特選詩集 漂流 ゆるやかな酒を 磨いた硝子のコップに注いで 氷の海にいる 白い 水母の心になってみる なれない 生き物には 辿り着く岸辺も 昨日も 明日もない 絡み合った身体を 海の中で開き 縮めて 苦しさでもなく ましてや その影もない 透き通った心のかたち 北の国に遊んで 透き通る一杯の酒の中で疲れて眠る 水母が ほどかれて 溶けて溶けて ありのままの 私に なってゆく 松本 賀久子 1999年 第14回国民文化祭・ぎふ99 入選作品
ゆるやかな酒を 磨いた硝子のコップに注いで 氷の海にいる 白い 水母の心になってみる なれない 生き物には 辿り着く岸辺も 昨日も 明日もない 絡み合った身体を 海の中で開き 縮めて 苦しさでもなく ましてや その影もない 透き通った心のかたち 北の国に遊んで 透き通る一杯の酒の中で疲れて眠る 水母が ほどかれて 溶けて溶けて ありのままの 私に なってゆく 松本 賀久子
1999年 第14回国民文化祭・ぎふ99 入選作品