スコアリング法

2013.05.05
著しい環境側面を決定する方法の一つに、点数を付けて行うものがある。その起こりをさかのぼれば昔々、大昔、ときはISO14001認証が始まった1997年、EMS認証の大手であったJ△○○が、この方法でなければダメと決めつけて、この方法以外には不適合をバンバン出していた。
以前、審査員の方から「著しい環境側面を決定する方法がスコアリング法でなくても不適合をだすことはない」とのお便りをいただいたことがあるが、それは事実誤認である。それに審査報告書にそのものズバリを書いてなくても、審査が進まなければ、企業にとっては不適合と同じだ。
なお、この駄文をお読みになったJ△○○関係者におかれましては、上記についてご反論があるかもしれません。しかしながらJ△○○がスコアリング法を半強制的に押し付けたことは、私は自ら、それも21世紀のつい最近までいくたびも体験しており、その事実認否については妥協しません。裁判所で宣誓して証言することができます。それに、現在J△○○の役員あるいは審査員をされている方よりも、私の方がJ△○○との付き合いは長いかもしれません。
よって巷ではこの点数を付ける方法を、J△○○流とかJ△○○方式と呼んでいた。当時はISO14001といえばJ△○○がメジャーな認証機関であったから、企業側としては否応なく、ひたすらこのJ△○○流を学んで免許皆伝まではともかく、真似事だけでもしなければ認証できなかった。
考えてみれば、そもそもがいいかげんな流派なのだから、免許皆伝などあろうはずがない 笑
巻物

その後、大手J△○○のご推薦であったものだから、他の認証機関もこの方法を推奨するようになり、やがて広く一般化した。 この方法の名称は、人によりさまざまで、J△○○流、あるいは点数法とかスコアリング法とも呼ばれるが、とりあえずここではスコアリング法と呼ぶことにする。

いまさら、こんなバカバカしい方法が広く使われているとは思っていなかったが、同志名古屋鶏様が最近これについて書かれたので、今でもこんな方法を推奨している人がいるのかとネットをググってみた。するとなんと現在でも環境側面とあれば必ずと言っていいほどこのスコアリング法が載っている。というか、これ以外の方法を具体的に説明したものを見かけない。
危険 まさに中国で蔓延する鳥インフルエンザかSARSのようだ。いずれも知識レベルが低いところに蔓延し、感染性が強く、ひとたび罹患すると恐ろしい結果になる。
そして鳥インフルエンザウイルスが変化しやすいのと同様に、スコアリング法の手法も伝播するに伴いドンドン変化していく。しかし世の中に害を与えるものであることは変わらない、そんなところがそっくりである。

ということで今回はスコアリング法について考える。といっても私がそんなバカバカしい手法を語るはずがなく、またなぜバカバカしいかを語る気もない。というかバカバカしいことについては既に語った
今回は、なぜバカバカしいスコアリング法が日本で流行って、そしてなぜいまだに廃れないかということを考える。

スコアリング法を知らない人がこんなウェブサイトを訪問されるとは思えないが、一応このスコアリング法というものについておさらいしておこう。
ISO14001:2004では「環境側面を特定し、著しい環境側面を決定(4.3.1)」しなければならない。しかしその方法を規格では決めていない。以前の審査基準であるガイド66では「環境側面を決定する方法は組織が決める」と明記してあったが、ISO17021になったとき、その文言は消えた。もっともその文言があったときでも、著しい環境側面を決定する方法の決定権は認証機関にあるような塩梅あんばいであったから、ISO17021が制定された2006年以降も特段審査は変わらなかった。

