例えば環境側面について言えば
2004年版では 4.3.1 a)(前略)環境側面を特定する。 to identify the environmental aspects 同 b)(前略)(著しい環境側面)を決定する。 to determine those aspects (i.e. significant environmental aspects)
2015年版では 6.1.2 (前略)環境側面(中略)を決定しなければならない。 the organization shall determine the environmental aspects 同 (前略)(著しい環境側面)を決定しなければならない。 the organization shall determine those aspects (中略)significant environmental aspects(後略)
前略、中略、後略のところを私がごまかしている可能性もあるから、原文をご確認くださいね♡
まあ問題になるのは動詞だけだ。
ANNEXを信じれば(?)、『「identify」から、「determine」に変更した意図は、標準化されたマネジメントシステムの用語と一致させるためで、その意味は、旧規格から変更していない』らしい。
となると多々疑問がわいてくる。
ISO規格2004年版において、「identify」と「determine」は同じ意味だったのか?
さもなければ2004年版から2015年版になったとき意味するところが変更になったことになる。
そしてJIS翻訳2004年版において、「特定する」と「決定する」は同じ意味だったのか?
「ISO14001:2004要求事項の解説」(吉田敬史・寺田博共著)では明確ではないが、特定と決定は意味が違うように記述している。もしJIS翻訳において2015年版と2004年版と変わらないなら、「identify」が「determine」に変わったのを気にせずに、環境側面を特定する、著しい環境側面を決定するのままでも良かったのではないか? でなければ意味が変わったわけだ。そこのところがまったくわからない。
というかそもそも「特定する」や「決定する」という語が一般的な日本語の意味と違うというなら、JIS翻訳規格においてしっかりと定義すべきではないのか。
そもそも「The word "determine" implies a discovery process that result in knowledge.」を「"決定する"という言葉は知識をもたらす発見のプロセスを意味する」と訳しているが、それはちょっとといいたい。
確かに「determine」は「知識をもたらす発見のプロセスを意味する」こともあるだろう。(cf. 環境側面はいまだ誤訳なり)だが、「決定する」が「知識をもたらす発見のプロセスを意味する」ことは絶対にない。私は日本語のネイティブであるがそう確信する。
外国語を日本語に訳すことは(その逆も)非常に難しいことはわかる。そして1対1に対応する言葉がないこともあるだろう。一つの言葉は多様な意味があり、別の原語においてそのうちのひとつに対応する言葉は無数にあり、その言葉は又多数の意味を持つがそれは元の原語の単語の無数に持つ意味とはかけ離れているだろう。
determineひとつをとっても真実はわからない。英語の原文が適切な記述であるのか、改定で単語を変えた意味が正当なのか、言葉の使い方がいい加減であるのか、日本語訳が原文の意味を正しく伝えているのか、訳で使われている言葉の意味が適切なのか、特別な定義をせずに問題なのか、まったくわからない。
例えば、環境側面をenvironmental aspectと訳しているが、英語のaspectは日本語の側面という意味ではない。aspectが持ついろいろな意味のひとつが日本語の側面という言葉の持ついろいろな意味のひとつに近いというだけのことだ。