ISO第3世代 28.社内説明4

22.11.03

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但し引用文献や書籍名はすべて実在のものです。

ISO 3Gとは

社内説明も、重大とか喫緊と言い出した部署から進めてきた。深刻だと語っていた部門はほとんど片付き、今は後でもいいよと言ってくれた部門を訪問している。
説明というと審査の準備のはじまりのはじまりと思うかもしれないが、受査のスタンスが「あるがまま」であるから、話し合いの結果 納得してもらえれば、もういつ審査を受けても大丈夫ということでもある。

もっとも「あるがまま」だからこそ、実際の文書や運用に瑕疵がみつかることもあり、それはどこの会社でも同じだろう。そしてISO的には不適合にならなくても、法や社内のルールから逸脱するなら、ISOどころではない重大ごとであり即対応をせねばならない。

某日、朝のミーティングで、磯原がビル管理部門に説明に行くというと、アメリアが付いていきたいという。同行者が増えるのは構わないが、アメリアの研修計画が遅れるのは困る。アメリアが計画表で進捗を説明するのを聞いて、磯原は連れていくことにした。
佐久間は人事から教育訓練で相談を受けていて、そちらに行くという。


ビル管理というと総務部が頭に浮かぶが、今回は総務部の山本から、地下2階にある「スラッシュビル管理会社」の事務所に来てくれと言われた。
オフィスビル このビルは地上33階・地下5階である。地上1階から2階まではレストランやブティックが入っている。3階は医療モールとなっている。4階より上はオフィスビルである。スラッシュ電機は4階から9階までを賃借している。

このビルに入るとき高層のほうが良かったという社員が多かったそうだ。だが入居してすぐに発生した東日本大震災で、上層ほど揺れがひどかったことと、当日はエレベーターが動かなくなり上層階の人たちが1階まで下りきて疲労困憊だったことから、今では高層でなくて良かったという人がほとんどだ。

磯原は地下1階のコンビニはいつも利用しているし、会社の宴会とか仲間との飲み会では地下1階の居酒屋を使うことが多い。だがそれより下には行ったことがない。
行く前に何でも知っている 柳田ユミ 柳田に聞くと、地下2階は設備部門や郵便や小荷物関係そして子会社のオフィスがあるという。そして地下3階以下は駐車場や倉庫、廃棄物集積場、機械室などだという。柳田に行ったことがあるのかと聞くと、ほとんど毎日行っているわという。速達を依頼とか製本を頼むとか引き取りとか、下に行く用事は多々あるらしい。


約束の5分前、地下2階でアメリアとエレベーターを降りると、店子の証券会社とかメーカーの子会社と思われる社名が書かれたドアが並んでいる。みな親会社の雑用仕事を引き受けているのだろう。
雑用といっても多岐にわたり、廃棄物処理、郵便や小荷物の発送や受取、コピーや製本業務、社宅・寮の管理、受付、ロビーの接客などだろう。ここにあるのは、その事務所と社員の休憩室などであろう。

同種の仕事、例えば受付などはそれぞれの会社が独自に手配するより、ビルの店子全部の仕事を横通しでまとめて請け負ったほうが、マスも大きくなるし効率もよくなるだろうと磯原は思う。でも店子はどれも大会社だから関連会社もたくさんがあって、出向者の受け皿とかいろいろ理由があるんだろう。


ところでビル管理の業態はちょっと複雑だ。いや特段珍しいわけではない。どの業界でもある重層構造になっている。
まずスラッシュ電機の本社ビルは賃貸であり、家主は財閥系の大きな不動産会社である。不動産屋といっても街にある学生向けのアパートや転勤者のマンションの斡旋をするようのものでなく、東証プライム市場に上場している売上1兆円とか2兆円という大企業である。東京の一等地やビジネス街に広い土地を持ち、そこにたくさんのマンションやオフィスビルを保有している。

