環境側面はいまだ誤訳なり

15.12.03

畏れ多くもかしこくも、誇り高い日本規格協会がJIS規格文案を作り、偉大なるISO委員たちが鳩首を集めて検討し決裁されたJIS Q14001:2015を「誤訳」などというと、反論どころか厳しいお裁きを受けるかもしれないが、少なくても「 解されるような 文」であることは間違いない。
ではこれからそれを説明する。

対象となるのは6.1.2の第一センテンス
「組織は、環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、ライフサイクルの視点を考慮し、組織の活動、製品及びサービスについて、組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面、並びにそれらを伴う環境影響を決定しなければならない」
である。

坂本竜馬
今年家内と一緒に四国
に行ってまいりました
桂浜で竜馬に会いました
昔、小説か何かで読んだが、坂本竜馬が英語の講義を教室の外で聞いていた。もちろん竜馬は英語がわからない。先生がいろいろと講釈を語っていると、竜馬が「先生、そこ間違ってはいませんか」と異議を唱えたそうだ。先生は面白くない顔をしたが原文を読み直すと確かに訳を間違えていた。先生は竜馬に詫びて、どうしてわかったのかと質した。竜馬答えるに「お話しされた日本文の意味が通じていないからおかしいと思いました」とのこと。
それが実話か否かはわからないが、そういうことは普通にあるだろう。
私は坂本竜馬ではないが、日本語は一応わかるつもりだ。そして上記JIS訳を読んでおかしいと思うが、みなさんはいかがか?

問題個所は「環境側面、並びにそれらを伴う環境影響を決定しなければならない」「決定しなければならない」である。
普通、決定するとはどういうとき使うだろうか?

サポーズ、今あなたは「昼飯をパスタか、ハンバーグか、あるいはカレーか、はたまたラーメンにしようか?」と迷っている。

パスタ

ハンバーグ
ラーメン 迷っちゃうな カレー
そのときあなたは、昨日カレーを食べたから今日は別のものにしようとか、午後からは会議だからあまり重いものは避けようかとか考えて、パスタとコーヒーに決めるかもしれない。
このときあなたは自由意思で決定することができる。昨日カレーを食べたとしても今日もカレーであっても誰からも苦情があるわけではなく、法規制を受けることもない。
あなたはなんら制約を受けずに自由意思で決定することができる。

では環境側面は自由意思で決定できるのだろうか? 環境影響を自由意思で決定できるのだろうか?
できるわけがない。
サポーズ、あなたは排水処理施設を設置しようとしている。当然ながらそうすると公害防止管理者が必要になるのだが、どんな資格者がいるだろうか?

排水処理
環境側面を決定するっていうけれど、
決定するものではなく、初めから決
定されているんじゃないのかな?

困ったわ
処理しようとしている排水は有害物質を含んで一日当たりの処理水量は5,000m3とすると、実施しなければならないことで己が決めなければならないというものがない。決めるとか考えることなど無関係というか、法律で届け出の要否とか公害防止管理者の必要な種別などが決まってしまい、我々に裁量の余地などない。
「決める」のではなく「決まってしまう」あるいは「決まっている」ということに注意してほしい。
環境側面や環境影響は、何にしようとか考えて決めるようなものではなく、"あるもの"が、持つ性質、与える影響、受ける法規制によって必然的に決まってしまうのだ。
いや言い換えるとその"あるもの"が持つ性質、与える影響、受ける法規制によって対策しなければならないものが著しい環境側面なのである。真面目に考えなさい
はっきりいって「環境側面を決定する」なんて言うのは僭越であり、行政とか神様から見たら不遜そのもの、身の程知らず、控えおろうとお叱りを受ける。せいぜいが「認識している環境側面が適正かを再確認する」程度であろう。

そもそも「決定しなければならない」に対応する原語は「determine」である。これについては以前も「脅威及び機会」でも述べたが、日常使われる日本語の「決定する」とはだいぶ趣が異なる。

「determine」という語の意味を英英辞典ではどのように説明しているのか?
ロングマン英英辞典を利用した。
to find out the facts about something [= establish]:
ex. Investigators are still trying to determine the cause of the fire.

