*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。但しここで書いていることは、私自身が過去に実際に見聞した現実の出来事を基にしております。また引用文献や書籍名はすべて実在のものです。
審査員物語とは![]() |
「おや、山内さん、どうしました?」
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「お前も聞いているだろう。俺の後任が決まってさ、今晩そいつと飲むんだよ、お前も一緒に行くんだ」
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「ああ、その話でしたら出張先で環境管理部の本田さんからメールをいただいております。山内さんも長い間お疲れさまでした。ホット一息ですね」
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「そうだな、もう7年くらいここにいる。他の会社からきている取締役は短いと2年、長くても4年で代わるから、俺は最長不倒取締役なんて陰口されているよ。ここじゃ長くいるとアホに見える。能のある奴は長居せずにもっと大きなところに移っていくからな」
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「このところずっと出張でしたので、机の上にたまったものを片付けてます。定時前に山内さんのところに出頭しましょう」
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「午後2時くらいに会社を出られないか? 飲む前に引継ぎってわけではないが、仕事の概要を伝えておきたいんだ。いろいろ質問もあるだろうから、お前もいてほしいのよ」
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「承知しました」
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3時に古巣の会社の受付に山内と三木がいた。いつもなら受付にOBだと言って入場するのだが、今日は山内が現在の勤め先の官姓名で環境管理部への訪問申請を書く。一応会社対会社の正式な訪問であるということなのだろう。● ● 受付が電話するとロビーで待っていてほしいというのでゲートを通ってロビーで待つ。三木がここにいたのは何年前になるのだろう。7年くらい経つのだろうか。元々三木は支社の営業で本社には出向前の1年間いただけなので、三木の知り合いと言えるような人はまずいない。ロビーに立っていても見知った顔は見かけなかった。 ![]() |
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「お待たせしました。山内さんですね」 |
![]() 肥田です |
三木と山内が振り向くとどじょう髭というのだろうか、夏目漱石のように鼻の下に髭を生やした50代と思しき男が立っていた。
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「はい山内です」
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「肥田です、お待ちしておりました。よろしくお願いします」
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6・7人くらい入れる小さな会議室に入って三人は名刺交換する。 ウエイトレスが来て、コーヒーカップとポットを置いていく。 ![]() | |
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「三木さんですか、ご高名は伺っております。本田から困ったことがあれば三木さんに相談しろと聞いてます」
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「ご冗談を、そんなたいそうな物じゃありません。それに私はほとんど会社におりません」
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「ええとさ、細かいことはおいおいと、今日は肥田さんに俺がしている仕事の概要を説明して、赴任する前に心づもりしておいてほしいということなんだが」
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「お話を承ります」
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「承るほどのことはないんだがね、ざっくばらんな話そんな重大・真剣な職務ではない。 ナガスネは社員、プロパーだけでなく出向者・転籍者含めて130名くらいいる。 出資会社は10社、みな1割株主だから1割出向者を出せるわけだが、会社によっては出向者を多く出したいところと、それほどこだわっていないところがある。ウチも1割はいなくて、ええと8名くらいじゃないかな。特に最近は認証事業の先行きが暗いので出向希望者が減ってきたこともある」 |
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「認証ビジネスが衰退期にあると聞いています」
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「衰退しているのかどうかはまだ定かではないが、ここ数年減少傾向にはある。とはいえ今日・明日に認証制度が終焉するわけじゃない。あと20年やそこらは続くだろう。肥田さんが取締役でいるうちは大丈夫だよ」
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「取締役と言いますと、具体的にはどんなお仕事を・・・」
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「アハハハ、そんな真剣にならないでよ。ウチの組織は管理部門、営業、審査、それとウチでは技術部と呼んでいるんだけど認定機関と対応する四つの部がある。だから取締役部長というのは4人、もうひとりの取締役は社長でこの5名は常勤、他の5人は非常勤だ。おれは営業部長ということになっている」
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「では私は営業部長を継ぐことになるのですか?」
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「いやそんなことはない。だいたい2年程度で部長はローテーションする。おれは全部の部長を経験した」
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「営業部長と言いますと、売り上げの目標があってそれを達成するのが任務ということになりますか」
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「うーん、一般的なイメージとかなり違うね。まず取締役となると担当の部門だけ見ればいいということではなく、会社全体を見なければならない。小さな会社だから特にそうだ。 それから営業のルーチン業務は営業部員がしてくれるから、なにもしなくても回っていく。その代り今肥田さんが言ったように、認証ビジネスのマーケットそのものがシュリンクしている状況だから、取締役としてはお客さんをとることになによりも大きな責任がある。それは営業部長だからではなく、社長もほかの取締役もお客さんを取るのが仕事だ」 |
