ISO事務局講座 その3 2006.10.18
環境関連資格
環境というと原点はやはり公害です。「環境事務局です」「環境の仕事をしてます」というからには公害の知識を持っていることが必要です。
ISO14001規格ならバッチリですといわれても、それだけではつぶしがききません。
さて、公害の知識と言っても、隅田川の汚染とか水俣病の年代を知っていても、日常の仕事にはあまりというか全然役に立たない。
woman7.gif そういった公害の歴史とか公害文化論ではなく、公害に関する技術的知識を持っていると非常に役に立つというか強みになる。
若いもんがペーハー9と10を等量まぜたら9.3になりますなんて語っていた。それを聞いて「バカいってんじゃねえ」と即座に切り返せるか否かということが、あなたが尊敬を勝ち得るか否かです。
こまかい数値計算以前に、ペーハーとはなにかという理屈を知り、また実際の経験、肌でイメージをつかんでいるかいないかが重要だと思います。
以前テレビで、酸性雨を中和するには何倍の水が必要かという番組がありました。きっとその番組のディレクターは小学校を出ていないに違いない。水では酸性雨を中和できません。
水で酸性雨を薄めることならできます。
ペーハーは簡単なたとえですが、「大変です!排水のBODが規制値300のところ330になった」という報告を受けたとき、あなたはそれを笑いとばすのか、大変だ!と走り出すのかということです。
それは騒音も地下水汚染も大気汚染も同様です。
じゃあ、そういった知識を得るにはどうしたらいいのだろう?となりますが、一番簡単でメリットがあるのは国家試験を受けることです。
試験合格すれば履歴書にも書ける。難しい資格ですと名刺にもかける。そして周りから尊敬され(かなり怪しい)、なによりも自信を持って仕事に当たれます。

ということで本日は環境関連の資格や試験の話
ぜひチャレンジしてほしいというものをあげます。
同時に投資対効果という観点からも考えなくてはいけません。
エネルギー管理士というのがあります。これはけっこう価値ある資格ですが管理士の資格をとっても選任されないと宝の持ち腐れ、そして実は省エネに関わらない人にとっては日常の仕事に関係ないのです。本当を言えば、エネルギー管理士という資格をとっても省エネにはあまり関係ないようです。
これでは困ります。



VEM様からお便りを頂きました(06.10.19)
ISO事務局講座の3回目拝読いたしました。
eco検定の試験の直後に資格のお話でeco検定の事にどのように触れられるのかなと思いながら読んでいると、全く無視でしたので、少し残念でした。意義に無い理由を展開していただければよかったのにと思いました。
私としては、第一回というところに意義を感じて受験を決めました。確かにすぐには使い道はなさそうですが、数年後に重みが出てきてその頃には難関試験になっているという可能性はそこそこありそうだと考えました。
もっとも純粋先行投資とすると結構負担は重かったとは感じております。
実際うそ800ですらまだ三分の一も読めておりません。これからも楽しみにしております。