「調査員はまだ火災原因を特定しようとしている」。
ex. The aim of the inquiry was to determine what had caused the accident.
「調査目的は事故原因を究明するためです。」
if something determines something else, it directly influences or decides it:
ex. The amount of available water determines the number of houses that can be built.

「利用可能な水の量がそこに建てることできる家の数を決定する。」

いずれの文例でも「調査した結果なにかが分る」あるいは「制約条件によってなにかが決まる」という意味で用いている。その判定には人間の意図、恣意、思惑が介在することはない。この「determine」の意味を表すには「決定する」は不適ではないだろうかと思う。

ところで決定するといっても、私の知っている英単語では「determine」と「decide」がある。
このふたつは意味が違うのか、どんなふうに違うのか?
違いを示す例文を見つけた。
Decide is to choose or make a decision. Determine means to figure something out.
「decisionは何かを決定すること、determineは問題を解決すること」。

つまり「decide」は目的や状況を考慮して「決心して決めること」であり、他方「determine」は「なんらかの課題を解決すること」なのです。その結論は個人的見解ではなく客観的証拠にもとづいて必然的に導き出されるという意味でしょう。
環境側面をどうこう論じる前に、日本語訳の文章は本来の意味を伝えていないのだからダメです。
なお、吉田敬史さんが書かれた「ISO14001:2015要求事項の解説」p.225では「ほとんどの組織では既に実施済み」とあるが、とんでもない。「今まで間違えていたケースが多いから、改めて再確認が必要だ」とすべきだろう。

ではこれをどんな日本文にすればよかったのだろうか?
一案をあげると、
「組織においては、環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、ライフサイクルの観点も含めて、組織の活動、製品及びサービスについて、組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面、並びにそれらを伴う環境影響が決定される」
いささか主語があいまいだが、環境側面を決定する主体は、組織というよりも組織を取り巻く環境条件であるわけで、主語のない受け身でも良いのではないかと考える。
あるいは組織を主語にしたいならば、直訳とは言えないが、
「組織は、環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、ライフサイクルの観点も含めて、組織の活動、製品及びサービス持つ、環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面、並びにそれらを伴う環境影響を認識しているかを調査し明確にしなければならない」
としたらどうだろうか?
本当のことを言えば、過去よりこの文章に書いた流れが正しく、そして現実もそうしていたのだ。
点数法で環境側面を決めようとしたとき、算式や係数をひねって自分たちが想定したものになるように調整したでしょう。つまりそれがこの文章そのものだってことです。
いや、あるべき姿を言えば、そんなことをせずに「自分たちが想定したもの」をそのまんま環境側面にすればよかったのですがね。

また細かいことであるが、「ライフサイクルの視点を考慮」ではなく、私は「ライフサイクルの観点も含めて」ではないかと思うけどいかがだろうか?
 【観点】 観察・考察する立場。見地。見かた。
 【視点】 @物を見るために向けた視線がそそがれる点。 A観点
最悪「視点」のままでも妥協するが、「視点を」には妥協したくない。ぜひとも「視点も」にしたいところだ。というのは視点も観点と同じような意味ではあるが、第一義に物を見るときという具体的即物的な意味合いが初めにあることからそう考える。

環境側面は決定するものではなく、決定されるものである、あるいは自動的に決まるものであるという認識を持てば、何点以上だとか上位何件までというような間違えた考えがはびこる余地はなかったのではないだろうか。
まあ、今回も誤訳あるいは誤解を招くような訳文であるから問題解決は先送りだ。次回改定があればその時はぜひとも直してほしい。もっとももう二度と改定はないかもしれないな。

うそ800 本日の思い
考えるとまだまだ叫ばなければならないことがあるものだ、
まだ引退はできないぞ。

うそ800 本日は特別
本日の文章は過去前例のないことがある。
なんと査読付きである。査読者はわが師、ぶらっくたいがぁ様である。
いや、実際には査読とは大げさで事前確認程度ではありますが、師より下記のコメントをいただきました。
たいがぁです。拝見しました。
仰せの通り、どう考えたって環境側面は「決める」ものではなく「決まる」ものです。
6.1.2(環境側面)の「決定する」はないでしょう。利用の手引きによれば「その意味は,旧規格から変更していない」って書いてあるんで、じゃあ、そのままにしておけばよかったじゃん。
何で変えたの? アホですか?
天動説審査員は、「今までは"特定"でよかったのですが、今後は"決定"しなければなりません。よって、今までのやり方ではダメ(不適合)です。キリッ」なーんて言うんでしょうね。
アホですか?

