マネジメントシステム物語70 業務改善

14.07.28
マネジメントシステム物語とは

初めに私が考えていることを若干書きます。
実は数日前に、某氏から「話の内容がISO規格から会社経営になってきたが、大丈夫か」というメールをいただきました。私は「お前は経営を語る能がないぞ」という意味に受け取りました。実を言ってその通りです。
しかし私は単に暇つぶしだけでなく、自分が思っていることを言いたいから書いています。そして私は経営について論じるつもりはありません。ISOというものが経営にいかなる意味を持っているのか、いや持っていないかということを言いたいのです。松下幸之助さんのように、経営者の道を語ろうなんてたいそうなことは考えておりません。
さて現在「マネジメントシステム物語」を書いております。これを読んで、昨年まで書いていた「ケーススタディ」と何が違うのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それについて少しばかり説明します。
私は計画的な人間でないことは否定しません。というか行き当たり場当たりの人間でして、ウェブサイトにもその性格がもろに出ています。ケーススタディは延々と4年も書いてきましたが、第一回目の環境方針を書いたとき、それから4年間も書き続けるなんて夢想していたはずがありません。とはいえ、「ケーススタディ」では、いろいろな状況、問題を設定して、登場人物に考えてもらうという発想で書き始めました。その後、物語の性格も内容もドンドン変わりました。それどころか与えられたシチュエーションにおいてどうあるべきか考えるケーススタディではなく、単なる物語になってしまいました。しかし変わらないものもあります。それは『社員から見た仕事』を書いているということです。書いていることにはISOに関わることも、環境に関わることも、会社内の人間関係などもありますが、とにかく社員の立場でどう考えてどう対応すべきかどう判断すべきかを書いてきたつもりです。
じゃあ、「マネジメントシステム物語」はどうなのかといいますと、似たような、いやまったく同じシーンもあるかもしれませんが、違うところがあります。それは『会社から見た仕事』を書いているということです。いや私はそういうつもりで書いてきました。
例えばISO認証制度というものがあり、当社も認証しなければならなくなった、どうしようという場面において、「ケーススタディ」では、いかに会社に役に立つように、手間ひまを書けないように、アホらしいことをしないで済むように、ということを書きました。
しかし「マネジメントシステム物語」では、それが会社にとっていかなる意味があるのか、意味のない要求事項はしないで済ます手はないのか、アホらしいならアホらしいと言いきって問題があるのかという観点で書いているつもりです。そんな思いが出ていればよいのですがどうでしょうか。
なお、双方ともあまり冴えない主人公がいろいろと学んでいくという成長物語もどきですが、それは本質ではありません。