それはともかくスコアリング法とは
  1. 自分の組織で使用や保管しているものを、とにかくひたすら棚卸してリストを作る。
    ISO14001認証が開始された頃、徹底的に漏れなくリストしなければ審査で嫌味を言われ、イヤミを言われるだけでなくとにかく環境側面の候補をたくさんリストしなければそこでストップして次に進まなかった。
    徹底的にとはどんなことかと言えば、例えば乾電池、ホチキス、ホチキスの針、クリアケース、花壇の殺虫剤、名刺の枚数とその再生紙配合率などもあった。そんなものが工場の環境影響に占める割合が大きいとは思えないが、電力や化学薬品と同等の労力をかけて調べさせられた。
    いや審査員から見れば、我々が自主的に調べたのだろう

  2. リストアップしたものの環境影響の大きさを、その使用量・発生量あるいは保管量、影響の度合い、影響する期間、危険性、その他なんでも良いが適当な項目を3つとか4つ設けて、それらの項目について配点表を作る。
    「適当な」とはどうでも良いということではなく、審査員が適当とみなすことである。

  3. リストアップしたもの一件ずつ、配点表をみて点数を書き込む。そして各項目の点数の掛け算あるいは足し算をして、その積あるいは和をリストアップしたものの評価点とする。

  4. そして評価点の大きなものあるいは上位のものを、著しい環境側面とするという方法である。
    ちなみに評価点が大きなものといっても具体的に何点以上か、あるいは上位何位までかは好き勝手にしてよいのだ。そこになんらかの論理性、あるいは妥当性があることを見出すことは我々凡人には不可能であった。もちろん審査員はそれができたのである。彼らは神職あるいは超能力者であったに違いない。それとも単なるジコチューだったという可能性もある。

環境側面評価表の例

もちろん述べたように鳥インフルエンザウイルスじゃなかったスコアリング法には、バリエーションが無数にあり、掛け算や足し算で物足りない人は、対数をとったり平方根にしたり、足し算と掛け算を混用したりさまざまだ。

たとえば、
基本方程式
 (評価点)=(使用量/保管量の配点)×(発生可能性の配点)×(危険性の配点)
バリエーション例
 (評価点)=(使用量/保管量の配点)×(発生可能性の配点)×(危険性の配点)+(基本点)
 (評価点)=(使用量/保管量の配点)^1/2×(発生可能性の配点)×(危険性の配点)

バリエーションは次数とか係数あるいは足し算引き算というだけでなく、項目が(影響の持続性)とか(影響を及ぼす範囲)とか、(指定数量)とか(LD50)なんてすることもある。

そのような複雑な方法にする理由は実は簡単で、平易な足し算や掛け算では、評価者の期待するものが著しい環境側面にならないとき、なんとかつじつまを合わせるために採用したというのが最大の理由である。

現実にはこの手順で一直線に進むことはなかった。というのは上記基本方程式では、誰が考えても著しい環境影響をもつものが著しい環境側面にならないのである。だから評価結果が期待するようになるように何度も何度も、配点表を修正し、それでも修正がきかないときは算式を見直して期待する点数になるように試行錯誤を繰り返したのである。
なにしろ変数が多く、いくら配点とか算式を自由気ままにできるとしても、全体がまあまあの評価にするには大変骨であった。


ぶらっくたいがぁ様のご指摘を受けて図を修正しました。

もちろん手計算では日が暮れてしまうので、エクセルシートに関数を埋め込んで配点表からリンクさせて、配点を変えれば計算結果がすぐに変更され、順位が変わるようにしておく。
しかしこのような方法であっても、期待する結果になるようには、私の経験では何日もかかった。しかし生産にも利益にも貢献しない数字のお遊びで時間をつぶすことは、むなしさだけであった。
もっとも21世紀になってからは、私はそのようなバカバカしいことを止めて、審査員を説得することにした、ところがこれも簡単ではなかった。ま、それは別の機会に・・