まあ、環境側面の定義は「環境と相互に作用する,又は相互に作用する可能性のある,組織の活動又は製品又はサービスの要素」で、ほとんど変更がなくてよかったです。
変更どころか、「環境目的」のように、消滅してしまった定義まであることを思えば僥倖といえます。「環境目的は3年先の目標で・・」なんてほざいていた天動説審査員は、組織からのツッコミにどう対処するんでしょうねー。
アホですか?

ところで、環境側面の定義の注記2には、「組織は,一つ又は複数の基準を適用して著しい環境側面を決定する」とあります。利用の手引きにも、「著しい環境側面を決定する方法は,一つだけではない。(中略)基準は,環境側面(例えば,種類,規模,頻度)に関連することもあれば,環境影響(例えば,規模,深刻度,継続時間,暴露)に関連することもある。組織は,その他の基準を用いてもよい」とあります。
つまり、あらゆる環境側面に対して一意の計算式でもって「著しさ」を算出し、一定の点数以上のものが「著しい環境側面」であるという天動説思想が、完璧に誤りであったことが明らかになりました。
さあ、こうした誤った思想を組織に強要してきた天動説審査員たちは、どう落とし前をつけるんでしょうか。もしかしてシカトでしょうか。
アホですか?

突っ込みどころ満載の改正規格ですが、アホ審査員を一掃できる「機会」という意味においては効果アリといえると思います。

とのことです。
ご賛同を得られて私は嬉しい。
しかし、たいがぁ師匠のおっしゃるように、審査員は「特定ではだめで、決定でなければ」とのたまわくだろうとまでは予想しませんでした。おばQ、未熟なり!
そう言われたらどう答えようかと思うと、いろいろと頭に浮かんできます。二度と立ち上がれないように打ちのめすのが良いのか、皮肉を言ってお帰り願うのが良いのか、
おばQなるぞ
もう一度現役に戻り、
審査員とチャンチャン
バラバラしたいものだ
もう少しましな審査員を派遣しろと認証機関に電話するのが良いのか、そんなことを考えるとワクワクして眠れません。
おお、「環境目的は3年先の目標」と語っていた審査員、3年より短いと不適合といっていた認証機関はどう言い逃れるのでしょうか、興味があります。「あれは3年前〜♪」なんてちあきなおみのふりをしてごまかすのか、「三年目の浮気ぐらい大目に見ろよ〜♪」と逃げるのか、「規格が変わって身についた三年目〜♪」なんて・・いや元から3年なんてないのだが・・それを考えると私が代わって答弁してやろうとか、
これはぜひとももう一度、現役に還って審査側でも会社側でもよいですから審査に参加したいですね、
しかし返す返すも、たいがぁ師匠やわたしほど会社のためを考えて真面目にISOの語るところを実現しようとした人は少ないんじゃないですかねえ〜、
そういう審査員が多数はいなかったことは間違いなく、だから今の惨状があるのでしょうけど・・


レイシオ様からお便りを頂きました(2015.12.09)
おばQ様 いつもお世話になっております。
ブラックタイガー師匠も同一見解な為、反論するのが気がひけるのですが、私の理解と少し異なっていますので、少しだけお付き合い頂ければ幸いです。

というのは、「著しい環境側面」については、「決まっている」、「決まってしまう」ということについてまったくの異論はありませんし、6.1.2のb)について「違うんじゃないの?」というのはわかります。
しかしながら環境側面や環境影響については、ほとんど自由意思なんじゃないでしょうか?
例えば、新たな事業を行おうとしたときに、その事業目的を達成するために行う手段=環境側面(設備、業務、製品、サービス等)は、いろいろな観点から組織も含め経営者の意思によって決定されます。
また、環境影響の決定については、一つの環境側面が一つの環境影響というものは一切無い為、良い面も悪い面も含めて、組織が目論む環境影響と考えるとこれもまた、決定するもの、になるのかと思います。
もちろん、おばQ様が常日頃から、「環境側面」を「著しい環境側面」とおっしゃっていること、またそれを踏まえた上で「著しい環境側面は、決定すること」ではないということだろう、とは思っており、揚げ足取りのようなコメントとなってしまい、申し訳ありません
しかしやはり、「著しい」に対するものならともかく、環境側面に関連する「環境影響を決定する」が良く理解できておりません。
先ほど言ったとおり、仮に「目論んでいる」という言葉を付けたとしても環境側面に伴う環境影響を文書化できていないように思います。
ここは、一体何のことなのか・・・

