ISOサーベイ2018

19.10.24
ISOサーベイ2018が発表された。 ISOといえば国際標準化機構の略称であり、その機関そのものかそこが制定した種々の規格を意味するはずだが、ISOサーベイとして発表しているのは、「ISOMS認証」についてであり、しかもその中身は認証件数だけである。
ISOといえばISOMS認証だという認識は、日本だけでなくISO自体もなのか?と考え込んでしまう。
なお、ISOサーベイ2018とは2018年の実態を調査して2019年に公表したもので、現時点最新版である。

では2018年集計結果はどうであったのか? それ以前と変わりがあったのだろうか?
実は2019年発表の2018年集計は、2017年までの区分と全く変わったので連続性がありません。2018年の結果は認証件数とサイト数という二通りの数字です。ところがどちらも2017年の数字とは大きく違うのです。
これは困りました。

とりあえずサイト数を入れると、全世界と日本のISO9001と14001の件数の推移は下図のようになりました。

全世界と日本の認証件数推移
 注1:全世界は左目盛り、日本は右目盛り
 注2:2017年まではISOサーベイ2017のデータを使用した。

2018年がガタッと減っているでしょう。サイト数の代わりに認証数を入れるともっと下がります。
いったいサイト数と認証数の分類というか定義はどうなっているのでしょう?
ひょっとして全世界で認証件数が減っているのを隠そうとしたのかと勘ぐってしまいます。
そうじゃないとおっしゃる方いらっしゃいましたら、その根拠を教えてください。嫌味ではなく本当に実態を知りたいのです。

ともかく前回と同じく、中国が全世界の認証件数に占める割合を見ました。

ISO9001全世界と中国

ISO14001全世界と中国
 注:上記二つのグラフとも、2017年まではISOサーベイ2017のデータを使用した。


認証件数が今までとあまりにも違い、グラフにつながりがありません。
それで全世界の認証件数に占める中国の割合を見てみました。

規格ISOサーベイ 2017年
中国の割合
ISOサーベイ 2018
中国の割合
ISO900137%34%
ISO1400146%45%

割合を見ればほとんど変わっていません。せいぜい誤差の範囲でしょう。
というかどのような統計の取り方でも、中国と他の国との比率は変わらないということでしょうね、
ISO14001認証件数の1/3は中国、ISO9001の1/2は中国ということです。比率だけを見れば、ISO認証は「中国の中国による中国のためのもの」であることは変わりないようです。

さて考察というか分析は、この数字が基になるわけですが……
データのとり方が今までと違うので増減は何とも言えない。しかし2018年だけとらえてもISO9001でもISO14001でも、また認証件数も認証サイトも中国が多数を占めていることは今までと変わらない。
それ以上を云々しようとしても情報不足で切り口がありません。推移を考えるには来年の発表待ちですね。

ただISOの預言者を自称している私としては、少し冒険ではありますが、ひとつ託宣したい。

注: 予言とは未来を言明すること、預言は神の言葉を伝えること。私はISOの預言者であり、予言者ではありません。
宣託は神のお告げであり、預言者が神の宣託を託されて宣するのが託宣。更には神が語らなくても巫女や占い師が人に告げるのも託宣という。

「いかなる流行も製品も制度も、最終的には中国に至りそこで終末を迎える。中国こそが地上に顕現したブラックホールである」

もちろんイギリスでサッチャーが生み出したISO認証制度も、中国大陸でその終末を迎えます。そのときには世界中で「ISO認証? そんな時代もあったね」と中島みゆきのようなことを語っているはずです。
預言の真偽は時の流れが裁定してくれるでしょう。


うそ800 本日のもくろみ
この程度ならわざわざウェブサイトに書くまでもなく、ブログにチャチャと書けばおしまいじゃないか 💢
そうおっしゃらないでくださいな、
ブログでもFacebookでもいいかもしれませんが、そういう形態はあっという間に消え去り5年後10年後アクセスできません。
私はISOの盛衰を長が〜〜いスパンで考えておるわけで、このウェブサイトは私が死んでも残したいと思っております。
20年後くらいに、ISO第三者認証制度がいかなるものだったのか、その功罪、盛衰を研究しようといいう方が現れたとき、このウェブサイトが有力な情報源として引用されたら草葉の陰で涙を流して喜んでいるでしょう。
おっと、ともかく世の中にはこのウェブサイトが一刻も早く消滅してほしいと願っている人も多いようですけど、そうはいきませんよ。悪は徹底的に懲らしめなければなりません。悪さした審査員がお亡くなりになったら、実名を晒そうかと思っております。
日本において名誉毀損の罪は、故人には適用されませんからね、
民法の名誉毀損の損害賠償裁判は故人でも成立するようですが、事実を述べるだけなら名誉毀損には該当しないでしょう。ましてやいわゆるスキャンダルの類ではなく、職務上の判断ミスであればなおのこと、
力量のないあやしげな審査員が、この日本経済に多大な悪影響を与え、大きく言えば我国の国際競争力をそいだのは事実です。加害者であることを認識し、そういう事実があったことを表明しお詫びをするのが筋じゃありませんか?

