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拓殖大、國學院大、帝京大…
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(2010.10.17) |
下克上の傾向が顕著に!
久しぶりに立川まで行ってみようと思っていたが、昼まえからヤボ用ができてしまい果たせなかった。予選会に出場した415人が立川市街を走っているころ、ぼくは所沢の航空公園の周回コースを走っていた。
少し湿度は高そうだったが、樹々のあいだをぬけている風が心地よかった。中学駅伝の予選が間近にあるからだろう。園内は市内の中学生たちが、あちこちに、たむろして、思い思いにアップをしたり、引率の教師の指示にしたがってコースを走ったりしていた。やたら賑やかだった。
ぼくのランニングのコーチである元箱根ランナーも中学校の教諭である。社会科の先生だが、箱根ランナーの経歴を買われて、いまは駅伝チームのめんどうをみている。きっといまごろ、どこかで生徒たちの練習をみまもっているのだろうと思った。
「法政はギリギリだと思いますが、セーフでしょう」
2日まえに電話で話したとき、かれはそのように言いきった。
母校の本戦出場を固く信じて疑がうことはなかった。予選会に見に行くのなら、結果が判明しだい携帯で一報してほしい……というのだった。
だが予選会にはゆけなかった。
結果的にみて、たとえ出かけられたところで、かれに電話は出来なかった。法政は最後の1つを専修と争ってあえなく敗れてしまったのだから……
いつもなら録画によるテレビ中継は1週間おくれだが、今回は当日の午後3時30からであった。繰りあがったのは箱根駅伝そのものがスポーツ中継でも人気番組となり、ますます巨大化しつつある証というものだろう。駅伝中継のなかでも、いまや箱根だけは別格になっている。
2〜3年まえから、俗にいうところの下克上の傾向が顕著になってきた。それは箱根人気がたかまりとパラレルの関係にあるだろう。箱根駅伝は関東地区の駅伝大会だか、いまや高校野球でいうところの甲子園とおなじぐらいのポジションを占めている。関東の各大学が箱根出場獲得に血眼になるのはムリからぬ話なのである。陸上競技のなかでも駅伝の強化にのりだし、かくして各大学の実力差はかぎりなく接近してゆくことになる。
予選会のエントリーをみるとかつての箱根の覇者であり、昨年は出雲と全日本を制した学生2冠の日大の顔があり、さらに順天堂大学、大東文化大学、亜細亜大学、さらには神奈川大学の名もある。箱根を制した5校がなんと今回の予選会で出場権の獲得をめざしているのである。
3時からの録画中継をみると、法政は終始ボーダライン上にあり、15qまではなんとか持ちこたえていたが、最後の5qでライバルの専修大にふりきられてしまった。法政(10位)だけではなかった。かつての覇者をふくめて伝統校、常連校といわれる大学のいくつもが、あえなく出場権を失した。
留学生いがいはドングリの背比べ
今回からは出場資格が5000mで30秒、10000mで1分きびしくなった。出場選手が500人から415人に減ったのはそのせいだろう。コースも一部変更されている。いままでより市街地を走る距離が約2qのびて、昭和記念公園内の距離が1周半から1周になった。アップダウンのはげしい公園内の距離が減り、平坦な市街地コースがふえたのだから、ハイペースのレースになりそうな気配だった。
500人から400人あまりになったとはいえ、立川駐屯地の滑走路(幅45m)をいっせいにスタートするさまは壮観である。
レースはスタート直後からハイペースで幕あけた。留学生のジョン・マイナ(拓殖大)とガンドゥ・ベンジャミン(日大)が抜けだして、終始はげしくトップを争うという展開であった。
5q=14:33 速い! だが速いのはトップ争いをする2人の留学生だけで、ちぎられた3位集団の日本人選手たちのペースはそれほどでもなかった。トップ集団の10qは29:00、この時点で3位集団との差は55秒にもひろがっていた。
レースに動きがあったのは15qあたり。マイナーが積極的にしかけてベンジャミンをひきはなにかかる。後続集団でも14qあたりで早川翼(東海大)が前に出て日本人トップに立つも、前をゆくマイナとの差は1:35とおおきく水をあけられていた。
個人のトップはマイナ(拓殖大)で58:23、2位は20秒遅れで日大のベンジャミン、東海大の早川が60:03で日本人トップの3位、4位には上武大の長谷川祐介が60:12でつづいたが、タイム的にみるかぎり、それほどレベルの高くはなかったといえる。1時間を切った選手が昨年は11人もいたが、今年は2人の留学生だけだったという事実が、それをよくものがたっているだろう。
故障で欠場した村澤明伸(明治)のように、主導権をにぎって自力でレースを左右できるトップクラスの選手がいたら、かなりちがったものになっていただろう。だが現実はよくもわるくもドングリの背比べ、予選会という性格も多分に影響しているだろうが、積極的にしかけてゆく選手が少なかったのが残念である。
好対照をなす神奈川大と大東文化大……
終わってみると今回の予選会はいがいに平穏に終始したようである。昨年の駒澤大や日本体育大のように図抜けたチームが不在だったせいもあり、いまひとつタイム的にも不満なものがり、盛り上がりを欠いていた。
のちになってかえりみると5q通過の時点でほぼ大勢が決していた。5q通過の順位は帝京、神奈川大、中央学院大、東海大、國學院大、拓殖大、日本大学、順天堂大学、法政大……である。
このうち上位7校までは順位の入れ替えはあるが、圏内から動くことなく、8位の順天堂大と法政大が落ちて、上武大と専修大がもぐりこんだのである。
トップ通過の拓殖大はマイナーの爆走もあるが長い距離には自信を持っているようだ。5qでは6位、10qでは2位、15qではトップに立つというように、距離がのびるにつれて順位をあげてているのである。
2位の國學院大學は大健闘ではないか。6月の全日本の予選では10位におわっている。帝京大や拓殖大、国士舘にさえ負けているのに、そこから建て直してきた底力にみるべきものがある。
帝京大(3位)、中央学院大(4位)、上武(5位)もそこそこ粘りがありそうだ。
6位の東海大は村澤明伸(前回の1位)を欠いているが早川翼などの活躍でなんとか無事に通過した。まだまだ上積みがありそうである。
日本大学も7位で通過したが、ベンジャミンの快走があったものの、インカレポイントがなければ全体では9位という成績である。今シーズンも本戦にいっても、かなりきびしそうである。
かつての覇者のかなかでは神奈川大学が8位に入って、2年ぶりに返り咲いたが、過去4回制覇の大東文化大学は11位となり、連続出場は43回でとだえた。過去11回制覇の順天堂は13位におわり、今回も復活はならなかった。亜細亜大学も今回から拓殖大学の指揮をとることになった岡田正裕が監督だったときに箱根制覇を果たしているが、凋落は否めずに今回は12位に沈んだ。
注目していた法政大はインカレポイントを3分も持ちながら10位、国士舘大は14位である。予選会で上がるか下がるかはまさに天国と地獄、いちど落ちたチームの復活はかなりのエネルギーを要するだろう。
ところで今回の予選会あがりの9チーム、本戦ではどれだけやれるだろうか。今回は総じてシード組と比較では、かなり差があるのではないかとみている。そんななかでシードを奪える可能性のあるのは、かろうして拓殖大と東海大ぐらいではないか。
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出場チーム&過去の記録 |
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