異世界審査員64.品質保証その4

18.03.05

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。民明書房からの引用はありません。

異世界審査員物語とは
私は、品質保証(Quality Assurance)とはそれ以前からの品質管理(Quality Control)などより上位概念とか隔絶したものとは考えていない。日常発生する不具合についてひたすら是正処置を積み上げて継続的改善をしていけば、自然とそういう状態・考えに至るものと思っている。そしてその仕組みは、組織により製品や役務により異なるのはもちろんだ。
だからこの要求事項が品質保証システムに組み込まれていないから不適合だということはあり得ないと思っている(注1)
実を言ってISO9001の初版1987年版では「製品や組織に合わせて修正(tailoring)しなさい」と序文にある(注2)
とはいえ、テーラリングを認めたら第三者認証は不可能になるだろう。だって認証を受けている一部の組織には有って、一部の組織にはないというのでは、認証の同一性がなくなる。それは(認証機関及びそれ以外の)第三者からみておかしいことだ。二社間の品質保証協定においてのみテーラリングは許される。だが二社取引であれば第三者認証制度は不要だ。
2000年改定版で「テーラリング」は消え去った。その理由は、もはや二者間の品質保証協定に使うのではなく、マネジメントシステムの第三者認証というわけのわからないものを対象としたからだろう。
2015改定版の序文にも初版からの伝統ともいえる「品質マネジメントシステムの構造を画一化することは意図していない」という文言が残っている。しかしそれは建前のようで、第三者認証を受けた組織は「品質マネジメントシステムの構造を画一化」しているのが現実だろう(注3)
しかし品質保証体制の画一性を求めることは、無用な機能を追加することであり、形骸化する萌芽である。例を挙げればまったく設計のない職種というものは存在する。例えば弁理士事務所とかはどうだろう(注4)そういった組織において、半分こじつけで設計開発を設けても意味はないだろう。
もうひとつ61話で書いたが、「品質マネジメントシステム要求事項は、製品及びサービスに関する要求事項を補完するもの(ISO9001:2015 序文0.1)」ということを忘れて、品質マネジメントシステムがあれば大丈夫、製品や役務に関わらずMS規格要求事項を満たせば良いという考えが広まったことが問題だ。
そういうことから演繹すれと、第三者認証制度とは、同様な製品で同様な組織においてのみ成立するのではないだろうか? 同じくISO14001を認証していても、スーパーマーケットと製造業では比較もできないし、同列に論じることはできない。製品や組織が異なればそれ専用のMS規格で審査し認証するしかない。
すべての組織はユニークであり、よって普遍的な第三者認証制度は無理であり、それを成り立たせるには規格に組織が合わせるしかないのだろう。
昔、軍服のサイズは大きすぎるか小さすぎるかしかない、服に体を合わせろと言われた。
ISO認証のためには規格に会社を合わせるしかないのか? 軍隊と兵士では力関係が明白だ。しかし会社とMS規格はそうではない。規格と組織のプライオリティを考えないといけない。


