ISO第3世代 66.事故発生2

23.04.20

*この物語はフィクションです。登場する人物や団体は実在するものと一切関係ありません。
但しISO規格の解釈と引用文献や法令名とその内容はすべて事実です。

ISO 3Gとは

翌日である。武藤、山内、上西と磯原はホテルをチェックアウトする。このとき 朝食 は今日で片付くと思っていた。
駅のタクシー乗り場への途中にあった和食のチェーン店で食べる。ビジネスホテルといえど朝食は一人前の値段だから、なか卯とか松屋などが早くて安い。味は似たようなものだ。

熊本工場に始業時間前に入る。
岡田部長を訪ねたら、朝礼と課長との打合せがあるので、漏洩打合せは始業後30分といわれた。
会議室に案内された4人は進め方の再確認をする。

山内 「基本的に所管は事業本部ですから、武藤さんが仕切ってください」

武藤 「そうさせていただきます。打ち合わせる項目としてはどういう風になりますか?」

上西 「磯原君、打ち合わせする概要をホワイトボードに書いてくれ」


磯原はホワイトボードに常識的に考えられることをリストに書いていく。


磯原 「大体こんなものですかね。
まずは漏洩の後始末が喫緊です。
漏洩した油の回収、汚染の状況次第ですが、どこで終了するのか、更なる作業が発生するのかは、市役所と消防署の指示に従います。
それから広報対応ですが、前述の市役所との協議次第ですが、マスコミに広報というか記者会見するか、地元の町内会などに説明をするとか・しないとかがあります。

当面の対策が済んだら、原因究明が最重点事項です。
私の見たところタンクの倒壊の原因はよく調べる必要があります。今回のタンク倒壊ではその部分がぶつかった様子はないのでなぜ凹んだか疑問です。
また防油提のヒビも、いつ・どうして発生したのか調べなければなりません。熊本地震でできたのなら、定期点検していたはずなのに2年間もなぜ見逃していたのか。最近できたものなら発生原因を究明する必要があります
次に行政からの指示によって、設備や点検の見直しなどの対策を行いその報告が必要です。
恒久対策としては、なぜ漏洩が起きたのかを深堀する必要があります。

武藤 「なるほど、網羅的でよく分かった。簡単におしまいとするわけにはいかんね」

ドアが開いて岡田部長、井上課長、下村担当、外注業者の大熊氏が入ってきた。

岡田 「朝早くからありがとうございます。早速打ち合わせに入ります。
まず動きがあったことについての報告です。新聞社からの問い合わせについてですが、昨夜回答したレベルの情報で新聞社は了解ということでした。1件落着です。
それから市役所と消防署から連絡があり、本日昼から実地検証するということです。そこで原因がはっきりすれば、対策を指示されて終わりとなります。もちろん修繕や改善工事をしなければなりませんが

武藤 「それまでに工場側としては原因究明しておくわけだね」

岡田 「もちろんです。とはいえ原因ははっきりしています。熊本地震で防油提にヒビが入り、月日とともに大きくなってきたと考えます。問題は大きいですが原因は単純です」

武藤 「ちょっと待ってくれ。そう簡単に決めつけてよいのか?
私が昨夜見た感じではヒビの断面はまだ真新しく、2年前の地震でできたとは思えない。せいぜいひと月ふた月前に思える。私が疑問を持つくらいだから、こういう事故を扱っている消防署員は、それでは納得しないのではないか?」

岡田 「そうでしょうか? 井上課長どう思う?」

井上 「部長のおっしゃる通り地震でできたかと思います」

下村 「私は武藤さんのお考えに同意です。あのヒビは古いものではありません」

大熊 「ええと、私どもは構内の設備点検を請け負っております。日常点検では漏洩していないか目視で異常がないかを見ております。また月例点検といいまして、毎月 日常点検よりも点検項目を増やして詳しく点検しています。更に半年ごとの点検では、月例点検項目に合わせて要所の写真を撮っております。
石油タンク貯蔵所の防油提については周囲・内面・底面の写真を撮っています。それを見ますと、2か月前に行った半年点検の写真を見ると、ヒビ割れた個所にまったく異常がありません。
ご覧ください」