おっと、もくろみではなくたくらみじゃないかという方は辞書を引いてください。
目論見は善悪に拘らず企てること、たくらみは悪意の目論見です。
ッ、私の考えは悪意ですか

うそ800 本日の大事なこと
私の書いたものを、嘘つき! とか間違っているぞと叫ぶ人もときどきいます。
出典が冒頭に書いてありますから、ご自分でご確認ください。
事実でなく人を貶めるのは名誉毀損です。
大事なことですから二度言いました。

参考までに: 刑法230条 第2項
死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
民法723条
他人の名誉を毀き損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。





外資社員様からお便りを頂きました(2019.10.24)
おばQさま
ISO規格は、様々な分野がありますので、今後も使われ、特定分野は今後も認証が続くと思います。
一方で、9000,14000などは、お書きの通り「あんな時代が」になると思いますが、それも歴史で、その渦中と、なぜ衰退したのかの記録は大変重要とおもいます。
ところで、中国の認証についてです。
中国のISO認証は、食品や製造など、海外からの受注の為に必要でした。
これは日本が欧米輸出の為に認定取得したのと同じです。
最近の中国では、ご存知と思いますが、「CCC」認証が主流。
China Compulsory Certificate system、中国製品安全強制認証制度
中国国内に出荷、販売される製品は「強制的」に必須。
関連分野は、自動車(部品含む)、電気製品(部品含む)からIT機器まで非常に広範囲。 認証登録は個別製品も当然ですが、工場の認証もあり、工場が日本ならば出張して認証(当然 出張費用も負担)になります。
ISO認証がビジネスになって、かつては外国企業に払ったお金を、当然に同じビジネスモデルを、更に強制法規として「改善」しております。
中国政府は、認証会社については、海外の団体や海外企業は、そのまま認可しませんでした。 必ず政府系資本を入れないと認可させません。
とある国際規格のNPOが2010年頃に、中国に支部を作ろうとしたら、中国政府は認めず、諦めました。
この団体は、企業や政府から中立で有るために、NPOであったのですが、中国政府の資本を入れ管理下に入れるという考えとは合わなかったのです。
一方で、認証をビジネスとして考えれば、政府資本が入り、「強制認証」ならば鉄板で安泰。 海外からの輸入品も必ず受けるし、工場認定となれば、更にお仕事。
当初は、政府系だけで手が足りなくなったので、ある程度民間にも開放されておりますが、これが色々と大変なようです。
あの国では、均一な法適用ではなく、人による人治主義ですから、認証機関による結果の相違が発生するのは、当然です。
とは言え、実際 市場では、火を噴く危険な製品もあるのですから、当然にそれらを防ぐという認証ならば、誰にも反対出来ません。
まずは、試験の均一性よりも、危険な製品や工場を管理するのだと言われれば、その通りなのです。
結論に行きますと、中国では輸出の為のISOは衰退期、中国への輸入製品と国内製品、及び工場管理の為のCCCが新たな認証ビジネスとして立ち上がっており成長期を迎えております。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
中国はいろいろな意味で特殊ですね。
私が引退した2010年頃は中国ではISO認証がブランドのような雰囲気でした。当時はISO認証機関に認定するのに外国の認証機関はいろいろ制限があり実質的に困難だったように思います。
外資社員様のお話にあるようにかつては外国企業に払ったお金を、当然に同じビジネスモデルで取り返すというのは分かるのですが、であればISO認証はもうしないという発想にならないと余計なことをして無駄になるだけかなと思うのですが?
CCCの制度はISO17025に則っているようですが、CCCとISO9001とは無関係のようです。CCCはビジネスで必須としても、中国のISO認証件数が世界の半数近いというのはどういうことなのか、いまいちわかりません。
日本ではいっとき建設業界でISO認証が有利だと燎原の火のように広がりましたけど、無用だとなるとあっという間に減ってしまいました。そうならないのが不思議です。

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