ISO事務局講座 その5 2006.11.15

よくいるんですよ、
工場でISO14001事務局を10年してます。私はISOのプロですという人が・・・
確かにISO9001なんてのが日本で流行りだしたのが90年頃、ISO14001は規格が制定される前から審査登録なんてありましたからこれも96年頃からです。ですから10年以上事務局を担当されている方は日本全国、津々浦々に何百人もいらっしゃるでしょうね〜

man7.gif でもそんな自称事務局のプロの方とちょっと話をすると、すぐ本当のプロかアマかわかります。
自称ISOプロの方の中には、語ることすべてが特定の審査機関の受け売りばかりって方がいます。そういった人は審査員に言われたことを金科玉条と信じて、それを自分が働いている会社に実現しようとしているんですよね。ご苦労なことです。そんな会社の管理者・経営者は指摘を出さなくちゃ良い事務局とでも考えているのでしょうか?
いまだに、「有益な環境側面!」と語っているISO事務局に出会いました。
へえ!有益な環境側面ってISO14001規格にあったのかしら?
規格にあるのは、有益な環境側面ではなく有益な環境影響じゃなかったかしら?
いつも言ってますが、私たちの価値基準は会社を良くする、社会に貢献するということが第一優先でなければなりません。
そしてそれを実現するためにISO規格を使うのです。
ISO規格が要求していることがどうも自分の会社に合わないな〜と感じたなら、ISO規格をやめて別なシステム規格あるいは経営改善手法を取り入れることを考えるべきです。
別にISOに義理立てすることはありません。
環境マネジメントシステムだけでもたっくさんあるのですから
それにISO14001の認証をして環境事故を起こしたり、測定記録を改竄したりしているなら、ISOなんぞやらずにひたすら遵法に努めている方が国家、社会に貢献することは言うまでもない。
また気をつけておかなければならないことがあります。ご訪問される審査員が語ることが、本当にISO規格が求めていることかどうかということを常に考えてみるべきです。審査員様の独善とか間違った解釈で判断され、会社の仕組みを変えさせられたり、余計な仕事を増やされては困ります。
善意であっても規格要求以上のことを言われたら規格要求異常です
ダジャレです 

ISO審査員どころか、審査登録機関ご本体だって本当にISO規格を理解しているかどうか私は確信がもてない。
私は毎月、複数のISO規格の月刊誌をみているが、そこに載っている記事や公告を読んでいると、ホントカヨ〜!と声を出してしまうようなことを書いている審査機関もある。
もちろん、小さくてもこれは本物の審査機関だなと思うところもある。
毎度のことですが、ISO規格で経営に寄与するとか、経営改善するなんてのはどう考えてもおかしい。まず一つ目に本当を言ってISO規格の本来の狙いはそんなたいそれたことではないだろう。規格が聞いたら恥ずかしくなってしまうのではないだろうか。
二つ目には、ISO審査員はそれほどの経営についての才能、力量を持っているのでしょうか?
私も昔は200人も部下がいたこともあるが、私に会社の経営ができないことは間違いなく、ひとさまの会社を良くしてやることもできないことに自信がある。
もちろん、私の専門分野においては生産性をあげるとか、品質を良くすることはできる。しかし生産性向上と会社の経営は、小隊を指揮するのと師団を指揮するくらい違う。そんな基本的なことを間違えてはいけないし、ISOならできるなんて勘違いしてはいけない。
ISOのプロ事務局を自称する方の中には、審査員とバトルをして撃破することが楽しみな人もいる。
私もその一人か? うーん、どうでしょう?
私もその一人だったということは間違いない。今はすこし成長してその殻を破ることができたか? これも自信はない。

つい先ごろ、事務局をされている方からご相談というか嘆きのお便りを頂いた。
oioi.gif 今まで、ISOを使って会社に役立つようにと従来からの会社の文書を活用したり、仕組みや活動を会社の伝統などを生かしてそれを利用し伸ばすように工夫してきたとのこと。そしてそれなりに会社に役立ってきたと自負もある。しかしあるときご訪問遊ばされた審査員様から、そのようなマネジメントシステムは芳しくない、規格対応の文書を作ったり、規格用の記録を作ったりすべきであるとおおせられたとのこと。そしてその方の上司が、審査員がおっしゃるならそのように変えていこうと判断されたとのことである。
私もそんなはめになったことも多々あります。まさに身につまされる思いであります。
すまじきものは宮仕え
まあ、私たちは月給をもらって生活しているわけで、へんなところで男気なんて発揮して上司に疎まれるより、「そういたしましょう」と従うべきなのでしょう。
そして1年半くらい経ってうまくいかなかったら(そうなることは間違いないですが)「あの審査員の語ったことは間違いでしたよね」と上司を慰めてあげましょう。

審査員様様と崇め奉る(あがめたてまつる)ISO事務局と審査員を親の敵(かたき)と待ち構えているISO事務局しかないのか?
もちろん、自然体でいる事務局もあるでしょう。
いずれにしても人間ですし、特にISO規格なんて読み方によってはどうとでも読めます(というか読んでしまう人もいるので)必ずや審査員の理解と事務局の理解が一致するはずはございません。いえ、そのほうが多いというか通常でございましょう。
審査員と議論(指導するには)になると、事務局が正しいだけではなく審査員を説得できないとなりません。そのためには、応用動作が必要となります。
まあ、それは事務局側の経験と度胸でなんとかなるでしょう。
そしてなんとかするしかありません。 


本日の覚悟

武士道とは死ぬことと見たり
ISO事務局とは説得することと見たり


ISO事務局のみなさん、本当のプロ事務局になるには試練の道であります。
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