大学のISO14001認証推移(2)

21.09.02

21世紀初め、大学がISO14001を認証することが流行した。今、大学でISO認証している数はどうなのだろう? そんなことからどんなことが分かるだろう?
本日はそんなことを考える。実は本日は2016年に書いたことの続きである。

ISO認証を流行なんていうと、「ふざけるな!」とか「俺たちは真面目にやっている」なんて声が返ってくることを期待する。
私は商売柄ISO認証に極めて関心が高かった(笑)から、用事や講演を聞きに大学に行ったら、必ずISO担当の教員や施設管理部署や学生にいろいろ話を聞いた。
はっきり言って教員を含めて大学のISO関係者の9割はISO規格なんて理解してないし、認証の意味も知らなかった。教員の中には審査員資格を保有している方、それも主任審査員だった方もいたが、規格を理解していた方に出会ったことはない。
手に負えんわ 残り1割は理解していたわけではなく、私が話を聞く機会がなかっただけだ。

注:大学の教員でISO審査員資格保有者というのはけっこういた。審査経験などはどういう形で積むのだろうか? 契約審査員なのだろうか?

そんなことを言うと大学だけでなく企業だって同じだろうと返ってくるだろう。確かにISO規格や認証の本質を理解している人なんてひと握りだろう。しかし絶対に違うところがある。
企業人は意識高くない。物事を聞いてその目的とか理想が高くても、お追従なんて絶対に言わない。
理屈はともかく現実はどうか? 費用対効果はあるのか? 当社がやることに意味があるのか? 定款などとの関係はどうか? まあ常識人としていろいろ考えます。
それに対して大学の先生も学生も意識高い系だ。地球がアブナイ、シロクマがアブナイ、ツバルが沈む、私が地球を救うなんて信じてるんでしょうか? 企業と違い、意識高い人でないと大学では生きていけない……のかどうか、そういう人が多い。

注:意識高いというと、本来は向上心があり常に自己研鑽に努めている人のことだろうけど、最近ではかっこいいことを語り自己を過剰に演出する人を意味する。

私が思うに、ISO認証の意味を考えれば、大学が認証を受ける必要性は全くない。もちろん環境保護に努めているというメッセージの発信(宣伝)にはなるだろう。でも多くの大学が認証した時点で差別化できなくなり、受験生や企業に対する効果はなくなる。20年前ヴィトンが流行ったが、みんなが持つようになると差別化できなくなり、流行は終わった。それと同じだ。

投資対効果が見えないことのために大金を費やすのは利口なことではないことを理解した大学は夢から覚め、認証をやめたのではないだろうか。


現時点、日本ではいくつの大学がISO14001の認証を受けているのか?
JABは最新の認証組織のデータを公開しているので、現時点(ほぼ毎日更新しているようだ)の認証件数とその大学名はわかる。
だが公開しているデータは常に最新情報で上書きしているので、過去のデータはわからない。正確なISO認証をした大学の時系列のデータが必要なら、研究のためとかの理由でIABに提供要請すればどうだろうか?
私は研究者ではないので、JABにそんなことできる立場ではない。それでネットで大学のISO認証についての講演や論文などを探して、そこにある数字を時系列につなぐしか手がない。ところがどういうわけか、同じ年度でも発表者によって認証件数が違うので、ふたつが異なるときはデータを平均するとか、データがない年度は補間するしかなく、精度は高くない。
ともあれいってみよう。


下のグラフはそのような方法で作ったISO14001を認証した大学の数の推移である。
なお、ISO認証を受けている大学といっても、その認証範囲は大学全体もあれば学部がひとつのこともあり、学生を含まず管理部門だけのこともあり、さまざまである。ここでは認証範囲にこだわらずすべてを計上した。

ISO14001認証の大学

見て分かるように、ピークは2009年でこの年、49校が認証していた。しかしその後の10年間ほぼ一直線に減少して、2021年8月31日時点で7校ピーク時の14%となった。
ほぼ左右対称と言ってよいだろう。グラフのベースラインはゼロだから、一目でISO認証のブームは完全に去ったことが分かる。

