Keisuke Hara - [Diary]
2000/10版 その3

[前日へ続く]

2000/10/21 (Sat.)


2000/10/22 (Sun.)

昨日も今日も昼頃まで寝てしまう。 午後から三条に出るとものすごい人通りで、 何かの祭りらしいことに気付く。 どうやら時代祭とやら言うものらしい。 人混みを避けて裏通りを通って丸善に行く。 購入した本。「流沙の塔」(船戸与一)、 「マネー!マネー!マネー!」(ポー・ブロンソン)。 Cafe R***** で珈琲を飲み、 SBUX で珈琲豆(スマトラ)を買って帰宅。

色んな人に倉木麻衣(漢字があってるかどうか不明) が立命館に入ったんだって、と言われるが、 彼女が有名人という他には何も知らないので、 そのニュースの面白さのツボを理解できない。


2000/10/23 (Mon.)

早めに大学に行って科研費の申請書を書く。 今日が締切なのである。 今回もありがたく科研費 TeX マクロを使わせていただくことで 簡単に完成。 毎年思っているのだが、この科研費マクロを作っている方に、 (数学者かどうか知らないが) 日本数学会賞くらいあげてもいいと思う。 日本中の数学者達の時間と労力を大幅に省いてくれているのだから。 しかもボランティアなのである。 最近はボランティアチームになってきているようだが、 兎に角ありがたいことである。

まあ、科研費申請、書いても当たらないんですけど… 科研費に何人当たったか以前に、 何人応募したかと言うのも大学にとって重要な統計らしいので、 一所懸命出して下さいと言われるのですね。

申請書をローム記念館の研究支援センターに提出に行き、 個研費の領収書と TA の出勤簿を数理事務に提出、 某 A 社に資料を郵送、などなど雑務。 夕方になって、卒研配属が決まった学生二名と打ち合わせ。

今日の一曲。
バッハ「ブランデンブルグ協奏曲」、 コープマン指揮兼チェンバロ、 アムステルダム・バロック管弦楽団。


2000/10/24 (Tues.)

ファイナンス研究センターのランチタイムセミナーに間にあうように 昼食をとって大学に向かう。 O 川先生が、 マーケットが長期的に間違った企業を選ぶことがある、 というような数学的モデルのお話をしていた。 その後、健康診断に行く。もともと薄い血を抜かれて ちょっとふらふらする。

その O 川先生にカーの最も馬鹿馬鹿しい作品とその名も高い 「魔女が笑う夜」 (カーター・ディクスン名義)を貸していただく。 昔、読んだという記憶はあるのだが、 全く中身を覚えていないので楽しみである。

今日の車中の読書。「人生を<半分>降りる」(中島義道、新潮OH!文庫)。 もともと引退隠居逃避隠棲願望がある私にとっての 「危険扇動文書」 としてあえて読まないようにしていたのだが、 文庫化されているのを山科の本屋で発見してしまい、 今日の通勤の行き帰りで読了。 この人の言うことには一々感心もし、 凄く秀れた哲学者なのだろうと推察するのだが (本人いわく、もう哲学研究はやめたらしい)、 あまりに気真面目で繊細な人であって、 そんな人が人生や哲学と真面目に悪戦苦闘しているところが 心をうつのだろうなあ。

兎に角ますます私のリタイア願望が深まる一冊でした。 「孤独な散歩者の夢想」(ルソー)などの引退人間の古典や、 「大都会隠居術」(荒俣宏編)などの最近の隠居願望人の書物に続いて、 私の「隠居文庫」入りしたことは言うまでもありません。 (ますます隠居文庫を充実させるため、 貴方のおすすめの隠居本があれば是非教えて下さい)

ドロップアウトつながりで今日の一曲。
バッハ「平均律クラヴィーア曲集」(グレン・グールド演奏)。


2000/10/25 (Wed.)

12時半から M1 の暗号ゼミ。 夕方は数理の学系会議。

結局色々あって、 数理の卒研生は4名、情報の卒研生2名の計6名を取ることになりそうだ。 僕の所は人数が少ないだろうと予想して来てくれた 第一志望者には申しわけないが… 数理からの希望者が増えたのは A 堀先生の陰謀、 情報からの希望者が現れたのは何かの間違いらしい。 来年こそは強面で卒研生削減計画を目指したい。 たとえば、Ikeda-Watanabe を一通り読んだことを 前提として卒研を始める、と宣伝するとか。

でもそんなに気を回さなくても、 来年の卒研の評判で自動的に減るかも。 と言うのも、 暗号ゼミについては自分も気楽にやっているので 終始穏やかなのだが、 解析のゼミなどを指導すると、 自分がイライラしているのが分かるのである。 内容が間違っているとか、 内容が初歩的過ぎるとかいうことは全然気にならないのだが 「遅い」ことにイライラするみたいだ。 間違いは注意すればいいし、 初等的な数学は大好きなので歓迎するが、 もたもたされるとどうもいけないようだ。 僕は本来非常に穏やかかつ温和な人間なのだが、 この不穏な感じが学生に伝わるらしい。 きっと学生もいやーな感じになっているだろう。

思考が「遅い」のはけして数学者としてマイナスではない。 むしろその方が立派な仕事が出来るとよく言われる。 早見えで物分かりが良い人はなんにも引っかかってこないので、 ただそれだけということになりがちで、 気の効いたプロブレムソルバーになれるかも知れないが、 良い仕事が出来るかどうかはまた別問題なのである。 だからこんなことでイライラしているのは、 先生としては絶対にいけないことであって、修行不足である。 本来、僕はまだまだ学生を指導するような器ではないのだ。 次第に慣れて行くとは思うが、 学生にとっては大変に迷惑なことであろう…


2000/10/26 (Thurs.)

