な審査員ばかりでは、たいがぁさんも私も存在意義がありません。


外資社員様からお便りを頂きました(2012.04.28)
佐為さま
ツッコミ期待のネタと思い、ぜひお相手&ご教示をお願いします。

監査部員にISO規格を理解しているかヒアリングしたらISO規格を知らないので、ISOの内部監査の要件を満たさないので不適合だと言います これは仰る通りで、監査部員はISO規格を理解する必要は無いのだとも思います。

但し、こちらは如何でしょうかね。
監査部はISO規格の項番なにの不適合と判定する必要はなく、どの会社規則に不適合かを提示すれば足りるはずです。よってISO規格を知らなくてもISOの内部監査はできるという結論になります
ここには重要な前提があって、監査部以外がISO規格を知り翻訳している、ISO規格や条約は全て国内法に展開済という前提がありますよね。 それは会話の中で触れているのですが、審査員がそこに気付くかが分かれ目なのだと思います。

似たような命題を提案します。
「ISO規格 日本語版で審査しても、国際的に同じレベルの審査が出来る」という疑問に対しては、前提として日本語版がISO国際規格(英語&フランス語?):仮称「元祖ISO」を正しく翻訳している事が必要と思います。 また、審査員も、その日本語が指し示す意味、範囲を正しく理解しているという前提も必要と思います。
いつも佐為さまの問題提起を聞くたびに、元祖ISOから翻訳された日本語も含めて、それが正しく審査員に理解されているかは不明になっております(笑)
それにしても高額なセミナーをやった挙句に、元祖ISOとは異なった概念を植え付けられているならば、それこそが審査機関が前提条件を壊しているようにも思えます。

初めの審査員の疑問に戻れば、「監査部員にISO規格を理解しているかヒアリングしたらISO規格を知らないので、ISOの内部監査の要件を満たさないので不適合だと言います」が出てきたら、「貴方たちの審査がISO国際規格に適合している根拠と似たようなものです」と前置きして、「環境部門がISO用語を監査部門に通訳済(判定せず)、監査部門は規格や条約等に対応する国内法を確認済」というのが回答になりますでしょうか? それとも、相手が元祖ISOと違う基準で解釈しているならば、自己否定になって余計 混乱を招いてしまいますか?

外資社員様 いつもご指導ありがとうございます。
自分が一人で考えるより、複数の人が考えるほうが異なった視点から見ることができ、また見逃しも少なくなります。それが三人寄れば文殊の知恵というのでしょう。外資社員様からお便りをいただきますと、ギョッとすると同時にありがたいと感謝しております。
さて外資社員様の重大なご指摘
ここには重要な前提があって、監査部以外がISO規格を知り翻訳している、ISO規格や条約は全て国内法に展開済という前提がありますよね。
そのとおりです。ISO規格を会社規則が満たしているという前提でなければその論理は成り立ちません。もちろんそれは監査部員の責ではありません。しかし、それが会社の責といえるかとなると、実はそうではありません。それこそが認証機関の務めなのです。
まずISO認証を受けたいと考える企業(組織)は、会社の仕組みや運用を規格に適合させる責任がありますが、規格適合を確認する責任は認証機関にあります。企業が規格に適合していないはずだと考えていて審査を受けることはないでしょうけど、企業が規格に適合しているはずだと考えても規格に適合していないことはあるわけで、そのときそれを指摘する責任は認証機関にあります。つまり監査部以外の誰かが規格適合であると考えようと、考えまいと規格に適合しているかいないかは認証機関が判断するわけです。
ここで問題としているのは監査部の監査で、監査項目が足りないとか、不適切な判定があったということではありません。ISO規格を知らない監査部員がした監査がISO規格を満たしているかいないかが論点です。
ということでご了解いただけたでしょうか?

外資社員様から提起された命題についてですが
JIS規格がISO規格の正しい(あるいは適切な)翻訳でないことは多くの人が認識しています。だからまっとうな審査員であれば、微妙なところは英文をもちいて説明したり判定したりしています。悲しいけどそれが現実です。
ちなみに日本国憲法も日本語よりも英文を正とするという時代がありましたし、実際に英文の意味と日本語訳は異なるように思います。以前そんなことを書いたことがあります。
もっと恐ろしいことを言いますと、安保条約も英文と日本語はそうとう違うようです。最近のTPPに関する政府広報も日本語と英語が異なると言われています。もう一般市民も英語力を強化して騙されないようにしなければいけませんね。
付け加えますと、私の経験ではJIS規格で、微妙なといいますか、おかしなところがあって問い合わせても、日本規格協会もJABもまたJIS規格作成に関わった部会のメンバーも明確な回答を頂けなかったことが何度かありました。要するにみなさん、まじめに考えていないのか、JIS翻訳に責任を感じていないのかもしれません。
もうひとつ、数年前、日本のISO規格の元締めであるJABがIAFの相互検証を受けた時、とんでもない勘違いが見つかったということが話題になりました。ですから、外資社員様の懸念は、仮定のことではなく現実に発生しています。
まあ、人間の世界ですから、間違いはあり、それを是正していくしかないのでしょう。
もっともそういった機関が適切に是正をしているかは・・・

あらま様からお便りを頂きました(2012.04.28)
BL認定品とは ?
おばQ さま あらまです。
20年間使っていた都市ガス給湯器ですが、どこも悪くないのですね。
しかし、都市ガス会社が、「交換した方か良い」と、さかんに連絡をくれるので、交換しました。
従来品の同メーカーの同等品なんだそうです。
新品の屋外型なんですが、工事費込みで 3万5千円。
あまりにも安いので良く見たら、BL認定品ではない・・・とのこと。
同じグレードでBL認定品だと、メーカー補償期限は 2年間。
BL認定品でないと、メーカー保障期間は 1年間なんだそうです、 しかし、メーカーに直接、使用登録すると、BL認定品と同様、3年補償にしてくれるというので、インターネットで登録しました。
ところで、BL認定商品って何ですか ?

あらま様 ご無沙汰しております。お元気ですか?
BL認定とはベターリビングという団体が住宅部品について適正かを審査して、合格したものを認定する仕組みのようです。
法規制のないもので、こういった認定制度があるものは数多くあり、合格するにはお金を払う必要があり、認定を受けていないものが悪いとは限らないというのも共通のようです。
そういえばISO認証なんてのも同じ穴のムジナのようです・・・


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