会社によっては、算式と配点表をいじっても期待するものにならず、計算結果だけでなく企業の責任者が無条件に追加できるという例外規定を併記しているものもある。
しかし「評価点で該当した項目以外、企業の責任者の判断で任意のものを追加できる」とするなら、最初から点数を付けて評価することをせずに、著しい環境側面を決める方法を「企業の責任者の一存で決定する」と決めておけば一行ですんで簡単じゃないかと思う。でもそんな正論を、いや手抜きを語ってはJ△○○審査員に死刑宣告を受けてしまうのだ。死刑になりたくなければスコアリング法の念仏を唱えるしかない。
宗教はそれを信じない人に対しては力を持たないが、信じる人に対しては絶対であり、奇跡を起こしまた人を死に至らしめる。そしてもちろんスコアリング法に限らずISO14001認証は科学ではなく宗教である。
するとISO14001はアヘンであったのだろうか?

スコアリング法を説明した解説本のひとつに「評価して著しい環境側面となったものが、常識で考えて環境に大きな影響するものであることを確認する」と書いてあった。
この文章を読んで、「それって論理が逆じゃないか」とか、「評価者の常識で考えたものを著しい環境側面にするなら、そもそも評価する意味がないのではないか」と思った人は、正常である。そういう素直な、いや論理的な考えを放棄した人々がスコアリング法を使っているということをご認識されればよい。
では次に進もう。

スコアリング法に付いて簡単に説明した。ここで少しでも環境をかじった人、いや少しでも世の中で働いたことのある人であれば、今までの話を聞いて「おかしいぞ」と思われたに違いない。
おかしいぞと思わない方は、修行が足りない。
サポーズ、数学、国語、英語の三科目各100点満点の試験をして、合計230点以上を合格とする入試があったとする。この方法を、私は変だとは思わない。数学の50点と英語の50点は等価でないとか、数学100点取るのは非常に困難で英語100点は少し頑張ればとれるという不平等はあるかもしれない。だが現状の難易度とか配点に問題があると考えれば、次回は数学の出題を易しくしてもよいし、あるいは英語の点数にコンマ9をかけるなど重みを変えてもよいだろう。いずれにしてもこれは約束事と言ってもいいし調整事項といってもいい。
約束事とか調整事項とは、アプリオリとか理論的に決まるものではなく、関係者の話し合いで決めることとか規則に定めたものをいう。
しかし「遵法と汚染の予防」というISO14001の意図を実現するためには、なにを管理すればよいかを決めるのは約束事とか調整事項ではない。現実に法に違反しないようになにをするべきか、事故を起こさないためにどうすべきかは、現実を調べて真剣に考えなければならないことである。
そのようなことを、算数の掛け算、足し算に貶めたスコアリング法とは、最悪、最凶、酔狂な方法であったことは間違いない。

では次に進む。
カテゴリーの異なる電力と廃棄物を比較することができるだろうか。具体的に、電力600万〜1200kWhを4点、また廃棄物100〜200トンを4点としたらとしたらどうでしょうか? このふたつは同等なのでしょうか?
物事は簡単じゃありません。電力といっても水力で発電したのか火力か風力か、グリーン認証付なのか? 廃棄物といってもそれを委託している業者のリサイクル率が高いのか、低いのか? それどころか廃棄物の中間処理以降どのようなルートを通るのか排出者が把握できないことは多いし、物により時によって変わることは間違いない。当社はルートはしっかり把握しているなんて言ってはいけない。あなたの手にしている廃棄物契約書で、最終処分場が一か所なんてものは少ないだろう。あなたが出した廃棄物がどこに行くのかは引き渡した時にはわからないのだ。更にいえば、戻ってきたマニフェストに書いてある最終処分地が本当かどうかなんてわかるはずがない。
当社は現地調査をしているから間違いないなんて寝ぼけていてはいけない。そんなことで安心するようでは廃棄物担当者を辞めるべきだろう。
要するに種類が異なる環境負荷は、比較することが困難なのだ。もちろん電力600万kWhと1200万kWhの自然界への影響、あるいは廃棄物100トンと200トンの自然界への影響はある程度は比較できるけど、電力600万kWhと廃棄物100トンの自然界への影響は比較できるとは思えない。