もちろんそこがビル管理をするわけではない。実際のビル管理は巨大企業である不動産屋の子会社が行うわけだ。ここが定常的なメンテナンスだけでなく、法規制対応の計画策定やビルの価値向上のプランを立てる。とはいえ手足を動かす、日々の清掃、定期点検、細かな届け出の書類作成などをするわけではない。
それは更に下請けが行う。これは子会社と違い、所在地や管理会社の都合によっていろいろで何かあると変わる。そしてその下請けは自社でもするが、清掃などは社内外注とか、定常的でない窓ふきとか電気設備の修繕や点検は専門業者に出すことがほとんどだ。

注:社内外注とは、下請け会社が発注元の一部を間借りして、自社に持ち帰らずに請け負った仕事をすること。設計とか清掃や受付などサービス業務は持ち帰ることはできないが、生産工場でも倉庫管理とか生産ラインの一部を請け負うなどよくある。
この場合 派遣業ではないから、発注元が下請け社員へ直接命令すると偽装請負となり法違反である。とはいえそういうケースは多い。

では店子側が借りているところの管理、廃棄物や自前の設備の維持はどうなっているのか。たいていの会社では総務部が担当だ。しかし総務部が直接、日々の清掃や廃棄物処理をするわけではない。ビル管理会社に委託するのもありだが、現実は店子の子会社に委託するのが多い。

警備も同様で、ビルの外回りや施設そして店舗部分の警備はビル管理会社が委託しているが、店子は店子で自分の専有面積の警備とか受付などは店子の子会社に委託するのが多い。
大会社が入っているオフィスビルに行くと、ガードマンの制服がいろいろあるのはそういうことだ。特に1階に店子の会社の入場口がいくつもあるところでは、それぞれに立っているガードマンや受付嬢の制服が違うのが面白い。初めてそういうのを見たとき、私はガードマンの階級によって制服が違うのかと思った。

それもスラッシュ電機のように本社だけで3,000人もいると、本社ビルの様々な業務を請け負っている子会社もひとつではない。郵便関係、警備、受付、コピーや製本、清掃、OA機器とパソコンなどの維持……10社くらいになる。
今回訪問するのは、清掃業務全般と社内で発生する一般ごみや粗大ごみの処理を請け負っている「スラッシュビル管理」である。


エレベーターを降りると磯原とアメリアは、通路の左右に並んでいるドアの社名を見て歩いていく。山本から教えられた「スラッシュビル管理(株)」という名前を見つけてインターホンのボタンを押す。

中に入ると30坪ほどの広さがある、事務所というか半分倉庫のような感じの部屋である。机に座って仕事をしている人が10数名いる。

野崎さん 武田さん 山本 キヨちゃん 磯原 アメリア
野崎さん 武田さん 山本 猪越きよこ 磯原 アメリア

部屋の奥のほうに衝立で囲った折り畳み机が二つとパイプ椅子が10脚ほどの打ち合わせ場に、総務部の山本とお局キヨちゃんがいた。その他に年配の人が一人と若い男が一人いる。

山本 「やあ、いらっしゃい。こんなところに来たことはないでしょう」

野崎さん 「こんなところとはひどいなあ〜」

キヨちゃん 「まあお座りください。こちらは平手(年配の人を平手で指して)スラッシュビル管理の野崎事業所長さん、それから平手(若いほう)武田興業の武田さん」

磯原とアメリアは老若の男二人と名刺交換する。社内の人同士では名刺交換しないというルールになっているが、子会社であれば社外だろうと磯原は変なことを思った。

磯原 「初めまして、私は施設管理課の磯原と申します。こちらはアメリアです。施設管理課と申しましても、工場の施設管理……早い話公害防止ですね、その支援部門でして、ここ本社の施設管理とは無縁です」

キヨちゃん 「本日は今年暮れに予定していますISO14001の審査についての、ご説明をお願いしています」

野崎さん 「ISO審査って去年もしましたね、今年も同じじゃないのですか?」

山本 「昨年まではISO規格通りに文書や計画表を作って、それで説明していたのですが、今年は皆さんの日常業務そのものと、実際に使っている文書で説明することになったのです」

