「日本は国債破綻しない」

2013.03.07
お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、別にぜひ読んでいただきたいというすばらしい本だけにこだわらず、いろいろな本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからこの本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本、そのものについてのコメントはご遠慮する。

著 者出版社ISBN初版定価巻数
三橋 貴明実業之日本社4-408-10939-82012/05/221400全1巻

私が子供の頃の日本経済とは・・・・・万年国際収支が赤字であった。日常使うものでも輸入品はもてはやされた。日用品といってもたいしたものではない、せっけんとか、タバコに火をつけるライター、万年筆・ボールペン、そんなものが舶来だと良いもので、国産ではろくでなしだった。それは単なる思い込みではなく、実際に使い物にならなかったのだ。舶来はくらいという言葉は良い物という意味であった。
他方、日本からの輸出品にはロクなものがない。小学校で習った日本の輸出品は、扇、日本人形なんてのが並んでいた。おっと火をつけるマッチもあった。そんなことを習うと悲しかった。

今50前の人はそんな状況をご理解いただけないだろう。国産という言葉には悪い響きがあり、舶来という言葉にはスバラシイ品質という響きがあるなんて信じられないだろう。
今、中国製、メイドインチャイナというのは良いイメージがない。正確に言えば品質が悪いとか、安全でないというイメージを拭い去れない。我が家では、野菜でも衣料でも国産が最高で、ベトナムあるいはタイ製品がないとき、中国産でもしょうがないと一時的に買うくらいだ。もっとも毒野菜事件以降、家内はまず買わなくなった。1週間ほど前、ハマグリを買って家に着いてから中国産と書いてあるのをみて、悔しいと言いながら捨てた。当時の国産というのは、まさに今の中国産のイメージだったのだ。

国際収支が万年赤字なら、どんどん日本経済はシュリンクして日本は消滅するのかといえば、そこはうまくしたもので特需とくじゅというのがあった。もっともうまくしてというか、それがなければそれなりに日本経済は小さくなる方向でバランスしただろう。というかバランスせざるを得ない。ところで特需とは駐留米軍へのサービスや食料品などの提供である。それでやっとなんとかという時代だった。
それで政府も国民も、良い製品を作って輸出を増やそうって熱意があった。そういう時代でもあったのだ。
しかしシニカルな私はそれを不思議に思った。日本が赤字なのはうれしくないが、日本がドンドン輸出して黒字になったら、どこかの国が赤字になるのではないだろうか? 日本が豊かになるということは、他の国が貧乏になることではないのだろうか? そしたら世界が不安定になって、早い話が戦争とか起きないのだろうかと
それを小学校の先生に質問したことがあるが、「そんなことは気にするな」というのが答えだった。たぶん、その先生も分らなかったのだろうと思う。

中学校の時、社会の時間に先生がお金というものは、政府と家庭は異なる論理で動いている、家庭の家計が赤字だと困るが、政府が赤字財政をとることは普通にありえることだという。先生が言うには民間の仕事がなければ国がそれを補うことが必要になり、そのために国家の収支を赤字になるように予算を組むのだという。
私は、そのときそれがどうしてそうなのか理解できなかった。ただ先生が語ったことは、それから50年経った今でもしっかりと覚えている。
教科書にそのようなことは書いてなかったし、そういうことを教えることは決まっていないだろうから、きっとその先生は経済を勉強していたのかもしれない。今の日銀の理事よりもマクロ経済に詳しかったのかもしれない 

