環境ビジネス その2

12.11.21
ISOケーススタディシリーズとは

今回はISO規格の解釈も法律問題も、あるいは審査トラブルも出てきません。ですからISO規格や法律に興味のある方は少し我慢してください。でもね、ケーススタディのお話をつないでいくには、このような背景説明も必要なのです。文章で言えば接続詞のようなものでしょうか。
といいますのは、企業においては職務における純専門的な課題だけでなく、人間関係、仕事の管理、根回しというのも大きなウェイトを占めていますので、それらをネグレクトしてはお話が成立しないのです。
とはいえ、「島耕作」シリーズでは、会社員の本来業務である事業活動やコンペティターとの戦いがメインテーマではなく、ほとんどが社内政治とか人事のお話である。ああいう生き方も大企業の出世コースの人の中にはあるのだろうが、一般化することはできないだろう。そしてまた、そういう人は万が一の緊急事態とか他社との競争においてはまったく戦力にならないのではないだろうか。たぶん、食中毒発生のときに「俺は寝てない」と語った某乳業社長とか、原発危機において心神喪失になった某電力会社社長の二の舞を演じるだろう。ああいった人は将来の社長候補として純粋培養されていて、実際のビジネスにおいて鍔ぜり合いの闘いはしてこなかったのではないだろうか。おっと私は「島耕作」に恨みもねたみもない。世の中はああいったものだけじゃないと言いたいだけだ。
スラムダンクで桜木が2万本シュートを練習したように、何事においても地道な努力の積み重ねを必要とするのが現実であり、蓮舫のようなカッコよさだけでは全く意味がない。
そしてまた、もし山田が今後、環境保護部の部長(事業所長クラス)になるとか、環境担当役員(取締役か執行役クラス)になるかもしれないとご想像されている方がいたら、世の中はそんなに甘くはなく予定調和でもないと申し上げておく。
事業のトップには、営業か開発部門出身者がなるべきであって、スタッフ部門である経理とか環境部門からでたのでは倒産するのが見えている。
2012年11月19日、蓮舫は「私の姿、見えますか?」と声を震わせて言ったそうだが、彼女が喜び勇んで行った事業仕訳と称する理不尽ないじめにあった人々は決して蓮舫を許さないだろう。政治家には、もう少し品格と信念がほしいものだ。

山田が朝のメールチェックをしていると廣井が呼んだ。

廣井
「おい、山田、藤本さんのところには行ってみたのか?」
山田は立ち上がり廣井の席に歩いて行く。
山田
「いや、まだ伺っていません。一度行かなくてはと思ってはいるのですが、なかなか時間が取れなくて」
廣井
「言い訳はいい。実は俺もまだ行ってないんだ。今朝、藤本さんからメールがあってさ、今日は会社にいるから遊びに来ませんかというお誘いだ。昼前に行って一緒に飯を食おう」

突然の話ではあるが、山田ももっともだと思う。
山田
「わかりました。池袋ですから地下鉄で20分くらいですか、11時半に出ましょうか?」
廣井
「飯屋が混むな・・・・11時過ぎたら出よう」



11時過ぎに二人は出かけ、地下鉄の駅から地上に出たところで藤本「事業部長」と会った。
藤本
「てんぷらの美味い店がありますよ、といっても特別な店じゃなくて、我々が昼食を食べているところですがね。そこにご案内しましょう」

我が同志、ぶらっくたいがぁさんは時々上京する。もっとも京都人いや関西人から見れば上京ではなく、下向げこうというのかもしれない。上京とは天皇のいらっしゃるところに行くことであり、天皇の所在地から行くことを下向という。
明治維新のときに天皇は京都から江戸に来てそのまま住み着いたけれど、正式には天皇が東京に居所を移したことになっていないらしい。だから正式な御所は京都にあるのだ。
ともかくたいがぁさんが来るときは私に連絡してくれるので、一緒に昼飯を食べた。東京駅近辺は混むし高いから、神田周辺で食べることが多かった。あのあたりは安くてうまい。そして実を言えば、いくつもの認証機関の本社があるので地の利があるのだ。
ちなみに現役時代、私は一人でもときどき電車で一駅か二駅行って昼飯を食べた。それが気分転換にもなったし、なにか外の空気を吸って食べるのが気に入っていた。
もっとも引退した今となってはそんなこともないし、たいがぁさんも私に声もかけてくれない。カナシー


