ー 嗚呼、玉圧測定器への道 ー

ガス室にて

一に乗り心地、二にデザインで乗るシトロエニストは路面の突き上げに日々敏感に反応しますが、美味しいウネリをひとつ超えると全てを忘れるという情けない弱点があります。例えば関越道下り線鶴ヶ島インタ−手前、圏央道分岐の案内看板下一般走行車線など、知らずに走っていると突然の快感に不本意ながら昇天、あるいはリピーターとなり追い越し車線から割り込み昇天など、車両性能や走行安定性とは別次元の危険性がハイドロ車には隠れています。

TISSO!はこんなハイドロの魔力から逃れたい、冷静になってハイドロを考えたい、いや単なるバカ(失礼)な方々のお役にたつ(かどうか分りませんが)、ハイドロ玉圧測定器を製作してみました。


- はじめにテストベンチありき -

しごく当たり前の事ですが、昔から玉の圧力を測る道具は有ります。そりゃそうです、規定圧があるんですから。古くからの直営ディーラーさんなどには立派な純正のプレッシャーテスターがあります。

これが純正のプレッシャーテスター。
玉は左の黒いブラケットに繋ぎます。まん中の柄を上下にシュポシュポすると右側のでっかいメーターが上昇して残圧を教えてくれます。左の小さいメーターは油圧ブロックの作動状態をモニタするためのものです。

初めて見た時、そりゃぁ涙がでるくらい有り難いモンでした。まさに御本尊という面持ちで、こういうモノが必要な車は自分でいじれんのだろうなぁ、と無言のプレッシャーを人間にもかけてきます(笑)

そうこうするうち、或るイベントに自作の玉圧測定器を持ち込んだ方がいました。加圧ポンプは安売りのガレージジャッキ、玉の取り付け部分はリヤサス・シリンダーを使い、フレームは溶接、高圧パイプも自作です。レイアウトもコンパクトにまとまり、素人にはなかなか真似のできない立派なものでした。

今でも心に残る逸品ですが、この器械が私を玉測製作へ駆り立てるきっかけとなったのです。しかし、しばし時は流れ、

3年ほど過ぎた或る日、私達の友人がXMを解体し、彼はそこで入手したハイポンプとレギュレーターを元になにやら思い付いたようでした。数日後、興奮した声で電話がかかってきます。

「玉の圧力測れるよ」

そうしてやって来たのが彼の1号機でした。

これが玉測1号です。

ベースフレームには「博多まるきた」のトレイと廃木、XMのブラケット、廃物の木ネジ、配管類は元部品を切ったり丸めたりしたもの、ホ−ス類は(写真では外れていますが)LHMの空きボトルに突っ込んだ仕様です。

ヒラメキを感じた作者がたまらず一挙に勢いで作り上げた事が良く分るレイアウトとなっています。


1号の背面より。

とはいってもどちらが裏か表か不明ですが、この角度からも作者の有り余るエネルギーと歓びの歌が聞こえてくるようです。現代アートとも言える構築美は来るべきハイドロ車の明るい未来を暗示しています(かね?)


そして1号を預かった私は、それをヒントにBX部品で玉測を作る決心をしたのです。
BXでも基本は同じですが、XMとパワステの機構が違う関係上、レギュレータに余計な孔が開いています。実はこの孔が圧力を抜く時のリターンで、XM用でいうところのリターンパイプは機能していないのでした。
これに気付かなかった私はXMに倣って「余計な孔」を埋め、結果加圧した後に圧力が抜けなくなり、高圧部分を緩める事により回避しましたが代償としてLHM顔射を受けています。無知なるもの、おもしろそろしからずや。


私の試作品

いちおう2号と命名しておきます。このモデルからフレームにはスチール棚の支柱を流用し、ハイポンプはM8のボルトで固定する手法が確率されています。まだリザーバーはありません。ホースからLHMを注ぐんです(笑)

リタ−ン路の間違いに気付かず、得意になって見せびらかしに行った某ガレージで顔射の洗礼を与えられました。

2号(右)と在りし日の1号
(1号は現在解体され、シェイプアップ後に4号として再生されています。
 私達はあなたを忘れない。ありがとう、1号!)

紆余曲折ののち、基本構造が完成した3号機です。
今回はフレームを白にしてみました。どうです、可愛いでしょう?
2号ではレギュレータ下のボルト1本で両側のフレームを共締めするため三角形でしたが、3号では短いフレームを追加することによりスクエアなシェイプになっています。この形式の方が配置を微調整しやすく、全幅も狭く作れます。メーターはみやすい水平配置に、圧力スケールは1号の150kg/cm^2から10MPaへ変更。これで完成です。

裏面にはリタ−ン回路が増設され、(ほぼ)閉回路として完成しました。


このような経緯で、積年の思いをやっと果たす事ができました。振り返れば私の人生も残り半分、悔いなきハイドロ道を邁進の覚悟でございます。

オマケ1
会社帰りに玉測製作にみえたAさん(obusumaでお馴染みですね)
バーナーでパイプを炙っています。ネクタイに燃え移らないか心配です。



オマケ2
オリジネータのokuさんは、その後弾薬箱に詰め込んだ玉測@oku2号を製作されています。洗練されたフォルムはベイエリアでも人気沸騰。LOMOと並んで今年注目を浴びるアイテムなのは間違いありませんね。




作りたくなっちゃったアナタは、こちらを!