私は昔も今もSF小説が大好きだ。私はアイザック・アジモフやアーサー・クラーク、ハインラインなどが現役というか最盛期に子供時代を過ごし、彼らの作品をほとんど読んだ。
1978年のこと、ハインラインの「愛に時間を」という大作を読んだ。これは今でも持っているがすばらしい小説だ。その中にお金の話が出てくる。時代設定は宇宙開発から更に進んだ宇宙入植の時代、多くの開発業者が「この星は発展しまっせ」と宣伝し入植者を集めてその星を開拓する。はじめはその星の通貨は開発業者が発行し通用する。
おいおい、ちょっと待ってくれよ! 業者が発行する通貨とはいったいなんだろうか?
通貨とは国家が発行するものばかりではない。軍隊が発行することもあり、市中銀行が発行することもあり、私企業が発行する場合もある。いや当初は通貨として発行するのではなく単なる受け取りとか借用証として発行したものが、人々から信用されて通貨とみなされることもある。
そんなものあるのかと聞かれるかもしれませんが、現実にあります。
パチンコ屋の特殊景品と言われるものがその一例でしょう。パチンコ屋では出玉を換金できませんが、交換所に持っていけばお金に交換してくれるものがあります。もし出玉を景品に交換した人がお金に交換せずに、景品を他人に譲渡したりすればそれは景品が通貨として使われたことになります。
やがて経済が発達するとその業者の通貨では供給不足となり、また私企業の借用証では金融政策もとれないので、その開拓地に限っても力不足となる。それで住民は政府なるものを作って銀行券を発行する必要が生じる。果たしてその通貨は何を根拠に、なにを基準に作られるのだろうか?
ハインラインの小説では状況を細かく書いていませんが、想像すれば・・・・
入植者が農産物を作れば地球に売るしかありません。そのためには宇宙船を持っている業者に売るしかありません。とすると業者は地球の現金を持っていなくても借用証を発行します。また農機具(トラクターなど)を買うのは業者からしか買えません。借用証をもっていけば、その借用証の金額に見合った買い物ができます。やがて借用証はお金に替えることなく使われ続けることになります。つまり借用証が通貨になります。当然その通貨は入植者間でも有効です。いつしか借用証に借りた個人の名前を書くのを止めることになるでしょう。
いつか誰かが業者のところに持って行って借用証に書いてあるお金を払ってくれということも可能です。その時交換されるものは地球のお金になります。この場合は、他国通貨本位制とでもいうのでしょうか?
知りたい方はお読みください。読んで後悔はしません。中古本もありますが、今は文庫本も出ています。但しものすごい長編です。読み通すには覚悟が必要です。
いや覚悟ではなく忍耐かな?

何年か前「貨幣進化論」という本を読んだ。
冒頭にある「パンの木の島」というお話を読むだけで、お金とは何かということが理解できる。いや理解したつもりにはなれる。私はこの本を読んで、お金とはそういうものだったのかと膝を叩いた。ハインラインよりも専門的に解説している。
つまりお金って元々は借用証だったって知ってますか? 誰が誰に渡す借用証なのでしょうか?そしてお金はなぜ信用できるのでしょうか?
という超初歩的なことを知らないと国債を論じることはできません。国債は紙くずになるから現金で持っていた方が良いと語る評論家は、そういう基本的なことを理解していないことは間違いないです。
国債が紙くずになることはありえるが、そのときは同時にその国の通貨も紙くずになる。一方のみが紙くずになることはない。
もしそれを恐れるなら他国の通貨、たとえば中国人民元とか韓国のウォンなどに両替することはできる。(紙の紙幣でも預金でも)
だがそれらの通貨が破たんする可能性は日本円が紙くずになる可能性よりも大きい。
さあ!どうする?

私はめったにテレビを観ないが、たまたまある朝、居間でゴロゴロしていると、テレビから「円が下がってガソリンが高くなって困る」と「みのもんた」が大げさに嘆いている。
捏造はいけません
テレビも信用できないね
● ● ● ●
「みのもんた」とは芸能人であるが、司会者をしていて国家天下を論じている。きっと政治にも経済にも詳しいのだろう。あるいは台本を読んでいるだけかも(棒読み)
なんと3月5日時点、共産党の首相質問で同じことを言っていた。みのもんたを笑えない。 
円が安くなれば輸入品が高くなるのは当たり前だろうし、あるいは円が高くなれば輸出が減るのは当たり前だよね。そういえば二年ほど前、みのもんたは「円が高くなって輸出産業が壊滅だ」と嘆いていたように記憶している。それを忘れたのはご本人だけだろう。
あるいは台本を読んでいるだけかも(棒読み)
円が安い方が良いとか高い方が良いとかは人それぞれである。しかし円が高くなっても嘆き、円が安くなっても嘆くのはバカ丸出しだと思う。それって円が高くなって喜び、円が安くなって喜ぶと同義だよね。