これをIS14001O認証全体の認証件数推移と比較するとどうだろう?
下のグラフはQMS、EMSそして大学のISO14001認証件数の推移である。認証件数がそれぞれ違うので、ピーク時を100%としてグラフを描いている。

ISO14001認証件数推移

グラフを見ると、いずれも2006年頃まで急激に立ち上がり、2006〜2009年までなだらかな頂点を過ぎて、2010年から減少に移っている。
更にISO9001とISO14001の認証件数のカーブは、ピーク時を過ぎてからほぼ同様に年率4.4%減少であるが、一方大学の認証件数の減少率は極めて大きく、年率10%程の減少をしてきた。
なぜ大学のISO認証はこれほど急激に減少したのだろう。なぜ一般企業の認証はこれほど早く減少していないのか?

実態調査をしたわけではないから真実はわからない。しかし認証を返上することに対する抵抗は大学のほうが企業より少ないからではないのだろうか。
企業のISO認証理由には、取引先からの要請とか、同業他社が認証したからというのが調査年を問わず多い。特に昨今はグリーン購入とかグリーン調達として供給者に対して、環境配慮の調査とか認証の要求をするところが多く、己の意思でなく顧客要求に対応したというところが大多数だ。

一方、大学は顧客である学生や親御さんから、そのような要求が出されることはまずない。仮に顧客個人がそう期待しても、大学に要求するという形はとらない(とれない)のではないだろうか。
同時にまた大学がISO認証したとしても、学生の就活において具体的な効果は期待できない。学生が業務に関係する資格があれば採用時に考慮されることはあるだろうが、出身校がISO認証していても採用時に考慮されるはずはない。

ISO認証の意味を大学関係者が理解していないと前述した。それを説明する。
まずISO認証の意味を解説しているのは、IAF/ISOの共同コミュニケ(注1)しかない。そしてISO認証の元締めがIAFなのだから、彼ら以外に信用できる解説があるはずがない。
IAFが語るのは認証とは、組織がISOMS規格を満たしていることの証明であるという。
ISOMS規格が立派なものである証明もない、それどころか何度も改定されているわけで、 やれやれ 過去にも表現不適切とか漏れとかいろいろあった。またISOMS規格が環境マネジメントシステムに必要十分であるかどうかも定かでない。
ならば認証を受けた組織がISOMS規格を満たしていると裏書されたとして、それがいかなる価値があるのだろう。そういうことを理解していた大学の先生に会ったことがない。もちろん学生にも会ったことはない。

そう言われると疑問がいくつも湧き出てくるだろ。
まず過去からの環境マネジメントシステムはISOMS規格の規定するマネジメントシステムより優れているのか? 劣っているのか? 過去からのものが優れているなら何もする必要がない。過去からのシステムが不十分であったなら不足していたことを補強すればよい。

日本のように環境法規制が整備されているとき、法規制を遵守することだけでなく、更に何かする必要があるのかという疑問がある。
ISO14001初版において、法規制だけでは足りないこともあると序文で述べていた。発展途上国なら、環境法規制まで手が回らず、いや国民の目も届かず企業の手も回らず公害発生の恐れもあるだろう。

だが日本は典型7公害をはじめ、廃棄物処理などネガティブ面の規制は1970年から整っているし、それからのオイルショックなどを反映して、省エネ、廃棄物削減、化学物質規制や表示などポジティブ面も整っている。企業において環境管理をしているものから見れば、これ以上何をするのかというのが実態ではないのか?
ISO14001で環境目標を立てなさいと言われても、省エネ計画は法で定める義務、廃棄物削減は義務、製品の省エネも義務、製品に使う物質の規制も義務、製品の包装材削減も義務、製品輸送の省エネも義務、はっきりいってISO14001などなくてもやることは変わらない(注2)

次に、自社の環境マネジメントシステムを検討した結果不備があったのでISO14001に合わせて見直したとしよう。その結果、遵法対応が向上したとか社内の管理体制が良くなることが期待されるとしよう。
ではそれをお金をかけてわざわざ外部の人間にチェックしてもらうことが必要か?
会社で何よりも大事なお金の使い方の検証を公認会計士に頼む会社もあるが、頼まない会社もある。
新製品開発において社内に試験設備がなければ欧州までもっていって試験をしたりするところもあるが、多くの会社は社内で検証しているだろう。
環境マネジメントシステムがISO14001要求を満たしているか程度のことを、わざわざ大金を払って外部にチェックしてもらうことに意義があるかどうかである。

