事務局講座 13 2007.04.08
事務局の覚悟
えー、お笑いを一席・・・でもないんですけどね、
私がここでISOに関して書いていることは、うそ八百でいい加減だと思われているのではないでしょうか?
実を言いまして、そういったご意見、つまり「いい加減なことを書くな」というお便りはたくさんとは言いませんが、ときどきいただいております。
しかしながら・・・半世紀も前の総理大臣ではありませんが・・・私はウソを申しません。
ところでこの総理大臣のお名前をご存じだろうか?
1960年 所得倍増論の池田勇人総理の言葉でございます。
私が審査機関に行ってきたと書いたときは実際に行っておりますし、審査員と議論したと書いたときは実際にチャンチャンバラバラしていることに偽りありません。
それからご理解いただきたいことですが、
世の中にはISOが大嫌いとか、ISO撲滅に命をかけている方もいらっしゃいます。 
ISOインチキ・詐欺・押し売りなんて言っている人もいるのです。
しかし、私はそういうアンチISOではなく、ISO規格が嫌いでもなく、第三者審査登録制度を否定する気もありません。私がここに書いていることは審査の質を高めてほしいという、私の熱烈なメッセージheart.gifであることをご理解ください。

しかし、これだけ言いたい放題書いているのですから、傍観者ではなく私のといめんの審査機関、審査員の方々から異議、いちゃもん、苦情、質問がドット押し寄せてくるのではないかと期待しているのですが、実を言いましてひとつも来ません 
私の書いていることにそういった方々から異議申し立てがないということは、ここに書かれていることに心当たりのある方は知らんぷりしているのでしょう。あるいは私の言い分を、納得してかいやいやかはともかく、少なくても受け入れたということでしょう。
それともこんなマイナーなウェブサイトなど知らないのでしょう。
あるいは審査員がデジタルデバイドであるという可能性もあります。
IAFガイドに拠れば、判定委員会の決定についての異議申し立てには時効がありますが、審査員の態度や審査機関の対応に異議申し立てするのに時効はなかったはずです。審査員資格の更新までと理解すれば時効は3年でしょうか。私の書いたものに対しては異議申し立ての時効はありませんのでいつでもお便りをください。

私が頭に血が上りやすいことは間違いありませんし、過去より審査員を天敵と認識しているのもうそではありません。
あるいは審査員の天敵が私なのかもしれない。
大体なんですか、ひとさまの会社の実情も知らずして会社の仕組みについて我が物顔にああだこうだなどとのたまわくとは失礼千万。会社のことはその会社の人が一番知っているのです。
適合性審査なら「適合です」「不適合です」とだけ言えばよい。それ以上コメントするのは審査が不適合です。
審査員がおかしなことを言うのを聞くと、黙れ黙れと暴れん坊将軍のように大声を出したくなります。

しかし、私も人の子、負ける戦(いくさ)はしたくありませんし、間違えて恥をかきたくもありません。それで私が審査で不満を持ったり、あるいは誰かから「おかしいんじゃないか」と相談を受けて審査機関にご相談(異議申し立て)に行くにも、気に入らないとかちょっと変かな?という程度では行けるはずがありません。
同様にこのウェブサイトに書く際にも思いつきでは書いていません。そりゃネットにアップするのですから、ある程度は確信がないと書けません。
審査の場あるいは書類について、審査員と審査を受ける側の見解が異なることは多々あります。これをお読みになっていらっしゃる方もそんな経験はたくさんあるでしょう。でも審査の場では「とりあえずは妥協しておくか」となることは多いでしょう。そんなわけでその場では審査員の言い分に同意したけれど、後で考えるとやはり納得いかないという話を持ち込まれることが多いです。
そんな場合は、まず審査員の言ったことだけでなく、双方の話のいきさつ・なりゆきを速記録などで確認します。
録音は公式にはないことになっている 

そしてそのやりとりを良く考えます。
規格の読み方についてはISO規格やIAFガイドを読んで結論が見えればそれでOKですが、判断がつかないことも多いです。 そんなときどうするか?
簡単です。
知っている人に聞けばいいじゃないですか。
ISO規格でしたらISOTC委員が一番です。そういった方にメールを出して「規格の何項の意味が分からないんですが教えてください」といえば悩み解消です。
あるいは審査を受けた審査機関以外の複数の審査機関に、電話とかメールで問い合わせればよろしい。何しろ、日本にはJAB認定だけで品質で52機関、環境で41機関とたくさんの審査機関があるのですから。
間違ってもネットで質問したり、そのへんのコンサルに聞いてはいけません。時間の無駄、余分なノイズに過ぎません。
では私に質問するのは意味がないのか? という質問が来るに違いない。
そのとおりです!
私に質問するよりも、ISOTC委員や他の審査機関に質問した方が信頼できると申し上げます。
同じく、環境法規制についてコンサルタントや審査員に聞いてもダメです。
そういうことは行政機関に質問するのが最善で唯一の方法なのです。

