ISO事務局講座 その6 2006.12.03

最近なんか変なんです。
今月号(06/12)のアイソスを読んでたら、「マネジメントシステムはひとつだ」「EMSとかQMSというのはGMSを切り口を変えてみたに過ぎない」とか、「会社に貢献するEMS」なんて記事がテンコ盛り。
「マネジメントシステムを統合しよう」「統合マネジメントシステムの構築」「本業を取り込むEMS」なんて記事があったのがつい2ヶ月前でしたっけ? あれはどうなったのでしょうか?
最近読んだ「活き活きISO内部監査」(ISBN4-542-30626-7)という本は、私がこのホームページで書いていることそのままでした。いえ、このホームページを見たのだろうなんては口が裂けてもいいません。偶然の一致でしょう。

quest.gif みなさん、一体どうしたのでしょうか?
過去5年間私が一人で叫んでいた規格の本質が、やっと日本の審査機関やISO関係者に理解されてきたのでしょうか? 私は時代を5年も先取りしていたのでしょうか?
いえ私の影響ではなく、現実にそぐわないと生き残れないとISO関係者が気付いたのでしょうか?
これでやっとISO事務局エレジーも聴かれなくなるのでしょうか?
ならばいいのですが、

話は変りますが、このホームページはマイナーなのは言うまでもありません。日々のアクセスは300から400程度、しかもここ最近減少気味です。こんなホームページ趣味で作っているとはいえ、開設者としては寂しい限りです。
 うそ800 に関しては、そうではないのです。
2004年ごろは毎日のアクセスが40くらいでした。2005年になりますと80くらいとなり、2006年前半には100件を越え、ここ数ヶ月は毎日170件前後、日によっては200件ということもあります。
このホームページが世間に認知されてきたということなのでしょうか?
さらに認知されてきただけでなく、私の主張が見当違いな犬の遠吠えではなくまっとうだとご理解されご賛同していただく方が増えてきているなら望外でございます。

しかしながら、不思議なことがあります。
会社や自治体のISO事務局の方々からは、お便り、お問い合わせのメールをたくさん頂いております。
しかし、審査機関やISO雑誌社、あるいはコンサルタントからのお便りはひとつとしてありません。私は審査機関で雇用するとか、雑誌に記事を書いてくださいとか、ご教示を賜りたいなんてメールを期待してはおりませんが・・すこしはしているのですが ・・そうではなくご異議、あるいは公開質問状なんてのが来るのではないかと、期待というか恐れを抱いております。
ところが、そのようなお便りはいまだ1件もありません。
私はログ解析なんてめんどうなことはしておりませんが、これだけ毎日アクセスがある、かつそれが夜間とか昼休みでなく平日の日中にあるということは、審査機関の方が見ているに違いないと思います。
単にシカトされているだけかもしれません

ところで、そんなことより大事なことがあります。
これらISO雑誌で審査機関が語っているように、実際の審査も会社の本来のマネジメントシステムを見るように変わってきたのでしょうか?
ところが、私の知る限り、まだ第一線の審査においてはそのような変化は見えないようです。
私が知っている会社で最近審査機関を変えたところがあります。
ご存じかもしれませんが、審査機関を変えることは簡単にできます。今まで○○社だったけど気に食わないから・・・いえ、当社には合わないようだから・・・今年から○○社に変更しますなんてのは服を着替えるようにできるのです。
だいぶ前は切り替えに当たって初回審査同等の審査時間をかけるなんて審査会社もあったようですが、最近はふつうの維持審査(サーベイランス)と同じと聞きます。
なにせ、ISO審査というのはサービス業ですから顧客満足が第一、お客さんのお気を悪くしてはいけません 
その会社では某ISO雑誌で審査機関の取締役のにこやかな写真と共に「当審査機関は環境側面を数値計算などではなく、どのようにとらえているかをよく見させてもらいます」なんて書いてあったので、これならと思ってそこに切り替えたそうです。ikaru.gif
ところが、実際の審査ではあいも変わらず側面の特定や著しい側面の決定が客観的でない、数値化することを推奨するという結果だったそうです。
事務局長、プンプンしておりました。羊頭狗肉、いや看板倒れだったのかもしれません。

知り合いが審査員研修に行ってきました。彼も素人ではありません。ニ三年ISO事務局を勤め、審査を何度も経験しています。彼とはいつもISOに関して議論している仲です。いや本当を言えば、ISOについてではなく会社を良くすることを議論しているのです。
さて、講習に行きましたら講師がほこりをかぶったような講義をしていたそうです。ところがです、最近は講師より受講者のレベルが高いようで、受講者は質問などせず陰であそこ規格説明を間違えているぞとか、環境側面の特定方法がおかしいなどと哂っていたそうです。
講師の方々、受講生が静かだから話に聞き入っているとか、心酔しているなんて勘違いしないように、
ところでこの友人、法規制のテキストがだいぶ古いのだが、審査員研修機関では文書のレビューはどうしているんだろうと冗談を言っておりました。

私も最近は「従来は規格に合わせたマニュアルだったのだけど、もう審査登録して10年近くなり方針も環境側面も法規制もマニュアルに書いてあることは実態とずれているので、全面リセットして会社の本来のEMSを説明することにしたい」なんていう工場から相談を持ち込まれたりしています。
まさに我が意を得たりという感じでご協力しております。

このように事務局の力量の向上、受査側企業の本音で勝負という意気込みはすさまじいですから、審査員も審査機関もそれに合わせないと時代に遅れますよ。
もちろん審査員研修機関も講師が受講者に笑われるようでは困ります。そして養成する審査員候補者のレベルも一層向上しなければなりません。
アッツ、これは審査員研修機関が考えなくとも受講者のレベルが上がっているので大丈夫でしょう。


本日の歌声

聞け万国の事務局夜明けは近い




相方からお便りを頂きました(06.12.04)
相方!
最近、同業者でISOをやめるところが多くなってるよ。
費用対効果がないのと、不況で止めざるを得ない。
ところが、外部審査員など以前と比べ、必死に存続させようとしています。先日外部審査を受けた同業者は、マネージメントレビューもやっていない状態で、重要指摘事項ですが何やら審査員が頑張って?いるみたい。(笑)

弊社は軽微な指摘が1カ所でしたが、来年は止めようと思っています。我が業界には馴染まないし、費用がかかりすぎです。
普通に業務をしていれば、ISOなど必要ないと思うのですが?

仰せの通りでございます。
ISOってするものではありません。実力がISOに合っているかどうかを見てもらうだけのこと。
商売に役立たないなら、実力はあっても他人に見てもらうのに金を払うなんてもってのほか!
囲碁の実力があれば日本棋院の段位をもらわなくてもいいですし、免状があっても実力がなければ笑いもの

しかし、時代の流れを感じます。
1992年頃は受ける側はなんとしても合格したい、審査する側は不具合を見つけてやろうというあんばいでした。
いまは、受ける側がご辞退したい、審査する側がお願い継続して・・という感じですか。
どちらにしても、あるべき姿ではないようですね 

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