憲法投稿その22002.01.15
ななし様からご質問をいただきました。お便りありがとうございます。
このホームページでは匿名の方をななし様と呼びます。他のななし様とこのななし様が同一人物か否かは私も分かりません。いずれにしてもすべてのななし様は私にとって尊敬すべき論敵と考えております。
なおこれ以降、ご投稿を黒字、私の意見を緑で表示します。
憲法12条について質問します。
簡単に書きます。
任田様の解釈では「国民は基本的人権を維持するために何の責任も持たない」ということですか?
また「濫用してよい」と言うことですか?
独り言での発言とだいぶ矛盾するようですね。
参考までに憲法12条を再掲します。
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
確かにこれに対して私は憲法12条で
- 11条で「永久に与える」と言っておきながら、12条で「国民に不断の努力を求めている」のは論理的につじつまが合わず、それならば元々与えてないことである。
- 基本的人権を『濫用せず、公共の福祉に使』わないで、個人の幸福追求、利益追求に使ってよいと書いてます。
以下私の考えを申し上げます。
法律とは俗物的なものであり、倫理観や道徳を述べたものではありません。
聖徳太子の17条の憲法は現在の憲法とは異なり、行動規範を記述したものですが、現行憲法を見ると、憲法のあるべき姿より17条の憲法に近いとさえ思えます。
具体的には、
「・・・保持しなければならない。」
「濫用してはならないのであつて・・・」
などという表現は法律では使っていけないフレーズであると考えます。
この条文で述べているのは一種の道徳観であり、合法、非合法とか判定できるものではありません。
憲法も含めて法律は即物的、具体的であるべきで人の気持ちや道徳までは定めることはできません。たとえば反逆罪を定めることはできても、愛国心を持てと定めることはできないのです。
本来は12条の項でも述べましたように、この条文そのものが憲法(法律)が定めるべき事項ではないのです。どうしてもというなら前文に書くべきでしょう。
繰り返しになりますが、ご質問の各文ごとに見解を述べさせていただきますと
- 「国民は基本的人権を維持するために何の責任も持たない」ということですか?
対応する憲法の文言は『国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。』ですが、不断の努力は必要ないと考えます。
皮肉ですが、日本では犯罪者の人権が被害者の人権より大事にされていることを見ても不断の努力はいらないようですね。
- また「濫用してよい」と言うことですか?
国民は法に定める権利を行使するのは当然です。それができなければ権利ではありません。
正当な権利であれば使いすぎるということはなさそうです。
- 独り言での発言とだいぶ矛盾するようですね。
ここが最も言いたかったことなのでしょう?(^^)
前に述べましたように、法律で道徳を定めることはなじまないのです。
私があるべき姿として書いていることと、憲法で定めることは同じではありません。
勘違いでしたらごめんなさい、
どこかの掲示板で私とディベートしている方のような気がしてならないのですが?
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