大熊は「屋外タンク貯蔵所定期点検記録」と書かれた紙ファイルを開いてみせる。
皆がそれをのぞき込む。

武藤 「確かにヒビは見当たらないな」

岡田 「光の加減で写らなかったのではないのか」

大熊 「ここに載せてある写真は数枚ですが、撮影した枚数は多数ありデジカメの中に残っています。問題を見逃せば点検を請け負っている当社の責任になりますので、それは気を使っています」

大熊はノートパソコンをプロジェクタにつなぎ、写真をスクリーンに映す。

大熊 「これが二月前に撮影したものでして……こちらが今朝確認のために撮影した現状です」

そこには同一方向から撮影した二月前の写真と、漏洩を起こした時点の写真が映されている。

武藤 「確かにふた月前にはヒビはないようだな。光の加減とかカメラの向きということではなさそうだ。過去2か月に地震とかあったのか?」

下村 「思い当たるような地震はありませんでした」

山内 「今までの話は、防油提からの漏れの原因だが、タンクに給油したことで倒壊した原因はどうなのか?」

岡田 「これも熊本地震でタンクの脚が半壊していただろうと思います」

武藤 「今になって突然倒壊したというのも理解できんな」

岡田 「冬の間は大量に消費しますので常時満タンにしていますが、春以降もう何か月も補充していませんでしたから、そんなことがあるのではないかな」

山内 「2年前の地震で脚部が痛んでいたとしても、今になって給油しただけで倒壊するものか?」

岡田 「風化で錆が進んだとか、いろいろあるんじゃないですかね」

大熊 「昨日倒れたタンクを見ましたが、側面に凹みがあります。しかし倒れたときに周囲にぶつかるものがありません。地震でタンクが変形すれば側面が凹むこともあるでしょうけど、タンクにはしわも歪もありません。となると倒れる以前に外部から何かがぶつかって凹みができていたように思えます。

じゃあ今までの日常点検で凹みがあったのかとなりますと、実は見つけてないのですよ。
と言いますのは言い訳がましく恐縮なのですが防油堤の内外の点検、配管やタンクの外観チェックに漏洩のないこと確認とあるのですが、タンクの階段を登っての点検はしていません。あの凹みは日常点検では見えない、タンクの階段の陰になって見えないところなのです」

岡田 「以前からあったかないか分からないなら、点検している甲斐がないじゃないか」

大熊 「お待ちください。重大なことですが、タンクはアングルを溶接して作った脚の上にボルト締めされています。重油を入れてタンクが傾いたといいますが、この脚がよほどおかしくなっていなければ傾くはずがありません。今はタンクが倒壊したせいで、脚が曲がっていますが、これも倒れてから曲がったのか、初めから曲がっていたのか分かりません」

岡田 「以前から曲がっていたか分からないって、お宅はなにを見ているの

大熊 「結果としてはそうなのですが、私どもが渡されている点検要領書にはそのような方法で行うこととなっています」

山内 「ちょっと質問、大熊さん、タンクの凹みや脚の曲がりは、半年点検では見つけることができたのだろうか?」

大熊 「ハイ、それを言おうと思っていたところです。
2か月前に行った半年の点検時には、タンク外周の写真を撮っておりまして、そのときあのような凹みはありませんでした。
これがそのときの写真です。四方から撮影していますから見逃しはないと思います。また脚についても、2か月前の写真には異常ありません。ですからこの凹みも地震でできたとは思えません」