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「山内さん自ら客を取ってくるということですか」
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「もちろんそうだ。ここみたいな大企業なら環境管理部長は環境だけで営業は知らないと言えるだろうけど、取締役が仕事取ってこなければ示しがつかないよ。特に今は逃げる客はいても向こうから来る客はいないからね」
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![]() 肥田は面白くないというか困ったような顔をしている。営業など無理と顔に書いてある。 ![]() | |
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「肥田さんは営業の経験はありませんか?」
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「おっしゃる通りで、私にできますでしょうか?」
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「やるしかない。といっても単にうちに審査を依頼してくださいといって注文がとれるわけじゃない。正直、どこでもISO認証が具体的になっているところは、既にコンサルとか親会社あるいは取引先から認証機関を推薦とか指定されているのが普通だ。 だからその前の段階で名前を売っておかないとね」 |
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「具体的にはどのような・・」
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「業界団体でも過去の取引先でも大学の同期にも、とにかく自分が面識あるところを訪問して名刺を配ることが手始めかな。ウチの関連会社は環境管理部の本田君がナガスネに誘導してくれるけど顔を出しておいた方がいい。そこなら肥田さんの知り合いもいるだろうから客引きの練習にもなるだろう。なあに、今度出向しましたので挨拶に来ましたでもいいよ、とにかくナガスネの名前を知ってもらう、ISOと聞けば肥田さんの顔を思いだすようにしておかないとね」 |
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![]() 「なるほど」 ![]() 肥田はメモを取る。 |
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「それから住んでいる自治体や町内会でもスポーツクラブでも、積極的に参加して、講演をするとか相談事でもなんでも世話を焼くことかな。セールスマンの最大の商品は自分だからね」
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「お話をお聞きすると難しそうですね」
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「難しいかどうか・・・まあ取締役となれば従業員じゃないんだから、自分の会社を伸ばそうっていう意思がなければね。毎週名刺ひと箱配るくらいの意気込みでないと。できれば毎月最低数社は確保してほしい。取締役なんだから。 まあ損益計算書や貸借対照表を見ていれば事務所に座っていられないよ。営業活動をやらざるを得ないよ」 |
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「損益的にはかなり厳しいのですか?」
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「売り上げ額は俺が出向してから4分の1は減った。今も継続的に減少しているね。登録件数は微減だが、単価がどんどん下がっている。なにしろ参入障壁が低い業種だ。大きな資本も設備もいらない、特殊技術が必要なわけでもない、資本金1千万あれば誰でも簡単に認証機関を始めることができる。もっとも客を取るのが難しい。だから価格破壊が起きている。売り手が多ければ値段が下がる、市場原理そのままだ」
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「口をはさんで恐縮ですが」
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「おお、三木も言いたいことを言ってくれよ。俺の話ばかりじゃバランスを欠く」
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「審査料金というのが当初は高すぎたのだと思います。確かに10年前を思えば価格破壊とぼやきたくなるかもしれません。でも弁護士とか街のコンサルなどの相談料とか依頼料を考えると現状でも高いかもしれませんね」
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「そういったものと比較されると辛いところがあるな。契約審査員に聞いたことがあるが、かって1時間1万なんて日当だったときもあるらしい。一日8万だよ。信じられんな」
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「医者のアルバイトが時給1万と言いますね。それと同じだったのですか」
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「医者なら資格をとるのも大変だし仕事の責任も重大だろうが、審査員はそうでもない」
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「それも今は昔。それが一日4万になり、今では2万というところもあるそうです」
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「2万なら時給2500円、それでもすごいな」
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「肥田部長、契約審査員が自宅で事前勉強する時間はお金がもらえません。審査の時間と同じくらい事前に資料を見たり情報収集したりしますから、実質的にはその半分ですよ」
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「とすると時給1200円か、ちょっと技術技能が必要なお仕事というレベルか」
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「契約審査員の日当が4分の一になっても、審査料金は半減まではしていないのが救いだね」
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「認証機関のオーバーヘッドが重すぎるんじゃないですか」
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「まあいいところにきれいな事務所を構えれば安くはない。そして登録件数が半減したら審査員は半減できても、オフィスは半減できない」
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「売り上げが減っても固定費は下がりませんか」
