ISO認証ビジネス2015

ISO認証件数

ISO9001の第4四半期は第3四半期に比べて145件（0.42％）マイナス、ISO14001は同159件（0.87％）マイナスでした。前年同期比では483件（1.42%）、603件（3.03％）マイナスとなった。過去数年間、減少傾向も傾きも変わっていません。
このままいけばQMSはあと70年安泰、EMSは33年大丈夫ということでしょうか？
いやいや、ものごとは存在の有無だけでなくビジネスとして成り立つかどうかが基本ですから、あと10年もすれば現状の6割程度、もう危険水域でしょう。いや現在既に危険水域かもしれません。是正処置をするなら今でしょう！
ところで私の現役時代のこと、「是正処置を発動するのは目標の何パーセント以下のときですか？」なんてアホな質問した審査員がいた。
えっ、なぜおかしいかわかりませんか？
実際に機械なりシステムなりを管理したことのある人なら、是正処置を発動するのに管理限界の何パーセントという発想をするはずがありません。是正処置を始めるのは、対策が功を奏して管理指標が管理限界内にとどまるようにするわけです。ですからフィードバックのレスポンスによって是正開始時点は決まります。時定数が小さいなら遅くても良いでしょうし、慣性が大きく舵が効きにくいなら早めに舵を切らねばなりません。

おっと、そうすると「今でしょう!」というのは間違いで、ISO認証については既に是正処置を開始していなければなりません。
えっ、既に対策をしているって？　おかしいなあ～、是正の効果が見えませんけど・・・
ISO審査なら「是正処置に是正をかけないといけない」と言われるところです。
簡易EMS現況
ISO認証件数が減少しているが、それは簡易EMSに流れているのだろうか？　あるいは簡易EMSもISO認証と同じく減少しているのだろうか？

注：
2013年のデータがないが、公表した機関によって数値に齟齬があるために、信頼性がないと判断して2013年はスキップした。

私は2009年に簡易EMSは2013年から減少すると予測していた。しかし私は預言者には向かないのか、その予言は成就せずに微増を続けてきた。しかしついに2015年にエコアクション21もエコステージも減少に転じた。結果はともかく預言が当たったのはうれしい。
とはいえ減少とはいえまだピークにあるようだ。エコアクションの年ごとの増加率は下図のようになる。

なお上図の年であるが、お正月に前年末の数値をインプットしているので、2016年のところは2014から2015年までの増減となる。
エコアクション21開始以来、倍々ゲームで伸びてきたが、2011年に伸びは止まり以降数年微増であったが、上図ではわかりにくいが、2016年はわずかだがついにマイナスとなった。

エコステージはもともと絶対数が少ないし、エコアクション21やKESと違いビジネスであることが明白であり、利益が出なければ躊躇なく撤退するだろうと思う。まあ開始から10年やって芽が出ないのだから前途は厳しいだろう。
KESはまだ増加している。しかし一昨年3%増加であったのが昨年は1%になった。今まさにピークにあるのだろう。今年はどうなるのか？
うわさによると某簡易EMSは廃止を検討中とのこと・・・いや、うわさです。
ちなみに私がちょっと関わっている団体が、今でも新しい簡易EMS認証制度を立ち上げを検討している。私が止めた方がいいよと言ったら総スカンをくらった。
忠言は耳に逆らい、カッサンドラ以来予言者は信用されず、預言者郷里に入れられず・・・最後は関係ないか

書籍
2008年ISO9001改定以降、ISOに関する書籍は低迷を続けていたが2015年は発行件数が急上昇している。もちろん内容は2015年改定の解説本ばかりで、改定が決まった秋以降出版件数が大きく伸びている。

注：	私が知りえるのは出版件数であり、発行部数ではない。発行部数とか実売部数をご存知の方いらっしゃいましたら教えてください。一刷3,000部程度で増刷されるものはほとんどないから2015年に出版された16件の総発行部数は48,000部程度、お笑いタレント又吉直樹の『火花』は240万部とか言ったなあ～おっと、ISO書籍では3,000部売れたらベストセラーだそうです

2016年はもっともっと出版されるでしょう。とはいえ、2017年には片手も出版されなくなることとは思います。そして次の改定まで再び低迷が続くでしょう。
おっと、次回改定はあるのでしょうか？