私の経験では、審査機関に質問するとどこでも親切に回答してくれます。なにしろいつ審査機関を乗り換えて顧客になるかもしれないのですから、つっけんどんにはできないでしょう。
中には「ああ、あの審査機関はそういった解釈をするんですよね  その解釈は間違いですよ。」なんて教えてくれるところもあります。
実際に電話の向こうで対応した女性が声を出して笑っていた審査機関がありました。笑われた審査機関は知らぬが仏・・・笑った審査機関はもう少し社員教育が必要だよ。
私はウソを申しません

ISO規格の読み方でなく審査を逸脱しているとか審査の手続き上の問題でしたら、認定機関に問い合わせをすることです。認定機関といってもJABばかりではありません。どの国にもひとつはあるんです。UKASだと必ず回答してくれます。英文メールを書くくらいは事務局員の力量のひとつですよ。
そういった裏づけをとっていざ出陣とあいなるわけです。
ところが審査機関では、そういった裏づけを取り、ダメなら審査機関の門前で抗議して腹を切ろうという私の覚悟を理解せずに、そのへんの馬の骨が自己流の解釈で文句を言いにきたんだろうという対応が多いですね。
屋敷の前で切腹させてくれと金子(きんす)をたかりに来た素浪人めが・・といったところでしょうか 
素浪人、結構じゃないか、腹を切る代わりに道場やぶりをして審査機関の看板をいただいて帰ります。
★★★★もっとも斜め袈裟に切られても気がつかない方もいるんですよね
★★★★もう末期症状かな?

日本全国の事務局の皆さん、あなたのお仕事の目的はなんでしょうか?
無事トラブルなく審査登録を維持することでしたら、難しいことを考えずに審査員の一語一句をハイハイと聞いてそれに従うのが良いでしょう。審査機関とのあつれきもなく、お互いにハッピーな人生を送れます。
しかしあなたの仕事が、顧客のため、株主のため、社会のために会社を良くすることでしたら、組織のためになる仕組みを実現することです。そのとき審査員あるいは審査機関とコンフリクトが生じたなら、己の信じるところに従うべきでしょう。
第三者審査登録機関のためでなく、社会に貢献するように会社をよくし、品質で社会に貢献するために、環境保全に役立つために本当のマネジメントシステムを実現すること、それが事務局のお仕事ですよ。


本日の覚悟

およそ一個の男児として、ISOのために苦しみたおれるなら苦しみすぎたことにならない。

もちろんこれはJFKのパクリです。
jfk.gif




事務局講座 14 2007.04.15
しっかりしろ事務局
つい最近のこと、某社のISO14001事務局の方と話す機会があった。私と同年輩であったが、まじめ120%という感じで、私とはまったく正反対の性格とお見受けした。
現物の私がダジャレ人間であることは言うまでもない。
その方が勤めている会社でもISO14001の仕組みが実態とずれていて・・会社の規則とは別に規格に合わせた奇麗事を・・マニュアルに書き、それを支える下位文書をつくり、審査では毎回それで運用しているとを説明しているとのこと。その会社はISOを認証して既に7・8年になり、そんなバーチャルシステムを維持しているのがたまらんという。
そりゃそーだ、そんなことをしているから儲からないのだよ。
もっともその会社は結構利益を出しているようである。
バーチャルなシステムでISO認証している会社の方が利益率は高いのだろうか?
あるいは利益が出ている会社ならバーチャルシステムでもよく、それを維持している事務局の賃金を払う余裕があるということだろうか? これは研究課題になりそうである。 
当然の成り行きとして、話はそんなバーチャルシステムを止めようよという方向になったのである。
その会社も業界団体に属しており、経済産業省から割り当てられた業界ごとの京都議定書対応の省エネ割り当てを消化するために必死の活動をしている。また事業推進上必要に迫られて環境法規制対応、消費者の嗜好や選択への対応として製品の環境配慮対応など泥臭い真の環境活動をしているのである。
それがISO14001の目的目標とリンクしていないのが世界七不思議である。 
総論賛成、各論反対という言葉がある。
その事務局の方も、会社の環境活動とISOの活動が完全に一致していなくてはならないということについてはそのとおりだと同意するのだが、ISOの仕組みを自分の会社の実態に合わせて行こうとは思い至らないのである。
いや、正確に言えば審査機関を上目遣いにながめる平目さんなのだ。 この会社のスタートは、会社の業務に即したというか、会社の仕組みをそのまま説明する道を選んだのだが、初回審査で不適合というノックアウトを食らってしまい、以来ふぬけになって審査員のいうがまま、会社の実態から大きくはずれた仕組みをあることにしてそれで認証を受け続けているのだ。
会社の実態と異なる仕組みを作ったのではない。もし従来からの会社の仕組みを変えて、審査員の期待する仕組みに変えたならそれは良い悪いは別にして、ものすごいことだと思う。
私はそのような事例をみたことはないが・・・
この方は審査員とは貴族かなにかのように、我々下々より一段上の特権階級と信じているらしい。
事務局の仕事は会社をよくするため、社会に貢献するためでなく、審査員のご要望を聞き期待に応えることとしか思っていないようである。
正直言って、このような事務局をみると、しっかりしろという気力もない。審査員のため、審査機関のために奴隷のように勤めなさいとしか言いようがない。
どんな仕事でも、どんな立場でも、己を確立し、自己の仕事に誇りを持ち、常に上を向いて仕事をしなくては社会人ではなく、この世に生まれてきた甲斐がないではないか。
大学を出ようと、過去に活躍してきたのであろうと、根本精神が貧困なのではなかろうか?
ひょっとして、戦後教育の成果なのだろうか?