レイシオ様 まいどありがとうございます。
環境側面とは何かといえば定義にありますように「環境と相互に作用する、又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」です。そこには意思とか恣意が入る余地がありません。
レイシオ様は「事業目的を達成するために行う手段=環境側面(設備、業務、製品、サービス等)」と述べておられますが、そこがよくわかりません。というか対象とするレベルが見えません。
どんな製品を作るのかを経営者(あるいは企業)が決定するのだから、環境側面は経営者(あるいは企業)が決めることができるのだとおっしゃるならその通りでしょう。
しかしそのときでも経営者ができるのは環境側面の種類や多寡をみて選択することだけで、それぞれの製品や方法が持つ環境側面を変えることはできません。
また「一つの環境側面が一つの環境影響というものは一切無い為、良い面も悪い面も含めて、組織が目論む環境影響と考える」という意味がわかりません。
電気は誰が見てもどの会社でも環境側面ということを認めていただくとして(あるいはご同意いただけなくても仮にそうだとしてください)、そのとき電気使用による環境影響は誰が見ても同じになるはずです。会社によって電気の環境影響が異なるなんてことはないでしょう。
おっと、グリーン電力とか電力会社による発電割合の違いなどを持ち出されると発散しますが、まあそれはおいといてください。

レイシオ様が電気を使う製品と使わない製品のどちらを製造するかは経営者の判断だということならば、その通りですが、それならば環境側面や影響が分かった上でのことで計画の段階のことのようにも思えます。
レイシオ様は事業を始めたり設備を考えるときに、それが持つであろう環境側面や環境影響を決めるのは経営者(企業)であるという主張だと思います。私は設備や製品が所与のものであれば、それが持つ環境側面や環境影響は必然として決まっているものであり、経営者(企業)が決めたりすることはできないと言っているにすぎません。
お互い見ているものが違うというならそうですというだけです。


この考えはこの後のレイシオ様とのやり取りでいささか変わりました。次のお便りと私のコメントをご覧ください。

レイシオ様からお便りを頂きました(2015.12.14)
環境側面について(届いてませんでした?)

大きな勘違いをしておりました・・・
環境側面は、おっしゃるとおり「環境と相互に作用する、又は相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素」でした。
内部で環境側面のことを「業務、製品、サービス」で止めていたため、勘違いしてしまいました。
つまり、「組織の活動、製品、サービス」を決定した時点で、「環境側面は決まってしまう」ということですね。
ご主張のとおりであり、異論はございません。

また「一つの環境側面が一つの環境影響というものは一切無い為、良い面も悪い面も含めて、組織が目論む環境影響と考える」という意味がわかりません。
そのとき電気使用による環境影響は誰が見ても同じになるはずです。会社によって電気の環境影響が異なるなんてことはないでしょう。


おっしゃるとおり、「電気の使用」の及ぼす環境影響は変わらないのでしょう。
しかし、実際は懇意的に「地球温暖化の促進」等と捉えているように思いました。
「電気の使用」に対する環境影響って、明文化できるほど解明されているのでしょうか?また、環境側面と環境影響は1対1では無いような気がしています。こんなもの文書化できるのか、という点です。
すごく混乱している状態で、ちゃんと伝わっているのか不安ですが、何か見解がございましたら、ご指導願います。