武藤 「確かにあれほどの凹みなら写真を撮るまでもなく気が付くだろう」

山内 「分かった、となるとここ2か月の間になにか……地震はなかったというから、たとえば近くで工事があったとか車両がぶつかったなどがなかったかということになるな」

大熊 「建設工事は私ども携わっておりません。あの近辺で過去2か月といいますと……」

下村 「あそこは構内の通行には無縁の場所ですから、その近辺の工事とか危険物の搬入くらいしか車が通りません。また危険物保管庫周囲は駐車禁止ですから、納品や出荷のトラックが時間待ちで停めることはありません。
思い当たるのは、漏洩の起きたタンク貯蔵所の後ろ側にある、第2類危険物保管庫の屋根の葺き替えをしましたね。確か先月の末でしたから3週間前ですか」

大熊 「そうそう危険物倉庫の工事がありましたね。私どもは関係なかったので思い浮かびませんでした」

武藤 「それじゃ、その工事をした業者を呼んで、問題がなかったかどうか聴取せねばならんな。
岡田君 消防署が来るのが午後イチなら午前中に呼んでほしい。大至急頼む」

岡田が困ったような顔をしている。

下村 「あの工事をしたのは、何という会社でしたっけ? 確か部長が探してきたところでしたね」

武藤 「調べれば分かるだろう。下村君、大至急その工事の現場監督の人に来るように連絡して」

下村が部屋を飛び出していく。
話の流れが変わってから、岡田は首を曲げたりキョロキョロしたり落ち着きがなく不審である。

武藤 「岡田君、どうかしたか? 具合でも悪いのか?」

岡田 「実は……工事の際に屋根の部材をトラックに積んで来たのですが、棟木むなぎ軒桁のきげたが荷台よりだいぶ飛び出していて、タンクのそばの道路を曲がる際にそれらがタンクにぶつかったと聞いています」

大熊 「確かに長物を積んでいて後ろがはみ出していると、曲がるとき車体よりそうとう外側を転回するからな。
しかし岡田部長、それならタンクに凹みを付けても防油堤には関係ないですね」

岡田 「いや、防油提にぶつけた運転手が泡を食って切り返しを繰り返して、何度も車を防油堤にぶつけたと聞いている」

武藤 「ずいぶんと岡田君は詳しいね」

岡田 「実はその〜、その工事は私が担当でして、業者から事故の報告を受けて、現場を見たところ大したことはないと判断しました」

武藤 「ここでは部長が工事を担当することもあるのか?」

井上 「工事担当はいたのですが、病気で長期欠勤になってしまいました。どうしようかというとき、岡田部長が元建築物の担当だったから代わりに担当するとおっしゃいまして、お願いした次第です」

武藤 「岡田君は現場を見て、防油堤の破損を問題と思わなかったというが、漏洩のリスクは思い足らなかったわけか?」

岡田 「ヒビはありましたが、過去漏洩事故などありませんでしたので大丈夫と考えました」

武藤 「要するに業者にいいかっこ見せたわけか」


オイルタンク

注:実を言って、防油堤というと、大体が四角形である。長年間に地震や地盤沈下で4隅にヒビが入ったりしているのは珍しくない。私は数多くの防油堤を見てきたが、ひどいものは数センチの隙間があったりした。
それでも問題が起きてないのは、タンクからの漏れの発生確率が非常に低いからだろう。もちろんヒビや隙間があっては消防法違反だよ
正確には消防法ではなく、総務省消防庁が出している通知で定めています。


岡田は机に額をぶつけて黙っていた。

山内 「裏付けをとらないとならんな、その業者が来たらいきさつを聞こう。書面で記録を取り先方の人の署名をもらっておく必要がある」

武藤 「ええと今……10時か、井上課長、市役所と消防署が来た時の対応準備はできているのか?」

井上 「ハイ、打ち合わせ場所や保護具などを用意してあります。
説明の内容ですが、当初推定していたのと大分違うようですので、いかがいたしましょうか?」

武藤 「可能なら……というか必達でしてほしいが、まずその危険物保管庫の工事業者が来たら私が対応したいので、場所と書記などを用意してほしい。録音も頼む。
井上課長はあとでそれらをまとめて、市や消防署に説明できるようにしてほしい。
それから岡田君は工場長にあって、今までのことを話してほしい。ええと……その以降、君は自分の席に戻るな。証拠隠滅の疑いがかけられるからね」

