捨てたもんじゃない 2005.07.14
今、環境ISOの世界では04年版対応ということで大騒ぎである。
来年のことを言えば鬼が笑うというのなら、去年のことを言えば仏が吹き出すのだろうか?
とばかなことばかり頭に浮かぶのだが、ISO規格が04年に改定され来年の春までにそれに対応しないとならないということで審査機関、認証している会社工場、コンサルタントとも大忙しなのである。この不景気なご時世、仕事が忙しいとはご同慶の至りである。
ISOのTC委員(規格を作る人)の解説によると、04年改定の主旨は、ISO9000との両立と要求事項の厳格化であると説明されている。
チェリーピッキングあるいはカフェティリア方式の防止のためとも言われている。
カフェティリア方式とはカフェティリアのように好きなところだけ選んで認証範囲とすることという説と、大きな工場の中でカフェティアだけISO認証を受けて、あたかも工場全体の認証を受けたと誇大広告することからという説がある。
どちらが正しいのか私は知らない。あるいはどちらも猫を電子レンジで暖めるという都市伝説のたぐいかもしれない。
まあ、それなりにいろいろ理由はあるのだろうが、本当に改善しなければならないのは認証した企業の質向上であることはいうまでもないだろう。
私に言わせてもらえば、ISO14001認証している企業は環境事故も少なく(起こさないとまでは求めない)、環境法律違反も少ないことが一般市民の期待することである。
環境オリコンがあれば、その指標は環境ブランドでもなく、環境報告書のランキングでもなく、環境経営度調査でもなく、環境事故が少ないランキング、環境法規制違反の少ないランキング、省エネランキングなどではないのか?
勝手格付けという言葉がある。これは、自分勝手になにかの賞やランキングを作ることをいいます。
音楽CDなどのヒットしているかの評価である「オリコン」(オリジナルコンフィデンス)も設立時にその価値・信頼性を確立するまで大変だったと聞きます。
quest.gif 最近は環境○○というランキングをいろいろは雑誌社や新聞社が行っていますが、本当に価値があるのでしょうか?
ランクをつけるということは、万一そのランクが誤っていたら責任をとるということです。世間の多くのランクをつけている会社はその覚悟があるのでしょうか?
この日本でも毎年、毎年、数多くの環境事故起きており、法違反が摘発されている。
東京湾にあぶない排水を流していた会社を覚えているでしょう。廃棄物不法投棄の悪徳業者に頼んでいた会社もありました。許可を取り消しされている廃棄物業者は毎年たくさんあります。
ISO14001認証はそれらの予防、防止にどれだけの効果があったのか?と疑問を感じませんか?
聞くところによりますと、日本のISO14001認証企業は17000件とのことです。これは世界一だそうです。世界一の数の認証を受けて、日本の環境事故はどれだけ減少したのか? 知りたくありませんか?
96年の規格制定以後、日本の環境犯罪はどれだけ減ってきたのでしょうか?
私たちに身近な法律である廃棄物処理法をとらえて見ると、ほとんど毎年改正されています。
 なぜでしょうか?
廃棄物不法投棄がドンドン起きており、市民生活に危害を及ぼしているからです。
ISO審査件数との相関は・・・・なさそうです。
ISO14001に関わっている人たちはなにが本当に期待されているのか、なにが求められていることを忘れてはならない。
環境違反が官憲によって摘発された時、「私たちはマネジメントシステムの審査であって、法違反の確認ではない」と語る審査機関は間違っているとは言わないが、やはりどこかずれているのである。
環境事故が起きたとき、「認証を辞退してください」と受査企業に求める審査機関はどう考えても常識からいって筋違いなのである。

以前、自動車学校の卒業生の事故ランキングがあると聞いたことがあります。審査登録機関とそこから認証を受けた企業、工場の環境事故、環境違反のランキングをだれか発表していただけないものでしょうか?
使い道はいろいろあります。
一般市民あるいは取引先は、この審査機関の認証を受けている会社はトラブルが少ないからこちらを選ぼうという情報源となるでしょう。審査を受ける会社や工場から見れば、この審査機関は法律を良く見てくれるからこちらに変えようという考えもあるでしょう。この審査機関はいいかげんだから値引きさせて発注しようという使い方もあるでしょう。
別に良い品質を求めずコスト低減を目指すこともあながち悪くはありませんよ  

いずれにしても、ISO14001審査登録(認証)という行為は値打ち・効果・意義・役に立たなくちゃいけないのです。免状が価値あるのはそれが労苦、栄誉、忍耐、実力を裏書きするであるからで、そういったことを保証しない免状なら価値がないのです。
TOEIC何点といえば、ああこれくらいはできるのだなと思わせるからこと価値があるのです。TOEICの点数が良くても英語が話せないなら価値はありません。
ISO14001認証しました、でも事故が起きました、環境法違反で摘発されました。じゃあ認証を返上します・・それじゃあ・・・価値がないのです。


とここまで悪口を書いてきましたが、実は今日言いたいのは正反対のことなのです。
○経エコロジーという環境の雑誌の05年8月号にISOTC委員長のインタビュー記事がありました。
あなたがISOに関わっていて、まだ読んでいないならぜひ一読願います。
ISO14001を負のスパイラスにしてはいけないという熱意あふれる心情に私は感動したのです。
このような人がISOに関わっているのなら、まだISOは捨てたもんじゃない・・・と


本日の最後っ屁

ISO14001に関わっているすべての人は、環境を良くしようという思いを新たにしよう。
そして日本の環境ISOを少しでも実効性を向上するために力を合わせようではないか!




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