第70条 (2002.09.01)
「内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。」

はい、では今日のお勉強をしましょう。
  • 内閣総理大臣が欠けたとき
    首相がお亡くなりになった時、あるいは職責を果たせなくなった時でありましょう。
  • 衆議院議員総選挙
    総選挙とは衆議院議員の選挙に使います。
    参議院は半数ずつだから総選挙と言わないのでしょうか?
    ところが第7条では国会議員の総選挙という表現をしており、ここをつつく憲法学者もいらっしゃいます。
    まあそれはおいといて、

    と言うようなことがあったときは内閣は総辞職しなければならないとあります。
ハイハイ、はじまりだよ
ハイ、
本日のお題は辞職です。


辞職という語は憲法では2箇所で使っています。
本条とその前の
「第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」

辞職とは何でありましょうか?
広辞苑によりますと、
『職をやめること』だそうです。
日本語では一般的に『自らの意思で職を辞す』という意味かと愚考いたします。

「おい、お前クビだ!」こんなときは日本では辞職とは言いませんよね、
ふつう解雇されたといいます。
英語の「resign」ってどんなニュアンスなんでしょうか?
I was fired for always being late. した場合 I resigned. とも言うのでしょうか?

Yosh様、お読みでしたらお教えください。
と書きましたら、早速Yosh様からお便りをいただきました。

Resign するような“重要な職”をもつているのかどうかでしょうが。
辞職、辞任: Resignation. 辞職する、辞任する: Resign.
ResignもQuit もその本人の意志にてやめるということのようです。
解雇、解任:Discharge, Fire.
他からやめさせられることはDischarge, Fire や Go home でしょう。

仰せの状況では以下のような会話がなされるのでは。
 Boss: You are fired.
 You: I quit.
または。
 Boss: Go home.
 You: ……….

Fire と言われたら Quit と言い返すぐらい自分に自信があればよいでしょうが。
Go home と言われれば返す言葉がないでしょう。(最悪)
第69条の辞職とは選択権があり、総理の意思によって解散でも内閣総辞職でも選択できるので一般に使われる「辞職」という語句に違和感を感じません。
しかし、第70条では選択権がなく単に職を失うことを述べています。
こんな時も「辞職」というべきなのでしょうか?
しかも「総辞職をしなければならない。」というのですから自らの意思で職を辞すことを表明するのでしょうか?
謎が深まるばかり・・

誤解を防ぐために申し上げておきますが、
私が謎が深まると言いますことは『論理的じゃない』という婉曲話法ですことをご承知置きください。
よりざっくばらんに言えば『とんでもね〜ことだ』と言う意味です。
なんか、本条文で使っている「辞職」という意味がちょっと違うなと思います。
本条は単純に
「・・・・の時、内閣は解任される」あるいはもっと簡単に「職を失う」とすべきではないのでしょうか?

このような表現を見ますと「いかにも重々しく仰々しく書いたんだよ」という印象を受けます。
よくいますよね、漢語や英語やその他の言語をとりまぜていかにもすごく難しそうな話をなされる方が・・・
いかなる分野においてもやさしい言葉で説明できなくては真の専門家じゃありません。
ついでに言えば、本当の専門家なら「10分で説明してくれ」といわれても、「半日話してくれ」と言われても対応できるはずです。
それができない人は専門家じゃありません。
これは私の経験則です。




本日のまとめ、


憲法第70条改定案
内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会が召集された時、内閣は解任される。



文章は単純明快、難しい語句を使うのはやめましょう。
書いてあることは小学生でも理解できないといけません。
そうでないと国会議員が憲法を理解できないようですからね、

ついでに毎度のことですが、
護憲論者の方々、この辺の解釈をぜひご教授願いたく候・・・

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