「戦争の論理」 兵頭二十八good

出版社ISBN初版定価(入手時)巻数
PHP 4-569-62849-4 2003/04/161100全1巻

「戦争反対!」「イラク派遣反対!」と寒風の下で叫んでいる青年がいます。
世界のどこかで戦争あるいは紛争が起きるとサヨクが組織した反戦デモが雨後の竹の子のように湧き出てきます。家族連れ子供づれのデモもあります。いい教育になることでしょう。
反戦デモ
ご苦労なことです。 

しかし戦争反対と叫べば戦争は終結するのでしょうか?
そんなわけありません。
戦争を終結させるには戦争をしている当事者の考えを変えないとなりません。日本の街角で大声を出しても疲れるだけです。そして他人の迷惑になるだけです。
冷戦の頂点に達した1980年頃ニューヨークでロンドンでボンで反戦デモはありましたがモスクワではありませんでした。そして自由諸国でのデモは共産主義の盟主にいかほどの影響も与えませんでした。
チベットの平和には北京で、イラクの平和にはバクダッドあるいはホワイトハウスで、北朝鮮問題を解決するにはピョンヤンで行動すべきでしょう。そして現実はそのようなところでは発言できないことが多く、デモ隊も発言しようとしないのです。

サヨクの考える思想信教表現の自由とはいかなるものなのでしょうか?
似たようなものに自衛隊員が海外派遣に出発するとき「死んで来い!帰ってくるな」と叫ぶのは自衛隊員に対する誹謗であり名誉毀損に過ぎません。
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論理的に考えれば、国会で首相官邸で叫ぶべきであり、その命令を受けて出発する自衛隊員に対しては職務の無事遂行を祈るべきではないのか?
サヨクの汚らしさはこの論理を理解できないことにある。それもチンピラではないれっきとした国会議員がそのような支離滅裂なことを叫ぶ低俗さに驚く、
海外派遣させたくなければまず選挙でそれを叫ぶべきであり、その結果選挙で大敗したのなら日本の有権者はその政策を支持していないと認識すべきなのである。
選挙で破れたのち、街頭であるいは自衛隊の基地で騒ぐのは単なる少数派のエゴでしかない。
幸いなことにアフガンで出航する自衛艦に向かって「死んで来い」と叫んだ九州選出の議員は落選した。
戦争とはそんなことで自然発生したり、簡単にはじめたりできるもんじゃないのです。
ひとつの戦争には要因が種々あり、それらが総合した結果として戦争があるのです。

では戦争とはなんでしょうか?
以前兵頭二十八さんの本を読んで以降、氏の著作をいろいろ読んでおります。
そんな中でこの本は特にためになると思い取り上げました。

この本には兵器の性能なんてでてきません。どの国がどのくらい兵力があるとかも書いてありません。東西対立も南北対立にも言及せず、新しい戦争なんてなく、有史以前から変わっていないと書いています。
この本には有史以前からなぜ戦争が起きて、いまだに解決策がないのか、ということに関して論じています。
もちろん、彼の説に反対することも可能だし、マルキストの方々あるいは平和主義者の方々はとうてい氏の論に納得できるはずがない。
戦争がなぜ起きるのか?ということのほかに種々ためになるお話が載っています。
  • 「市民とは市域の防衛隊員であり戦士である。奴隷は戦場で戦う義務も権利もなくそれゆえに奴隷なのである。」
    ギリシャ時代に奴隷が自由民になれといわれても奴隷の地位にとどまった話もある。要するに奴隷と市民は上下関係ではなくカテゴリーが異なるのだろう。
    北朝鮮やベトナムで血を流したアメリカ黒人が選挙権を求めたのは当然のことである。
  • 「ベトナムの兵士はハノイ政府の政策に与える影響力はいかほどもなかったが、アメリカ兵は有権者であった。」
    戦争において相手国にダメージを与えるには権力を持っている人に直接攻撃をしなければならない。アメリカ兵が相手にしているベトコンや北ベトナム兵は単なる駒に過ぎず権力を持たない。しかしアメリカ兵は有権者であったから一人の戦死の影響力は異なったのである。
  • 日露戦争で日本の戦死者は15400人で日本人にとって驚嘆すべき数字であった。
    しかしヨーロッパやアメリカでは大戦争やこのような大量の戦死者(メガデス)には慣れっこであった。ナポレオンはワーテルロー一日の戦いで死者40000人をだした。アメリカの南北戦争ではゲチスバーグの戦いだけで両軍合わせて45000人の戦死者がでた。
    要するに日本人は世界に疎く戦争にうぶだったのである。

とにかくご一読してください。
ためになります。
ためにならなかったと言われてもお金はお返しいたしません。
 


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