ジャミラ祈念日   

 

ガバドン昇天

夕暮れに
夜明けに
ほのかに浮かび
消えていく
大きなからだ
うつろな瞳。

七夕の夜になると
一番星の真上から
ひとしずくの涙の流す
あの瞳さ

昼間は
眠っているだけ
夜になれば
どこにもいない

晴れた朝には
ビルの谷間に高く
背中と
頭が浮かび

体を透かして
明るい色彩が揺らめいていた
体の中に
虹があるのさ

雨ざらしの
土管に描かれた彼の姿は
子供らの来ることもなくなって
から
しだいに
おぼろに
空しく
なった

ただ
流れ落ちた色のかけらは
みな
銀河に
帰されていった
という

夜を通して
夜を通して



松本 賀久子

「ガバドン昇天」・・・ガヴァドン(二次元怪獣)
 体長30〜60メートル。体重20000〜4000 0トン。宇宙線の異常のため、子供たちが土管に書いた 怪獣のラクガキが日中だけ実体化。昼寝してばかりの怪 獣に子供たちは失望するが、ところ構わず横たわる巨体 はただ眠っているだけでも日本経済を混乱させてしまう のだった。
(出演作品「恐怖の宇宙線」)