山内 「武藤さん、岡田部長が工場長に説明する際は同席したほうが良い。業者の聴取は井上課長に任せ私が同席しよう」

武藤 「うーん……、やむを得ない。山内さんにお願いします」



建設業者を呼ぶと、まともな業者のようで工事記録を持ってきた。そこに事故のいきさつはしっかり記録されていた。文章だけでなく、タンクのへこみや防油堤のヒビの写真も添付されている。それは現時点の凹みとヒビとほとんど同じだ。
ご丁寧に熊本工場岡田部長の了解を得たという記述と、了解を得た日時も記載してある。まさに後々問題になった時に備えていたようだ。



行政の調査は終わった。状況説明については理解してもらえたが、防油提破損時の対応が、ちょっとおかしいぞと言われた。いや正直言って、ちっとどころか大いにおかしい。
とりあえず漏洩してからの処置は適切であり有効で、それらの備品、訓練、指揮系統の問題はないというコメントも頂いた。
広報についても、汚染被害がなく新聞社が報道しないと言ってきたこともあり、話題にならなかった。
いずれ行政に正式な報告をして了解を得て一件落着となる。

内部でこれからの処置、再発防止処置について話し合ったが、対策に特段迷うこともない。ルールの不備というより、事故時の判断や対応を、ルール通りするだけだ。



原因も判明したし対策もほぼ見通しがついた。
羽田行きは熊本発19時と20時があり、今日中に帰えれる見通しがついたが、 旅客機 山内は熊本工場が対策をまとめるまでいることに決めた。
そして上西と磯原は打ち合わせに陪席することを命じた。山内と武藤は工場長と打ち合わせるという。
なぜか朝の打ち合わせ以降、岡田部長は顔を出さず、すべて井上課長が仕切っている。



熊本工場の工場長室である。
小鳥居工場長と武藤、山内がいる。

小鳥居 「このたびはお世話になりました。お二人があっという間に原因を究明されたと、井上から聞きました。岡田はまだ未熟ですなあ……」

武藤 「私も岡田を部長にするという話があったとき、それまで順調にきていたから良いと思ったのは事実だが……誤ったな」

小鳥居 「まあ誰にでも勇み足もあればその逆もありますからね」

武藤 「じゃあ、今回は譴責と始末書というところですか」

山内 「失礼、基本事業本部内の人事も賞罰も事業本部が決めることですが……気になることがいくつかあります」

小鳥居工場長と武藤が何だろうという顔をして山内を見る。

山内 「まず今回の発端は、本社の環境管理課への電話から始まった。電話では工場で漏洩事故が起きた、会社規則では本社報告しなければならないが、報告しないでも良いことにしてくれという問い合わせだった。
次に漏洩事故が起きた場合、法律で所轄の自治体 市役所などですね、それと消防法に関わるものであれば消防署にも直ちに報告しなければならない。これについても岡田部長から電話を受けた環境管理課が行政に報告することと指導したが動かず、武藤さんが改めて報告するように言ってやっと動いたこと。
更に、原因を追っていくと、3週間前に構内で防油堤と重油タンクを破損する事故が起き、それを起こした業者からの報告を握りつぶしていたこと。
あげくに今回漏洩事故が起きたときに、その事故と防油堤が破損したことを隠していたこと。

これはもう職務を誠実に執行していないどころの話ではありません。法に違反し、その対応を指摘されたにも拘らず動いていない。明らかに懲戒処分に該当します。
仮に、ここでそれをないものとするなら、あるいは軽微な処分で終えるなら、それは岡田の問題でなく、半導体事業本部の問題です。私は環境担当役員に、半導体事業本部において、不適切な処置があったことを報告しなければなりません。さもなければ私自身が職務怠慢で懲戒を受けます。違法を知ったからには不作為は罪なのです」