野崎さん 「そうすることで何が変わるのですか?」

キヨちゃん 「昨年までは作文を見せていたので問題は起きにくかったですけど、というか起きないように文書や記録を作っていたわけだけど……今年は実際の仕事で使っている文書とか記録を見せて説明します。準備の手間はかかりませんが、ボロがでるかもしれませんね」

野崎さん 「実際の仕事で使っている文書というと?」

山本 「野崎さんのところに出している仕事は、大きく言えばお掃除とごみ処理ですよね。おたくとの契約書にやることが記載されていると思いますが」

野崎さん 「業務委託契約書ですか、用意していました……まず廃棄物については、乙は甲の〇ビルの占有場所から発生した一般ごみ、粗大ごみ、不要となったOA機器、什器などを甲の指示により収集し廃棄手続きをするとありますね」

山本 「そうそう、それで指示はされていますね」

野崎さん 「冗談言わないでくださいよ。これは契約書でしょう。具体的にどんな方法でどこに集めてどういう方法で廃棄手続きをするんですか? 業務報告も費用処理もトラブル発生時の対応も何も書いてありません。それ以前におたくの窓口さえ書いてありません。仕事の手順を全く決めてありません」

山本 「でもそれで今まで仕事しているわけで、大丈夫でしょ」

磯原はなんだか怪しい雰囲気だなと感じる。磯原は廃棄物処理など担当したことはないが、転勤するとき工場の廃棄物処理の規則と要領書をコピーしてきた。それを読むと、いろいろな法規制があり、特に下請けに廃棄物処理をさせるときは、下請けが排出者になれないと知った。
本社では仕事の取り合いというか区分が、はっきりしているのだろうか? そしてそれは合法なのだろうか?

野崎さん 「山本さんは私がここに出向してきたとき既に総務で廃棄物担当でしたね。私がここに来て5年経ちましたが、異動したとき前任者から本社総務部の指示が明確でなく困っている、総務の担当に仕事の手順書を作ってもらえという遺言をいただきました。
それで着任早々、山本さんに業務の範囲とか手順を決めたものを作ってほしいと何度もお願いしてきましたよね。いまだに進展がありません」

注:「遺言」とは退職者が後任に申し伝えることで、前任者が亡くなったわけではない。本当の遺言と同じく尊重されることはなく、忘れ去られるものと決まっている。

山本 「そんなことありましたっけ 僕もお宅に委託している仕事はよく分からないのですよ。廃棄物処理のいろいろな書類を行政に出すのも、お宅の名前でしてほしいのです。現状はいちいち僕がサインして部長のハンコをもらってと、面倒くさくてしょうがない」

キヨちゃん 「山本さんも山本さんだけど、野崎さんも野崎さんよ そういうのは担当者に言ってらちが明かないなら、野崎さんの上長の名前で、ウチの総務部長宛てに文書を出してくださいな。そういうことは担当者間でなく、会社対会社の問題です」

山本 「オイオイ、そんなことされたら僕の顔が丸つぶれじゃないか」

キヨちゃん 「山本さんの顔なんてつぶれた方がイケメンになるわ」

磯原 「あのう、私も専門じゃないのですが、廃棄物の処理責任は占有者……通常は所有者ですが……にあります。スラッシュ電機で不要になった廃棄物の処理責任はスラッシュ電機ですよ。スラッシュビル管理の名前で処理しろというのは法律上大丈夫ですか?」

キヨちゃん 「私も以前からそれを心配しているわ」

山本 「ところで今日、キヨちゃんが来ているのはなんでなの?」

キヨちゃん 「ISO審査への対応とか準備とかを聞いておかないと、と思ってね。山本さんは去年ISO審査前の説明会に総務代表で出ていて、部内になにも連絡しないで審査前に突然休暇を取ってしまって……総務部は大騒ぎだったのよ。
それで今年は山本さんがいなくても良いように、私も一緒に聞くようにしているわけ」

