第39条 (2003.02.19)
「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」

この条文は短いが重要なこと二つが書いてあります。
事後法の禁止と一事不再理です。
  • 事後法の禁止とは、
    実行時に適法であったことについて後で遡及した法を定めて罰することはできないこと
  • 一事不再理とは、
    既に確定判決を受けた同一の事件について再び控訴を認めないということ。
本日は事後法禁止と一事不再理だよ では事後法の禁止からいきましょう。
事後法の禁止って当たり前じゃんかとお思いでしょうか?
まあ、現在の日本ではこの理屈に反する法を作ろうとしたら非難ごうごうでしょう(当たり前か)
でもおとなり中国では似たようなことは日常だそうです。(残念といいますか幸いといいますか、まだ私は中国で仕事をしたことがありません)
かっての同僚から聞いた話ですが、行政担当官からこの方法でよいといわれ仕事をしていたら、後になってそれはいかん!という規制ができてさかのぼって罰金を取られたとか・・・
もっとも中国では成文法で仕事をしているというより、担当官や政治家の意向による人治主義でしょうから事後法禁止という概念以前かもしれません。

日本だって裁量行政じゃないか?とおっしゃるかもしれません。
まあ確かに法令(法律、施行令、規則)だけでは動かないところもありますから、グレーゾーンはあるでしょう。
でも最近は行政手続法とそれに基づく条例が整備されてますし、何か心配事があればノーアクションレターってのもありますから、言葉質を取っておくことも可能です。・・・行政ってたいていの場合質草を残さないんですよね(残念)
ウェスタンとか西部劇なんて知りませんか?もう半世紀も前のアメリカ映画のジャンルでした。私はウェスタンが好きでアメリカ開拓史に関するものをそうとう読みました。
アメリカ人というのは力ばかりではなく、西部の土地を開拓するに当たり先住民であるインディアンと種々契約をしています。けっこうまともだったのです。
ところが、あとでその契約を破棄して、自分たちに都合よく決めた事後法によってインディアンを裏切るケースがありました。
証拠をと言われると、ほとんどの参考資料は相次ぐ引越しで散逸してしまいました。今は記憶しかありません。
しかしながら、事後法を禁止するという理屈なら、
事前に想定される事態に備えて法を整備することは許されるし、しておかねばならない
ような気がします。そうはお思いになりません?
北朝鮮に飛行機をハイジャックしていった赤軍派がいました。その者どもは今でも生きています。当時ハイジャックを防止するあるいは処置する法律はありませんでした。ですから事後法ではどうしようもないのです。
ところが、そういった事態を想定した法を整備しようとすると『ハンターイ』と大声で叫ぶ人たち、市民団体、国会議員がいるのです。
こういった方々は法が整備されずに悪人を野放しにするのが正しい処置とお考えのようです。
それは正しいのでしょうか?
イエイエ、悪人どころではありません。
外国が侵略してくるのに備えて防衛体制を整えようとすると『ハンターイ』と大騒ぎするのです。この方たちは法もなく国民が国家が滅ぶのを待っているのでしょうか?


事後法禁止ということは、事前に法を整備することと同義であると理解できない人は法曹を議員をやめてください。
まる暴様から表現が適切でない旨のご指導をいただきましたので、上記を下記の通り改めさせていただきます。

国会議員は発生が予想される事態に備えて、法を整備しなければならない。
そして危険を予測できない方は国会議員をおやめください。






ところで、憲法39条をよくお読みください。
憲法39条は正しくは「刑事事件に関する事後法の禁止」なのです。
民事に関しては「事後法を禁止していない」のです。


現実に民事あるいは刑罰を伴わない法規制では事後法といえるものが存在しています。
そして、それらに対して判例では事後法により不利益をこうむった場合でも、違憲ではないという判決があります。

それは正しいのでしょうか?
ローマ法に端を発する法の考えかたというものは、民事、刑事を問わず事後法はいけなんじゃないでしょうか?
個人的には民事でも事後法というのはおかしいのではないかと思います。


現在、豊島や青森岩手の廃棄物の不法投棄などが社会問題になっています。
不法投棄というわけですから法に反する行為でそれは 悪 です。
03年4月現在、00年以前に行われた過去の不法投棄に対する刑事罰の適用は困難です。
それで今現在、措置命令を出せるように新法の提案がされています。
措置命令:不法投棄した廃棄物を排出者・処分者が撤去せよということ、現実にはお金を出させること。
私は逃げ得を許したくありません。でもこれって法の精神からしたらおかしいと思いませんか?




