憲法64条2項

「弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。」

短い条文です。
しかし、我らが日本国憲法は含蓄があり、このたった18文字にも底知れぬ怪しさが･･･いえ不快意味が･･･間違えました深い意味が隠されているのです。すごいでしょう　

弾劾とは断崖絶壁のことではありません。
第78条でも書きましたが、裁判官弾劾法（昭和二十二年十一月二十日法律第百三十七号）に詳細が定めてあります。
第二条（弾劾による罷免の事由）弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。
　１　職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。
　２　その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。
要するにまじめに働かない非行少年じゃなかった非行裁判官を首（馘首）にすることです。病気の場合は弾劾ではなく単に罷免（解雇）になるだけです。

この項では具体的事項は法律で定めると語っております。それだけです。

ISO14001規格をご存知でしょうか？
実はこれが私の飯の種でございますが、その第一番目の条文ではなにを語っているかと言いますと、
「組織は、環境マネジメントシステムを確立し、維持しなければならない。その要求事項はこの4章全体で述べられる。」
いかがなもんでありましょう？　この条文と変わりませんか？
私は大幅に異なると思います。ISO規格では要求事項の範囲を定義しているに対して、本項では単に下位文書（法律のこと・怪しい文書ではない）で決めると言っているだけです。

あなた疑問が噴出してきませんか？　私はもう疑問が湧き出てくるのです。
この条文の存在意義はなんでしょうか？
なければ困るものでしょうか？
ところで憲法で「法律で詳細を定めると」と規定しているのはどのくらいあるのでしょうか？

数えてみましょう。
　　4条2項
　　7条1号
　　7条5号・8号
　　10条
　　16条
　　17条
　　24条2項
　　26条1項・2項
　　27条2項
　　29条3項
　　30条
　　31条
　　40条
　　43条2項
　　44条
　　47条
　　49条
　　50条
　　59条3項
　　60条2項
　　64条2項・・・本項
　　66条1項
　　67条2項
　　73条4号・6号
　　76条1項
　　79条1項・4項・5項
　　80条1項
　　84条
　　90条2項
　　92条
　　93条1項・2項
　　95条

しめて38箇所ございます。
多いか少ないかはともかく、そうしますとそれ以外のこの文言のない憲法の条項はその詳細を定める法律不要で、憲法を直接運用するのでしょうか？
だとすれば、憲法改正（96条）については「法律で定める」という文言がありませんので憲法改正法なるものはいらないということになります。

改憲論の国会議員のみなさま！
　憲法改正法はいらないそうです！
なんてことはないですか　

今日現在、日本で有効な法律はなんと1800本！　憲法99条で割りますと1条あたり18本の法律ができているのです。実際には憲法改正法や下位規定である法律を従えていない条文も多々ありますからモード（最頻値）はもっと多くなるでしょう。

法律で定めると述べていない憲法条項についても下位規定として法律を制定しているなら「法律でこれを定める」という文言はまったく存在意義がないことになります。

さきほどISO規格を持ち出しましたが、ISO規格で「･･･参照」と書いてあればすべてそれを参照せねばならず、書いてない場合は類似の記述があってもまったく無視することになっております。
護憲論者の大好きな日本国憲法に比べてなんと論理的な文章体系でしょう！　文書体系じゃないよ　

３Ｒって？
参考までに、最近循環型社会のためによく３Ｒ推進といわれていますが、これは
リデュース・リユース・リサイクル（３Ｒ）すなわち、減らす、そのままもう一度使う、何かに転用することです。
最近はこれにリフューズを加えて４Ｒと叫ばれています。

簡単に説明しますと、
リユースとはお酒の一升瓶を繰り返し使うことで、リサイクルとはビンを壊してガラスとして再利用すること、リジュースとはビンをたくさん作らなくとも回転するようにできないか？と考えることです。
どれがいいとは一概にいえませんが、壊して材料として使うよりビンのまま使えればよりいいわけですし、びんの数が少なくとも間に合うならもっといいことはお分かりの通り、
リフューズとは拒否すること、お酒を買いに行く時にビンは要らないよとお家からひょうたんや狸の土瓶などを持って酒屋に買いに行くことです。

それが当たり前だった時代もあるのです。

というわけで、私たち日本国民は不要な条文で水ぶくれしたどうしようもない日本国憲法を拒否いたします。

では本日のまとめでございます。