水の上にも3年

2015.04.30
お断り
ものすごく長文ですから、おヒマのときお読みください。読まなくてもよろしいですが・・

私は子供の時から還暦を過ぎるまで全然泳げなかった。私が小学校の頃は学校にプールなんてなく、水泳の授業なんてなかった。
なぜかって? 日本が戦争に負けて国が貧乏でプールどころではなかったからだ。なぜ貧乏かといえば輸出するものがなく貿易赤字だったから。なにしろ私が小学校時代は、日本の輸出品は人形とか扇子なんて習ったものだ。
2014年韓国でセォウル号が沈没して大勢の生徒が死んだが、韓国では学校にプールがなく水泳を教えていないそうだ。私が子供の頃はまさしくそんな状況だった。
私の頃はまさか青空教室というのはなかったが、当時の小学校は一クラス60人くらい詰め込んで授業をしていた。私が最初に通った小学校には児童が1800人以上もいたのだ。あまりにもマンモス校だったので、私が5年生の時に新しい小学校ができて分割されたが、それでもひとクラス50数人で一学年4クラスもあった。少子化が叫ばれている現在では考えられない。
スイマー
泳げたらいいなあ

泳げたらいいなあ
高校に入ると体育の時間に水泳があった。学校にプールがあったわけではない。学校から歩いて30分くらいのところにある公営のプールに行くのだ。とはいえ水泳を教えるわけではなく、泳げる奴は好き勝手に泳ぎ、泳げない我々はプールサイドでワイワイ遊んでいた。
高校を出て数年たって泳げないメンバーのひとりと会ったとき、趣味がスキューバダイビングだというので驚いた。聞くと奴は泳げなくてはまずいと一念発起して水泳を習い、それだけでおさまらずボンベを背負って海に潜るようになったという。もちろん奴は東京に就職したから、そういった施設や機会そして仲間にも恵まれていたのだろう。それを聞いて非常に驚いたのを覚えている。
ともかく大人になっても泳げなかった私は、泳げたらいいなと思っていた。なにせ、三途の川で渡し船が転覆したら彼岸にたどりつけないではないか。そんなわけで会社を辞めたとき、その願いをかなえようとスイミングを習い始めた。そして3年経った今、クロールならいくらでも、平泳ぎでも50m程度は泳げるようになった。それを記念して、今までの過程を残しておこうと思う。
私が歳を取って体がきかなくなったとき、これを読み返せば若かりし還暦の頃(?)を思いだし少しは嬉しいかもしれないし、定年後にスイミングを始めようとする人がこれを読めば参考になるかもしれない。
では、はじまり、はじまり・・・
石の上に3年だと!わしは1000年も座禅をしておる
石の上に3年だと !
わしは1000年も座っておる
 本日のタイトル
「石の上にも3年」ということわざに合わせて、「プールの上にも3年」としようか、いや「プ−ルの中でも3年」の方が良いかと考えたが、二音のほうが語呂が良いかと思いまして・・・



外資社員様からお便りを頂きました(2015.05.05)
おばQさま
頭脳だけでなく、心身ともにお元気で何よりです。
水泳のお話を伺うと、今では私の方が泳げないかもしれません。
私は小学校の時には2000mを泳いでいましたが、このところ泳いでいない事もあり、お話に啓発され泳いだ所、体が動かずショックを受けました。
50歳を過ぎると、2000m泳げていた人間は、泳ぎ続けて現状維持、泳がなければ能力は低下してゆきます。 体が覚えているのは筋肉があった頃なので、その泳ぎでは筋肉が足りないので泳げなくなるのです。
ですから、お書きになったように、燃費の良い、体力を使わない泳ぎ方の習得を痛感しました。
遅ればせながら、後に続かせて頂きます。(笑)

それにしても、おばQさまは、やるべき事をコツコツとやる自己管理能力が高いですね。
退職後の人を見ていると、すっかりと変わってしまう人がおります。
こうした人は、恐らくは地位が人が作っていたのかもしれません。
そんな人は退職すると、がらりと変わってしまいます。
一方で自分の中身があり、自己管理能力が高い人は、退職しようが意欲も能力も高い状態を維持します。
山本七平が、フィリピンの捕虜収容所で人間観察をして書いた事も同じです。
将校という地位だけで自身を保持していた人は、敗戦で身分を失い日本に帰る時に非常に不安になっていたようです。
一方で、自分自身に目標があり、自己管理能力が高い人は、日本に帰る時でも全く動じていませんでした。
敗戦で、軍隊の枠が消えたら、そこで見えてきたのは、本来の人間として価値だったのですね。
退職後についても似たようなものかと、私自身も改めて反省しております。

外資社員様、まいどありがとうございます。
水泳に限らずスポーツでも英語でも算数でも、毎日使っていないとだめですね。私はフィットネスクラブの平日会員なので土日は入場できません。ですから二日あけた後では調子が狂うといいますか、下手になってしまったと感じます。
いくらスポーツ万能の外資社員様でも半年も泳いでいなければ維持はできないと思います。
お互いに無理をせずにがんばりましょう。とはいえ、私の場合はレベルが低いですから無理をするくらいでちょうどかもしれません。
山本七平も書いていましたね。私は会社の先輩の多くが軍隊経験者でしたので、そう言った方からいろいろと話を聞かされました。今までさんざん新兵をいじめていた下士官や古参兵が、終戦になったとたんに、若いものに半殺しにされたとか、復讐してやったということでした。ただ上官とか古参兵すべてが対象ではなく、まっとうに人にはそういうことがなかったとも聞きます。
自分のことを言えば現職時代は若い者を鍛えたつもりですが、ハラスメントと言われるほどではなかったと思います(自分が思うだけですが)。
引退すると出世競争もなく同僚に比べてボーナスが多い少ないと心配することもなく気楽です。囲碁クラブに行ってもスイミングでも競争意識は全くないのがいいですね。
ただ、クラブなどに入ると若手に幹事をやれ、会計をやれと言われるのがいささか煩わしいです。世のため人のためとは思いますが、役に付くと自分が楽しむ暇もないのも実情です。まあ、これも渡世の義理なのでしょう。

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