前回、米山中佐と石原大尉が砲弾の不発対策で相談に来た。その続きである。

米山中佐
「まず砲弾の各部寸法です。公差そのものが分からないのですが、現状の完成品を測定するとかなりばらついています。1ミリ以上はあるでしょう」
伊丹
「1ミリ以上とはすごいですね、砲弾はどこで作っているのですか?」
米山中佐
「砲弾本体は九州の砲兵工廠です。問い合わせたところ、向こうはまだノギスとかマイクロメーターというものを製造工程では使っていないようです」
伊丹
「東京ではもう5年前、大阪でも3年前から使っているが、そういった新技術の全国展開が遅れているな(注5)
石原大尉
「というか、組織的にそういった計測器を使うという指導がなかったようなのです」
伊丹
「それから?」
米山中佐
「ええと、九州から群馬の火薬製造所に運び、そこで火薬を詰め、宇都宮の工廠で製造した時限信管を組み込み完成品にします。ところがヒアリングしますと砲弾の組み込みはスムーズにいかず無理やりとか叩いたりとかいいますし、信管に至ってはねじがオス・メス合わないような話でした。現地調査をしないと具体的なことは分かりません」
石原大尉
「先日、伊丹さんから言われて統計の本を勉強しました。ご存じと思いますが、この世界ではまだ統計という学問は確立していません。それで伊丹さんの世界から来た統計の本を読んだのです。
それを基に計算してみると、週に24,000発製造して18発抜取り不発2個まで合格とすると、母集団の不良は2割5分くらいあって不思議ではないのです(注5)とはいえ抜取数を多くして試験したところで品質が上がるわけではなく、破壊検査ですから無駄にするだけです。
ということは砲弾の品質が悪いことは想像できますが、検査を厳しくしたところで意味はありません。元々の品質を上げるしかありません」
伊丹
「おっしゃる通りですね。工程管理、つまり製造方法とか機械とか道具の管理はどうなのでしょう。基準とか点検状況とか」
米山中佐
「いや、まったく手づかずで」
伊丹
「これがいかほど重大問題になっているのか分かりません。しかしお話を伺いますと、私がちょっとお手伝いする程度では対策は難しいと思います。大げさに言うつもりはないですが、項目を整理し、それぞれの専門家に指導を要請しないと解決は難しいでしょう。例えば製造なら鋳造とか切削加工、組み立てなら作業管理、試験検査となれば計測器、試験方法となると創意工夫が必要でしょう」
米山中佐
「ではどうしたら?」
伊丹
「米山中佐が音頭を取って、専門家を集めることです。そしてプロジェクト、ええとプロジェクトとは現状の組織にとらわれず、特定の目標実現のために臨時に適任者を集めて目標実現を図る活動をいいます。不発弾対策プロジェクトというものを立ち上げないと難しいと思います。
私は政策研究所に所属しているわけでもなく軍人でも軍属でもありません。また皆さんとコンサルタント契約を結んでいるわけでもない。いや、お金を頂かないとアドバイスしないという意味ではありません。私の立場では口を挟むことはできないということです」
米山中佐
「おっしゃることは分かりました。方向付けをしたらまたご相談に来ます」

1917年1月下旬の昼過ぎである。雪がちらつく横須賀を、2隻の巡洋艦と10数隻の駆逐艦が出港していく。今日は1917年度イギリスの輸送船団の護衛艦隊の出港である。今回は昨年より増えて、二戦隊の派遣である。それだけ扶桑国の対潜能力が認められ必要とされたということだろう。本音を言えばありがたくはない。同盟国だから無償である。とはいえこういった支援活動は、後々に恨みを買わないためと割り切るほかない。それに兵士は出さずとも参戦しているわけだから、戦後は見返りを要求できることになる。まあ正直なところ扶桑国も、戦争で生産が落ちている国々への輸出で潤っているのは事実である。
昨年1年間派遣されていた兼安大佐は、今年はお役御免となり、元の少佐に降格した。扶桑海軍では戦死しない限り、この程度の活躍では昇進はなく年功序列である。
今回は技術者派遣はしない。電波探知機や音響探知機はもうお守する技術者不要までに安定して、何事か起きたときは破壊処理することになっている。
ドイツやイギリスでも音響探知機の性能は上がってきているが、扶桑国とはまだ格段の差があり、電波探知機に至ってはまだ存在を知られていない。だが、これも時間の問題だろう。もし第二次大戦があるなら、それ以前に追いつかれるかもしれない。

岸壁では大勢の人が手を振っている。その中に伊丹夫婦も兼安少佐もいた。護衛艦隊を見送った伊丹夫妻は兼安少佐と一緒に東京に帰る。
今日は伊丹が米山中佐から呼び出されている。何の話だろう。政策研究所に入ると幸子も一緒に伊丹が呼ばれた会議室まで行く。

伊丹
「今日の会議は、幸子も参加しているの?」
幸子
「そうなのよ、お聞きになっていると思うけどテーマはイギリスに提供している砲弾の不発のこと。結構大きな問題になりそう」
伊丹
「不発弾が多いと聞いていたが、大騒ぎするようなことなのか?」
幸子
「欧州の戦いはますます激しくなっていて、兵士も武器も弾薬もなにもかも足りない状況で、我が国にもっと送れという声が来ているの。そして不発が多くて困るという苦情も来ているのよ。そういえばアメリカもまもなく参戦するそうよ(注7)
伊丹
「知らなかった。それほどの状況とは」
幸子
「それで今まで米山中佐がメインで不発弾問題を検討していたのですけど、今日は中野中佐が会議を仕切るそうです」
伊丹
「中野中佐が仕切るというと、そうとう大きな問題になっているのだな。
しかし米山中佐も中佐に昇進したとなると、中野さんがいつまでも中佐ではおかしくなるな」
幸子
「いろいろ噂があるのよ。帝太子殿下が御病気とか聞いてます?」
伊丹
「いや、知らない」
幸子
「そう、あまり知らない方がいいわね」
伊丹
「知らない方がいいことは聞かないでおこう」

