Keisuke Hara - [Diary]
2000/10版 その2

[前日へ続く]

2000/10/11 (Wed.)

午後から BKC へ。 卒研希望の三回生が来たり、 電話の対応をしている内に、 夕方になり四回生 Y 君のゼミ。 Rudin の一章の演習問題をやる。 基本的には完全に正しいのだが、 答え方が何だか少しずれている気がする。 その辺りを指導しようとしても、 かなり微妙な所なのでどうもうまく説明できなかった。 まだ数学語が完全に身についていないという感じ。

経済の O 先生から頼んでおいた 「ある詩人への挽歌」(マイクル・イネス)が届く (ありがとうございます)。 コリンズの「月長石」を下敷きにしているという話だが、 あまりに昔に読んだものでその内容を忘れてしまっている。 やはりこれを読む前に「月長石」を再読するのが筋という ものだろうか。

日本からノーベル化学賞受賞者が出たようだ。 おめでたいことに水をさすようで申しわけないのだが、 何だか猛烈に「地味」な印象を受けた。 それとも僕が化学に疎いからその重大さがぴんとこないだけで、 本当はもの凄く画期的、歴史的な大発見なのだろうか…
化学に詳しい方がいたら、 是非、今回のノーベル賞の受賞対象になった業績の 重要さを素人にも分かるように教えて下さい。


2000/10/12 (Thurs.)

午前は「確率現象論」。 色々な収束の概念と大数の法則。 夕方は「数理計画法」。 ゲーム理論と線型計画法の関係など。

その後、W 先生と Y 先生の両大先生、 O 坂先生、A 堀先生と学生有志二名での プライベイトゼミで発表。最近、考えている問題について、 イントロ的に軽く話そうと思っていたのだが、 質問に答えたりしているとあっという間に、 一時間以上話してしまった。

来週には経済のランチセミナーで 全然経済に関係ない話をしなくてはいけないのだった。 また A 堀先生に駄目出しされそうなので、 あまり気が進まないなあ。 経済とは言え、数学ができる人が多いので、 きちんと、しかも分かりやすく、 話さないといけないだろう。


2000/10/13 (Fri.)


2000/10/14 (Sat.)

昨日金曜は朝から夕方まで講義で特にニュースなし。 何人かの人にやっぱり電導性ポリマーは偉い、 という話を聞く。

14日、土曜。 正午起床、昼食にカレーライスを食べる。 一週間前に寸胴鍋に一杯カレーを作ってしまい、 おおよそ十食分と予想していたのだが未だに 食べ終わらない。まだ三食か四食はありそうだ。 何故こんなに作ってしまったのだろうか…

一週間の疲れで午後も午睡。 ようやく夕方になって目覚め、 三条のあたりをぶらぶらする。

「ドン・イシドロ・パロディ、六つの難事件」、凄く面白いです。 例えて言えば、 思いがけずまだ未読のブラウン神父シリーズが 残っていたような感じだろうか。 勿体ないので、気分の良い日、 寝る前に一話ずつ読んでいます。


2000/10/15 (Sun.)

また今日も午睡をしてしまった。 木金の疲れを取り戻すのに土日の二日を使ってしまう。 どうも最近、体力が低下しているようだ。 涼しくなってきたし、またランニングを始めようかなあ。

夜、膳所にチェロのレッスンに行く。 ロングトーン、スケール、エチュード、 バッハのアリオーソを少し。 デタシェのボウイングが難しい…


2000/10/16 (Mon.)

午後から大学に雑務をしに行く。 今日は数理科学科の卒研希望の第一回の締切で、 僕の卒研を希望した学生は二、三名と聞いた。 面接に来た二名は目的がはっきりしていたようだし、 それくらいの人数ならやり易いだろう。

事務室から帰る途中で、 A 堀先生が狸か力士のように腹鼓をぽんっぽんっ、 と叩きながら歩いて行くのを観た。(いい音してました。) 立命に来てから、ぐんぐん貫禄が出てくるなあ… 紅茶に砂糖を入れないようにしているとか、 御飯を少なくしているとか言っていたが、 もはやその程度では効果ないと思うです、、、はい。

夕方、K 川先生が科研費マクロを届けに来てくれる。 ああ、そういう季節なのであった…

帰宅。肉じゃがと冷奴で夕食。 カレーに続きまたしても肉じゃが作り過ぎ。 四食分くらいだろうか。 肉じゃがって簡単に作れるわりに、 「お袋の手料理」代表みたいに言われるのは何故でしょう。 夜は明日の経済ランチセミナーの準備。

イシドロ・パロディの第三話は翻訳が固いというより、 かなり分かり難いですねえ。後書にあるように、 院生に下請けに出したからでしょうか。 ところで昨日気付いたのですが、 この本の裏のあらすじと帯の人物紹介、ネタバレし過ぎです。 これから読む人は要注意。


2000/10/17 (Tues.)