では本日のお話のはじまり、はじまり、
時が流れ塩川課長は役職定年になり関連会社に出向していった。送別会の挨拶では、出向先の会社で品質保証部長になるということである。素戔嗚すさのおグループには防衛関係の仕事をしている会社も多く、そういったところでは品質保証業務は極めて重要なポジションである。ISO9001の起源は武器や軍需品の品質保証であることをご存じだろう。
環境部門にいたのに品質保証を担当するとはどういうことなのだろう。不思議に思って佐田が聞くと、塩川課長は元々品質保証を担当していたという。佐田と同じく品質保証業務から環境に流れてきた人は少なくないようだ。特にISOに関わっていた人にはありがちなのだろうか。
塩川がしていた環境管理課長の後任には誰も来ずに、大河内部長が課長を兼務して、実務は佐田に投げた。平のまま、課全体の業務の統括・決裁をしろということだ。佐田の年齢や今までの経歴から、工場なら部長級である本社の課長にするわけにはいかないということなのだろう。佐田もまあしょうがないと了解した。
ただそうなると佐田は出張ばかりしているわけにはいかない。佐田の代わりに竹山に頑張ってもらわなければならないし、部長自身も管理課長業務について良く知っておく必要がある。とはいえそれは竹山を育てることでもあるし、部長が部内の業務をよく理解することにもなる。あるいはそれが部長の狙いなのかもしれない。佐田も以前から竹山と佐田二人がいては仕事に対して人が余分だと考えていたこともあり良い判断かなと納得した。
ともかく佐田は今までしていた監査や工場の指導だけでなく、管理課の仕事である新しい法規制の対応、そのためには行政との交渉や業界団体でのとりまとめなどもしなくてはならない。それでそれ以降、佐田が外に出かけることはめったになくなった。そして自分自身56歳になったのだから、この職場に長くいるわけではないのにと内心思うこともある。
ともかくそんな仕事をしていると、佐田も部内の業務全般やグループ企業の環境管理について詳しくなった。各事業所には環境管理部門がある。いや工場だけでなく支社にも販売代理店にも倉庫にもどんな事業でも環境管理業務は存在する。
どんな分野でも管理者の仕事はただ一つしかない。それは何かと言えば簡単で人件費管理である。いや違うと反論する方は多いだろう。管理職の仕事は、売上促進、事故予防、開発力向上などいろいろあるとおっしゃるかもしれない。だが良く考えてみると、そのすべては業務の効率向上であることがご理解されるだろう。人件費管理といっては語弊があるかもしれないが、要するにインプットを減らしてアウトプットを大きくするという効率向上、費用削減でしかない。なお経営者とは将来ビジョンを描く人である。
佐田が問題視したのは、本社の環境管理部の業務だけでなく、グループ企業全体の環境管理業務の効率をあげることである。はたして環境管理業務において業務の効率向上を図るにはどうすればいいのだろうか。環境管理といってもその仕事は多様であり、個々の業務をどうすれば改善していけるのだろうか?
半年前の佐田なら自分が調査し、改善策を考えて、具体的計画を立てて実施したところだ。とはいえ今は立場が違う。人を動かしてやらせないとならない。佐田は竹山に声をかけた。
佐田
「竹山さん、ちょっと相談があるのだけど、今いいかな?」
竹山
「はい、打ち合わせ場に行きましょうか?」
佐田
「そうしよう」
ふたりは給茶機でコーヒーを注いで座った。
佐田
「とりとめがない話なんだけどね、当社グループの環境管理業務をもっと効率向上させるにはどうしたらいいかということなんだ」
竹山
「うーん、佐田さんがおっしゃることは実感しますね。佐田さんがここに来て10年くらいになりますか。私は佐田さんが環境管理部に来る前からここにいましたが、当時は工場の環境担当者は今の半分もいなかったでしょう」
佐田
「ほう、10年間で倍になったということですか。それはどうしてですか?」
竹山