注:「不作為」とは「しなければならないことをしないこと」
日本の法律では犯罪を知って対応しないことすべてが刑法の罪になるわけではない。法で犯行を阻止する義務がある場合のみ「ほう助犯」となる。倉庫から盗むのを見逃しても、通行人は無罪でも倉庫関係者なら不作為犯となる。身の危険があれば犯人が去ったあとで通報する義務がある。
なお犯行を傍観していた場合はほう助犯だが、実行犯と意思疎通(黙っていろと言われて通報しないとか)があれば「共犯」になる。
職場のハラスメントの見逃しは、刑法犯にならないようだが民事で責任を問われる。管理者なら職場のハラスメントを見逃して、刑事罰を受けた例もある。
刑法で定めていなくても就業規則では不作為行為について、「過失により会社に損害を与えたとき」あるいは「この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき」を基に懲戒されるかもしれない。もちろん懲戒といっても解雇とは限らない。

武藤 「うーん、確かにおっしゃる通りだが……彼は幹部候補とされている箱入り息子なんだよ」

小鳥居 「私も彼を数年間 預かっているだけで、彼のキャリアにこの工場で土を付けたくない」

山内 「社長候補というのは社長になれるよう育てるわけではあるけど、社長になることが決まっているわけではありません。資質がないと判明したり重大な問題を起こせば、いつでも候補から外すというのも決まっているわけです。
まさか半導体部門から社長を出したいから、彼の瑕疵を隠したいとお考えではないですよね」

武藤 「そんなことはない」

山内 「考えてください。彼がゆくゆく役員になり社長になったとき、不祥事を隠そうとしたらどうでしょう。その影響は熊本工場とか半導体事業では収まりません。スラッシュ電機グループの命運がかかるのですよ。
彼のような優柔不断、無責任な人間を、責任ある地位につかせることはできません。ここで問題を起こしてくれたから、不適格者を見つけることができたのです。
ましてまだ彼は40代半ば、だめならだめと早めに言ってやらないと彼のためにもなりません」

ドアがノックされ総務部長が入ってきた。

総務部長 「工場長、岡田部長から辞表が出されまして、とりあえず私が預かっておきました。何かしでかしたのですか?」

小鳥居 「ほう、彼が辞表を……」

武藤 「悩みは解消か」

山内 「自己都合退職ではなく懲戒解雇ではないのですか」

小鳥居工場長と武藤は驚いて顔を見合わせる。

小鳥居 「それは大袈裟な」

山内 「私は乱暴なことを言っているわけではない。同じミスをしても、職階によって責任は違うし罪も違う。
作業者レベルで不具合を見逃した罪と、管理職が見逃した場合の影響は大きく違い、その罪の重さが違うのは当然だ。
まして今回の場合、間違いを4つも重ねて、のうのうと自己都合退職を認めて良いのか?」

退職には会社由来か本人由来か、またそれらにいくつもの分類があることを知った。
辞職とは会社に関わりなく個人的都合による退職。
会社規則違反や問題を起こした場合に、罰として解雇されるのが懲戒解雇、会社が退職を促すものが論旨退職、本人が自主的に退職するのが依願退職。
 Cf.依願退職の意味と解雇との違い
なお「辞表」は公務員や役員が職を辞するときに書くものであり、一般従業員が書くものではない。一般従業員が書くのは「退職願」である。

余談であるが、親会社の手違いで問題が起きたときは、下請けの責任にさせて、代わりに裏で下請けにお〇を渡して……ということが多いだろう。岡田がもう少し悪知恵が働けば、漏洩事故が起きたとき素早く工事した業者に(ピー)して自分を守っただろう。
更なる余談であるが、外注業者 大熊氏が岡田に否定的な発言が多いが、大熊のところに仕事を出さない岡田に反感があったのかもしれない。いや、個人的な感想です。



