![]()
![]()
![]()
![]()
特選詩集
![]()
やかましい話
ある年のこと 鸚鵡を飼っていた 鸚鵡は 窓の外の 空の明るいあたりを じっと透かして見ているようだった ために 小鳥屋に行って見つけた時には あまり 喋らない奴だと 思ったのだ ところが いつの間にかふた月も経つと うるさい位 喋り続けるようになってしまい つい 怒鳴った 「やかましい」と 彼は ほんの0.5秒くらい 明るいあたりを探してから答えた 「ヤカマシイ」 と。 「やかましい」 「ヤカマシイ」 「やかましいわ」 「ヤカマシイ」 「あんたがやかましいんやで」 「ヤカマシインヤデ」 「やかましいわ、もう」 ああ いけない 私の方がやかましくなっている 後になってみると 気が付いたけれど それにしても あの空の明るいところには 何があったのだろう 私には わからない ままなのに 松本 賀久子2000年 7月 インターネット文芸通信「プレアデス」掲載