「当時は今よりも環境の仕事が少なかったのですよ。まずリサイクル規制もなくPRTRも廃棄物やPCBの届などもありません。そういったものは21世紀になってからできたのです。フロン規制も使っちゃいけないってのはあっても、フロン回収破壊法はつい最近です。マニフェストが産廃全般に必要になったのも98年でしたっけ。それ以前は環境管理なんていっても開発途上というか、のどかなものでした。
ともかく以前は環境に関して規制が少なかったので仕事も少なかったのです。環境全般というよりも公害防止に限定されていたと思います」

注:当初はマニフェスト票の発行義務は特管産廃だけだった。産廃全般の適用時期は、県条例によって異なる。福島県ではだいぶ前から産廃すべてに発行を義務付けていた。 PRTRも1都1道6県では法規制よりも早くPRTR条例を制定していた。

佐田
「なるほど、時代が下ると環境関連の仕事がどんどん増えてきたということか。しかし人数が倍になるほど仕事が増えたのかなあ?」
竹山
「確かにそう考えると、不思議と言えば不思議ですね。新しい規制に対応するためにこの環境管理部でも化学物質の専任者とか、環境配慮設計の専任者などが増えました。でも本社では倍までは増えていませんね。もっとも省エネについては生産技術部と綱引きがあり、結局生産技術所管になりました」
佐田
「工場の環境管理業務というのは、具体的にはどんなことをしているのだろう?」
竹山
「環境管理業務と言いましても会社によって全く異なります。共通しているのは廃棄物管理、省エネくらいでしょうか。
工場の環境管理といってもばい煙の脱硫とか有害物質を含む排水処理をしているところもありますし、アッセンブリー業ですと化学物質もなくメッキも塗装もボイラーもなく、環境負荷は電力だけというところもあります。それに省エネ義務もあるところないところもあります。
非製造業になりますと、これまた多種多様です。オフィスなら事業所の環境負荷はほとんどないでしょうけど、販売している製品に関する環境規制も多々ありますから、そういったことに対応しなくてはなりませんし・・・
それから環境部門といってもその担当範囲が、植栽とか建屋の管理、あるいは有価物の売却を担当するところ、資材が担当しているところなど、これまたさまざまです」
佐田
「どの事業所でも必要だからそれ相当の人を充てているのだろう。なんか全体的に業務効率を評価して、効率をあげることができないかなと感じるのだけど。改善しようとすると一般論ではどうしようもないか。個々の状況を捉えて改善を考えないといけないのかな?」
竹山
「そうそう忘れていました。ほとんどの会社ではISO14001の事務局を環境管理部門がしていますね。オフィスとか非製造業では環境管理部門というのがなく、総務部が担当しているのでしょうけど、そういったところはISO事務局も総務がしているでしょうね」
佐田
「漠然とした話だけど、そういった環境管理業務の効率を向上させる方法ってなにかないものだろうか?」
竹山がコーヒーを飲んでニヤニヤしながら言う。
竹山
「佐田さんが私にこんなふうに話をしてきたのは初めてですね。いつもは『こう考えているけどどうだろう』という切り口でした。今回は私に考えろと言っているのか、それとも私を試験しているのでしょうか」
佐田
「アハハハハ、そうかもしれない。部長が私に課長の仕事をさせているのは、私にも竹山さんにも成長しろといっているのだろう。今まで私が改善策を考えていたのを、これからは竹山さんが考えてほしいということかな」
竹山
「なるほど、おっしゃることはよく分ります。今まで私は先生つまり佐田さんから、問題とその解法まで与えられて単に問題を解くだけでしたからね。これからは自分で問題を見つけることからしなければなりません。
本題に戻りますと、確かに仕事量に配置人員が見あっているのか、仕事の効率というか生産性が適正なのかなんて考えたこともなかったですね」
佐田
「まず業務を棚卸して、その業務を標準化というか定型化して、それに必要な人員を算出するということができないだろうか? 私が思い浮かべるのは、現場作業で仕事を分解して個々の動作の所要時間から製造に要する標準時間を算出するようなイメージなのだが」

