グリーン調達におけるISO14001 その2

15.01.22
だいぶ前のこと、ISO14001認証がグリーン調達においてどれほど利用されているかというか参考にされているかを調べたことがある。
ご存じない方のためにグリーン調達について若干説明すると、
購入の必要性を十分に考慮し、品質や価格だけでなく環境のことを考え、環境負荷ができるだけ小さい製品やサービスを、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入することですグリーン購入ネットワークによる)
とある。
その説明から、グリーン調達の際にISO14001認証が評価されたりあるいは要求されているならば、そしてISO14001は「遵法と汚染の予防が目的」であり、定義では「汚染の予防」とは汚染の予防に止まらず「有害な環境影響を低減するための化学物質や廃棄物の削減や省エネ・省資源なども含む」とあるから、世の中で「ISO14001認証していれば環境負荷に務めている企業であるとみなしている」ことになる。言い換えるとグリーン調達においてISO14001認証を参考にしていなければ「ISO14001は環境負荷とは無関係とみなしている」ということになるだろう。
この三段論法はおかしくないですね?
もちろんご異議があればどうぞ! 発言をみとめる。

さて2011年にグリーン調達基準書を調べた時は、ISO14001認証を要求しているものはほとんどなく、その他の簡易EMSと呼ばれるエコステージやエコアクション21などの認証を要求しているところも少ないという結果であった。
あれからまる3年が過ぎた。文書なら見直しが必要な時間が過ぎたことだろう。ということでヒマな私は、改めて2014年末時点のグリーン調達基準書ではISO認証についてどのように扱っているかを調べた。
方法はgoogleで「グリーン+基準」で検索して、グリーン認定基準、グリーン調達基準、あるいは類似のものを探した。上位から見て言って該当するものが途切れるまで調べた。簡単な仕事ではあるが膨大な仕事でもある。
その結果、得られたデータは下記の通り

グリーン調達基準書でのEMSについての要求状況
制定・改定年ISO14001認証を要求EMS第三者認証を要求EMS構築を要求認証状況の調査のみ要求なしサンプル
2004年013105
2005年111003
2006年023016
2007年213006
2008年0072110
2009年014005
2010年39153737
2011年2241716
2012年023207
2013年014409
2014年04114928
2015年021561942
2016年0132051755

注1:
「年」は購入仕様書に記載されていた版の制定・改定年である。また年度でなく暦年である。
注2:
2011年までは2011年調査時のデータである。
注3:
2017.01.15 2015年と2016年を追加した。

ISO14001認証を要求しているのは非常に少ない。かつその要求があったのは2011年が最終のようで、2014年12月時点でISO認証を要求しているものはなかった。そしてISO認証あるいは簡易EMS認証を要求しているグリーン調達基準書は、年と共に減少している。
上の表だけではわかりにくいので、分りやすいようにと折れ線グラフとか円グラフとかいろいろ試してみたが、どうもビジブルな図にできない。とりあえず棒グラフで示しておく。

グリーン調達におけるEMS要求の変化

上記棒グラフでは分りにくいので、認証とEMSを要求している合計をみると・・・

グリーン調達におけるEMS要求の変化

こうしてみても折れ線の上下が激しく傾向をどうこう言えない。ところでISO認証、簡易EMS認証、EMS構築の要求レベルはそうとう異なるわけで、単純に合計しても実態に合わないかなという気もする。そう考えて、EMS要求レベルごとに重み付けをしてグラフにしてみた。
重み付けといってもあまり深く考えていない。エイヤで次のようにしてみた。

重み付け点数
5点ISO認証要求
4点ISOまたは簡易EMS認証を要求
3点EMS構築要求
1点EMSの状況調査のみ
0点EMSについて要求なし

そうすると次の図のようになった。
どうでしょう?(長嶋茂雄の口調)

年平均点推移

こうするとグラフの動きも激しくなく、年々減少してきたことが一目でわかる。世の中の調達部門は、もちろん環境管理部門のご意見もあるだろうが、彼らはISO認証にも簡易EMS認証にも、いやEMS全般に関心がなくなってきているようだ。
その代り調達基準書の記載内容で、厳しく細かくなってきているのは含有化学物質や工程での化学物質の使用状況である。 要するにEMSとかISO認証なんていうものは、なにかありがたみがありそうだけど漠然として実際はどうなのか分らない。必要なのは今、手にしている部品に変なものが混入していないか、製造工程において怪しいものを使っていないか、ということが最重要課題であるということだろう。怪しい物が混入した場合の危険性は身を持って認識しているのだろう。
ご異議に備えて
もちろん重みは私が適当に付けたものである。それが不適だと言われても反論するつもりはありません。
また「調査のみ」を加算しているのもおかしいかもしれませんね、
おヒマなら元データは信頼していただいて、いろいろご検討してください。同じデータでも全く異なる結論に至るかもしれません。そのときはぜひご教示いただければ幸いです。

ところで上記グラフから山谷が3年ないし4年間隔であるのがうかがえるが、それに何か原因があるのだろうか? どなたか原因の予想がついた方はぜひともご教示願いたい。
私としては、調達基準書というものは内容を見直すのが毎年でなく2・3年おきのために、EMSが大事だと考えている会社が見直した年は点数が上がり、そうでない年は点数が下がるのではないかと思うがどうだろうか? そして山谷の間隔が伸びてきたのは、だんだんと調達基準書の内容が煮詰まってきて改定のインターバルが長くなってきたせいのように思える。
実は私も現役時代、グリーン調達基準書なんてものに関わっていましたので・・・

結論である。
世の企業のグリーン調達において、ISO14001及び数多あまたの簡易EMS認証制度はあまり重要視されていない。そして年と共にEMS認証制度の重要性は低下しているように思える。それは過去10年間の傾向だから、外挿して将来を予測しても大きな間違いはないだろう。近似線からの予想だが、10年後にはグリーン調達基準書からISO14001認証について、いやEMSに関しての設問が消えているように見える。
いやいや、それは悲観することではない。そのときはISO認証や簡易EMS認証が特別のことではなく、当たり前のことになっていると思えば良いのだから。
いや、あるいは第三者認証制度がなくなっているということも・・・

うそ800 本日のお断り
文字数が少ないなんて言わないでください。
このグラフのデータを集めるのに・・・・8時間くらいかかりましたね トホホ

うそ800 本日の楽屋裏
15年間もの長きの間、メモ帳でシコシコとhtmlを書いていた私であるが、少しは作業改善をしようとフリーのhtmlエディタを探した。そしてHeTeMuLu Creatorといいうのを使ってみた第一号がこのコンテンツである。
使い勝手ですが・・・・まだ使い方もよく分らず・・・まあひと月も使えばラクチンになるような予感はあります。
ええっ、今どきみなさんはブログとかツィタ―でhtmlで書くことはありませんか・・・



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