ISO認証することで環境管理が向上するとは思えない。
過去には経産省がISO14001などにうつつを抜かすことなく、しっかり環境管理をしろという通知もあった(注3)


私は近隣住民として、近くにある工場がISO14001認証しても何もうれしくない。そんなことより工場が安全に法遵守して運営されていること、事故や供給が止まることがないことを説明してもらったほうがうれしい。
私が大学の近隣住民だったら、大学がISO14001認証しても何もうれしくない。そんなことより普段の管理体制や測定結果あるいは公害防止設備の更新計画などを、定期的に説明してもらったほうがありがたい。

いやそれよりも大学の近隣住民なら、ISO14001認証よりも学生の品行、雰囲気が悪化しないような教育をしてもらいたい。
タバコの吸いすぎに注意 働いていたとき取引のあった会社で聞いた話だが、そこの近くの大学では、毎朝 教職員が駅から校門まで立っていて、吸殻を捨てるな、歩道からはみ出すなと声掛けをしているという。そして学校のレベルが低いと笑っていた。
しかし私は、レベルが低いなりに一生懸命対策をしていると感心した。そして当時ISO認証した大学への駅からの道に吸い殻がたくさん落ちていたところも知っている。あなたが近隣住民ならどちらが良い?


まあ大学がISO14001認証しようがしまいが私はどうでもいい。
過去の私の予想が当たったかどうか、そしてこれからどうなるか考えよう。
2016年9月に私は「大学のISO……」で、そのときから5年後の2021年のISO認証件数は、QMSが28.300件、EMSが14,500件と予想した。

お馬さん
さて予想屋おばQは当たったか?

2016年の予想2021年8月末誤差
ISO900128,30023,972+4,32818%オーバー
ISO1400114,50013,171+1,32910%オーバー

予想ははずれた。たった5年先を18%もはずれたら予想屋失格だ。
いやネットで2016年時点に2021年のISO認証を予測した人は私以外いないのと、量的には違ったけど方向は間違えてないから許してほしい。
ともかく現実は私の予想よりはるかに悪化している。

これに懲りずに次の5年後を考えよう。
大学の減少傾向から、認証全体の減少を予測することはできるだろうか?
下にグラフを再掲するが、認証件数の推移を比較すると、増加や減少は違えども、認証件数のグラフの形は同じに見える。ピークまでのグラフの前半はそのままに、大学の認証推移のグラフのピークから後半だけを横にほぼ2倍に伸ばすとQMSとEMSのグラフとほぼ重なる。

ISO14001認証件数推移

注:グラフは作ったのですが、ウェブにアップするとサーバーを食うのが嫌でここに載せませんでした。

大学の認証推移と同じく単調減少すると仮定すれば、ISO14001とISO9001の今後は現在の傾きで外挿してもよさそうだ。ISO9001とISO14001の将来方向に延ばせば今後の減少が予測できるはず。

認証件数予想

上のグラフはISO9001とISO14001の認証件数の過去の推移のグラフを右方向に延長したものである。
認証件数6,000件のところにオレンジ線の水平線を引いた。6,000件というのは意味がある。
1992年はEU統合の年であり、そのときEUの法律か何かで域内の製品・サービスの流通においてISO9000s認証が求められた。EU域内に輸出していた日本企業もそのあおりを受けて、ISO認証にひた走ることになる。私はその時からISOとの付き合いである。

注:ISO9000sとは、当時ISO9000シリーズの認証規格には、9001、9002、9003の3種があり、どれでも認証していれば良かったのだ。

実際には1993年頃から認証対応がスタートし、先行者はともかく大々的に認証が始まったのは1994年くらいからだろう。そして輸出のために認証が必要となった企業のほとんどが認証完了したのが1998年で、そのときの日本のISO9001認証件数は6,000件である。

ここからは私の推測だが、日本の企業で事業を進める上でISO認証が必要なのは6,000件くらいであろうということだ。現在の認証件数から6,000を引いたそれ以外は顧客要求ではなく自発的に(あるいは隣百姓的に)認証していると考える。
えっ!隣百姓を知らないって、それなら赤信号みんなで渡れば怖くないと言い換えよう。いやみんなが赤信号を渡るなら、自分も渡らなければならないのかもしれない。