正午頃、BKC に到着。 生協で買ったおにぎりを昼食にして、 12時半からファイナンス研究センターの ランチセミナーで話す。 今日は全学部的に学部長選挙の準備の会議の他、 色々と忙しい中、 わざわざ経済と関係のない話を聞きに来てくれた 先生方には感謝。

そうこうする内に教授会。 教授会ではまたしてもヘヴィーな話。 不況の中、教育業界にもアゲインストな暴風が吹きつけてますね。 立命館の明日はどっちだ…

A 堀先生と卒研配属について少し話す。 確率論分野にはなかなか数学を目指す学生が集まってくれない。 やはり学生には整数論とか代数幾何とかが魅力的に映るらしい。 確率論も面白いと思うのだが、四年生の段階で、 確率論を選ぶというのはかなりマニアック な嗜好であることは確かだろう。 とは言え、 「確率論をやってみたいんです」と正面から言ってくれるような 学生が現れて欲しいなあと思いますねえ。


2000/10/18 (Wed.)

表に出ると随分と涼しかったものだから、 この秋はじめてコートを着て行くことにする。 12時半から院生の暗号ゼミ。 何故か三次方程式と四次方程式の解法の発表を聞く。 夕方は数学の四回生 Y 君の私的ゼミ。 解析の初歩の所をやる。

解析の初歩のゼミをすると、 自分があたり前だと思っていることが、 それほどあたり前ではないことに気付く。 僕はあまり解析らしい議論が得意ではないのだが、 それでもやはりいつの間にやら解析的な考え方が身体に染みつくのだろう。 例えば、等式さえも不等式を通して見る癖がつく。 「等しい」という関係を、 二つの逆向きの不等式と見たり、 誤差がいくらでも小さいことだと思ったり、などなど。

また講義ラッシュの木金がやってくるなあ、と憂鬱になりながら帰宅。 なんだかあっという間に一週間が過ぎてしまって、 全然自分の数学をする時間がないような気がする。 来月末のシンポジウムまでに整理しておかなくては いけない問題が山積みなのだが…
今日の夕食。親子丼、冷奴、肉じゃがの残り。

お、T 山先生のドイツ便りの更新を発見。 数学以外にすることがない幸福な生活を送っているようである。


2000/10/19 (Thurs.)

午前は「確率現象論」。 条件付き確率と条件付き期待値を説明する。 これらは確率解析の最初のヤマの一つ。 条件付き確率や条件付き期待値が、 いわゆる確率でも期待値でもなく確率変数だという所が なかなか捕みにくい概念である。 条件付き期待値については分かっているつもりでいるのだが、 正直に言って、 僕も条件付き確率のイメージがいまだに良くわからない。

去年僕の所で卒研をやって K 大の大学院に進んだ M 森君が BKC に遊びに来て、しばらく雑談。数学の話など。 夕方は「数理計画法」。 線形代数の復習をかねて Gauss-Jordan の消去法、 Pivot 変換など。

学生達の格好もようやく秋らしくなってきた。 私の学生時代を思い浮かべてみるに、 ずいぶん彼等はお洒落だなあ、と思う。 と言うより、突拍子もない格好をしている学生がいない。 みんなほとんど一様に小綺麗である。 ちょっと寂しい感じがする。 実は私は20前後の頃、かなり突拍子もない格好をしていた。 橋本治ほどじゃないが。 若い内はそういう馬鹿なことを しておくのもよろしいのではないかと。


2000/10/20 (Fri.)

午前は「数学解析」。 二階斉次微分方程式の具体例、 Wronskian の性質など。 午後は「確率統計」、 多次元の確率分布の概念と確率変数の独立性、 相関係数など。 その後、「プログラミング演習」。 各講義の間には、 レポートの採点をしたり、 研究室をたずねてきた学生達の卒研や進学の相談など。 やつれ果てて帰宅。来週から卒研の準備ゼミも入ってくるし、 昼間の時間がなくて夜にゼミをする A 堀先生状態も 他人事ではなくなってきたかも。

夕食は肉豆腐、納豆、とろろ汁。 ビールのつまみ用に煮豚をしこんでおく。 ちなみに私は煮豚にペルツォフカ(唐辛子のウォッカ) を少し使いますが変でしょうか… (冷凍室に常備されていることが変です)。 それとは別に、とろとろに冷えたペルツォフカが 美味しい季節が近付いてきましたね。


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp, kshara@mars.dti.ne.jp

この日記は、GNSを使用して作成されています。