私のスマホの契約はデータ3Gバイトである。いまどきたったそれだけか! という声が聞こえそうだ。
最近の使用データ量は、2月分514M、3月分553M、4月分442Mであった。
新聞社や通信社のニュース、メール、LINE、それにチェックしているネット小説を読む程度ではそんなものだ。
スマホで映画を見たり、音楽を聴いたりする趣味はない。もっともスマホでなくても、私はそういったものと関わりない。
それに私がスマホを使うのは電車とか出先でだけで、家にいるときはマンションの光回線につないであるパソコンだ。
5インチと32インチのモニター、また4G回線と光回線を比較すれば、どちらがカンファタブルか考えるまでもない。
kindleも長時間電車に乗るときは読むが、スマホよりパソコンのほうが頭に入る気がする。いや紙の本のほうがマッチベターなのだが。
ところが、何の気なしに今月分のスマホのデータ使用量を見ると、今月分の〆までまだ10日もあるというのになんと2.4Gも使っている。これはただごとではない。通常の5倍以上だ。
いったいどうして?
スマホの設定からアプリごとのデータ使用量はわかるのだが、いつアクセスしたかはわからない。いつアクセスしたか分かれば、どこで何をしたかトレースできそうだが。
アプリごとのデータ使用量をみると、ブラウザであるChromeのデータ使用が一番多く、次がQuora、LINE、Amazon…と続く。とくに何の異常もなさそうだが……
待てよ、ブラウザは電車の中とか暇があるとニュースを見ているが、Quoraは電車の中とか出先で見たり書き込んだりしたことはない。いつも夕食の後、居間で家内はテレビを見て私はスマホでQuoraを眺めている。
となると……家で使うときスマホがWIFIに接続されていない時があったことになる。
しげしげとスマホの画面をみると、自宅にいてパソコンの前に座っている今も、WIFIのマークがついてないじゃないか!
我が家の玄関わきの納戸に分電盤があり、その隣に光回線のコネクタがある。そこにバッファローのONUというのか有線LANをつなぐ機器(といってもスマホを厚くしたくらいの箱)が付いている。ここまではマンション管理組合の所有だ。
そこから各部屋へ有線LANがつながっている。私はONUにスマホを室内で使うために英雄が無料で配っている、ちっちゃい立方体のWIFIルーターをつないでいる。そいつの赤いランプが点滅している。
オイオイ、と思いつつ爪楊枝を探してリセットボタンを長押しすると、すぐに緑のランプが点灯した。同時に持っていたスマホにWIFIマーク がついた。
想像するにマンションで電気工事とか雷などで瞬停でもあったのだろう、その後ONUは再起動してもWIFIルーターが再起動せずにエラーが起きたと思える。
パソコンは有線LANだからWIFIが停止していても気づかなかったのだ。
スマホの設定から入って日々のデータ使用量のグラフを表示させると、6月初めから急激にデータ使用が増えたのか分かる。しかし分かっても今更どうしようもない。
とにかく、なぜか気になって使用データ量をチェックしてよかった。キャリアからは毎月初めに、先月22日(名目は先々月分になる)までのひと月分のデータ使用量と金額の通知が来るが、その時気が付いたのではこれからひと月もWIFIでなく通常の電波を使うところだった。契約の3Gバイトを超えるととんでもなく高くなるのだ。ヨカッタ、ヨカッタ
これからは常日頃WIFIマークに気を付けようと思う。完全な是正処置となるとどうすればいいのか分からないが、とりあえず一件落着である。
これを機会に使用状況分析ツールなるアプリをインストールした。これは日々、使ったアプリの使用開始時刻と使用時間を記録してくれる。アプリごとの使用状況をみて改善をしようと思う。
それから毎日、使用状況分析ツールを見ているがけっこう面白い。スマホで見ている時間が一番長いのはブラウザだが、私はテキストがメインのサイトしか見ないから、1回あたりの通信時間は数秒から長くても20秒くらいだ。
老人クラブのLINEでは、写真や動画を送るのが大好きご老体は多いが皆最長で30秒くらい。定時ごとのメール受信は0秒から1分以内。
一番データ通信が長いのはU-tubeだった。新着の通知で面白そうなタイトルを見ると、つい電車の中で見たりするがデータをガバガバ使うのだ。反省!