二人が会議室に入ると、中野中佐が正面に座り、米山中佐、石原大尉他見慣れた顔もあるし、初めて見る顔もあり、10人くらいいる。

中野中佐
「では主要メンバーがそろったので不発弾対策会議を始める。何事も遅くなればなるほどこじらせてしまう。早いところ検討・対策を決めて処理したい。
では米山中佐から今までのいきさつを話してください」
米山中佐
「我が国はイギリスの同盟国として欧州へ陸軍の派兵を求めらましたが、それを断り、代わりに輸送船団護衛と弾薬供給をすることになりました。輸送船団護衛は大きな成果を上げて感謝の言葉も受けております。
説明 一方、一昨年秋から月10万発の84ミリ砲弾を供給してきましたが、こちらは不発弾が多いという苦情を受け、改善を求められている状況です。外務省及び陸軍省から政策研究所に、この原因究明と対策の要請がありましたのが昨年12月です。
現地の具体的状況も分からず、調査を進めてきましたが、今月になってイギリス大使館より重大問題であり早急に対策してほしいと抗議を受けました。
それでプロジェクトで検討を進める必要があると考え、今後の方向付けを中野中佐にご相談したところです」

それに続いて米山中佐はいきさつを書いた模造紙を貼りだして説明した。

米山中佐
「現状ではまだ問題の全貌を把握していないのですが、今まで調査した結果、確かに不発が多いようです。砲弾の不発率がいかほどなら許容範囲かはともかく、今製造出荷しているものは不発率2割5分から3割はあると思われます。
その原因としては砲弾加工の精度の問題、信管の精度と信頼性の問題、製造工程の管理、測定機器が信頼できないことなど、まさに不安だらけの状況です」
中野中佐
「つまり簡単に言えば、我が国には砲弾提供を請け負う技術力がなかったということか?」
米山中佐
「いや、そうは言いたくありません。準備不足だったと考えます」
中野中佐
「対策案はあるのか?」
米山中佐
「推定ですが不発弾の原因は一つではなく、製造工程全般において品質改善を図る必要があると考えます。それでそれぞれについて軍内部だけでなく広く専門家に協力を求め対策したいと考えます」
中野中佐
「分かった。具体的に希望する専門家と日程計画の案を説明してくれ」
米山中佐
「いや、それはまだ・・」
中野中佐
「うーん、米山中佐も準備不足ではないのかね。
伊丹さん、ご足労いただきありがとうございます。話はお聞き及びと思います。何か案はありませんか」
伊丹
「米山中佐から昨年末にご相談を受けました。私としましては正式な依頼でもなく、単なる相談と受け取っておりまして、その重要性を認識しておりませんでした。それは申し訳ありません。
専門家と言われると思いつく顔ぶれはあります。ただどういう形で進めるかという問題があります。はっきり政策研究所の仕事であること、派遣時の身分や賃金の保証などを明確にしてほしいと思います。
それと私が支援するにしても、米山中佐が責任者として頑張っていただきたいと思います」
中野中佐
「具体的には?」
伊丹
「まず基本的なことですが、砲弾の検査を厳しくしても不発弾を取り除くことはできません。欧州で不発になるか、こちらで不良として処分されるかの違いです。それでは本来のイギリスが少しでも弾薬が欲しいという目的には合いません。目的のためには、砲弾の品質を上げるしかない。そして現時点では原因どころか問題が分からないのですから、個々の加工や組み立てをしっかりやって、その結果から考えるしかありません。
砲弾の加工については、砲兵工廠の藤田大尉と私どもの藤原を九州の工廠に派遣して加工精度向上を図りたい。もちろん工具や各種測定器の提供と、若干名の職工などの応援も必要でしょう。
信管は今まで我が国ではあまり使っていなかった時限信管だそうです。聞くと時計機構ですから、半蔵時計店に技術者派遣を要請したい。
組み立て工程については、管理向上と能率改善に私どもから能率技師を派遣して担当させる。
それと我が国の提供した砲弾の実情についてイギリスに情報提供を要請すること。
とりあえず以上の手を打って、状況を見たいです」
中野中佐
「信管と砲弾のねじの勘合などはどうしますか?」
伊丹
「オス・メス共にゲージ基準で加工することにします。ゲージ製作は砲兵工廠にお願いしましょう」
中野中佐
「米山中佐、伊丹さんの提案をどう考えるか?」
米山中佐
「ご提案に感謝します。どうでしょう、伊丹さんがこの問題に一番明るいようですから、この際、丸ごと伊丹さんに仕切ってもらえないでしょうか」
中野中佐
「それはないな。君は指揮官だ。伊丹さんは参謀だ。指揮官は参謀の意見を聞いて作戦を決定し実施しその結果の名誉も責任も負うしかない。
ところで伊丹さんのところへの依頼は可能ですね?」
伊丹
「工藤社長でなければ正式な回答はできませんが、国家的な問題ですから、最優先で対応することに異議はないと思います」
中野中佐
「半蔵時計店はどうしますか?」
伊丹
「政策研究所の名でムーブメントの技術者を臨時に、ここまたは工廠に出向という形でも派遣してもらいましょう。私が話を付けます」
中野中佐
「砲兵工廠は藤田大尉を出せるかな?」
伊丹
「藤田大尉が抜けて問題になるようでは、東京の工廠も後進の育成が問題ということになりますね。
あっ、もちろん正式な派遣の決定は工廠の上位機関である防衛総司令部でしょうけど、そこまで大事にせずとも工廠長同士とか、いや管理者レベルの協議でも良いのではないでしょうか」
中野中佐
「よし、米山中佐、伊丹参謀から作戦案の提示があった。作戦の実施を決定するのは米山司令官である」
米山中佐
「提言を採用し直ちに命令を発令します。伊丹参謀は命令書を作成すること」
伊丹
「あのですねえ〜、私は軍属ではありません。米山中佐と石原大尉の名で実施してくださいよ。もちろん逃げはしませんから」
石原大尉
「伊丹さん、今から半蔵時計店に行きましょう。とりあえずそれを今日中に決めましょう。
米山中佐殿、九州と東京の砲兵工廠に応援について交渉していただけませんか。
伊丹さん、半蔵時計店からお宅に行きますから、社長と藤原さんを待機させてください」
伊丹
「了解しました。私は明日からこちらに出勤します。その手配をお願いします」
幸子
「私がしておきますよ」