別の観点から見てみよう。
環境側面を決定しようとしている工場の近所に住んでいる人からみれば、このような採点方法で評価点が大きくなったものをしっかり管理してほしいとは言わないだろう。
工場で電力の点数が高くても廃棄物の点数が高くても、近隣住民はなんの感傷も持たない。工場の近くに住んでいる人の最大関心ごとは、事故が起きないことだ。だから事故が起る可能性のあるものについては、安全対策、メンテナンス、作業者の教育、非常時の近隣への広報などをしっかりしてほしいと願うだろう。だが電気を減らしても近隣住民は何もメリットはないし、廃棄物が減っても一銭の得にもならない。
だから、電力消費量と汚水の流出を天秤にかけることは絶対にできない。そして普通の人なら電力600万kWhよりも、汚水の方をはるかに危険と感じしっかり管理してほしい思うだろう。

取引先の立場で考えると、電力を減らすとか廃棄物を減らすなんてことは購買担当者の眼中にない。彼らは、納入メーカーが事故や違反を起こさずに、ちゃんと納品してくれることを願っている。上流の企業が事故や違反を起こして操業停止になると、下流の企業は真っ青になる。
法を守ると言ってもプライオリティがある。廃棄物の不適切な処理は全国ニュースになってトンデモないことであるが、省エネ法を守れなくても大騒ぎすることではない。
もちろん近隣住民と同じく、廃棄物が減ろうと電力を減らそうと何もありがたくはない。その結果、値段が下がるならありがたいが、多くの場合それはメーカーの利益に貢献するだけだ。

おいおい、話がそれてしまった。本日のテーマは著しい環境側面について語るのではなく、なぜバカバカしいスコアリング法が広まり、使われているかということであった。
本題に戻って、なぜスコアリング法を推奨したり、採用したのだろうか、その理由を推定してみよう。

  1. 環境管理をしたことがなかった。
    廃棄物を考えてみよう。廃棄物といってもその種類は無数にある。木くずもあるし金属屑もあるし、汚泥もある。オフィスからの掃除のごみもある。廃水もあるだろう。診療所からでる注射針もあるし、駐車場を草むしりした雑草もある。そんなものを廃棄物としてまとめて評価できるわけがない。
    おお、お宅は廃棄物の種類ごとに評価しているとおっしゃるかもしれない。そして特管産廃は点数が高いかもしれない。だが、ちょっと待ってくれよ。特管といってもこれまた多種類ある。廃アルカリと廃酸の特管は別の点数にしているのか? 廃酸といってもクロム酸と塩酸じゃ環境影響が違うと思うよ。そういうのをどんなふうに重みを付けているのだろう?
    もし環境管理の担当者、管理者を1年もしていたら、廃棄物と電力に点数を付けて大小を比較できるという考えは起きないだろう。
    おお、それから思いついたことがある。
    環境管理をしたことがない人がISO14001の審査員になったとしよう。
    実はそんな審査員は大勢いるのだ。いや、現実の環境管理の経験がある審査員など何パーセントもいないのかもしれない。
    現実の環境管理とは、廃棄物を収拾したり分別したり、ボイラーを運転したり、排水処理装置を運転したり、地下水浄化装置を修理したり、規制対象の化学物質が混入しない方法を考えることをいう。ISO認証のための活動や審査を受けること、あるいは環境報告書を作ったりすることではない。
    彼らが審査しようとしたとき、企業がこれは法規制があるからとか、これは毒物だから著しい環境側面にしましたといっても、それがいかほど重大なのか理解できないだろう。ISO審査員の中には環境法規制など審査員研修で初めて知ったなんて人はいくらでもいる。
    毒物とはなにか? あなたはご存知ですか?
    だから物質名を聞いても、作業工程を聞いても、特定施設を聞いても、それらが著しい環境側面に値するかしないかを判断できないだろう。
    じゃあどうしたらいいだろうか?
    簡単じゃないですか、環境側面決定は点数を付けて点数が大きい方からとか、上位何番目まで著しい環境側面だと決める仕組みにすれば、中身を理解できなくても、その方法での該非は判断できるし、計算ミスくらいは見つけることができるだろう。
    ついでにそれ以外の方法は、客観性が担保出来ないという理由で不適合にしてしまえば、審査員が知識がないことがばれる心配はない。
    正直言って、私はそれがJ△○○がスコアリング法を推奨した真の原因ではないかという気がする。もし違うとおっしゃる方がいらっしゃいましたら、ぜひとも真の理由を教えていただきたい。