使用状況分析ツールをインストールするときキャッチフレーズなのか宣伝文句なのか「測定できないものは管理できない」とあった。
三現主義ともいうけれど、確かに事実を知らなければ改善はできない。言われてしまったなあ〜と苦笑いした。
私の現役時代の職場は、大手企業の本社の環境部門だった。本社機能だから具体的な公害の届とか廃棄物処理をしていたわけではない。工場や支社やグループ企業が法を遵守し事故が起きないように、法律の制定・改定の周知、そして省エネ、廃棄物削減の推進を指揮するのがお仕事である。
職場にいるのは省エネの推進、欧州の化学物質規制対応とか、製品の環境対策などそれぞれの専門家ばかりである。私はもちろん遵法監査である。
「測定は改善の第一歩」というのが、省エネ担当のお兄さん(といっても私より若い東大のドクター)の口癖だった。
もちろん工場に行って「測定しろ」といって済むわけではない。20年前、彼は工場に行って、大量に電気を使っていると思われる設備に電力量計をつけて、その測定データを工場に記録させた。その後、技術が進歩して測定したデータを無線で送信するセンサーができると、それをたくさんの設備に取り付けて工場の実態を把握するように指導した。
それだけで省エネが進むのかと聞くと、実態が目に見えるようにすると、あとは工場側が勝手に省エネを進めていくものさと笑った。
確かに電気代は工場では最大費用だから、本社から言われるまでもなく手がかりさえあれば改善・削減に努めるだろう。
「測定は改善の第一歩」は真理であると実感した。
あれ、でも私が監査で不具合を見つけても、なかなか是正が進まなかったのはなぜだろう? 監査結果は測定じゃないのだろうか?
最近「節水」、「ごみの話」と書いたから次は電気となるのが普通だろう。ところが、水もごみも、総量だけでなく内訳と量がある程度わかるから、問題点がみえてさらさらと改善案が思いつく。
だが電気代は内容詳細がわからない。分からないというよりわざわざ分かりにくくしているように思える。
まず我が家はオール電化である。そしてエコキュートは200V受電でかつ深夜契約になっている。また広い部屋のエアコンは200Vである。そんなわけで契約内容が複雑怪奇、月の電力使用量と電気代がリニアーでないのだ。
例えばエアコンを使ってもそれが100Vか200Vか、そして使用した時刻によって使用電力量が同じでも、電気代が異なる。もちろん無駄使いしないよう考慮しているが、シャワーを使いすぎれば日中でもお湯を沸かさなくちゃならない。
月々の電気代をみても、どういう対応をすれば電気代が減るかが単純に分かるわけではない。
もちろん総量を減らせば電気代が減るのは間違いないが、時間をずらしたほうがいいのか、200V用機器と100V用機器を見直せばいいのか、どれを省電力機器に更新すれば効果が大きいのか、まったく見当がつかない。
そもそも減らすべきなのは、電気代なのか電力量なのかも判然としない。
環境のためというなら電気料金より電力量とも思えるが、深夜電気料金が安い理由は深夜の電気が余っているからだ。ならば電気代と環境保護はリンクしているのだろうか? そうであればコスト削減イコール環境保護になるはずだが、そうかどうかは分からない。
電気代を安くするためのアイデアとして、大きな蓄電池あるいはプラグインハイブリッド車を備えて深夜電力を充電しておき、日中の電気を使用しない方法が良いのか? 驚くことはない揚水式発電とはつまりこれだ。
そうなると
というプロセスのロスと、デイタイム料金とナイトタイム料金の差額及び充電設備の投資金額によって金額的な損得は決まる。
だけど基準がわからないから対策が決まるわけがない。とはいえプラグインハイブリッド車とかリチウムイオン電池の値段を考えると、考えるまでもなくなにもしないほうが絶対お得だ。
実は深夜と日中の電気料金の違いもはっきりしないのだ。
★電力会社★ | 7:00〜23:00 | 8:00〜22:00 | 23:00〜7:00 | 21:00〜9:00 | 22:00〜8:00 |
東京電力 | 32.74 | 🌓 | 21.16 | 22.97 | 🌑 |
中部電力 | 🌗 | 28.52 | 🌚 | 🌘 | 16.3 |
関西電力 | 23.47 | 🌓 | 10.7 | 🌘 | 🌑 |