三人は、まもなく昼時になると超混み合うだろうが、今はガラガラ空いている座敷に座った。
藤本
「今度の会社では昼飯の弁当がないんですよ。それで毎日、昼飯は外で食べることになり、これがけっこう面倒なんですが、その反面、気分転換になります。
でも歩いて行ける範囲であちこち食べ歩きましたが、最終的に5つか6つの店を回るようになりますね」

あっという間に出てきたてんぷら定食をたべながら藤本はしゃべる。
藤本
「とりあえず仕事がほしくて、出向や転職した私の以前の同僚とか知り合いを頼りにあちこちの会社を歩き回っています。そういう連中に会うと、みんな苦労しているが頑張っているね。わしも頑張らねばという気持ちがわいてくるよ」
廣井
「藤本さん、それで仕事量は確保できそうですか?」
藤本
「まあ、最初は義理もあるしご祝儀もあるので、なんとかみんな気を使ってくれて仕事をいただける。もちろんそれは一過性であることはわかるし、我々の仕事次第で次があるかないかも決まるだろう」
廣井
「仕事が多ければいいというものではなく、私どもからの委託業務もしっかりと運用していただかないと困りますよ」
藤本
「存じております。川端も結構まめな男で、法改正情報のウオッチとかウェブのメンテなんかは性格にあっているようです。彼は独創的なことはどうかわからないが、ルーチンをしっかりと遂行するのは信用できる。それもひとつの能力だからね。
いや、川端では驚いたことがある」
山田
「問題があったのですか?」
藤本
「いや、その逆だ。彼は他の会社のISO事務局に顔が広く、ISO事務局の業務改善に役立つといって講演会やコンサルの仕事を、もう10件近くとって来た。もちろん当初は昔の付き合いの義理とかお情けってこともあるだろうけど、これには想像外だったよ」
廣井
「ほう、じゃあ川端は役に立ちそうですね」
藤本
「それがね、笑っちゃうのだが、彼が売り込んでいる教育プログラムというか内容は、山田さんが川端を教えたのと同じなんだ」
山田
「いいじゃないですか、使えるものは何でも活用してほしいですね。それによって日本のISOが良くなるなら私もうれしいです」
藤本
「五反田はもちろん鷽機械グループからの環境管理のコンサルの仕事を取ってきた。だから当面3か月間くらいの負荷は100%確保した。ともかく開店休業では困るので・・」
廣井
「まあ、先は長いですからあまり無理をしないで、しっかりした仕事をして評判を確立してください。開店休業よりも緒戦敗退の方が困ります」
そんな話をしながらてんぷら定食を食べ終わった。



鷽機械商事は池袋駅から歩いて7・8分のところに8階建ての自社ビルを構えている。藤本率いる「環境ソリューション事業部」はその3階のひと部屋である。
部屋の外にある看板を見て廣井が言う。
廣井
「まもなく独立して看板を変えるんでしょう。藤本社長はいつ誕生ですか」
環境ソリューション事業部矢印鷽環境ソリューション(株)
今は藤本事業部長いつかは藤本社長

藤本
「冗談を言わないでください。会社を作るというのはそんなに簡単じゃありません。もちろん登記するのは簡単ですが、少なくても1・2年は事業が大丈夫という見通しがつかなくては・・・それは非常に難しいですわ。
今の時代、起業から1年で4割、5年で6割、10年で8割が倒産するといわれている。2000年以降、特に新規設立企業の寿命は短くなっているそうだ」

