ジャミラ祈念日   

 

噴煙怪獣

火山のようだ
陽だまりのようだ
工場のようだ

昼休みの終わり頃
せまくるしい喫煙室で
居ごこちの悪い職工のようだ
ケムラー君よ

何と言う人相だ
君には人相がある
掘って、掘って、堀まくれ
鉱山を守れ! なんていう叫びが
聞こえてきそうだ
君は坑夫だ

もしよければ
背中の後ろは甲羅で隠して
火山の中で
しばらく
昼寝でもしたら
どうだ

火の山が
もう一度
火の山に
なるまで

君が起きてくるのは
五十年先か
百年先か
千年も未来なのか

この
にっぽんという
国からは
顔らしい顔が
消えてしまっているかも
しれない
けれど




松本 賀久子

「噴煙怪獣」・・・ケムラー(毒ガス怪獣)
 体長35メートル、体重10000トン。死火山の大 武山から火山性の毒ガスが発生、鳥が全滅するだけでは なく人身被害まで出たという知らせに科学特捜隊は調査 を開始。原因は火口に住むケムラーだった。噴煙の中で も光る鋭い目に大きな口、固い甲羅は防衛隊の火器攻撃 などものともせず、ケムラーは大武市の市街を蹂躙した。 ウルトラマンもケムラー相手に苦戦するが、イデ隊員発 明のマッドバズーカの一発が、唯一の急所である背中の 発光体を直撃。ケムラーは最後の力を振り絞って火口に 飛び込み、ついにその遺体を人目にさらすことはなかっ た。
(出演作品「噴煙突破せよ」)