おおかみ少年のお話 2004.12.29
おおかみ少年のお話には羊飼いが出てくるので、私はこどもの頃はスイスアルプスあたりのお話だと思っていた。ところが後になってこれはイソップ物語に載っていることを知った。
ギリシャ時代、あるいはもっともっと昔からほら吹きはいたようで、またそれにだまされた人々もたくさんいたことに違いない。
もっとも、おおかみ少年のお話では周囲の人々もだんだんと学習能力を身につけていくのだが、現実には・・・日本だけかもしれないが・・・学習能力を持たない人も多いようだ。

ねずみ講というのがあった。
私が高校の頃にもあったし、その後何度も大流行した。法律で禁止されていても流行してから10年もすると、新しい世代は以前そのような詐欺が社会問題になったことなど知らないから、また同じ手口でだまされてしまう。

インフルエンザが免疫が失われた頃に大流行するのと同じようだ 

もっとも最近では詐欺師たちはねずみ講の子供を作る時間も待てないようで、振り込め詐欺など短時間のハイリターンが好まれているようだ。人間は携帯電話とかクレジットカードなど新しい道具を作る知恵もあるが、それを活用する悪知恵もとめどなく、困ったものである。

04年11月30日環境省「環境ホルモン戦略計画SPEED98」ワーキンググループは報告書で「内分泌かく乱作用を有すると疑われる化学物質リストを削除し、同作用のリスク評価は単独でなく様々な作用の一面または組み合わせとして評価することが必要」ということを明記した。
私は医学に関してはまったくの素人である。
他の分野でもしろうとだろうというチャチャを認める
でも考えるということに関してはまあ一応大人のレベルではないかと自負している。
要するに「環境ホルモンだあ!大変だあ!」と騒ぐ時代は終わったということだろう。
ちなみに表題に「環境ホルモン」と付く本がどのくらい出版されているのか調べてみた。
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環境ホルモン
いやはや、本の世界では環境ホルモンは流行は一時であったことが一目瞭然である。

ゴア副大統領が序文を書いた「奪われし未来」が出たのが1996年(翻訳は97年)である。環境ホルモン騒動はこの「奪われし・・」が引き金になったというか、この本によって引き起こされたといっても過言ではあるまい。
あれよあれよ、というまに環境ホルモンはオゾン層破壊、砂漠化、地球温暖化、熱帯雨林問題とならんで地球環境問題の雄となってしまった、
しかし、本当かいな? と思った方も多かっただろう。
科学では再現性がないものは認められない。発見者以外によって追試され確認できなければならないのだ。
ポンスの常温核融合同様に環境ホルモンも打ち捨てられるのだろうか?
もちろん魚などにおいては一部の物質が「同作用があると示唆される」とあり、まったくの○○ではなかったのであろう。
quest.gif でも、環境ホルモンって、一体なんだったのだろうか?
確かなことは、環境ホルモン騒動はバカ騒ぎであったし、一部の学者は名を売って、本を売って、お金をもうけたことは間違いない。


ダイオキシンも旬を過ぎたようだ。
04年末ウクライナ大統領候補が大量のダイオキシンを盛られたという事件が起きた。
ご本人には大変失礼だが、血液や体の組織から、通常の環境で存在する量のほぼ1000倍にあたる高濃度のダイオキシンが検出されたにもかかわらず命に別状なく生存しているということは、ダイオキシンの毒性はその程度であったということだろう。皮膚が異常になったということはダイオキシンのせいとはいえない。塩素系の物質を摂取すれば大体がそうなるのだ。
もちろんダイオキシンの毒性は即効性ではなく、慢性的なものだろうし発がん性のほか、神経や免疫機能にダメージを与えるとも言われている。
だが、多くの本ではダイオキシンはサリンより猛毒というキャッチフレーズだった。サリンを使ったテロでは現実に多数の方が亡くなっている。その強烈なサリンよりもダイオキシンはチョウ猛毒でダイオキシンのLD50はわずか70マイクログラムなんて書いている本もある。
LD50(半数致死量)はサリンで0.02g、青酸カリや砒素で約0.15g。
ダイオキシンの70μg=0.00007gはスゴイの一言
ウクライナのユシチェンコ氏の体重はどのくらいなのだろう?恰幅のいいかただから80キロはあるだろう。彼を殺すには70マイクログラムかける80では、なんと! 0.0056gである。
彼には神のご加護があったに違いない。
しかし、通常の環境に存在する量の1000倍ですよ!
お醤油を通常の1000倍かけたらまず死にます。(食塩のLD50は3g)
刺身のわさびをふつうの1000倍付けたら・・・食べられません 
daiokisinbook.gif

ちなみにダイオキシン本の出版件数はグラフのとおり、これも旬を過ぎてしまったようだ。

電磁波が恐ろしい!というのもお聞きしたことでしょう。
最近、その手の本をあまり見かけない。これもどのくらい出版されているのかと調べてみた。
「電磁波」と銘打った本で、電波工学ではない、電磁波障害の本は賛否を合わせて次のようであった。
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電磁波は有害であると書いている多くの本で引用されている、カロリンスカ研究所のファイヒティング博士は「スウェーデンの小児白血病は年間70人くらいで電磁波による影響はそのうち1人くらいかもしれない」と語ったとのこと。よく読めば危険性ははじめから見当がついていたのだ。
このテーマでも恐怖を煽って本を売って印税をもうけた人がいたのだろう。

しかし、環境ホルモンやダイオキシンと違い、出版件数が二つ目の山に差し掛かりつつあるようだ。この現象はどうとらえたらいいのだろうか?
  • 仮説1 電磁波の害の新しい証拠が見つかりつつある。
  • 仮説2 既に第一の流行は忘れ去られ第二次ブームが起きている。
  • 仮説3 単なる揺らぎである。
  • 仮説4 環境ホルモンやダイオキシンと異なり、いまだ議論の最中である。
    近い将来に結論が出ることを期待します。


私は環境とかISO14001というものでオマンマを食べておりますので、ISOと書いてある本を見るとつい手を出してしまいます。
数日前、駅の本屋でISO14001がよく分かる2004年改訂版対応なんて書いてある本を良く確かめずに買いまして、帰りの電車で読んでたら「アルミがアルツハイマーの原因になる」とありましたので、降りた駅で捨てました。いまどきそんなことを書いている本じゃ、それ以外の部分も信用できません。
水道水が危ないとさけばれた時代もありました。
マイナスイオンというのもありました。最近ではマイナスイオンというキャッチフレーズや宣伝は少なくなりました。一体どうなったのでしょうか? 


本日のひとりごと

space.gif「奪われし未来」の <未来> とは、
space.gifゴア副大統領の未来だったのでしょうか?
space.gif環境ホルモン説の未来だったのでしょうか?




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