藤本はそんな話をしながら、ドアを開けて二人を中に招き入れた。
中では五反田と川端がいて、大きな机の上で大量のコピーした資料を一生懸命にそろえて製本している。
五反田
「おお、廣井部長と山田さん、いらっしゃい」
川端も顔を上げて会釈する。
実は川端と廣井は初対面である。
廣井
「皆さんお元気そうでなによりです。ちょっと様子を拝見に来ました」
五反田
「開業したばかりで、ご覧のようにテンヤワンヤですよ。おかげさまで仕事はいただきましたが、講習会のテキスト作成もこんなありさまで・・・」
川端五郎
「外に出せばきれいにできるのでしょうけど、頼めばお金がかかります。とにかく最初はなんでもかんでも手作りでやっています。」
山田
「ISOの研修会の中には、事前にpdfの電子データを送って、受講者にプリントさせて持参させるところもあるようですが・・」
川端五郎
「そりゃ、はっきり言って、顧客満足の正反対でしょうね。講習の内容がいくら素晴らしくても、やるべきことはしっかりとしないと・・・やはりお金を払った価値があると思わせないと・・」
五反田
「まだ初回ですから。ある程度経験を積めばテキストも標準化でき、仕事も能率的にできるようになるでしょう」
藤本
「今準備しているのは関連会社から請け負った、明日実施の環境担当者への環境事故についての講習会です。あまり大きくは報道されていないけど今でも日本では数多くの環境事故が起きている、その原因や予防するにはどうするべきかという話を依頼されました」
廣井
「いいですね〜、ISO規格の形而上のお話よりも、事故を起こすなというお話の方が何倍も価値があります」
藤本
「いや、廣井さん、ちょっと違うんだけどね、我々は依頼されたらなんでも請け負いますよ。ビジネスなんだからえり好みはできません。ISO規格の解説であろうと、環境側面の決定方法でも。もちろん、怪しげな点数方式とか有益な側面なんては語りませんがね」
廣井
「いや失礼した。ともかく大いにビジネス拡大してください」
昼休みのチャイムが鳴った。♪〜♪〜♪
五反田と川端は飯食べてきますと言って出ていく。
今からでは飯屋は混むだろうなあと、山田は二人の後姿を見て思った。

藤本は部屋の隅にあるホワイトボードの前の机に二人を案内した。
藤本
「受注状況ですが、開業1か月で講演が7回、講習会4回あります。ほとんどが関東圏内ですが、2件は大阪です。本来ならこのような仕事は一人で運営すべきでしょうけど、当面は二人体制として、全員が同じレベルになるよう習熟する計画を立てています。
環境保護部から請け負っている法規制をウオッチしてウェブサイトのメンテとメルマガの発信は、毎日法改正や動向をチェックはしていますが、毎週まとめて1回実施することにしています。
横山さんにお願いしている環境保護部の監査員の仕事は、ここ三ヶ月くらいは既に計画が立てられているということで、当面は仕事がありません。現状に監査の仕事が入れば遊びが発生しないのですが・・
常にこれくらいの仕事があればいいのですがね」
廣井
「はじめは昔のよしみのご祝儀で仕事がもらえると思います。しかし基本的に仕事というのは依頼する方に予算がなければ依頼できませんから、とにかくあちこちに声をかけて来年度の予算を確保してもらうようにお願いしておかないとなりませんね」
藤本
「そうなんだよ。我々の開業時期が悪かったかという気もする。お前の話は分かったけど予算がないというところも多くてね」
廣井
「まあ、すべてが順調にいくことは難しいですよ。いただいた仕事を丁寧にしっかりと行って良い評判を得て、それを次の商売につないでいくしかありません。
最悪の場合は環境保護部の監査員派遣とかで食いつなぐしかありません。当分の間、ある程度は面倒を見ますから」
藤本
「猶予期間としては2年ですか?」
廣井
「私も環境保護部長をしているのはあと1年少々でしょうから、それまでは待てると思います。私の後任に引き継ぐ前に、この事業の見通しをつけてほしいですね」
藤本
「頑張るよ。ところで廣井さんも55を過ぎたんでしょう。人事から役職定年後にどうするのか、なにか話がありましたか?」
廣井
「何か希望はあるかという話がありました。まだ謎かけのようなレベルですが。
環境保護部の部長をしていては関連会社へ出向という道はありません。私の前任者は取締役兼務だったからそんなことを考えることはなかったでしょうね。私が出向するとすればお宅にお世話になるくらいしか道はない。といってもお宅が順調になるまでは出向者の受け入れも難しいしね」
藤本
「私が今58だから、62までここの責任者をするにしても廣井さんが2年後にここに来て、2年程度ラップして後任になるというストーリィはありますが・・」
廣井
「藤本さん、そう決めつけないでくださいよ アハハハハ」
山田は脇で二人の話を神妙に聞いていた。山田だってもうすぐ50歳、課長のままで役職定年までいるはずがないから、あと2・3年でどこかに出向かもしれない。
どうなるかは自分で決められないことも多いが、それまでに何をするのか、何をすべきなのか、自分もしっかりせねばならないと思う。