山本 「去年は突然具合が悪くなってしまってね、寝込んじゃったんだよ」

キヨちゃん 「病気になるな、休むなと言ってるわけじゃないのよ。そうなっても大丈夫にしようと考えてるの」

山本 「キヨちゃんは僕が今年も具合が悪くなると思っているようだね。それは思い過ごしだよ。それに廃棄物処理だって問題ない。野崎さんは大げさ、心配性なんだ」

武田さん 「あのう、野崎さんのお話は本当のことなんです。お掃除のごみなら行政もあまりうるさいことは言わないのですが、産業廃棄物になると厳しいですからね。廃棄物業者さんとの契約とかちゃんとしてないと手が後ろに回ってしまいます」

山本 「なに言っているんだ、本社から産業廃棄物が出るわけないだろう」

武田さん 「山本さんの不勉強にはほとほと愛想が尽きますよ、産業廃棄物って工場だけから出るわけじゃないですよ。事務机、会議室のテーブルも椅子もロッカーもホワイトボードも、細かいものならプラスチック製のファイルもバインダーも寿命のきたキーボードもみんな産業廃棄物ですよ」

山本 「えっ、そうなの」

武田さん 「法律でそう決まっています。だから排出者はスラッシュ電機さんでないとだめなんです」

山本 「じゃあ、今までどうしていたの?」

武田さん 「まず最初に考えるのは中古品として売れないかです。でも廃棄するようなのは修理や部品交換で済まないものばかりですからまずだめです。
椅子 次は下取りしてもらえないかですが、最近は本社も人減らししていて、新規購入はありません。新規購入がなければ下取りしてもらえません。
産業廃棄物に当たるものは捨てるにも捨てられず、ここ2年は捨てていません。壊れたり無用になった机やいすをウチの倉庫に運んで保管しており、事務机やいすが壊れたと言われると、保管しているものから部品取りしているのが実情です」

山本 「それで間に合っているならいいじゃない。問題ないだろう」

武田さん 「ウチの倉庫だって賃貸料がかかっているんです。お宅に請求してませんけど」

山本 「今までそうしていたら、これからもそうしてくれよ」

キヨちゃん 「山本さんおっしゃっることは我が社の公式な見解ですか? 我が社が取引上の優越的地位で強制したとみなされますよ。こんなことが外に漏れたら、いや武田さんが行政に訴えたら大問題じゃないですか。山本さんは間違いなく懲戒処分ですよ。
私はこの場のお話を課長と部長に報告させてもらいます。あっ、総務部長じゃないですよ、コンプライアンス部署です。はっきり言って違法です、コンプライアンス違反です。恥を知りなさい」

山本 「キヨちゃん、落ち着いてよ、僕が語っていることおかしいかなあ〜」

キヨちゃん 「私が落ち着くのではなく、山本さんに慌ててほしいわ。
野崎さん、武田さん、大変申し訳ありませんが、本日の打ち合わせは一旦終了とさせていただきます。ISO云々以前に当社と御社の契約に不明なところがありご迷惑をおかけしているようです。ISOとは別に業務委託契約と、業務内容について別途打ち合わせを持ちましょう。
さっ、山本さん、帰るわよ」

キヨちゃんは山本を連れて、サッサと部屋を出てしまった。
野沢、武田、磯原、アメリアは、あっけにとられて見ていた。
二人の姿が消えてから磯原は口を開いた。
😲

磯原 「野崎さん、スラッシュ電機との業務委託契約が不備のようですが、これは早急に見直さなければなりませんね。このままではISO審査などでなく、法律に違反しているかどうかが心配です」

武田さん 「私も廃棄物処理法に詳しくないのですが、弊社の社長、私のオヤジですが、同業者に仕事の内容を見てもらって、大丈夫じゃないかというアドバイスはもらっています」

磯原 「野崎さんか武田さんが、スラッシュ電機の無給嘱託になっていますか?」

注:「無給嘱託」とは、社外の人にその会社の従業員の地位を与える目的で、嘱託にすること。
例えば廃棄物処理法では、廃棄物の処理は排出者自身か契約した廃棄物処理業者でなければならない。
下請負者の管理者の指示命令を受けずに処理や記帳などの業務をさせる場合、その下請負者の従業員を委託元の嘱託とすることがある。このとき勤務時間は変わらず単に発注元の従業員としての立場で業務を行うだけなので賃金を支払わない。これを無給嘱託と呼ぶ。
同様に設計業務とかコンサルを社外に発注したとき、その人が対外的に会社の名刺を持たせるために無給嘱託とすることがある。そうしないと、発注者が偽装業務委託になるおそれがあり、結果次第では請負者が詐欺罪になるおそれがある。