そこから私は認証件数が6,000件になるときが、認証の歴史の終わりかと思った。
ISO9001が増加時に6,000件になったのは前述のとおり1998年であり、減少して6,000件になるのはグラフから12年後2033年と見込まれる。
ISO14001は2001年に6,000件を超え、今後現状と同じく減少すれば8年後2029年に6,000件を下回る。

おっとISO9001の最低需要が6,000ならISO14001はもっと少ないのかとなると、そうではないように思える。ISO9001を認証した企業はほとんどがISO14001を認証した。だからISO14001の最低需要も6,000と考えている。

もちろん世の中の出来事は相互作用によってものすごく変動するわけで、また臨界点のように、あるところから相が変化することもありえる。いずれにしてもこの認証件数6,000は一つのポイントだろう。

そんな風に考えると、QMSとEMSの終わりは認証件数が6000となった時ではないだろうか。終わりとは消えてなくなるのではなく、そこに至れば増えることも減ることもなく極相のように安定して継続するのかなと思う。

2029年と2033年は4年違うとか、はっきり一つの点を示せと言われても困るが、古くから予言は明確に時を告げないのが基本である。まあ2029年から2033年くらいの範囲は許してほしい。
幸運ならそのときまで私は生きているだろうから、この予言が成就するか否か見届けることができるだろう。


最後に過去に私が予想したことについて釈明をする。
2016年に「大学のISO14001認証件数の推移」において、私は2021年つまり今年に認証件数のピーク時の7割となって終焉すると予言した。実際には認証件数は6割を切ったが認証制度は終焉はせずに予言の半分は外れた。

だが考えてみれば、流行が過ぎても需要がゼロになるわけではない。認証件数がいくら減っても認証が必要な企業は認証を継続するだろう。前述のように今回私はISO認証は6,000件は残ると予想したわけだ。となると以前語ったピーク時の7割で終焉するという論は、現実に合わない。

論点はビジネスの終焉とは何かである。製品のライフサイクルなんて話が昔あった……あっ、今でもありますか? ……たいていの場合、 製品ライフサイクル 最盛期の70%を切るともうおしまいだと市場撤退することが多い。だがもちろんその製品サービスの需要がゼロになったわけではない。シュリンクしつつある市場で最後までビジネスを続け残存利益をかき集める企業もあるだろう。
認証ビジネスは資本も規模も小さくても行えるわけで、認証制度そのものを縮小して小さな市場を相手に事業を営むことは困難ではない。

だからますますシュリンクする認証市場に対応して、認証機関の撤退や合併により、認証機関は少数になるだろうが、認証ビジネスはなくはならないだろう。
そして認証が必要な会社のみが認証を受ける状態、件数にして6,000まで減った時が認証の極相であると、本日見解を変えたことを表明する。


うそ800 本日の締め

オイオイ、大学の認証推移といいながら、「大学におけるISO認証のこれから」には言及しないのかという声が聞こえる。
だから言ったでしょう。ブームは過ぎたって。終わらないブームはない。終わらないブームはブームでなく進化だ。
大学生 大学のISO認証はもう終焉でしょう、必要ない組織(大学)が認証を受けていた。そして無駄に気付いて認証を返上したならおわりです。もちろんすべてのものに例外はある。現在認証を受けている7つの大学はきっと例外なんです。そのうち認証が無駄だったと気づくでしょう。

フランシス・フクヤマが歴史の終焉という本を書いたのは1992年。もちろんそれは人間が死に絶えて人類の歴史は終わりだ、というわけではない。
東西対決は共産主義の敗北で終焉し、これからも歴史は続くけどもう大きな革命もなく波乱もないグレーに塗りつぶされた平板なときが続くだろうという意味で、歴史は終わったと言ったのです。
まっ、実際はご存じのように歴史は終わらず、国家間の紛争もあり、国家でない小規模な宗教や主義による武力勢力によって争いは終わりません。それに中国の台頭も問題です。
おっと、歴史が終わらないようにISO認証がゼロになるのもまた来ないのだろう。