円が上がると大変だ +円が下がると大変だ アリエネー
バカ丸出し
円が上がるとうれしい+円が下がるとうれしいアリエネー
バカ丸出し
円が上がると大変だ +円が下がるとうれしいありえる
人それぞれ
円が上がるとうれしい+円が下がると大変だ ありえる
人それぞれ

おっと、みのもんたに限らず、テレビには円が高くなって日本壊滅だといい、円が安くなると日本はおしまいだと叫ぶ経済評論家、大学教授、コメンテーター、新聞論説委員があふれている。片方だけを語るなら納得できるが、両方を語るのは語るに落ちる。ご本人は悲劇のヒーロー・ヒロイン役で打ち震え、自虐でカタルシスを感じているのかもしれない。

本屋の経済関係のコーナーに行くと、日本は復活する、日本は崩壊する、アベノミクスは日本再興を起こす、アベノミクスはアブナイミクスとか相反する主張の本があふれかえっている。もちろん銀行や証券会社の方のお言葉は、ポジショントークってやつでしょうけど。
ポジショントークとは、真実ではなく自分のポジション(立場、所属機関)に都合の良い考えや見通しを述べること。
新聞社の社説も、宗旨国のご意向によるポジショントークである場合がほとんどである。
日本が国債を発行して景気対策すると「日本破綻だ」と叫び、中国が国債を発行して景気対策すると「すばらしい政策だ」と書いている某新聞社はまさしく

でもなんですね、韓国経済でも日本経済でもなんでもいいですが、かって予言したことがことごとく外れた経済評論家(例:大前研一)や大学教授(例:森永卓郎)は己を恥じてマスコミから消え去り隠遁してほしいものです。しかしオオカミ少年、いやオオカミ爺さんたちは、ますます声を大にして叫んでいます。以前そんなお人にだまされて大損した人は決してそれを忘れず許さないと思いますが・・
おっと倒産した「安愚楽牧場」を絶対損しないと推薦して、それが嘘だったとばれた海江田万里民主党代表はどうなんでしょうか? これから生暖かく見つめていきたいと思います。
まあそんな人たちは厚顔無恥というものの見本を示してくれているのでしょう。
そんなことを踏まえると、みのもんたなど可愛いものかもしれません。

この本の著者、三橋貴明は経済をものすごく簡単なことから説明していく。算数が数少ないいくつかの公理から定理を導き出してそれを積み重ね、いつしかものすごい壮大な体系を編み出しているのと似ている。
「公理」とは「絶対正しいとしたこと」、「定理」とは「公理を用いて証明されたもの」

まずお金とは何かから始まって、借金するには貸す人がいなければ借金できないこと、借りた金と貸した金は同額であるという当たり前のことから、預金とは銀行にとっての借金であるという凡人はちょっと考えもしないようなことになり、更にどんどんと高みに導いていく。
もちろん彼の論理が正しいのか間違いなのか私に判断つかないところは多い。しかし池上彰やその他の多くが、こうあるべきだとかこれが本当だと叫んでいるが、彼らは結論だけを提示して、そこに至るまでの過程を論理的に説明するということがない。それに対して三橋は数学で方程式を変形するがごとく、自分の論理を明白に説明しており、論敵がそこに欠陥を見つけることを恐れない。いやむしろ見つけてほしいのではないかとさえ思う。要するに結論で勝負ではなく、論理の過程で勝負しているのではないだろうか。
池上が予言者とするなら、三橋は数学者なのだ。予言はその性格から検証することはできず結果でしか当否を判断できないが、数学はその過程を検算することによりその論理の正誤を判断できる。追試ができ再現性があるとは、まさに科学である。

だから三橋は、円が高くなっても嘆き、円が安くなっても嘆くようなことはない。そしてもっと大事なことだが、彼はすべての施策や政策は目的を達成するための方法と認識している。軍事同盟とか大きな政府小さな政府というものは絶対的なものではなく、環境と状況によって変えるべきもの、こだわってはいけないと断言する。そして絶対にこだわらなければならないものは「国民の幸福」であると