半蔵時計店の宇佐美事業部長は石原大尉の頼みを二つ返事で受けた。拒否されることを覚悟していた石原大尉は拍子抜けしてしまった。伊丹には宇佐美の考えが分かった。扶桑国でも今後、時限信管の需要が増えるだろう。そうなれば今までのように工廠だけでは間に合わない。
今回の件で軍に恩を売れるし、信頼できる信管を作れるというだけで将来は安泰だ。これを逃すという経営判断はない。ひょっとすると宇佐美は次期社長を狙っているのかもしれない。いや、それは悪いことではない。
それから伊丹と石原大尉は新世界技術事務所に行って、工藤社長に伊丹自身と藤原と上野を砲弾品質改善に派遣させることを了承させた。

翌日、伊丹と米山中佐と石原大尉で人の派遣、体制の方向付けをした。
米山中佐もこういった仕事に慣れていないだけで、仕事はしっかりする人だ。
藤田大尉はすぐに藤原さんを連れて九州の工廠に行って状況確認後、東京から10人ほどの職工を派遣させた。そして図面を見直して寸法公差を記入し、それを測定して加工する体制を作った。10日後にはその図面で砲弾が製作され始めた。
藤田大尉と藤原さんは九州の宿舎で酒を飲みながら、何年か前、この二人で大阪で新型小銃の不良対策をしたことがあったねと笑った。今ではあの自動小銃は完全に互換性を保って量産されている。技術の進歩とはすごいものだ。

上野は部下を二人連れて行くことにした。上野もどうせなら徹底的にやろうと考えた。連れて行く二人を集めて一席ぶつ。

上野
「我々は組み立て工程での問題点究明と対策を命じられた。現時点、何が問題か分らない。私の考えた進め方を説明する。
まず現状の作業工程をよく見て、その問題点やばらつきをなくすことをしたい。
飯田です
飯田です

飯田君はそれを図形と文字で作業標準を作る。現場に指導するのは私がやる。
作業標準を徹底し、作業標準を変えない限り実際の手順・動作を変えさせない。皆に全く同じ方法で作業させる。ばらつきは許さない。
そういう状況にしてから、次に作業方法を変えるとか手順を変えることによって品質がどう変わるかを少しずつ試していきたい。具体的には物を取るにも右手なのか左手なのか、どこを持つのか、そういった細かなことまで考えて標準作業を決めよう。
まったく同じ作業をしていて不良が出るなら、それは工程の問題ではない。もしわれわれが工程を見直して問題がなくなれば、それは組み立て作業に問題があったということだ。