注1
注2
わざわざ断っていないが、もちろんほとんどの規制においては、足切り(一定数量以下は対象外)となっている。興味があれば省エネ法、廃棄物処理法、容リ法などをお読みされたし。

注3
「公害防止に関する環境管理の在り方」に関する報告書、経済産業省、2007.03.15





外資社員様からお便りを頂きました(2021.09.03)
おばQさま いつも興味深いネタを有難うございます。
おばQさまの予想以上に認証数が減っているとは,これは凄い。
知人の大学教授に聞いた所では,大学の運営重点は
1に文科省さまの御意向私立だろうが補助金頼みだから当然
2に入学者が増えるか,2年前までは留学生頼み,コロナで大変みたいです。
ISO認証は文科省が必要と言わないし,入学者の増加には効果なし。となると,経費削減で真っ先に無くなるのでしょうね。
昨年,今年の学生さんは気の毒で,入学してもオンライン授業ばかり。知人の大学でも,やっと10月からキャンパスでの授業が一部再開するそうですが,それまではひたすらオンライン。
これなら,始めから授業料の安い通信講座の大学の方がましだった。かと言ってオンラインだからと授業料を下げた話は聞きません。
どこも横並びだから,「真っ先に下げたら入学者増えるのでは?」と言ったら「無理だねぇ」の一言。
何で無理なのかは長くなるから書けませんが,ようするに唯でさえ大学は金不足のようです。
知人の大学は人気校ですが,そこでも苦しいなら,他は推して知るべし。まぁ,人気校の場合は,無理に受験者を増やしても,受験料以外は収入は増えませんので。

ISO認証,大学の認証は減っていますが,3年前から増えているのはISO17025。
オリンピックで,選手村の食事:残留農薬が無い,土壌汚染,水質検査,検疫など,検査業務は山ほど。
ILACの枠組みで,ISO17025を取った機関でないと,検査結果が海外で認められません。
ところが不思議な事に,日本の公的機関(保健所や検疫所)などは,とっていないのですね。親方日の丸で,自分が審査される事は考えていなかったようです。
流石に公的な試験所は,体制には問題は少ないのだが認証は無しが多かった。一部には,やってみたら杜撰な事例も(記録が無い,校正していないなど)
とにかく,この分野は,未だに認証の需要はありそうでした。

外資社員様 毎度お便りありがとうございます。
最近、ネットでは大学を減らせなんて声が多いです。Fラン大学なんてなくてよいとか、専門学校のほうが役に立つとかいろいろです。他方ポスドクの問題も大変ですね。ドクターになっても安定した職に就けないと不安でしょう。
大学卒が多すぎるということもありますね。うちの息子も仕事は大学の学科とは無縁の会社員です。それなら4年間は無駄だったという気もします。家内はどんな仕事でも大卒でないと就職できないといいます。そうなんでしょうか?
マスターもドクターも多すぎるのか、それともレベルがどうなのか? ドクターの数と書かれる論文の数はリンクしないなんて記事を見たことがあります。
そういうことを考えると大学の在り方そのものを見直ししないとならないですね。入試の難度じゃなくて、どんな能力が付くのかということで考えるべきでしょう。官僚を作るならそれに特化する、研究者を作るなら学部からそれに特化する、一般事務員を作るならそれに特化する。そして一定水準を達成したら2年でも3年でも卒業して社会に出てもらう。社会に出るまで青春を楽しむ場所では大学じゃありません。
1970年頃、ドラッカーが時代とともに学歴が上がってきたのは、寿命が延びて社会に出るのを遅らせたい意識によるものだとか語っていました。それがほんとのところかなという気もします。

ところでISO17025が盛況なんですか? 興味を持ちましたのでISO17025の試験所がいくつあるのか調べようとしたのですが、認定機関が複数あるようで全体はわかりません。
JAB認定の試験所は年ごとにどんどんと増えているようです。全体の代用特性にはなるでしょう。
ISO17025試験所数
しかしこれほど伸びて仕事があるのかなといささか心配です。ところでしげしげとグラフを見ると2018年くらいが変曲点かな、これから頂点に至り下がるのかという気もしますが、私が老眼のせいかもしれません。


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