おっと、そうするとISO認証しようとする企業がコンサルを無給嘱託とすれば、コンサルが審査で対応することは法的にはおかしくない。 どうなんでしょう? そうすることを禁じる決まりがISO認証のルールにあるだろうか?
認証機関数社の認証ガイドブックを見たが、審査の場でのコンサルの質疑応答の禁止はあったが、コンサルを雇用することを禁じてはいない。そんなこと考えたこともなかったのだろう。
多数存在する認証代行業はそのへんどうクリアしているのか、気にもしないのか?

野崎さん 「ああ、法律で社員と決めてあるときの裏技ですね。いや、なっていません。実は私も心配しているのです。私の前任者時代は総務部にビル管理係というのがありまして、そこが今スラッシュビル管理会社がしている仕事をしていました。7年くらい前、山本さんが総務に来て、費用削減と効率向上と言い出してビル管理係を別会社にしたのです。そのときは今まで総務所属の人がそのまま所属が変わっただけで仕事も変わらずだったのです。

その後、スラッシュ電機主導で人減らしをして、実際の仕事を武田さんのところに出すようになりました。それからも山本さんの意向でしょっちゅう仕事の仕方や発注先が変わりまして、まったく訳が分からない状態です。私は事業所長なんて役職になっていますが、私の権限なんてなにもありません」

磯原 「御社の上の方はどう考えているのですか?」

野崎さん 「考えるも何もウチの社長は、総務部の元課長です。役職定年になるとウチに出向になり、定年になると次の人に引き継ぐのが恒例でして、何も考えていませんよ。総務部に言われたらハイハイと言うことを聞いて、私と武田さんに丸投げするだけです」

うーん、これは困った。知らん振りするわけにはいかない。まずは現状の業務分担そしてしていることが法に反しているかどうか確認しなければならない。
それから業務委託契約書の見直しは必須だ。できるなら山本氏を更迭としたいが、順送りに出向する総務の人事も問題だ。とはいえこれが磯原の手におえるとは思えない。山内さんに話をしてみるにしても、筋違いのように思える。


うそ800 本日の思い出したこと

私が過去に勤務したところでは、廃棄物処理を関連会社や下請けに業務委託しているところは多かった。しかし廃棄物処理法をしっかり守っていたことは強く言いたい。

パッカー車 とはいえ知っている会社では、怪しげなことをしていたところはいくつかある。
例えば市の処理場に廃棄物を運ぶのに下請け業者が運んでいたところもある。幸い小泉行革時代に排出者の従業員でなくても、指揮監督されているとみなされるなら下請け業者が運搬しても良いことになった。

マニフェスト票の記載不備はたくさんあった。今はもうマニフェストは電子化されて不備なんて発生しないだろうと思って電子化率を見たら、2021年4月時点でまだ66%しか電子化されてない。それじゃ記載漏れや間違いは、今もたくさんあるだろう 😃

もちろん今も知らずに違反をしているところは多いだろう。まあ、事故が起きなくちゃ市の担当者も訴えるとか大事にはしないだろうけど。
知らぬは仏ではない。知らぬは地獄かも……