朝は「確率現象論」の講義。 停止時刻の定義と性質、Markov 過程の定義など。 夕方は「数理計画法」の講義、一般の枢軸変換など。 その後、五時半からプラベイトセミナー。 W 先生、Y 先生、A 堀先生、O 坂先生の前で、 最近 O 大の K 先生から送ってもらった逆散乱問題 と二次ウィナー汎関数の関係のノートをネタに一時間ほど話す。

八時過ぎに帰宅。チェロを弾いてささくれだった心を慰める。

「ある詩人への挽歌」(M.イネス)、読了。 重厚で教養あふれる雰囲気が読み所のように言われるが、 単にミステリとして読んでも、 地味ながら綺麗にまとまっていて、 欠点のない傑作だと思う。


2000/10/27 (Fri.)


2000/10/28 (Sat.)

27日(金)。午前「数学解析」、二階線型非斉次微分方程式について。 午後「確率・統計」、多次元の確率分布、特にガウス分布。 多次元のガウス分布の特性関数をその場で計算しようとして、 ちょっともたもたしてしまい反省。 夕方「プログラミング演習」。 夜は経済の O 川先生、経営の院生 T 君、 FセンターのNさん、支援 T さんと一緒に京都駅近くのホテルに食事に行く。 待ち合わせの合間に O 川先生の研究室の蔵書を見せてもらって、 非常に面白かった。人の本棚を見るのは、 いつも非常に興味深い経験である。 今日のファイナンスセンター豆知識。 「N さんは枝豆を生で食べ、馬が好き」。 その後、O 川先生、T 君と三人で山科の喫茶店で 教育問題について議論する。

28日(土)。昼過ぎまで寝てしまう。 TK 大の S 君と Y さんから韓国での学会のお土産が届く。 チャンジャ、キムチの他、韓国海苔など。 キムチはカニやイカなど色々小分けされていて、 しばらく食材に困らなさそう。感謝感激。 夜は膳所にチェロのレッスンに行き、 帰宅後、早速、香りの強い菜っぱ(紫蘇だろうか…) のキムチを味つけに使って豚キムチを作り、 韓国海苔と味噌汁で夕餉にする。 うーむ、うまい。流石、本場物は違う。 韓国で確率論のシンポジウムとかないかなあ。

小平先生の「怠け数学者の記」の文庫版が出ていたので、 ちょっと立読みすると、 「学生の質がどんどん落ちている。 知識がないのはともかく、 ますます自分の頭で考えなくなってきている。 このままでは大変なことになる」 というような主張をあちこちの雑誌に書き、 教育問題に警鐘を鳴らしておられる。 ちなみに書かれたのは1980年代前半である…


2000/10/29 (Sun.)

午後、烏丸御池の京都文化博物館でのコンサートに行く。 バッハ一族の音楽と題して、 J.S.バッハとその末息子J.C.バッハの曲が幾つか演奏された中、 ヴィオラの協奏曲がまったりとしていい感じだった。 ヴィオラの音って好きなんですよね。 ヴァイオリンみたいにキンキンしてなくて、 おっとりしていて、エロティックな時もあって。 そう言えば、KO大のN尾さんがヴィオラ習おうかなあとか 言っていたがどうなったんだろうか。その他、 独唱のカンタータで水色のドレスの可愛いらしいお嬢さんが ソプラノを歌っていて目の保養になりました。

その後、三条までぶらぶらと歩いて、 Cafe R****** で一服してから帰宅。 どうも眠い。やはり木金の疲れから回復するのに、 土日の二日かかってしまう。


2000/10/30 (Mon.)

明日、共同研究の打ちあわせをするので、 自宅で疑問点を整理する。

ずーっと数学をしていると、その途中に身体を動かしたくなるのだが、 表に出るのも面倒なので、大体は独身者らしく家事をすることになる。 今日はふとトイレに行った時トイレにある棚が、 本棚だと思えば文庫と新書用にあつらえたように ぴったりのサイズであることに気付き、 何十冊かをトイレに移動しようと思いたった。

とすると、トイレにふさわしい本を選びたい、 という奇妙な誘惑がふつふつと沸きあがってきて、 ちょっと休憩の運動のつもりが二時間くらいかけて、 選びに選び抜いてしまい、無駄に貴重な時間を費やしてしまう。

いかんいかん、と思って数学に戻ったのだが、 「トイレにおけるくらいなら、 バスルームに本を置くことに何の問題があろうか」 と思い立ち、 それならばバスルームにふさわしい本を…(以下省略)。


2000/10/31 (Tues.)

三田の I 先生と研究の打ちあわせ。 そろそろシンポジウムの予稿を準備したり、 講演の方針を決定しなければいけない時期なので、 色々と相談。

新快速の終電でふらふらしながら帰宅。

アマチュアチェリストのメイリングリストで、 鳥目杢のチェロが話題になっていた。 普通のチェロに使われている木は木目に 直交した方向に縞模様の杢が入っているのに対し、 鳥の目のような杢が入っていると言う。 表板に二つのでっかい目玉みたいなのがついていて、 こっちを睨んでいるような図を想像してしまっていたのだが、 実は こういうもの らしいです(佐々木ヴァイオリンのページから引用)。 メイリングリストでは「気色悪い」という意見が多かったようだが、 結構綺麗じゃないですか? ちなみに楽器の性能にはまったく関係ないそうです。


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp, kshara@mars.dti.ne.jp

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