和田君は検査方法を考えてほしい。今までは時限信管を設定して射撃して飛翔中に榴弾が爆発すれば合格としていたという。
和田です
和田です
そんな検査では設定時間で爆発しているかどうか分からない。もっと良い検査方法を考えてほしい。
ひとつは破壊検査でなく非破壊で時限信管の動作を検査する方法を考える。ひとつは時限信管の誤差を把握しその改善を考える。ひとつは検査方法を見直したい。非破壊で一定水準にあることを確認し、最終確認の意味で少数破壊試験するという考えを取りたい」

石原大尉はイギリスに弾薬の保管管理、イギリス製と扶桑製の違いのデータなどの提供を要請した。そして扶桑国からイギリスまでの輸送条件は、海運会社に温湿度、振動などの情報提供を要請した。だがどちらからも良い反応はなかった。


新世界技術事務所では工藤社長が書類を眺めてニヤニヤしている。南条さんがお茶を出して話しかける。
南条さん
「社長、なんでニヤニヤしているのですか?」
工藤社長
お茶 「だってさ、あれほど手を焼いた上野が一生懸命働くなんて思いもよらなかったぜ。これで奴も上に立つという意識を持ってくれれば万々歳だ。若手も上野を見習うだろう。
藤原さんも、このところやる気が薄れていたが、冷や水を浴びたように変わったよ、アハハハ
伊丹さんには何も言うことはない。あの人は頼もしいね。
今回の仕事は新世界技術事務所の総力を挙げてのプロジェクトだ。売り上げも久しぶりに伸びるな」
南条さん
「社長は金勘定するだけですか」
工藤社長
「それが俺の仕事だからね、アハハハハ」

うそ800 本日のホッと一息
なんとか不発弾の処理も決着がつきそうです。
実は最後まで書いたのですが1万7千字を超えたので二つに分けました。これで次回更新は少し怠けられる。

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注1
1987年版においては画一的が規格の意図ではないなどとネガティブな表現ではなくもっとポジティブに「組織の品質システムは、その組織の目的、製品またはサービス及びその組織固有の慣習によって影響を受ける。従って、品質システムは組織ごとに異なる(ISO9000:1987、0.序文)」とあった。
なお、1987年版ではISO9000が「品質管理及び品質保証の規格-選択及び使用の指針」であり現在の適用範囲などをまとめたものであり、ISO9001〜ISO9003は要求事項のみであった。
1994年版では序文で「品質システム要求事項は、どのような要素を品質システムに含めるべきかを規定しているが、画一的な品質システムを強要することがこれらの規格の目的ではない」(注:1994年版まで9001〜9003の3種があったので複数表現である)
2000年版「品質マネジメントシステムの構造の均一化または文書の画一化が、この規格の意図ではない」
上記のように版によって若干意味あいは異なる。時間と共に劣化してきたというと、飯塚大先生は怒るか?
怒っても怖くないよ

注2
ISO9001:1987 0.序文にある。
しかし「Tailoring」とは「仕立てる」ことだから、悪いものを正す「修正」とは意味が違うだろう。要求事項を加除することだから修正でも良いのだろうか? 「製品や組織に合わせて修正してよい」ではなく、もっと積極的に「製品や組織に合わせてあつらえること」くらいでどうだろう。

注3
現状の第三者認証で認証企業が少なくても表面的には画一的な仕組みを備えたのは、ISO認証制度そのもののためではないというご意見をお持ちの方も多いだろう。では「現在の認証企業の多くが画一的な仕組みを備えている」のは、どうしてなのだろうか?
ISO規格のせいではない、認証制度のせいではないならば、認証制度の運用が悪かったのか、審査員が悪かったのか、コンサルが悪かったのか、企業が悪かったのか? ぜひとも知りたい事柄である。

2018年2月28日時点、弁理士事務所、法律事務所はQMS、EMS共に認証組織はなかった。
会計事務所(税理士)、公認会計士事務所、司法書士、行政書士事務所はザクザクある。

注5
伊丹が東京の砲兵工廠にノギスを伝えたのはこの物語では5年前になる。技術の広まりがとんでもなく遅いと思われるかもしれない。しかし製造品質において互換性を要求されなければ、組み上がればOKと判断して、寸法精度そのものを追及するドライブはかからない。

注6
この数字に見合ったOC曲線が見つからず、組み合わせを電卓叩いて計算した。間違っていたらごめんなさい。

注7
この物語は今1917年1月、アメリカ参戦は1917年4月6日である。


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