東北電力 | 🌗 | 24.2 | 🌚 | 🌘 | 15.88 |
早い話、どれが得か損かわからない。だって契約も昼夜の時間帯も違うし、基本料金からして違うんだから。
もしすべての条件を合わせてしまったら、私のような素人でもすぐに高い安いがわかり、電力会社としては面白みがない(騙す余地がない)のだろう。
「千葉県住まいなら東京電力だろう」なんていう言い方が通じたのは今は昔。現在では、住まいと電力利用状況を打ち込むと、全国一安い電気会社を示してくれるサイトもある。
しかしこの一番電気代が安い供給会社を示すといっても、前述のように契約内容が微妙に違うのだから本当の比較ではない。
電力のように現実には測定する以前に、測定条件が統一されていないものが多々ある。
となると「測定は改善の第一歩」ではなく「基準合わせが改善の第一歩」ではなかろうか。
既に共通な基準があるのは、既に最難関を突破している幸せというか素晴らしいことなのだ。
とはいえ、電力はkWhとか円という単位は共通だからまだいい。世の中には改善しようとしても基準もなく指標もなく、そもそもどう評価したらよいかわからないものは多い。
私がいつもISO認証の信頼性とは何かと世に問うている。ISO信頼性がどうこうと講釈を語る人は多いが、ISO認証の信頼性の定義など聞いたことがない。
注:信頼性の定義はJIS規格でされているが、規格によってさまざまである。「信頼性」を定義したJIS規格が10数件もある。
JISB9955:2017の定義
「機械製品又は機械要素が、考えられるあらゆる負荷のもとで、通常の使用に対して機能できる能力」
JIAZ8115:2019の定義
「アイテムが、要求されたとき、その要求とおりに遂行するための能力」
まさか「ISO信頼の指標はISO認証件数だ」と語った元JABの中川 梓説が適切だと思う人はいないだろう。どう考えても、そんなものが認証の信頼性の指標になるはずがない。
もしそれが正しいなら、ISO認証発祥時に認証件数ゼロのときは認証信頼性ゼロだったのか? そして2021年の今、認証件数がピークのときより半減しても、制度発祥時より信頼性は高いといえるのか?
現実を見ると認証件数ゼロのとき信頼性は最大で、累積認証件数が増えるほど低下してきたように思える。昨日より今日、今日より明日は信頼性が低いのは間違いない。
ともかくMKS単位系とそこから派生した確固たる定義があるものならよい。しかし世の中には感覚的な表現しかないものも多い。そういうのはどう評価するのか? どう比較するのか?
勘という言葉に逃げたくはなく、総合的判断という総花的なあいまいでごまかしたくもないが、世の中割り切れないことは多い。
そういうあいまいで割り切れないのを割り切ろうとしてきたのが科学であり標準化作業だったはずだ。
そして行き着いた先が「測定できないものは管理できない」であり「測定は改善の第一歩」というものなのだろう。
しかしそれもおかしい。まだ単位が定められていないものは管理できないのだろうか?
測定できないものは改善できないのだろうか?
過去より人々は測定できないものは代用特性を考えたり、定性的な尺度を考えたりしてきた。
電子顕微鏡もなく見ることが叶わないときは、濾過機を通り抜けてしまう病原体をろ過性病原体(ウイルス)と呼んだ。
遺伝を伝えるなにものかを直接見ることができなければ色を付けて、それを染色体と呼んだ。
高温を測る方法がなければ、いろいろ混ぜ合わせた粘土で種々の温度で軟化する三角錐を作り、それらを高温になるところにおき、どの三角錐までが変形したかで温度を見極めた。
我々は先人に笑われないように頑張らねばならない。
もちろん測定という語句の意味だが、定量化が望ましいができなければ定性化しただけでも有効だろう。あるいは特殊能力者だけでも判定できるなら、その能力検定を設けることもありえるだろう。光温度計ができるまえは目視で見極めていたわけだ。
いずれにしても「現場」「現物」「現実」を把握しなければ、改善も対策もできない。
「測定できないものは管理できない」なんて寝ぼけたことを語るのでなく「測定できないものをいかに管理するか」を考えなければならない。
本日の屁理屈
「水」、「ごみ」と書いたから「電気」を書こうかと考えていて、スマホのデータ使用量に驚き、これらをつなげて一話にしてみましたが、いかが評価されましたでしょうか?