ISO論文
2015年にCINIIに収録されたISO9001に関する論文は20件、ISO14001に関するものは13件であった。

いずれも最盛期の6%であり、ここ数年はあまり増減はない。これも書籍の発行件数と同じく2016年は規格改定を受けてかなりの数の論文が発表されるかと思う。ちなみにISO9001の2008年改定では53件、ISO14001の2004年改定では103件の論文がCINIIに登録されているから、今回はQMSとEMSふたつ合わさってかなりの山になることは間違いない。
とはいえ2000年のピークの合計586件には遠く及ばないだろう。

グリーン調達におけるISO14001扱い
グーグルで「グリーン+調達」で検索した上位300位までの2015年にグリーン調達基準を制定・改定した企業・自治体におけるグリーン調達基準書において、EMS認証を要求した割合とシステム構築を要求した割合の変化である。

注：	過去に制定・改定したグリーン調達基準書があり2015年に改定しなかった企業においてはそれが最新版であり、このグラフの値がその時点で有効な基準書のEMS要求状況を示すものではない。但し発行時点での、調達基準においてEMSに対する企業の要求レベルが把握できると考える。

まずISO認証を要求している企業はない。過去に公正取引委員会から必要性があればISO認証を要求しても下請法違反にならないという回答があった。ということは必要性が立証できないと要求するのは違法である。
ISOあるいは簡易EMS認証を求めるものは42件中2件だけであった。
これではあまり変化がはっきりしないので、ISO認証、簡易EMS認証、EMS構築の要求レベルはそうとう異なるわけで、単純に合計しても実態に合わないかなという気もする。そう考えて、EMS要求レベルごとに重み付けをしてグラフにしてみた。
注：重み付けといってもあまり深く考えていない。エイヤで次のようにしてみた。

重み付け点数
5点	ISO認証要求
4点	ISOまたは簡易EMS認証を要求
3点	EMS構築要求
1点	EMSの状況調査のみ
0点	EMSについて要求なし

もちろん重みは私が適当に付けたもので、特に「調査のみ」を加算しているのもおかしいかもしれませんね。不適だと言われても反論するつもりはありません。
ともかくグリーン調達基準の中でEMSに関する要求によって重みを付けたものが下図である。

こうするとグラフの動きも激しくなく、年々減少してきたことが一目でわかる。なお2年ないし3年で山谷があるのは、調達基準書の見直しがその感覚で行われているからと推察する。
過去10年間でEMSに対する要求は3分の1になったということになる。世の中の企業の調達部門の人たちは、ISO認証にも簡易EMS認証にも、いやEMS全般に関心がなくなってきているようだ。その代り調達基準書の要求内容が、具体的に厳しく細かくなってきているのは含有化学物質の含有についてである。そしてまた工程管理や製品保管の管理について厳しく要求するようになってきた。要求事項を一つ一つ見ていると、まさにISO9001の初版に戻ったような気もする。トレーサビリティ、検査及び試験の状態、不適合品の管理、保管包装引渡しなどなど懐かしい言葉が並ぶ。・・・気のせいだろう。
要するにEMSとかISO認証なんていうものは、なにかありがたみがありそうだけど漠然として実際はどうなのか分らない。必要なのは今、手にしている部品に変なものが混入していないか、検査前と検査後、良品と不良品を分けること、製造工程において怪しいものを使っていないか、劣化するようなあつかいをしないことが最重要課題であるということだろう。怪しい物が混入した場合の危険性は身を持って認識しているのだろう。
そしてその結果ISO9001の1987年版に先祖返りしたということなのだろうか？結局、マネジメントシステムなる高尚なものよりも、当たり前のこと、即物的なこと、品質保証をしっかりしてほしいということとしか思えない。少なくても世の購買担当者はそう考えているようです。

しかしグリーン調達でISO9001：1987を要求するとはこれいかに？
それって現行のISO9001も期待外れだったということなのかしら？

マネジメントシステムな

んてものより、結局大事

なのは品質保証だったっ

てことでしょう

本当に必要なのは「品質保証」ではなく、「品質」だよね
顧客にすればマネジメントシステムなどどうでもよいこと
品質＞品質保証＞マネジメントシステム

データアップデイト2015