「平常心のレッスン」

2020.06.11
お断り
このコーナーは「推薦する本」というタイトルであるが、推薦する本にこだわらず、推薦しない本についても駄文を書いている。そして書いているのは本のあらすじとか読書感想文ではなく、私がその本を読んだことによって、何を考えたかとか何をしたとかいうことである。読んだ本はそのきっかけにすぎない。だからとりあげた本の内容について知りたいという方には不向きだ。
よってここで取り上げた本そのものについてのコメントはご遠慮する。
ぜひ私が感じたこと、私が考えたことについてコメントいただきたい。


書名著者出版社ISBN初版価格
平常心のレッスン岡本 美鈴旬報社97848451151122017.11.011400円

私は生まれてから定年退職まで60有余年、カナヅチであった。つまり泳げない。しかし泳げない自分が好きだったわけではない。あすなろう、いつかは泳げるようになろうと願っていた。

どうでもいいこと 昔から檜(ヒノキ)は「あすなろ」(檜葉/ヒバ)より高級な材木であるとみなされていた。だから「あすなろ」は、明日はヒノキになろうと願っているだろうと人間は想像した。
しかし最近では抗菌作用とか耐久性においてヒバのほうがすぐれていることが分かり、伊勢神宮の式年遷宮の際にもヒバが使われているという。
これから檜は「あすひば」と名乗らなければならない。

とはいえ泳げるようになりたいと思ってはいたけどチャレンジはしなかった。当時は忙しいと言い訳していたが、今なら本当の忙しさなんてそんなもんじゃないといえる。今思うと若く元気な時に泳げるようになっていたらもっと人生が楽しかっただろうと思う。

引退をきっかけに、泳げずに死ねるかという一心から、フィットネスクラブで水泳を習った。おかげさまで今では疲れるまで泳ぎ続けるようになりました。とはいえ月日が経つにつれて疲れるまでの時間がだんだんと短くなり、以前は2キロくらいは平気でしたが、今では1.5キロが限度かなってレベルに落ちてしまいました。正直言って65歳と71歳では体力が違うのを実感します。これで75歳になったらどうなるのでしょうか!

俺は泳げるぞ それでも泳げるのと泳げないのは大違いです。一昨年 家内と安いツアーで沖縄に行きました。ツアーで底がガラスの小舟に乗って、海岸から100mくらいのところでサンゴとかクマノミを眺めるのですが、もし船が転覆したら死んじゃうよう!と思うのと、岸まで泳いで2分くらいかと思うのは大違いです。
おっと家内は子供のころから河童でしたけど、万が一の時は私を見捨てると常日頃語っていますからあてになりません。


しかし一応泳げるようになると、日々ただひたすら1時間とか2時間、泳いでいるだけでは面白くありません。今さら人より速くとかカッコよくなんてのは無理です。マスターズなんて雲の上の存在。
しかし速くなくてもかっこ悪くてもいいけど、泳ぐだけでなくいろいろしてみたいという気持ちです。
なにをと言われると、潜るとかアーティステックスイミングとか水球の真似事なんてしてみたいです。ウォーターボーイズもいいですね。ウォータージジイズとか、

「旅サラダ」というテレビ番組がある。旅サラダのスポンサーはJTBだから、素敵な旅にいらっしゃいという内容だ。
私は普段テレビを観ないが、家内が旅番組が大好きなので土曜日はいつもこれを観ながら朝ごはんを食べる。
あるとき青木愛……おかしな政治家のほうではなく元オリンピック選手の青木愛が、フィジーに旅するのがあった。もちろん番組では彼女が素潜りで素晴らしい海を見せてくれる。自分もああいうことができたらいいなって のび太かよ!

グアム タモン湾 それを観て思い出したのは以前グアムに行ったときのこと、ホテルのビーチでは宿泊客にカヌーとかスノーケルとか浮き輪をタダで貸してくれる。遠浅のラグーンにはサンゴ礁もあり魚もたくさん泳いでいて、スノーケルをつけるともうバッチリ楽しめるわけ。
残念ながら私はスノーケルではなくカヌーに乗って水面の上から眺めただけ。

娘夫婦が、グアムでスノーケルをつけて遊んでいる動画を見せてくれたことがある。あれを見て自分もやってみたいと思いましたね。年寄りは欲深なんです。
水泳を覚えたら終わりではなく、またまた「せずに死ねるか」というのが現れた。目標ができれば達する前に死ぬわけにはいかない。


あるときフィットネスクラブのプールサイドで、スキューバダイビングをしていたという方に会った。彼は70代半ば、私より5歳くらい上。やはり現役時代は泳げず、定年退職後に水泳を習い、それだけでなくスキューバダイビングも習いボンベを背負って南の海で何度も潜ったそうです。
60代のときは若者たちと一緒に潜っていたけど、70を過ぎると船頭に乗船を断られるといいます。法的な規制はないらしいのですが、事故とか起きたら大変(商売に響く)なので年配者はご遠慮くださいと言われるそうだ。それでスキューバダイビングは止めてしまったとのこと。今はプールでひたすら泳ぐだけとのこと。

ということは、私はもうスキューバダイビングにチャレンジする資格はないようです。もっとも経済的にも無理なのは明白。
というわけで齢70を過ぎた今、せめてスノーケルを覚えようって決心したわけです。
そう思い立ったのはいいのですが、スノーケルを教えているところってないんですよね。スキューバダイビングとかフリーダイビングなら舞浜とかに教室があるのですが、スノーケルだけってのはみつかりません。あまり簡単すぎるからわざわざ教室なんてないのでしょうか?