本日の檄(げき)

政治に限らず、なにものであっても
人は自分の努力にみあったものしか得られない




事務局講座 16 2007.06.24
立ち上がれ事務局
私は企業のISO事務局、ISOコンサルで飯を食っている人、あるいは職業コンサルではないが認証の指導している人などISO9000や14000に関わっている連中と話す機会が多い。真面目な会合もあるし、おしゃべりもある。酒を飲んで同業者の愚痴を聞くこともある。
私が愚痴ることは・・・まずない。
話を聞けば聞くほど、みなさんご苦労されています。身につまされるといいましょうか。
でもご苦労っていっても、仕事だから仕方ないよねというのもあるし、そりゃおかしいよ!怒るべきだと思わざるを得ないものもある。

ISO事務局の苦労ってのはいったいどんなものでしょう?ってことを書く。
簡単に言えば、ほとんどの方がいかに審査機関を説得するかということが最重要課題である。
そしてその課題解決の最終解決手段は、審査員への妥協しかないのである。
しかし、これっておかしいと思いませんか?
いや思う思わないという問題ではなく、まったくおかしい。
だってISO14001の序文には、「組織が審査員の希望する仕組みを作り審査員を喜ばせる意図がある」などとは書いてないのである。
実際に序文に書いてあるのは「組織の環境上及び経済上の目標達成を助けることができる効果的な環境マネジメントシステムの諸要素を提供する意図がある」(ISO14001序文より)です。
QMSにしてもEMSにしても、マネジメントシステムというものは企業文化を反映したものでなければならない。だからそれは企業ひとつひとつ異なるのが当然であり、第三者はそれが規格を満たす限りにおいてバリエーションを認めて適合と判定しなければならないのである。
組織(審査を受ける会社・工場)は堂々と、自社の仕組みが一番自分にあっていて有効であり効果的であると主張すればよいのだ。
なぜ、企業は審査員に媚を売るのだろうか?
そして審査員は企業の仕組みを理解しようとしないのだろうか?
審査を受ける企業と審査員の見解が異なった場合、なぜ審査員の意を組んで彼らを喜ばせる必要があるのだろうか?
審査員の意見が、受査企業にとって好ましいことなら採用すべきだが、そのときまで企業側はそのような方法を取らないで仕組みを作ってきたわけであるからよほどのことでなければそのコメントがその企業に見合っている可能性は低いはずだ。

man7.gif 経営に寄与する審査を標榜する審査機関、審査員はその組織を動かしている人よりもその組織に詳しいのだろうか?
「組織のことは組織の人が一番知っているのだ」というISO聖者LMJのお言葉に反するような気がする。

いずれにしても企業に法違反があれば認証停止あるいは取り消しするという現在の認証機関のスタンスの実態からすれば、組織の決定に意見する資格などあるはずがない。
責任と権限は表裏なのである。
審査員が企業の意を汲んで歩み寄り理解を示すべきではないのだろうか?
レトリックに凝る必要はない。
審査員は企業のユニークさを認め理解を示さなければならないのである。
審査員は組織が作った仕組みが規格に反しない限り「適合です」と叫ばなければならないのである。
規格解釈に関して、審査機関も審査員も主観的客観を主張してはいけない。
組織のマネジメントシステムが不足していることのみを語り、適不適を騙ってはいけない。
「語ってはいけない」でないことに注意

ISO審査はまず組織の個性を尊重しなければ序文に違反する。
「この規格はあらゆる種類・規模の組織に適用し、しかも様々な地理的、文化的及び社会的条件に適用するように意図されている」(ISO14001序文より)
組織の個性を理解しない審査員、審査機関は序文の意図を理解していないのである。ISO17021、ISO19011以前の話ではないか?

有名な顧客満足を語る本、「真実の瞬間」の中で石を積んでいる職人のたとえ話があります。
 通行人「あなたは何をしてるんですか?」
 職人A「おれは今日の飯のために働いているのさ。」
 職人B「おれはいわれたとおり石を積んでいるんだ。」
 職人C「おれは教会を作っているんだ。」

つまらない例えが頭に浮かびました。
通行人がISO事務局の人に質問しました。
 通行人「あなたは何をしてるんですか?」
 事務局A「おれは審査機関のためにEMSを作っているのさ。」
 事務局B「おれは審査機関にいわれたとおりEMSを作っているんだ。」
 事務局C「おれは会社のためにEMSを作っているんだ。」
 事務局D「おれは社会のためにEMSを作っているんだ。」
あなたはどの段階ですか?

聞くところによると、審査員の一番気にかけていることは受査企業に忌避されないことらしい。
真に規格適合か否かを審査する審査員であるならば、忌避される理由はない。



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