  2. 法律を知らなかった。
    著しい環境側面というものが、管理を要する項目であるなら(cf. ISO14001:2004 4.4.6)、法規制があるものは即著しい環境側面になるはずだ。だがスコアリング法において法規制という評価項目をあまり見かけない。
    いやあるとおっしゃるかもしれない。実を言って評価点が少なく著しい環境側面に該当しないものを、法規制に関わるとして該当させるルールにしているケースは多々みかける。
    しかしそんな裏口入学ルートを作るなら、最初からわざわざ点数をつけることなく、法規制を受けるか、受けないかで判別すればよかったような気がするが、そうしなかったのはどうしてだろう?
    ちなみにスコアリング法ではなく、法規制が関わるもの及び事故が起きる可能性のあるものを、著しい環境側面であるとする方法を示したのが、BVQIである。(現在はBVという)
    嗚呼、BVQIは偉大なり。
    スコアリング法を推奨した認証機関は偉大ではない。

  3. 数字の意味を理解していない。
    点数で決めることとしたならば、そのとき点数は環境影響と比例関係になければならない。なぜなら点数で比較するのだから、40点は10点の4倍、20点の2倍の影響がなければならない。そこまでは厳密には無理というなら、リニアな比例関係は譲ったとしても、最低限大小関係は保持されなくてはならないだろう。つまり20点は10点より環境影響が大きく、40点は20点より環境影響が大きいことが必要条件である。そうでなければそもそも数値化した意味はなく、比較できるはずがない。
    廃棄物と電力の点数はその比例関係または大小関係があるのだろうか?
    そうであるという根拠を私は見たことがない。
    おもしろいのはもっとある。先ほど、電力600万kWhと1200万kWhは比較可能だろうと書いた。しかしネットでググったら次のような配点表があった。

    量の配点表
    点数電 力廃棄物
    51200万kWh〜250t〜
    4600万kWh〜200t〜
    3400万kWh〜150t〜
    2200万kWh〜50t〜
    1〜200万kWh〜50t

    上表で最下段の1点を除いて考えると、電力の2点と3点の比は2倍だが、3点と4点の比は1.5倍、4点と5点の比は2倍となっている。等差数列でも等比数列でもない。これはどうしてだろう? 想像するにこれは単に第一種を5点、第二種を4点、あとは適当というのが本音ではないだろうか。法規制がかかるのを反映したといえばそうかもしれないが、それなら簡単に法規制がかかるものは著しいと言い切ったほうが明快で論理的だろうと思う。それでも大小関係は維持されているから良いという主張があるかもしれない。
    では廃棄物との比較を見てみよう。5点から4点に減らすには、電力量であれば半減しなければならない。常識で考えて、必死に頑張っても工場の使用電力を1200万kWhから600万kWhに減ることはまずない。これだけ減らすには、生産が大幅に減るとか事業がまったく変わることが必要だろう。
    ところが廃棄物を5点から4点に減らすには、廃棄物が250トンが200トンに20%減ればよく、これは達成可能かどうかはともかく、電力に比べると削減率は大きく異なる。これはいかなる理由によるものだろうか?
    これだけ点数配分の階段が違うなら、点数の比較ができると考えるのはおかしいだろう。
    これを考えた人というか会社は、算数に長けていてもそもそも環境管理をしたことがないというべきか、それとも数字の意味を全く理解していないというべきか、どうだろうか?
    想像だが、この表を作成し使っている会社は、電力も廃棄物も変化しないのだろう。現実の使用電力量と廃棄物排出量の近辺だけ関係が合うように作って、それ以外の使用量はありえないだろうと、その会社で発生しない数値における整合性など考えなかったに違いない。
    そういえば、スコアリング法の解説本において著者の多くは、「どの会社でも使える配点表というのは存在しない。その会社の状況に合わせて配点表を作れ」と語っているが、それこそがこの方式が誤りであることを認めていることの証拠だ。つまりどの配点表も、現実の値近辺でしか意味を持たないのだ。もしスコアリング法に意味があるなら、理想の配点表があれば多くの企業で使えるはずだ。だが、そうではない。