そこで、おばQ爺、パワーアップ作戦開始である。

現 状 目 標
今までおばQ爺、パワーアップ作戦
矢印
これから





とりあえず本を読んでみようと図書館でスノーケルをキーワードにして探したら、これもまたまったくと言っていいほどヒットしません。ボンベを背負うスキューバダイビングはたくさんヒットするのですが、スノーケルの本はないようです。それでもキーワードをいろいろ変えてみてヒットしたものを数冊借りて読みました。
実際には新型コロナウイルスが流行したため、図書館が3月初めから5月一杯3か月も休館してまして、予約したものの、手にしたのは6月初めでした。
何冊か借りましたが、その中で一番役に立ったと感じたのがこの「平常心のレッスン」です。
でもってこの本を読んで考えたこと、感じたことを少しばかり……

まず読み始めると、この本の内容というか脈絡はハチャメチャだ。私も頭がハチャメチャですが、それに輪をかけたレベルです。頭に浮かんだことをただただ書きつづったという感じで、回転が速いというか、チャランポランというか。
まさか著者岡本美鈴さんの頭がハチャメチャではないのだろう。きっと意図的にわかりやすい順番ではなく、感動を高めるように文章を書いているのだろうということにしておく。
ともかく時系列って、なにそれ、おいしいの? という感じで、あちこちにパッパッと飛んでいく文章に追いついていけない。私は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら読んだのであります。
筋道立ててというより「考えるな、感じるんだ」という発想というか、勢いで書いているのかもしれません。
まあその勢いに乗ってしまえば、それなりの流れで読み進めるのですが、理屈とか論理の積み重ねではなく、イメージ、感情、反射のつながりです。

それはともかく、この本の中でスノーケルが出てくるのは、まだ美鈴さんが泳げなかったとき、小笠原諸島でライフジャケットをつけてスノーケルをしたとあるだけです。あとはフリーダイビングについての心構えとか日常思うことなどなど
ということでスノーケルをしたいと思った人が読んでも、まったく役に立ちません。

でも読んでこれは参考になる! というのもたくさんありました。もっともそれはスノーケルともスイミングとも全然関係ないことです。
つまらない話ですが、最後に笑う者が最もよく笑うとか、最後に笑ったものが勝ちとかいいます。平たく言えば、終わりよければすべてよしということです。
私もそう思っていました。若いときは買ってでも苦労しろというのも、その発想かもしれません。
でも将来成功すれば良いというのもおかしな話です。まだ存在しない将来のために今を犠牲にするのか? もし明日交通事故で死んだら、自分の人生丸損じゃないですか。いつ死んでも後悔しないためには、常に最善を尽くすのはもちろん、現時点の満足を求めておかしくありません。将来はこうありたいと考えると同時に、今も楽しくありたいと願って当然です。
それに若い時つましい暮らしをして、老後安心なら成功ってわけじゃない。若い時豊かに暮らせれば老後は貧しくなってもしゃあないと割り切ってもいいんじゃないか。
ともかく老後のために若い時の楽しみを放棄するのはおかしい。
人生とは結果だけではないはずだ。あるいは人生は全期間を合計したもので評価しても良い。

イソップ物語に「アリとキリギリス」というお話がある。
このお話の教訓はアリさん偉い! 良い子はキリギリスのような人生を送っちゃだめよということだが、それは正しいのだろうか?
冬が来ない地域なら、働きアリさんはペシミズムとか言われそう。
冬が来る前にアリさんが死んじゃったら、かわいそうだねといわれるだけ。
いや待てよ、アリは長生きで冬を越すけど、キリギリスは秋に死んじゃう、もともと命の長さが違うんだ。明日がないなら蓄財しないよ。その代わりに子孫を残すんだから。
ナポレオンは悲劇だったのか? いっときでも皇帝になったなら大成功じゃないか?
ロシアのニコライ2世だって、革命で死んだ多くの無名の人よりははるかに幸せだったはず
私は宮本武蔵なり おっと、私は若い時も貧乏、中年のときも貧乏、老いた今も貧乏、でもいつも幸せだと思っております。少なくても、○○をすれば良かったとか、○○をしなくちゃ良かった、なんて思うことはありません。私は宮本武蔵、我事に於いて後悔せず(したことは後悔しない)。
それに老いた今は、後悔する暇もありません。今現在は、今を楽しく生きずにおられよか!と考えています。「楽しきは楽しめ、明日知れぬ人の命ぞ」なんても詩ありましたね。私の場合は「楽しきは楽しめ、明日なき命よ」であろうかと、
人は古稀を超えたら働きアリからキリギリスに変態するのです。