うそ800  本日のおもひで

ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」というSF小説があります。この中に登場する機動戦士は、搭乗型ロボット(内部操縦型と呼ぶ人もいる)に乗り込み異星人と戦います。 搭乗型ロボット
この小説に出てくる搭乗型ロボットが機動戦士ガンダムのモデルともルーツとも言われる。
それ以前のものは、鉄人28号を始祖とするリモートコントロールあるいは外部操縦型が主であった。

それはともかく、軍隊の組織、責任・権限というものをこの本ではこと細かく説明している。同じ軍規違反をしても兵か士官かで処分は違うことも解説しています。

ハインラインはアナポリス出身で海軍中尉のとき結核で退役した。第二次大戦前夜のときだから、ハインラインはバリバリの愛国者だった。それで彼を軍国主義者として嫌う読者もいるが、まあそれは好き好きだ。
ハインラインを読んでアメリカ軍の規則に興味を持ち、ぜひ読もうとUS Googleで探したところヒットしたが、英文で800ページもあるので読むのを諦めた。


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外資社員様からお便りを頂きました(2023.04.20)
おばQさま いつも有難うございます、その後の展開が気になっておりました。

>幹部候補者の箱入り
こういう目的と手段を間違えたヌルマユ人事は危険ですよね。
帝国海軍の「海軍乙事件」の福留中将が典型。

福留参謀長がゲリラの捕虜になり機密文書が奪われる。
機密文書の漏洩は当人が否定していたから処分されなかったが、その後の台湾沖航空戦の悲惨な結果を見れば、以降の作戦が米軍に丸わかりだったのは明白。
にも拘わらず、降格も処分もされず第二航空艦隊長官となり、台湾沖航空戦で更に誤認大戦果。陸軍は大戦果を信じてフィリピン防衛の方針転換の大錯誤、二次的被害まで入れれば、これほど多くの陸海軍将兵に被害を出したのに、最後まで司令官のまま。

今回のあるべき姿は、厳しい処分(例として次長に降格)して、挽回の機会を与えるか。
乗り越えて上がれるならば本当の幹部候補でしょうが、とても難しい。

>山内参与
とても立派で責任を果たしているのですが、こういう筋を通す行動がとれる人は少ないでしょうね。だって、後日偉くなられたら、自分に仕返しがあるでしょうから。
加えて、関係者が黙っていれば波風は立たないから収まりが良い。
だから失敗の挽回の機会など無くて、結局は人材の諦めか、ナアナア処分が多い。

さて、どうなるのか楽しみです。

>米国海軍の人事制度
米国海軍でも、上司が部下の不当な評価をする場合があります。
それが正当なのかを確認する為に、部下は直属上長の一段越えた上司以上に訴えを起こせると聞いた事があります。なるほど、二段階で確認できれば不当な評価のリスクは下がりますね。
このような制度があるから、部下に対しても厳しい処分も可能だし、部下も不当と思えば抗議が出来る。 映画だと「ケイン号の叛乱」に、その辺りの仕組みと軍法会議が出てきます。

外資社員様 毎度ご指導ありがとうございます。
ぬるま湯処分ってどこにでもありますね。30年も前、私が囲碁に狂っていた時のことです。囲碁クラブで多いのは元先生でした。碁を打ちながら先生時代のことを語るのですが、宿直(当時ありました)の先生の失火で火事になってのを、教育委員会の偉いさんだったその方は、原因不明であるとしてその先生を救ったのだなんて自慢話をしていました。それって?と思ったのは私だけだったようです。周りの元先生方は、それは立派だ、たいしたことだなんてほめたたえていました。理解不能です。
ぬるま湯処分をすると、自分がたいそう良いことをしたと思うのでしょうか?
山内参与は次回「私は偉くなるつもりはない」と話すことになっています。もっとも研究所長までなれば、普通の基準なら十二分でしょうけど。
「ケイン号の反乱」は何度も観ました。ハンフリーボガートの演技がすごかったですね。映画は誇張されているでしょうけど、あのくらい異常が目立つなら何らかの手が打たれると思いますが、そうでもないのでしょうか?

それと、ご指摘ありました誤字を修正しました。


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