    5/6追加
    電力量が600万なら4点、1200万なら5点となっているが、このとき4点と5点の違いはなんだろうか?
    第一種になると管理しなければならず、第二種なら管理しなくても良いというわけではない。管理水準が違うとおっしゃるかもしれない。しかしそもそも手順を定めて運用しなければならないものが著しい環境側面なのだから、管理水準が低いから4点でよいという理屈はない。つまりどちらも同じ点数にするか、あるいは4点でも5点でも著しい環境側面にしなければならないことになる。
    この配点表は論理的ではないと断定しても良いのだろうか?
    え、スコアリング法そもものが論理的じゃないですって 笑


  4. 想像力がなかった。
    一番目と似ていると思われるかもしれないが、ちょっと違う。
    あなたが工場の敷地に立っているとしよう。あなたの、目に入るもの、耳に聞こえるものから、何を考えるだろう。
    どんな工場でも水は使っている。排水はどうなっているだろうか?
    煙突があれば、どんなボイラーで管理状況はどうだろうか?
    騒音はなにから発生しているのか? 近隣には何があるのか? 幼稚園はあるのか?
    化学物質はなにをつかっているのか?
    もしあなたが環境管理にほんの少しでも関わっていたなら、何をしなければならないかはもう頭に浮かんでいるはずだ。
    私は二者環境監査をしていて、事前情報を持たずに初めて訪問してそして二度とお邪魔しないのが普通だった。そしてその会社が、どんな法規制に関わり、どんなことを管理しなければならないかを見つけて、その会社がそういうことを認識していてちゃんと管理しているかをチェックするのが仕事だった。訓練すれば誰でもそんなことはできる。
    もし、そのとき点数を付けてみなければわからないなんて語る人がいれば・・・そういう人がスコアリング法を推奨しているのだが・・・その人は想像力に欠けていることは間違いない。いや常識がないのかもしれない。
    それとも事故や違反などと関わったことがない幸運な人なのかもしれない。
    幸運な人とは、事故にあわないことではなく、事故に気が付かない人なのかもしれないが・・・善意の人のパクリです

  5. 自分の仕事に謙虚でない
    どんな仕事でもレビューが必要だとISO規格に書いてある。己の仕事が、これで良いのだろうか? 間違い、漏れはないだろうか? そのようにチェックし適正であることを確認することは、お金をいただくなら当然だろう。
    著しい環境側面を決めるのにこのスコアリング法が良いかどうか、どのような検証をしたのだろうか?
    私はスコアリング法が良い方法であると選定した説明なり解説なりを見たことがない。スコアリング法とはアプリオリであるとして、それを教えたり利用したりしている人は、その方法を選んだことに疑問をもたないのだろうか?
    もし仕事に誠実であり、自分の仕事に謙虚であるならば、その方法が良いのかどうかを考え、自分が納得する必要があるだろう。
    学校で先生が言った。「俺の言うことを全部信じてはだめだ。俺が死ねと言ったらお前たちは死ぬのか」と
    これほどスコアリング法が広まったのは、教えた人が自分の仕事に謙虚でなかったのだろう。もし自信がなければ専門家に確認すればよかったと思う。そんなことにも気が回らなかったのだろうか?