美鈴さんの発想はそういうニュアンスだ。サリン事件の経験から達観されているのだろう。


スノーケルの参考にはならなかったが、生きることの意味を再確認させてもらった。
人に言われるままに生きてお金持ちになっても、傍目を気にして失敗のない人生でも、それは自分の人生じゃない。自分勝手に望むまま好きに生きること、それが満足する生き方だと思う。
そして成功か否かは自分が決めること。金を稼ぐこととか優勝することが成功とは限らない。美鈴さんはフリーダイビングで世界一にならなくても、最高に自分自身に満足できるだろう。


老人マーク 本日の結論
スノーケルを学ぶには役に立ちません。でも人生論としては、再読、三読の価値あり。
もちろん年金生活者は金がないから、読みたくなったらまた図書館から借ります。

スノーケルの参考に読んだその他の本
書名著者出版社ISBN初版価格(円)
スノーケリング
ガイドブック
長谷川孝一誠文堂新光社97844168042922004.07.061800
基本的なことがしっかり書いてある。必読
スノーケリング長谷川孝一誠文堂新光社44168981181998.06.201800
前出「スノーケリングガイドブック」の旧版になるようだ。前半はあまり変わりはないが、後半は新版と違い多面的に書いてある。
LASCUBA Vol.12水中造形センター雑誌コード08280072019.05.31930
写真がきれい。私をビーチに連れてって💙
でも特にスノーケリングについては書いてないです
スキンダイビング
セーフティ
岡本美鈴他成山堂書店97844259556332018.08.021980
難しすぎてワカリマセン
沖縄スノーケリング
ガイド
瀬戸口靖JTBパブリッシング97845330784392010.03.191320
スノーケルを覚えたい人には参考にならない。
スノーケリング
テクニックガイド
長谷川孝一誠文堂新光社97844166134982013.04.301600
上級者向け、細かいことは書いてない。



外資社員様からお便りを頂きました(2020.06.12)
コラムにてダイビングの件、拝見しました。
スキューバのカードはCカード:CはCertification これも認証ですね。
種類は様々にあって、国際的に使えるのはPADDIのCカード
年齢制限は下限が10歳ですが、上限は無いはずです。
昔 フランス人の海洋学者 「クストーの世界」というTV番組がありましたがクストー博士は70歳越えても現役で潜っていました。
お聞きになった所が嫌がったのは、過去に事故があったからかもしれません。
今はコロナで観光が落ち込んでいますので、沖縄などではPADDI資格が取れるツアーもあります。(1Wくらい)
海洋実習などもあり海の事が色々判るのでお勧めです。

でも、すでにお書きになっているように、スキューバでなく、シュノーケルも楽しいです。
何よりも機材の値段が安いです。 ツアーの値段も安いです。
シュノーケルに、フィンを付ければ、とても早く泳げて楽しい。
これでも十分 海中の景色は楽しめますし、ジンベイザメやイルカと泳げるツアーが沖縄であり、参加した事があります。

結局、スキューバが必要なのは、南方の海で 沈んだ日本の船を見たいとか、海底のゼロ戦を見るとか、そういう場合くらいでしょうか。
https://oceana.ne.jp/column/58741
60歳以降ならば、シュノーケルの方がリスクが少ないし、費用も掛からないのでお勧めです。

外資社員様、毎度ご指導ありがとうございます。
言われてみていったいどれくらい事故が起きているのかとググりました。
ダイビングの事故って実際どのくらい起こっているの?
上記は海上保安庁管轄のデータです。元データにはたどり着けませんでした。
このほかに警察庁の報告があり、これは海岸とか河川の事故らしいです。
ともかくレジャー中の事故、死亡事故はとても多いことがわかります。驚くことにスキューバダイビングよりスノーケルでの死者が倍から3倍と多い。これは手軽だからと遊ぶ人が多いからか、しっかりした教育を受けてないからなのか、スノーケルはスキューバダイビングより安全というわけではないようです。
テレビなどで報道されるのはスキューバダイビングが多いのは、捜索にヘリコプターが出たり漁船が応援に当たったりということなのでしょうか。岸辺のスノーケルの事故なら大騒ぎになることもないでしょうし、
ともかくこういうのを見ると、見よう見真似ではなく、ちゃんとした講習を受けてからでないと危なそうです。ゼロ戦を見る前に、その辺をしっかりやります。寿命が尽きる前に間に合うか心配です。


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