おばQさま いつも面白いお話を有難うございます。 >「ISO信頼の指標はISO認証件数だ」というご高説 顧客満足度から考えれば、せめて継続審査の件数でしょうね。 つまりマイナス? そういうと「それは世間に普及したからだぁ」とか仰りますでしょうか? >電気料金 今は「エコーネット」とかスマートハウス言って、各電源タップや家電の消費電力が一目瞭然に判るのですが、昔から工場で導入されたのですね。 スマートハウスとかEco-Netって、結局普及したのでしょうか? 結局 家電も、商品価値に繋がらなければ余計なものは付けませんので、最近は見ません。 SDGsとか、持続可能とか言うなら、昔からやってたことを地道に継続すべきと思いますが、結局は流行り廃り? >データ通信 スループット 実は、この測定は頭が痛い。 一定時間の総量では測定できますが、フィールドでのデータ通信速度は、ほぼ測定不能です。ここでいうデータとは欲しい情報の量をさします。 無線通信では周波数、時間という2つの大きなドメインがあって、さらに通信パケットの効率という不確定要因が加わるからです。 無線通信を複数車線の高速道路に例えれば、空いている状態ならば車の速度や能力がそのまま出せます。 しかし利用者が増えれば、車線が混んで、自由な速度で走れません。 追い越ししたくても車線が混んでいれば駄目。 高速車線に、遅いトラックがいたり、挙句の果てに路側帯を走るやつとか、事故渋滞とか。 車線は周波数帯、車は個々の通信機器、通信速度が落ちると空いている周波数(車線に相当)をめがけて周波数を変えます。 通信パケットは車の荷台や荷箱で、データは運びたい荷物そのもの(箱の中身)。空荷で戻る車もいれば、荷物満載の車もあり。 積まれた荷物の通過量がデータ通信速度になります。 ですから一日の交通量から車の移動量は集計できますが、ある時間の車が運んでいる自分の荷物の量は不明。サービスエリアで休むやつもいますし、荷物の積載状態や箱の状態なんて個別に判らない。 動画の再生では、サーバー側は集配業者(Amazonとか)みたいなもの。 発注が集中すると効率的に裁ききれなくなります。 Amazonで巨大段ボールに、小さな部品が一つみたいなのは、配送の仕方が悪いと荷物を効率的に配送できない。通信ではパケットが段ボール、データが中の荷物。 段ボールの数は欲しい荷物に比例しません。 インストールされたアプリは、段ボール(通信料)の数は測れても本当に欲しいデータ量は測れません。 Amazonの場合は配送料が余計にかかったら、配送業者が負担。 でもデータ通信では、課金は通信料でされるから。これは消費者の負担です。 だから通信サービスは「ベストエフォート」なんて言葉が当たり前で、データ量は管理が出来ませんという事を遠回しに言っております。 |
外資社員様 毎度ありがとうございます。 >顧客満足度から考えれば、せめて継続審査の件数でしょうね。 いやいや、日本には村社会ですからいろいろとしがらみがあります。審査員として出向を受け入れてもらっているからとか、業界団体から締め付けが〜なんてことで認証継続しているところが多いようですよ、怖いですねえ〜 >電気料金 だいぶ前にコンセントに差し込む電力量計が家庭用に出回った時期があったように思います。⇒こんなもの 会社にサンプルが何個かあったので、私は自宅で使ったことがあります。家内に「必要だから電気を使っているんだ。測るだけ無駄」と言われて禁止されてしまいました。 まあ冷蔵庫を止めるわけにもいかず、洗濯機の設定は電気料金より汚れ落ちが優先でしょうし、人がいないときテレビをつけていないし、廊下・玄関・トイレなどはみな人感センサー付きのLEDランプですし、今以上どうこうできそうがありません。 家内は >データ通信 スループット 言われて気が付きました。接続時間の長短は伝送データ量じゃなくて、パケットが連続しているかパラパラ来るかの影響のほうが大きいですよね。まさか500kB位のjpeg画像が30秒もかかるはずないです。 となるとおっしゃるようにデータは測れませんね。アプリを見ても意味がない! アンインストールしましょう。 ところで私の住むマンションは高速光付きってキャッチフレーズでしたし、今まで速度に問題なかったのです。しかし在宅勤務がチラホラするようになり昨年初夏頃から、遅い!という不満が出るようになり、現在一層の高速化したいと光業者と検討中です。よってわがマンションでは「ベストエフォート」ではなく「ワーストエフォート」がウリです。 |