注:私は50年前工業高校でサーブリック分析なんてのを習った。今でもそんなことを教えたり利用したりしているのだろうか? 分りません。
 ∩ → ♯ ∪ ⌒ いろいろな記号がありましたね、

竹山
「確かに標準化することによって手間も削減できるでしょう。でも排水処理を例に取れば工場によって処理の中身も設備も違いますから、どうでしょうね。それに通常排水処理装置は工場の実態に合わせて改造や運転方法を改善したり、また生産設備と違い長期間使うものですから、劣化による補修も工場によってさまざまでしょうしね。それで運転の基準も手順も同じゃありません」
佐田
「廃棄物管理なんかは標準化しているよね?」
竹山
「おっしゃる通り、当社では業者の調査や判断基準も契約書などの様式も標準化しています。それに廃棄物処理は情報システムに入力して電子マニフェストあるいは紙マニフェストを発行するようにしています。回収期限も本社で監視していますし、年度報告も自動的に作成するようにしています」
佐田
「その仕組みを作るときには私は関わっていないけど、それによって作業の合理化、早い話人員を減らしたのだろうか?」
竹山
「当時私は福岡工場にいました。確かに廃棄物情報システムを構築したとき仕事の合理化ができましたが、それによって人を減らしたということはなかったですね」
佐田
「なかったって? だって廃棄物管理の仕事が減ったわけだから、人が減るかその人が他の仕事もするようにならないとおかしくない?」
竹山
「理屈からいえばそうでしょうけど、うーん、でもそういったことはなかったですね」
佐田
「まあ、すぐにも人を減らすこともないかもしれないが、その分管理のメッシュを細かくするとかしなくては困るね」
竹山
「おっしゃることはよく分ります。だけど現場の管理となるとある程度どんぶり勘定ってところもありますからねえ〜」
竹山は佐田が今までどんな仕事をしてきたのか知らないのだろうと、佐田は思った。現場の管理がどんぶり勘定でうまくいくはずがない。とはいえ俺はこんな経験をしてきたぞといっても、せんのない話だ。佐田は黙って聞いていた。
佐田
「竹山さんが考えて、もっと削減とか改善できることはないかい?」
竹山
「そういえばISO事務局について気になることがあります。本社もISO14001を認証していますが、ほとんど事務局らしい仕事をしていません。そもそも事務局担当が誰なのかもはっきりしていません。福岡工場から本社に戻ったとき、これでいいのかって驚きましたよ」
佐田
「だってISO審査の時の会議室予約とか食事の手配、スケジュールの確保なんて仕事と言えないよ」
竹山
「そうですかねえ〜。そう言われるとそうなのかもしれません。福岡工場ではISO事務局担当という人がいましたよ。あの人は一体何をしていたのでしょうかねえ〜?」
佐田
「何をしているんだろう。そうだな、手始めにISO事務局を廃止と言ったら語弊があるか、ISO事務局の業務改善をしたらどうだろう」
竹山
「佐田さん、それは猫に鈴をつけるどころか、虎に鈴をつけるようなもんですよ」
佐田
「どうしてそれが危険なの?」
竹山
「ISO事務局を担当している人たちはまっとうな、つまり省エネとか排水処理とかという意味ですよ、そんな客観的に必要性や重要性が分る仕事ではないのですが、自尊心だけは人一倍持ち合わせていましてね、そんな人たちにかISO事務局は重要な仕事ではないとか不要だなんて言ったら、身の危険がありますよ」
佐田
「アハハハ、竹山さんが冗談を言うとは知らなかった。なるほど、そういうことを聞くと一層のことISO事務局を廃止するようにグループ全体に指示したいなあ」
竹山
「話は違いますが、最近は統合審査って流行っていますよね。いろいろな規格の認証、といっても9割がISO9001とISO14001でしょうけど、それを合わせて審査を受けるというものです。ああいったことをすればISO事務局の手間は半分になるかもしれません」
佐田
「私はあの方法にあまり価値がないというか意味がないように考えているんだ」
竹山
「どうしてですか? 費用だけでなく、別々のマネジメントシステムを一つにするという意味では無駄をなくす良い方法だと思いますが」
佐田
「別々のマネジメントシステムを一つにするかあ〜、私は別々のマネジメントシステムというものがあるのか疑問だなあ。統合審査とはそれとは別だしね」
竹山
「そのへんの用語の使い方は認証機関によってもさまざまなようですが、佐田さんのお考えを聞きたいですね」
佐田
「私は企業というか組織には唯一無二のマネジメントシステムがあると考えている。それが分割できるとは思えない。そして環境マネジメントシステムとか品質マネジメントシステムなんてのは、ないと考えている」
竹山
「じゃあ、ISO14001審査で見せているのは、当社の環境マネジメントシステムではないというのですか?」
佐田
「うそをついているという意味ではない。あれは当社の唯一無二のマネジメントシステムの環境に関わる部分を見せていると認識している」
竹山
「なるほど、それは言い方の違いで、意味としては同じことかもしれませんね」
佐田
「同じかどうか、私は唯一無二のマネジメントシステムの環境に関わる部分を取り出しても、システムと呼べるような構造をしていないように考えている。だって設計段階における環境配慮事項とか、廃棄物管理とか、客先への環境情報提供の仕事などをかき集めてもインベントリー(目録)であってもシステムにはならないだろう」
竹山
「おっしゃることは分ります。なるほど、そういうふうに厳密に考えると環境マネジメントシステムというものはなく、マネジメントシステムの環境に関わる部分にすぎないように思えます」
佐田
「だから私は統合マネジメントシステムなんて言われる前に、そもそも企業には唯一無二のマネジメントシステムしかないのだから、統合するなんていう意味がないと考えている。
例えば品質保証のための文書体系と環境の文書体系が別にあるわけじゃない。会社規則のファイルを持って来ればどちらにも間に合うだろう。元々がひとつのシステムなんだから、それを改めて一つにすることはできないよ」
竹山
「なるほど、確かにおっしゃる通りと思います。
となると統合審査は無意味ということですか?」
佐田
「うーん、そこは語義次第というところもあるが、言葉通り受け取れば、統合審査とは統合マネジメントシステムを審査することではない。QMSの審査とEMSの審査をあわせて行うという意味だろう。
だから品質と環境の審査を合わせて行うことによって、重複している要求事項について審査工数の削減ができるなら、それは企業にとって費用削減のメリットともいえる。
しかし・・・」
竹山
「しかし?」
佐田
「環境とか品質というマネジメントシステムがあってその審査を受けていたのではなく、現実にはどの会社でも元々ひとつのマネジメントシステムがあって、品質や環境の部門が規格要求に合わせて審査員に分りやすいように準備して審査を受けていたわけだ。
私も良く知らないけど、統合審査といっても、どうぞ好き勝手に見てくださいというわけにはいかないだろう。それができるためには、審査側が当社の唯一無二のマネジメントシステムを理解していなければならない。やはり規格項番順におぜん立てをして審査してもらうということになるのだろう。そうだとすると、実際には我々の負荷低減にはならないのではないかと思う。ISO対応の社内工数は、審査対応よりも、それ以外の事項が大きいからね。現実的には従来となにも変わず、わずかばかり審査工数が減る程度ではないのかな」