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外資社員様からお便りを頂きました(2022.11.10)
おばQさま いつも生々しくも興味深いお話を有難うございます。
当事者意識の無い担当とか、現場を仕切っているお局様とか、老舗企業アルアルな感じですね・
ISOとは別に労働契約面で気になったのは「無給嘱託」
嘱託にするには、何等かの業務を委託か委任して責任を負うはず。
ゆえに無給はオカシイのです。労働契約で考えれば公序良俗に反するから契約無効と言われても仕方がないですね。だから労基に駆け込まれたらアウト。
とは言いながら、私も業界団体で、似たような事例を見ていて、その時には問題だと気づいていませんでした。
業界団体の事務局は、幹事会社が社員を出向させて働くのが普通でした。
業界団体は、指揮権限を持つならば、何等かの雇用契約なり業務委託契約をしていないと契約上の指揮権限が担保出来ないはず。
当時は変と思わなかったけれど、今考えると無給嘱託だからどうやって法的整合性を取ったのか不思議。
転じて、昨今 問題になっているオリンピック招致のコンサル契約と収賄問題。
スポンサーになる為のコンサル契約を結んで対価を払う、これが収賄になるのが不思議でした。
こちらは金を払っているから労働契約としては問題が無いが、コンサルの当人がスポンサー決定の権限や影響力をもっているならば利益相反になるから違法。ゆえに収賄になりえるという論理のようです。
だからISOコンサルを無給で雇えるかという問題については、そのコンサルが認証の合否に影響力を持つならば利益相反になるので違法性あり。 実際にはタダでコンサルをしないでしょうから、対価が賄賂と認定される可能性あり。
ゆえにISOに定めが無かろうが法的な問題になると思います。
もちろん、ヘボコンサルで、認証に対して影響力をもっていないならば問題はないと思われます。

外資社員様 毎度ありがとうございます。
うーん、生々しすぎでしたか……反省!
美男美女が素敵な物語を紡ぐテレビドラマのようなもんじゃないと言いたいのです。
会社でも学校でも、引退すると老人クラブでも、人により運・不運があり、昔と違い暴力はなくても精神的ないじめもあるし、無能な上長の下では部下がすり潰されてしまうし、口のうまい奴にはかなわない、罪を擦り付けられ手柄は横取り、大変です。

無給嘱託!これもドロドロしすぎでしたか?
業務を外注している会社では、客と交渉するとき実務者でないと役に立たず、外注の人に出てもらうことになります。そのとき外注の人が持つ名刺をどうするかが問題ですね。「○○社の協力会社の□□社の何某」と書いた名刺を見たことがありますが、そのときは○○社と□□社はどういう関係なのか、責任関係はどうなのかと確認しなければ話もできません。全然契約がなくて「○○社」の名刺を持たせるのはまずいでしょうから、無給嘱託契約をして名刺を持たせるというのはありなのかなと思います。
それと顧客が○○省とか○○会社ですと、セキュリティとか責任問題などで外注の技術者とか作業者はダメよというのもあります。それも無給嘱託契約がしょうがないのかなと…
 *○○省とか○○会社は想像にお任せします。

コンサルといっても立ち位置によっていろいろです。ISOコンサルの場合はその問題はないかと思います。

 ISO認証企業−−認証機関
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 ISOコンサル

こういう関係になります。ISO認証企業が審査を受けるとき、いろいろ支援するのがISOコンサルです。認証機関はそれを禁じることはできませんが、審査でISOコンサルが審査員に説明するのを嫌います。ISO規格から言えば禁じてはいないようですが、日本の認証機関は審査契約でISOコンサルが認証機関に話をすることを禁じています。
ちなみにイタリアの駐在員から聞いた話ですが、彼の地ではISOコンサルが審査員に説明し、交渉してくれないと審査適合になるのは困難だと聞きました。ですから国際ルールで禁じてはいないようです。
ともあれ、この関係であればISOコンサルをISO認証企業の無給嘱託契約して企業の人として審査員に説明するのは合法かなと思いました。賃金はすでにISOコンサル契約で支払っているわけで、審査対応するときコンサルの名刺でダメなら、会社の名刺で行うというだけです。
審査とは試験であるから代理を認めないということなのでしょうか? そういう理屈でも無給嘱託契約していれば法的には文句を言えないですよね。なにせ法的には従業員なわけですから。
世にISO認証代行業は多数あります。名の通り、会社の人に代わって審査員の対応をするわけですが、それがどういう契約関係なのか分かりません。私の知り合いは代行業を頼むほど落ちぶれていませんから。

これからあまりドロドロとかきわどいことは、書かないようにします。


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