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「売り上げが減っても下がらないものを固定費というわけだ。認証機関の固定費を下げるのはそうとうな意識改革というか発想の転換が必要だな」
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「とはいえ価格破壊してきたノンジャブなどはそうとう切り詰めているわけです。我々も一層努力しなければなりませんね。考えてみれば20世紀の審査料1日14万とか18万というのはとんでもない金額です。あれで依頼者がいたということが不思議ですよ」
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「確かになあ〜、審査料金は原価の積み上げではなく市場価格から決めるべきだね」
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「審査員の賃金がそれ以前の賃金の従属変数ということも問題ですね」
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「すみません、どういうことでしょうか?」
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「肥田さんにしろ我々にしろ、認証機関に出向する前の賃金が保証されてるわけです。もらう人にしてみれば至極当然なのですが、払う方から見るととんでもないことですよ。本来なら審査から得られる料金から賃金が決めなくてはならないわけだ」
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「なるほど、ほとんどが出向者なのですか?」
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「プロパーはいない。社員は出向者とその後に転籍した人だけ、事務員は派遣だ。 とはいえそれだけだと負荷変動に対応できないし、全体の人件費を下げることができない。それで社員とは別に契約審査員といって審査のときにアルバイトのように日当で来てもらう人と確保してウェージを薄めている」 |
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「なるほど。 ええと、そうしますと社員の賃金体系を見直すという方法もあるのですな?」 |
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「とはいえ出向者の賃金のほぼ半分は出向元から補填されるので、見た目と実際は違うのでよく考えないと。極論すれば出向者全員を首にして、契約審査員だけにしても減るのは社会保険などの人件副費くらいだ」
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「なるほど、なるほど」
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「山内さん、そのへんは働く方から見るとまたいろいろ問題がありますね。平均給与が高い会社から出向している人は同じ審査員でも高い賃金をもらっています。またこの会社では57になると賃金が7掛けになるので、出向している私も今は7掛けに減りましたが、定年まで賃金が下がらない会社もある。 とにかく誰もが不満を持たないようにするというのは不可能ですね」 |
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「なるほど、三木さんのお話から現状の賃金体系をいじるのは非常に困難と聞こえました」
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「費用削減もいいが、やはり経営者の仕事は売り上げを伸ばすことだよ」
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ドアをノックする音がして本田がドアを開けて入って来た。
| ![]() 本田です | |
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「おお、本田君、久しぶりだな」
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「山内さん、お久しぶりです。 ええとまもなく定時です。このビルの地下の居酒屋を予約してありますので、場所を変更してお話を続けていただきます」 |
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「この4名でいいんだな?」
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「はい、このままでよろしければすぐに移動したいのですが」
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「そいじゃ移動しよう。この場所を定時後まで使うとロビーの人に迷惑をかけてしまう」
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肥田と本田が上着も持たずに居酒屋に来たのを見ると、飲んだ後オフィスに戻り、それから一仕事するのだろう、大変だなあと三木は心中同情する。 | |||
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「先ほどの三木さんのお話では同じ審査員をしていても賃金差があるということですか」
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「あるというだけでなく非常に差が大きいというのが正解ですね。私は元部長職だったので、今も部長級の賃金をいただいています。しかし出向時に課長だった方は課長の賃金なのです。これがグループの関連会社へ出向した場合は、行った先での役職もそれに見合っていますから、納得というかしょうがないと思うでしょう。しかし審査員となれば職位も同じ、している仕事も全く同じです。そして出向してから審査員をしているわけで経験も同じ技量の差もあまりない。不満があっておかしくない。まあ、みなさん大人ですからあまり口にはしませんけど」
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「肥田さん、今の三木の話は同じ仕事をしている人たちからみて賃金が大きく違うことへの不満ですが・・・肥田さんの立場では仕事が同じで賃金が倍も違う人たちを不満なく使うということがお仕事だとご理解いただきたい」
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「賃金の問題もありますが、仕事そのものでも審査員と管理者は一般の上下関係と違うというじゃないですか。以前のこと、関連会社が受けた審査で問題がありました。審査員が判断を誤ったわけです。それで私がその認証機関に文句を言ったのですが、管理者が納得しても審査員に命令することができないんですよ。あれはどうなんですかねえ〜」
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「裁判官も裁判所長の指示命令は聞かないそうだね」
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「裁判官は法律と本人の良心にのみ従うという前提だけど、ISO審査の場合はちょっと違うんじゃないかなあ。そもそもそんな高等な仕事じゃないし」
