審査員物語 番外編6 認識(その2)

16.03.28

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。但しここで書いていることは、私自身が過去に実際に見聞した現実の出来事を基にしております。

審査員物語とは
三木である
出張先のホテルでノートパソコンを開いてメールチェックをする。最近は妻の陽子も電話でなくパソコンメールでいろいろやりとりをするようになった。電話では時間的な制約があり、携帯のメールでは入力が面倒だ。それで陽子も最近はパソコンがメインになった。
それからもちろん会社からの業務連絡、審査する予定の企業からの事前相談のメールなどを片づけて最後の方に来て、福田 愛という名のメールが入っていた。三木は一瞬誰だろうと不審に思ったが、メールを読み始めて10日ほど前に娘の友達と紹介された福田 愛を思い出した。ハテ、何の用だろう?


三木は愛と議論する気はサラサラなかった。連日出張で疲れ果てているのに、素人相手に説得する気分にはならない。とはいえ、放っとくのも落ち着かない。業務連絡を片付けてから愛に返事を書く。


三木は愛からのメールのヘッドのCCにあった福田教授という人物を知らないが、彼女がCCにしているから、おそらくその教授からなにか吹き込まれたのだろう。それなら自分の返事もその先生に送っておいた方が良いだろうと考えてそのまま全員に返信した。

その企業の審査は3日工程だったので、その夜も同じホテルに泊まった。またパソコンを開いて50件近いメールを片づける。
最後に見おぼえのないアドレスからのメールがあったので恐る恐る開く。


福田愛の指導教員は女性だったのか。福田が先生の語ることと三木が愛に語ったことが違っていて機嫌を悪くしたのだろう。三木はヤレヤレと思う。
たまたま京都でブラブラしていたおかげで娘に見つかり、その流れで福田 愛と話をして、更にその指導教員からイチャモンをつけられてはたまらない。三木は自分がおかしいとか間違っているとは思っていないが、メールひとつ打つのも時間の無駄という気がして嫌気がさした。
とはいえ以前、三木が審査員の先輩格になる六角に教えを乞うたのも同じことなんだろうと思うと無下にもできない。明日は最終日であるが、今回は自分がリーダーじゃないし自分の担当はほぼ問題なく報告もまとまっている。返事するくらいはいいかと思い直した。


三木は会ったこともない大学の先生に出すには失礼な文章かなという気もしたが、言ってみれば売られた喧嘩だから、これで良いという気もした。一応は調べたが、その大学のISO認証にはナガスネは無関係だし、
三木の家内の陽子です
愛してるわ、ダーリン
特段研究とかリサーチなどにおいてその大学と三木の勤め先の関係はないことは確認した。
三木はこれで愛の一件は落着と考えてスッパリと忘れた。明日は審査の最終日だ。陽子に会えるのは4日ぶりだなと思う。三木は結構愛妻家なのである。

翌日、久しぶりに三木が帰宅して遅い夕飯を陽子と食べた後、パソコンでメールをチェックする。年に数回あるのだが、同僚が病気とか不幸ができたために、その代わりに急きょどこそこに行ってくれということもある。自分自身一人前になったと思った頃からそんな要請を受けるようになった。大体は電話連絡があるが、メールを入れた後に電話で確認ということもあり、休日とはいえ日に数回のチェックは怠ってはいけない。
吉本教授からのメールが入っていたので三木は口をへの字に曲げた。嫌がってもしょうがない、さっとメールを開いた。


三木はもう縁のない話だからとほっといて良かったのだが、いささか癪に障った。元々向こうから突っ込みを入れてきた話だ。それで返信をした。






起承転結がないとか、まとまりがないとおっしゃいますか?
まあ、その通りですね。でも物語と違い現実はだらだらと起伏なく流れて行って、あるときドカンと何事か起きるってのが普通ですよね。サラリーマンが毎日、半沢直樹やサラリーマン金太郎のような生活をしていたら体が持ちませんし精神的におかしくなりますよ。

うそ800 本日のことわざ
神は細部に宿るという。
では悪魔の辞典では、悪魔は細部でぼろを出すとなるのだろうか?
ISOについてたいそう立派なことを語っていても、「EMSを導入する」なんて意味不明なことを言っては、支離滅裂、一瞬にして不信感を持たれます。もっともそれに気が付かない人が多すぎなので嘘っぱちを語っても生きていけるのだろう。


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