ハイ、次のお題は一事不再理です。
前述しましたが、既に確定判決を受けた同一の事件について再び控訴を認めないということ。
ところがですが、有罪判決を受けた被告人の利益のためには再理は行えるそうです。まあ、冤罪とか裁判官・弁護士・検事の間違いもあるのでしょうし、量刑だけでなく判決自体が間違っているということもあるからでしょう。
俺は悪人だあ
一事不再理、けっこうですね、異議ありません。
でも、それならば裁判はもっとしっかりやってほしいものです。
特に現在の刑法犯の判決については  と感じるところが多々あります。
最近のように殺人を犯した被告人が懲役わずか数年なんて判決はみんなまとめて、一事不再理を撤回し『裁判のやり直し』『再理をおねがいしたい』ところです。ついでに裁判官を審査に付して罷免したい心です。
一庶民から見ると、日本という国家は被告人の権利はしっかり守ってくれていますが、国民の安全を守ってくれてはいないようです。

判決は慈悲深くあるべきだが、被告人にとって痛みを伴うものでなければ意味がなく、類似犯罪を抑止する効果を持つものでなければならない。(佐為ジジイの言葉)

裁判の顧客は国民なのだから。
一事不再理ではなく、一時不再議ですが・・・
昔、私が働いていた会社で組合が左派・右派あい乱れて抗争していたことがあります。
一方に属していた議長が定足数に足る自派組合委員が出席したのを確認し、開会を宣言し自派に有利な決議をしました。その数分後に反対派委員が議場に来たのですが、既に議決されたとして一時不再議を認めず、さらに混乱に輪をかけたことがありました。
おろかな労働組合だ!なんて笑っちゃいけません。日本の国会にも徹夜とかなんたら似たような事態をわざとつくり自派に有利な採決にしようとすることは多いです。
相対する少数派だって牛歩戦術とかロープで体をくくりつけるとかけっこうがんばっていますよ。 
まったく国民の代表だ!とか選良とか言える代物ではありません。
せいぜいが赤い染料とか間違った考えに占領されているのかと・・・・(冗談です、笑ってください)



本日のまとめ


事後法の禁止も一事不再理もまったく正論です。
しかし、国民が国家の安全と治安が保障されていると実感できる法の整備と判決が行われていないような気がします。
国家安全を保障せよ不法外国人を何とかして!治安維持を第一に!
ちゃんと法律を作り、国民が納得できる判決を書いてください。
私は国会議員と裁判官をまとめて罷免したい気持ちです。



まる暴担当役員様からご意見をいただきました。(2003.02.21)
佐為さん今晩は。
毎度、佐為さんの憲法コラムを楽しませて頂いております。(^▽^)
憲法も他の法律と同様、様々な解釈がなされていますので、まあ色々なご意見はあるかと思っております。
しかし、今回の佐為さんの「憲法39条」についてのコラムは、解釈というものではなく理解において大変問題があります。

『事後法禁止ということは、事前に法を整備することと同義であると理解できない人は法曹を議員をやめてください』

これは問題です。
解釈の違いは別として、間違いは問題です。
佐為さんのHPは私のHPとは違って、大変多くの方々が訪問されていますからね。
これを放置することは、私にはできない。
失礼ですが、この部分は再考された方が宜しいかと思います。

いつもご指導ありがとうございます。
まず、お断りしておきますが、私は法理論とかKABU大先生のいうとこころの法哲学なんてあずかりしるところではありません。
そして私はここで憲法論を唱えているつもりもなく、ここを訪ねる方も私のようなコラムから方の理論を学ぼうとしているはずはありません。

じゃあ、何を書いているか?
まる暴様もご存知のとおりです。
私はこの世の現状を憂いて、憲法をネタに語っているわけです。
ですから、本文は事後法の禁止を論じているのではなく、個別論として『有事法制を反対する人々』・・・それにはまる暴さまも入ったようですが・・・の認識を論じているに過ぎません。
ここを訪問する方がその論点を誤解する心配があるのか・・・・どうでしょうか?
私は間違っていることは常に訂正することを誓います。
その論であっても、誤解を招くということ
あるいは別な表現があるならばご指導いただきたく
それと、ご訪問者は残念ながら少ないのが実情です。


星野様からご意見をいただきました。(09.03.28)
31条について
31条についてですが、ただただ31条の文言と明治憲法とを比較するのではなく、31条の具体的中身であるところの規定、たとえば33〜35条について解釈した上で明治憲法と比較すべきなのではないでしょうか。

星野様 お便りありがとうございます。
まず私は法律の専門家ではありませんし、詳しくもありません。
じゃあ、なぜこんなことを書いているのかと言えば、私は現在の日本を憂いているのです。それで憲法を一つの考える材料として、日本の社会の問題を提起しているつもりです。
星野様が私のアプローチでは物足りないとおっしゃるなら、星野流の憲法論を書いてください。
お待ちしております。





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