廣井
「ところで川端、五反田の人間関係は良好ですか? そういうことは売り上げよりも重要ですからね」
藤本
「五反田は総務にいたせいか、けっこう人間が柔らかく人とぶつかることはない。川端もISO事務局がお払い箱になったことを気にしているかと思いきや、今までの経験を最大限に生かして新しいビジネスをしようという意気込みは大したものだ。ある意味、今までの職場に意味を見いだせなかったのかもしれないね。ただ、彼はこのままで終わるつもりはないようで、コンサルか審査員になりたいという色気もあるようだ。まあ、それもいいだろうと思う」
廣井
「やはり一番は上に立つ人ですから、藤本さんも売り上げの数字にこだわったり、いやこだわるのは重要なんですが、不調のときにそれが言葉とか態度に出さないことですね。我々は大企業なので親方日の丸ってとこもありますが、小企業の場合は経営者のプレッシャーはたいへんですから」
藤本
「私は経営者と言えるような仕事は初めてだけど、廣井さんは経験があるのですか?」
廣井
「私もそういう立場になったことはありません。だけど工場にいたときの取引先とか下請には社員が数人とか10人くらいのところが多くて、そういった会社の状況を長年みてきました。規模が小さいほど、親方の気持ちや言動が全員に伝染しますから、良いときは雰囲気は良いですが、悪いときトップが意気消沈するともうだめですよ。
それと従業員の逃げ場がない。大企業では派閥や学閥ができますし、現場だって30人もいると社員やパートのグループというか派閥がいくつかできます。それは悪いことじゃなくて、ある意味グループ同士の競争も働くし、トラブルがあったときクッションになる。ひとつのグループにいて、つまはじきされても別のグループに入ることができる。しかし3人しかいないと、気まずくなるともう逃げ場がありません。そこが難しいですね」
藤本
「廣井さんのおっしゃることはわかる。少人数ほど順調に行くときはいいけど、逆況になるとトラブルは致命的になる。管理者の責任は重大だね。大企業の部長が務まっても、中小企業の社長は務まらない」
廣井
「いや、大企業の社長が務まっても中小企業の社長は務まらないのですよ」
大きな会社の幹部が子会社に出向するとき、多くの場合、子飼いの一人や二人を連れて行く。そしてその幹部が出向先の事業拡大とか構造改革をしようとする。
しかし面白いように、多くの場合その計画は失敗する。なぜかというと大きな会社で出世する人は優秀な人を使うことに長けているが、優秀でない人を使うことに長けていないからだ。また人数が多ければ責任者は企画と指揮能力があれば間に合うが、少人数の場合、指揮官は指揮するだけでなく、実際の仕事ができないとどうにもならない。
当初の計画が失敗すると、その幹部は失意のまま元の会社に戻り、たいがいはそのまま辞めることになり、辞めない人は恥を忍んで定年まで閑職で席を温めることになる。
そして不思議なことに多くの場合、幹部が連れていった子飼いの者が出向先の会社に残って頑張って成果をあげ、やがてその会社の役員やトップになることが珍しくない。このような事例を私は数多く見ている。
元の大会社にいればせいぜい課長止まりだった人がそのようになるのはどうしてかと考えると、大会社には派閥とか同期横並びとか社内政治の力学で昇進が決まり、また職務が与えられるからだろう。
藤本氏の生い立ちや背景を考えてこの駄文を書いているわけではないが、現実に藤本氏が存在すれば、それはおそらく十中八九、旧帝国大学を優秀な成績で卒業しているだろうし、学士ではなく修士かもしれない。そしてひょっとすると社会人になった後、ドクターを取っているかもしれない。現実にはそういうスペック的に優秀な人が大企業には多い。そういう人は島耕作のように大手企業の社長や役員になれるかもしれないが、中小企業の社長は務まらない可能性が大きい。
私は藤本さんがこの後、事業経営に才覚を表すか、ポシャルのかを決めて書いているわけではなく、どうなるかはこれからの読者からの茶々次第だが、私が過去に見てきた事例から予測すると成功する確率は高くない。そして五反田や川端がその後を継いで頑張るのが、ありがちな結末ではないだろうか。




本社に戻ると廣井は山田に話をした。
廣井
「山田君、今後継続して藤本さんのところの状況を把握してくれ。毎月の仕事の負荷状況、損益状況、その他トラブルなど特記事項をメールでいいから報告を頼む。そしてそうだなあ、月に1回は様子を見に行ってほしいな」
山田
「承知しました」
廣井
「山田君があのビジネスを考えたんだから、これからも順調に行くようにいろいろとアドバイスをしてほしい。そしてもし事業が順調でないようであれば、早い時期に手を打たねばならない。この事業に失敗は許されないんだ」
山田
「それほど重要な事業とは思えませんが」
廣井
「事業の性格や規模から考えるとそうなんだが・・・うまく立ち上げろという社長直々のお言葉なんだ。今の社長は藤本さんと同期だろう、昔の仲間がこけるのがいやなんだろう」
山田
「廣井さんも大変ですね」
廣井
「だからお前がしっかりやるんだよ」
山田は自分が藤本だったら、あのようなビジネスを始める気があったか、そして成算をどう見ていただろうかと考えをめぐらした。
そして心の中で、藤本さんは研究開発者としては優秀かもしれないが、小企業の社長に向いていないような気がするのだった。