そういう前提というかスタンスで彼はすべてを論じている。
国債とはなにか、誰が誰に対する借金なのか、どんな通貨で借りているのか、国債を返せなくなったらどうなるのか、もちろんこの駄文をお読みの方々はそんなことは百も承知であろう。
彼は繰り返し語る「成長がすべて」
その通りだ。民主党の政策は「コンクリートから人へ」とか「二番じゃだめなんですか」という思想というより気分で日本の経済成長を止め、その結果 実際に日本経済は低迷した。成長しない経済はシュリンクするだけで、最終的に消滅する。
「鏡の国のアリス」の赤の女王は「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」と語ったが、企業が生き残るためには成長への必死の努力、改善を継続しなければならない。国家においてもしかり
個人においても同じく、我々は日々努力し研鑚に努めなければならない。そうしないとポジショントークやアホな評論家に騙されてしまうのだ。

こんな基本的なことを民主党の議員諸君も日銀の理事たちも、なぜ理解しないのだろうか?
なおこれは三橋の新しいアイデアではなく、池田勇人も田中角栄もみんな理解していた。しかしその考えを後輩に教えることは難しいようで、田中角栄の娘は理解できなかった。彼女は生まれつきの女王様で、いや赤の女王に比べるのも恥ずかしいほどアホだったし、言いたい放題で何も成果を出さすに、生きかつ・・・おっと、まだ生きていたか 

このお話は仮定の話でもなく、過去の話でもない。今現在進行中のアベノミクスがどうなるのかによって評価される。そしてアベノミクスに反対する大勢は円が高くなって日本壊滅だといい、円が安くなると日本はおしまいだと叫んで、日本の成長の足を引っ張り手をもごうと頑張っている。
アベノミクスに反対するのは考えがいろいろあってよいのだが、せめて円が高くなって困るなら、円が安くなったら良かったと言ってほしいし、円が安くなって困るなら円が高くなったときは赤飯を炊いてほしい。そうしないといくらアホな視聴者でもおかしいと気が付くよ。

三橋貴明にこれからも大いに頑張ってほしい。
もちろん安倍さん、頑張ってください、頼んますよ



R2様からお便りを頂きました(2013.03.16)
選びましょう、日本か安倍氏か
とうとう安倍首相はTPP参加を正式に表明しましたね。
結局我が国には他国におもねる政治家しかいませんでした。あとは経済界の意向に沿っていたか。
民主党が反日極左(の流れを汲む)なら自民党は売日保守といったところですか?結局中国とアメリカの綱引きの場でしかないんですよ日本政治は。
なんなんですか今の保守は!?
三橋氏といいチャンネル桜といいあれだけTPP反対しても安倍のこれは何も感じてない!はっきりいって外参権を超える主権放棄ですよTPPは。
アメリカ国内は乗り気じゃないので安心とか、安倍は期待できるとか平気で仰っている。自分らがかつて忌み嫌った小沢の支持者と同類であることに気付かない。そもそもこのTPPは日本を参加するのを主目的としているらしいのに容易く抜けられるものですか。

それとはっきりいいます。
彼を応援したネットの保守ユーザーはもう救いがたいと。
安倍晋三という売国奴を支持したのです。
我々はTPP締結が現実となる事態に腹を括らねばならなくなりました。

あと覚悟しなければならないのはアメリカが日本の富を収奪し終わって安保と一緒に切り捨てた後、疲弊しきった我が国に対し特アがどういう動きに出るか、わかりますよね?
私は交渉を遅らせるため安部自民を瓦解させるしかないと考えております。
みなさんは安倍首相を支持できますか?

R2様 毎度ありがとうございます。
いやあ、安倍さんの決定にはまいりましたね〜、私も3月1日の国会議事堂前のTPP反対デモに参加したんですよ。それ以前にも何度も参加していましたけど・・・
正直、大ショックですね
マスコミなどがTPPの対象になるような気がするのですが、マスコミはそう考えていないのでしょうか? 対象となれば日本のマスゴミはCNNなどに歯が立たず、瞬殺されてしまうだろうに、マスゴミがTPPマンセーなのが理解できません。
まだまだデモとかやりますよ。お互いに頑張りましょう。

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