要するにスコアリング法を考えた人、教えた人、それ以外はだめと審査した人はみんな環境管理などしたことがないだけでなく、考えることをしなかったのだろう。よって磔獄門はりつけごくもんを言い渡す。
企業側でスコアリング法を取り入れた人は、二種類ある。飯を食っていくためには仕方がないと割り切った人と、審査員がのたまわくのだから間違いないと信じた人、まあどちらも罪一等を減じて遠島を申し付ける。
実は私は前者だった。サラリーマンがお金を稼ぐためにはしょうがなかった。

うそ800 本日予想される疑問
私がJ△○○流に恨みでもあるのかと、お尋ねになる方がいらっしゃるだろう。
その通り。J△○○流を考えた人、教え広めた人、審査でこれ以外の方法に不適合を出した審査員を徹底的に糾弾したい。
なぜなら、彼らこそ日本のISO14001をダメにした張本人なのだ。彼らは金がなる木であったマネジメントシステム認証制度を、己の無知が故につぶしてしまったのだ。たぶん、現時点、認証機関の人たちは、そういうアホな先人を恨んでいるのではなかろうか? それとも先輩がアホだったことにさえ気付かないのかだろうか?
いや、認証制度の問題だけじゃない。日本の環境管理において、バーチャルなお遊びをはやらせてしっかりした管理を教えなかった罪は重い。そういうお遊びがISO認証は役に立たないなんて誹謗中傷を受けるようになった原因なのだから。
天に代わって不義を討ちたい。

うそ800 本日の提案
「今からでも遅くはない」という言葉がある。今でもこのばかばかしいスコアリング法が広まっているということを踏まえて、ISO14001の黎明期にこれを流行らせた人たちは、あれは間違いだったと表明すべきだろう。それがせめてもの罪滅ぼしである。

うそ800 本日の主張
もし本日の文章を読まれて、私のスコアリング法への憎しみ、軽蔑、恨みを感じられたなら、それこそ私の意図が伝わったということです。
スコアリング法をお考えになられた方、推薦した方、今でも採用している方で、私の論に異議あるならば、大いに議論したいと思います。アントニオ猪木ではありませんが、私は誰の挑戦でも受けます。もっとも雑兵相手はご免こうむりたい。認証機関の幹部クラスを望むところです。


ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(2013/5/5)
全面的に賛成で、何ら異論ございません。
ですが、些細なことが気になるのがボクの悪い癖。
フロー図が気になりました。
フロー図作成時のお約束として、図中において◇(条件分岐)の「Yes」と「No」は統一することになっています。(ある◇の「↓」が「Yes」で「→」が「No」なら、他の◇も同じ向きに揃える)
ついでに言うと、横に分岐した矢印の終点は、接続先の□(処理)の左辺(または右辺)ではなく、□と□の間の線(矢印線)に繋げるのが正しいです。
ただし、JIS規格(JIS X0121)にそこまで細かく規定されているわけではないので、あくまで業界内の「お約束」ですが。

たいがぁ様
えーとですね・・・・線が交差するのがいやだったのですよ
この場合どうすればいいのでしょうか?

名古屋鶏様からお便りを頂きました(2013/5/5)
猪木は「いつ何時誰の挑戦も受ける」と豪語しましたが、それは飽くまで「興行としてオイシイ場合」であって、その他の雑兵が道場に乗り込んで来たときには中堅辺りのレスラーが叩きのめしていたようです。
ISOは成果を出すことよりも教祖の意向に従うことに目的がすり変わってしまったのが最大の悲劇というか問題でしょうね。

名護屋鶏様
あっしには中堅レスラーとか子分がいません
はてどうあしらったらよいでしょうか

ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(2013/5/5)
なるほど、そういうことでしたか。
ちょっと不細工な文言ですが、左上の条件分岐を「評価結果は不適切か」にしてYesとNoを入れ替えれば、右下の条件分岐はそのままなので、線が交差しないですむと思いますよ。「妥当」の適切な反対語があればいいのですがねえ。
(じょぼぼぼぉーーー、と紅茶を入れる音)

たいがぁ様のご指摘を受けて、さっそく修正してみました
お眼鏡にかなえばうれしいのですが??