うそ800 本日のお願い
みなさーん、これからこのビジネスをどうもっていきましょうかね?
アイデアを募ります。
ところで、つのらなくても寒さはつのってますが・・・私は寒いのは嫌いです。



N様からお便りを頂きました(2012.11.22)
環境ビジネス
個人的な意見かもしれませんが・・・
環境だろうと品質だろうと経営からの要請がなければビジネスにはならないと思います。
経営から見れば、カネを使うということは投資か経費かのいづれかです。
経費であればなるべく削減したいと思い、投資であればリターンを増やしたいと思うだけです。
ビジネスチャンスは、経営サイドにこれは投資だと思わせるようにすることと、リターンを(嘘でもよいから)明確にすることです。
社員教育をすることが必須なので仕方なくやっているというスタンスの企業では、少しの経済変動でもカットの対象になるでしょう。
一方で、社員の質を高めることで企業競争力が上がると考えているところは不況でも投資をしてくれるのが理想です。
そうしてみると、汚染防止と法令遵守だけでは必須項目への対応になってしまうので、生産性向上のツールにまで展開してゆくことが必要なのかもしれません。
さて、具体的にはどうしたものかなというのはノーアイデアですが。orz

N様 毎度ありがとうございます。
現役のコンサルタントからご意見をいただきますと緊張します。
実を言いまして、この藤本一派のビジネスはビジネスとして成り立つのか、いや成り立たないのではないかという気がしています。
大手企業ではおしなべて、子会社を作って、グループ企業の環境コンサルをしていたり、廃棄物などの汚い手を下すお仕事をさせたりしています。従来は公害防止管理者とかエネルギー管理士は従来は社員でないとまずいというしばりがありましたが、最近は規制緩和で別会社でも良い場合が多くなり、今後はそういう仕事も別会社化するのが増えていくでしょう。
それらは利益を出すビジネスとして行っているかと言えば、ほとんどの場合違います。環境に限らずコンサル会社などは管理者を引退した人の活用というか、そういう人たちのために仕事を作って与えているというケースが多いですし、廃棄物などのお仕事は現業の定年間近の人の活用ということが多いです。
そもそもこういったビジネスを利用して利益が出るのかと考えれば、でるわけがありません。もしダブルスタンダードのバーチャルISOの会社があれば、こういったコンサルを利用してまっとうなISOにするよりもそのままバーチャルで続行した方がお金がかからないと思います。どのみちISO認証制度があと10年くらいしか継続しないでしょうから、それまでの人件費と社外流出費用を天秤にかければ何もしないで現状維持という答えになるのではないでしょうか。
要するに顧客の利益になり、ビジネスとしてもお金になるから新規事業に進出するのではなく、人を活用(あるいは仕事を与えるために)そういう事業をしているのが多いように思います。ISO関係のコンサルでも代行でも同じです。
今回の物語の設定は、そもそも五反田がISOや非製造業の環境管理に詳しいからなにかビジネスにならないかと考えたのを発端としています。そこに引き取り手のない藤本部長が一枚かんでなんとか数人規模の事業にしようという、ある意味、いや大いに不純な発想です。
そんなシチュエーションで書いているわけですが、私自身、この事業が順調に行くとは思えません。ただ藤本さんの処遇などを考えて、環境保護部からいろいろと仕事を出して、一定規模の売り上げを保証することにしていますが、これも現実によくみかけます。
まったくの後ろ盾もなく売り上げの保証もない状態で、このようなビジネスを始めたら、始める前に失速すると思います。
ただ私が書いているのが損益計算してビジネスになるかどうかはともかく、実際には類似の状況の会社は大手企業のほとんどに存在して事業継続しているというのは事実です。
そんなお情けにすがるようなビジネスではなく、地に足をつけてちゃんと利益を出すようなビジネスがあれば、キーボードを叩いてないで、自分で立ち上げたいと思います。
非常に難しいでしょうね。
話しついでにいえば、日本の業界系のISO認証機関だって、業界傘下の企業のあふれた人々の・・以下略



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