注:マニュアルを見ずに現場をみて規格適合か否かを判断できるところなら統合審査で工数が大きく変わる可能性がある。マニュアルが必要だと語る認証機関は元々が力量がない。私が過去付き合った認証機関すべては項番順で審査をしていた。項番順でないと語っていても、そのアプローチが項番順にしていたのはミエミエであった。
竹山
「そんなものですかね?」
佐田
「いやいや、わたしが頭の中で考えただけだ。ぜひとも竹山さんが実際に認証機関と話をして、審査方法の打ち合わせとか見積もりをしてもらいたい。もちろんその前に社内的には品質保証部の担当と調整をしてから部長に話をつけてもらわなくちゃいけないけど」

竹山はコーヒーカップが空になったのに気がついて給茶機に歩いて行く。佐田も自分のマグカップが空になったのを見て立ち上がった。
給茶機の前でコーヒーが出てくるのを眺めながら、また話の続きをする。
給茶機
竹山
「統合審査といってもいろいろな意味というか形態があると先ほどお話しましたね。最近見たのですが、従来本社とか工場とか事業拠点ごとに認証していたのを、会社全体とかグループ企業までまとめてISO14001の認証をするのがありますね。SONYとか日立などではグループ企業まとめて認証したとか公表していました。ISO9001については聞いたことがありませんが」
佐田
「私もそんな話を聞いたこともある。そういうことに積極的な認証機関もあるようだ」
竹山
「当社でもそういうふうに認証を大きくくくってしまうということは考えられませんか?」
佐田
「うーん、あまり私がいろいろなことを言ってしまうとまずいかもしれないが・・・」
竹山
「佐田さん、気にしませんから思っていることをおっしゃってくれませんか」
佐田
「そいじゃ言わせてもらうけど、当社では全事業拠点がISO14001認証を受けているわけではない。そもそも認証を受けるということは事業で認証が必要だからだ。だから統合するために元々認証が不要な拠点までを含めて認証するのはロスだ。また現時点認証を受けているところだけまとめて認証を受けるということもありえる。しかし認証範囲を変えるためにだって結構労力がかかるだろう。それによる効果と費用削減を考えると、いまいち私の頭の中ではメリットが見つからない。確かに審査工数は減るはずだが、審査日程調整とか移動のための旅費などを考えると・・
アハハハハ、元々私は審査の効果というものを認めていないしね」
竹山
「なるほどなあ〜。ともかく何もせずに腕をこまねいていても改善するわけありません。私も少しは使えるようになったというところをお見せしなくちゃなりませんしね。
そうですねえ〜。このところ出張とか混んでますから、半月くらい時間をください。工場の環境管理業務の実態をまとめて、どんなところに改善の余地があるかまでをまとめたいと思います。
そしてどこを攻めればいいのか打ち合わせたいですね」
佐田
「頼むよ。それで情報システムを作るとか業務手順の標準化をすればいいとなれば、工場の課長とか担当者を集めてプロジェクトをつくってやりたいね。そういうのは竹山さん得意だろう」
竹山
「わかりました。情報システムという言葉が出ましたけど、今まではIT化とかシステム化といっても、それによって人員削減をしてませんね。費用をかけて改善するなら最終的に費用にみあった人員を減らさないとおかしいですね」

佐田が時計を見ると竹山と1時間も話をしていた。二人は自席に戻る。
佐田は次は滞っている省エネの担当者に何が問題か、どういうふうにやるのか、話し合わなくてはならないと考える。
そういえばと頭にまた妄想が浮かぶ。娘が来年大学を出るのだが、本人は東京か総武線沿いのあたりに就職したいという。とするともう田舎には帰る気はないわけだ。息子も今年大学に入ったが、これも田舎に戻って就職する気はないだろう。佐田も定年まであと少々だ。こちらに来て10年以上になる。市川とか稲毛とか総武線沿いの賃貸マンションを2・3度引っ越した。元々田舎に家があるわけでもない。こちらにマンションとか戸建を買った方がいいのかなあ、どうしようかととりとめなく考える。

うそ800 本日のまとめ
環境管理のような業務は標準時間の算出は難しいと思います。しかし業務の効率を常に把握してその改善を図っている会社は少ないでしょう。
多くの会社は仕事の無駄に気付かず、延々と効率の悪い仕事を続けているのではないかと愚考します。そしてそういった会社は新しい法規制ができたり、仕事が増えたとき「現状で頑張れ」とか「やればできる」なんて精神論でごまかしているのではないかと愚考します。



マネジメントシステム物語の目次にもどる


Finale Pink Nipple Cream