湾星ファン様からお便りを頂きました(2013/5/5)
スコアリング法、恥ずかしながら、その昔は採用してました。
理由は、「著しい環境側面」の数が増えすぎて管理(正しくはISO審査対応)不能に陥り数を減らす必要に迫られていたから、です。
実務で使う手順書や記録、従業員教育の仕組み等は当然あったのですが、「ISO審査用」の手順書や記録でないと「適合認定」されなかったもので・・・。
ええ、知恵がついて審査員のご託宣に言い負けないようになってからは、速攻で廃止しましたよ。スコアリング法やISO審査用の手順書、記録類も。(遠い目)

湾星ファン様
私も同様です。あんなアホなことをなんでしたのかと反省しきりです。
きっとISOという熱病に侵されていたのでしょう。コンサルや審査員という保菌者は自分は発病しないで他人を感染させるだけだったりして

ぶらっくたいがぁ様からお便りを頂きました(2013/5/5)
古今東西の故事、寓話、説話、教訓。無数にある中で、「裸の王様」が最高峰であると思います。少なくとも、我々のような実務担当者にとっては。

たいがぁ様 まいどありがとうございます。
世の中の神話にはいろいろありまして、古事記の中のヤマトタケルのように権謀術数、裏切り、暗殺、なんでもありというものもあります。
〇〇員は古事記を参考にしたの鴨?


れいしお様からお便りを頂きました(2013.07.02)
最近,環境側面を「リスク」,著しい環境側面を「重要又は看過できないリスク」と定義すれば,使い方によってはスコアリング法もありかな〜と。
少しだけ,考え直したりしております。

18000もISO化するようですし,RKYはどうなるのでしょうねぇ。

れいしお様 毎度ありがとうございます。
まず、私はスコアリング法はまったくの悪だとか言うつもりはありませんし、そんなことを言ったら間違いであることは明白です。
私の主張は二つあります。
ひとつは、組織(企業)が環境側面を決定するときにスコアリング法でなくても不適合ではないということです。
当たり前といえばこれまた明白ですが、J△○○法を広めたJ△○○認証機関はスコアリング法でなければ話にならん、平家にあらずは人にあらずという圧政を行ったという事実があり、今もそれを引きずっています。そういうことはいけないよと申しているのであります。
もうひとつは、評価表の配点をするときに、確固たる論理と根拠があるのかということが論点になります。中西準子先生がリスク評価をするとき、勘や気分で配点を決めているわけではありません。現実の人体への影響、例えば寿命がいかほど短くなるのかというデータをとって配点をしています。ですから二通りの案があって、それぞれの効果を比較するということは純粋に科学的であり、実証データを根拠にして行っているわけです。
環境側面の評価をスコアリング法で行う場合、電力○kWh以上は5点、廃棄物○トン以上は5点とするならば、それぞれによる環境負荷、それは魚の生息数の減少とか、人間の寿命への影響などにおいて全く同等であるという根拠に基づいているのかということが論点になります。
そういう根拠がなくて、勘と度胸で配点するのであれば、そのスコアリング法は、偽物、もどきにすぎないと思います。そして、現実にJ△○○法とかJ△○○流と呼ばれた方法は、まったくのデタラメであったことは言うまでもありません。
れいしお様がスコアリング法をとる場合、点数の根拠、種類が異なるものについて影響が同等であることを考慮して行うなら、それは科学的な方法であると思います。



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