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「審査トラブルというのは多いのですか?」
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「めったにありません。ああ、組合もありませんから賃上げで騒ぐようなこともありません。どっちみち賃金は我々ではなく出向元が決めるわけで。 ただとにかく売り上げ拡大と損益改善の責任は我々取締役にありますからね」 | ||
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「今日のお話のポイントはそこですね」
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「正直言ってそうですね。いろいろな見方があります。 取締役は出資会社の代表ですから、やはりそれなりに経営に貢献しないとナガスネの経営に対する当社の発言権が低下します。 それとは逆にナガスネの損益が悪化すれば当社からの風当たりがね、出資会社側から見れば、我々が損を出したら躊躇なく切りますよ。事業上戦略的に必要なんてことはありませんからね。 とにかくお客様の確保です」 | ||
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「山内さん、そうはいってもやはり良い審査をすることが基本でしょう」
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「三木さん、そういう言い方はナガスネの審査の質は良くないという風に聞こえますが」
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「肥田さん、三木は実際に審査をしていて体感しているわけだけど、当社の評判はあまり良くはない」
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「出向の話があってからナガスネのウェブサイトとか、本田さんがそろえてくれた環境レポートとか会社案内書を見ているのですが、ナガスネは経営に寄与する質の良い審査を提供するということを力説していましたね」
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![]() 三木と山内が顔を見合わせた。 ![]() | |||
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「それはどこの認証機関も言っていることでして、まあ営業トークと思ってください。世間では規格解釈がナガスネ特有と言われています」
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「そのお話しぶりではあまり良くはないということのようですな」
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「提供する審査の質向上も取締役の責任です」
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「失礼ながら山内さんは過去そういったことにどんな手を打たれてきたのでしょう?」
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「お客様の声の収集、そしてそれをフィードバックするといったことでしょうか」
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「とはいえなかなか難しいと・・」
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「そういうことですなあ」
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肥田は山内と三木の話を聞いて、ナガスネは問題がいろいろあるのだろう、売り上げも継続的に減少していることもあり、大変なところだなあと落ち込んだ。 ![]() |
おばQさま 新企画、楽しく読んでおります。 今回の肥田氏は、競争相手が消えて所長になったが力不足で、子会社へ役員として出て行く。 いつも思いますが、非常に生々しい設定ですね。 特に、出向・転籍先の会社で賃金が前の給与で計算されるので、賃金体系に無理があるというのは、多くの日本企業(特に子会社)に共通した問題だと思いますし、高い審査料をコネで取れたという「良い時代」が過ぎ去り、ついにはグローバル化の風に晒されてい点もなるほどと思う設定です。 いつもながら本旨と違う突っ込みなのですが、働きに応じた給与しか支払えない事に抗い続ければ、それが維持できるのは一部の既得権益を持っている人だけで、それを維持するには非正規雇用は必須という、現代の労働問題にも共通しているように思えます。 今までは、ほとんど出てきていませんが、外注扱いの審査員以外にも、受付・事務スタッフなどのパートタイム、非正規の人もいるのでしょうね。 結局、ISO認証の世界も、特別な市場でもなくて、多少 時間軸は遅れながらも、市場競争があり、顧客満足を考えなければビジネスは成り立たないということですね。 それを、国家が必須規格として強制せよというのも、流れに逆らう話であり無理なのです。 一方でISO17000シリーズは、試験機関に対しては、国際的に求められものなっています。この分野では日本は立ち遅れているようで、公的な試験機関や検疫所が、オリピック対応も含めて急いで対応中なのです。ISO認証機関も、今 判った話でもないから、ビジネスに敏感な認証機関は、こちらへのシフトが始まっているのだと思います。 ただし、この分野は、非常に専門性も高いので、分野(化学、薬学、放射性物質、食品)などの専門知識が必須のようです。ですから、企業からのリタイヤ先として簡単には働ける訳でもないようです。 寒い日が続いておりますが、どうぞお元気でお過ごしください。 外資社員 |
外資社員様 まいどありがとうございます。 出向者の扱いは実際問題、日本の風土そのものでしょうね。定年延長が法制化された結果は、そういう制度がますます強化されるのではないかなと思います。とはいえ私もそういう制度の上で処遇されてきましたので文句も言えません。後の世代から批判されたときは頭を下げるしかありません。 認証機関の事務系職員はどうかとなると、これまた認証機関の生い立ちによってさまざまです。財団法人系ですと関係会社からの出向者が多いです。そこの職員や審査員に聞くとその賃金は半分負担どころかまるまる出向元負担だそうです。真偽はさだかではありませんが、それでは利益供与となり違法という気がしますが、財団法人ならOKなんでしょうか? 株式会社の認証機関は事務員は派遣が多いようです。ノンジャブの会社をいくつも訪問しましたが、そこの職員がどういう雇用形態かはさすがに質問したことはありません。ですが徹底して費用削減を図っていますから正社員ではなく派遣かパートだろうと思います。 費用削減、雇用の効率化という方向は他業種と同じで、審査員も含めて非正規化となるでしょう。 といっても、幹部が楽をして濡れ手に粟なんてことは絶対にありません。某マイナー認証機関では契約審査員を使うことさえ費用が掛かるとして、社長以下経営層がひたすら審査に駆け回って人件費節約を図っていました。新入社員どころか社長以下ロートルトップマネジメントが過労死するのではと心配します。 そんなことを考えると、認証ビジネスは既に過当競争というか、まっとうな損益計算が成り立たない状況に至っているのかもしれません。末期ですね。 |