VEM様 毎度ありがとうございます。
エコ検定ですか? 本当を言えばエコ検定には思い至りませんでした。
私が取り上げたものは持っていれば実際の生活の糧に役立つという判断基準で足切りしています。ここに取り上げた資格を「とったけど役に立たなかったぞ」とおっしゃる人はいますまい。
そしてまた国家あるいは公的に裏書きされたもののみを上げています。たとえば私はISO審査員というのを提示していますが、審査員資格としてはその他に、エコアクション審査員、エコステージ審査員、その他の審査員資格があります。また最近はコンサルタントの資格登録もあります。そういった審査員資格は、ISO審査員に比べて弱含みというか、ワンランク落ちると考えています。というようなわけでその他の審査員資格をリストアップしなかったのです。
エコ検定について考えますと、これを取り上げない理由として三点あります。
  1. 「検定」であり、「資格」でないこと。
    「資格」とはなにかを行ってもよいことの証明です。環境計量士の印がないと正式な計量証明になりません。公害防止管理者がいないと操業できません。危険物取扱者以外が単独で指定数量以上の危険物を扱うことは法違反です。
    「検定」とは、力量があることの証明です。実用英語検定に合格していなくても英語を話しても違法ではありません。囲碁免状がなくても囲碁を楽しむことはできます。
    エコ検定に合格しないとできない業務はなく、合格してなくても仕事に困りません。
  2. レベル
    実を言って私はエコ検定を受けてませんが、テキストは見ています。そのテキストを見た感じを申し上げます。
    工場で廃水処理を担当しているという人がいたとします。きっとその方は廃水処理だけでなく、公害の一般論、フロンやハロン規制のこと、客先からのグリーン調達、ISO規格、京都議定書などなどについて知識を持っていると思います。そうでないと一般企業で仕事が勤まらないでしょう。
    「TOEIC BRIDGE」という英語検定があります。これは本家である「TOEIC」テストでスコア450点以下の方が受けるものと位置づけられています。エコ検定もそういう位置づけかなと思いました。
    ついでにいえば、わざわざエコ検定のテキストなど作らずに、環境白書をテキストにしたほうが良かったのではないかと思います。値段が値段ですしね、エコ検定受験者が15000人とか20000人といいますから、テキスト代だけで1億円の売り上げです。テキストを売るのが目的だったのでしょうか?環境白書なら本は1500円、pdfなら無料です。内容的にはエコ検定テキストより信頼性が高くグッドですよ。
  3. 正確さ、客観性、妥当性
    エコ検定テキストの内容が現時点の正しい科学知識に則っているか疑わしいです。酸性雨の森林破壊(p45)、環境ホルモン(p61)なんてことをいまだに書いています。
    マイナスイオン(p29)に至っては笑止(笑死かも)
    ダイオキシンの発生(p61)、、BSE(p136)などリスクに関する考え方も市民運動レベルです。「世界がもし100人の村だったら」(p14)というのも客観性、中立性に怪しい気配を感じます。
    かって人間は自然と共生していた(p32)になると事実誤認としか思えません。アスベスト(p38)も歴史的事実と異なります。廃棄物(p58)は法的な定義と違い、トリハロメタン(p151)は??、各種リサイクル法(p84)の理解は??、ゼロエミ(p160)は実態を知らないと疑問は多々あります。
    裏づけはネットでお調べください。
    テキスト作成に当たって、安井至先生とか中西準子先生などになぜ声をかけなかったのか?不思議でなりません。
そんなことを踏まえますと、エコ検定とは【環境に関心があるけれど、知識は大丈夫か?確認したい】という人が受験するものかと思います。合格を目指して勉強するものではなさそうです。
それと、合格・不合格という発想も、この種のテストとしてはおかしいなあという気がします。先ほど上げたTOEIC試験は合格・不合格というものがありません。試験結果は点数で表され、あなたの英語力ならどの程度のことができるということが示されます。
ですから単に合否に一喜一憂するのではなく、次回はがんばるぞとか、だいぶ力が付いてきたという認識がもて同じ試験を繰り返し受験するのですが・・・
囲碁の段位認定もそれぞれの段位認定試験は合否がありますが、初段から二段、三段と向上心をくすぐるようにできています。
エコ検定とはいったい何を目的にしたのでしょうね?
今後1級2級とか設けるのでしょうか? エコ検定に合格しないと環境関連の受験資格をみとめないとか政治工作をするのでしょうか? いまいち理解できません。
案外この検定制度すぐに見直しになるかもしれませんよ?


星川様からお便りを頂きました(07.01.19)
作業主任者の講習日間違い
「うそ800」を楽しく拝見させてもらっております。
ここ半年以上ご無沙汰をしておりましたら、「事務局講座」が載っておりました。非常に参考になります。
第3回の事務局講座の資格関係の説明の中に作業主任者がありました。この資格は一日の講習でもらえるとありましたが、作業主任者は技能講習であるため二日間の講習が必要ではないでしょうか? 講習の中身は正にそのとうりです。

楽しいコラム楽しみにしております。

星川様 お便りありがとうございます。
これは大変な間違いをしてしまいました。
なにしろボケの始まりつつ頭で、30年前に一日受講したような・・・というような、いい加減な記憶を頼りに書いておりますのでいけません。しっかりと調べなおさないとだめですね。
訂正いたしました。
今後ともご指導、ご指摘お願いします。



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