レイシオ様 毎度ありがとうございます。
まず、既に一度コメントを書き込まれたようですが、こちらに通知はありません。プロバイダ(というかサーバー)の異常というか故障かもしれません。よくあることです。
第二にいささか言い訳させていただきますが、頂いたお便りにコメントしたのち、後で若干まずいと考え直したのですがウェブは修正しませんでした。単に怠け者というだけでなく、投稿された方が反論なりなんなりされる前に私の見解を覆すのはいささかズルいと思うからです。
実を言いまして、レイシオ様から頂いたものを何度も読み返したのですが、従来私が考えていたことよりも範疇が広いというか、はるかに視野が広いと思いました。
私は過去より規格が求めているのは、既に行っている製品やサービスあるいは事業を営む設備などの環境影響であり、それを発生させる環境側面であると思い込んでいました。
レイシオ様の見解はそうではなく、これから始める事業の製品やサービスそのための設備を決定する際に、環境影響を調べて事業そのものを決定すべきだという発想と受け取りました。前回の私のコメントの最後もそんなことを書いたのですが、後で読み直す規格要求は私の考える範囲ではなくレイシオ様の考えるところであろうかと考え直し冷や汗が出ました。言い訳ですが過去に受けた審査員研修やその他の講習会でもそのような読み方を聞いたことはありませんでした。
2015年版でも6.1.2のaで「計画した又は新規の開発、並びに新規の又は変更された活動、製品及びサービスを含む」とありますが、この「新規の」を新分野と理解するのではなく、新たに起業するときも含むと読まなければならないと気が付きました。そう読めば、環境側面は決まっているのではなく、経営者だけでなく一般従業員も環境側面を決めることができるというか、環境影響が少ないようにあるいは有益な環境影響が大きくなるような環境側面を考えることができ実際にそうしなければならないという風に解釈すべきと思いました。


たこ親父様からお便りを頂きました(2015.12.16)
環境側面のやり取り
いつも興味深く拝読させてもらっています。
このたびの環境側面のやり取り、読ませていただきましたが、正直なところ理解できない面が多いです(「決定する」の捉え方については理解できました。)。
原因は小生の理解能力不足に間違いありませんが、一方「環境側面とはそんなに深く難しく考えなければ把握できないものなのか? 環境側面1つにこんなに深い吟味が必要ならば、ISO14001を運用するなんていうことは普通の組織では到底無理で、形だけの運用になるのも已むを得ないのかな?」なんて思った次第です。
ちなみに小生は環境側面を貴記事からも刺激を受け、「自分の業務にかかわるもので、環境に影響するものが環境側面、その中で特に管理していかなければならないものが著しい環境側面。」と捉えています。
このように1つの言葉にかなりの吟味が必要な制度(システム)は、一般社会では通用するはず無く、また目的と手段が入れ替わりがちで、その傾向が現状に顕れているのかなという気もします。
非力、非礼を省みず、日ごろの御礼も兼ねて感想を記しました

たこ親父様、毎度ありがとうございます。
いやいや、私のような者が考えていることですから、普通の方なら当たり前とかわかりきったことでしょう。
いろいろやり取りはありますが、主たる論点は次のようなことかと思います。
  1. 決定するの意味
    「決定する」とは自由意思で決めることなのか、あるいはとりまく環境や他者の思惑などを考慮すると決まってしまうことをいうのか。
    私は「決定する」とは前者の自分の意思で自由に決めるという意味と考えています。現実には環境側面は「諸般の事情で決まってしまう」のだから、JIS規格の「決定する」という単語は現実にも合わず、論理的にもおかしいと考えた。そしてまた英語原文のニュアンスからいってもそうではないだろうということです。
  2. 決定する対象
    現実に事業をしていて、実在する機械や化学物質を考えたとき、その環境側面や環境影響を変えることは誰にもできないと思います。
    しかし新しいビジネスを始めようとしたとき、どんなビジネスをするのか、どんな方法で進めるか、どんな設備を導入するかということは決定できるわけです。そのときは自分の自由意思で環境側面を決定できるといってよいというのがレイシオ様の見解です。
    正直言いまして、この発想は私はありませんでした。改定前、改定後の規格の文章を読んでも事業をしている場合、新規事業を始めた場合という記述ですが、新規事業を始めるにあたってというニュアンスはないようです。
単なる言葉の遊びと言われるかもしれませんが、実際の審査の場で「環境側面をどのように決定したのか?」と言われたとき、「わざわざ決定するまでもなく必然ですよ」と応えるか、「このような理屈を考えてこうしました」と応えるのかには大きな違いがあると思います。
まあ実際のお仕事にはあまり関係ないですね。単なる審査員とのやり取りだけのことです。とはいえ、会社の仕組みを悪くしたり、余計な仕事を増やさないためにはこの程度の理論武装は必要でしょう。

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