Keisuke Hara - [Diary]
2001/02版 その3

[前日へ続く]

2001/02/21 (Wed.)

朝から大学へ。 国際シンポジウム「確率過程論と数理ファイナンス」スタート。 夕方からは学内の食堂でウェルカムパーティー。 その後、さらに南草津の居酒屋でO大のSさん、TK大のS君、 H大のT君、同僚の A 堀先生とでまた飲む。 11時半すぎに帰宅。

疲れているので寝て明日の朝に備えます…


2001/02/22 (Thurs.)

シンポジウム二日目。 昼の休憩は研究室に戻ってサンドウィッチを食べながら雑務少々。 今日の講演スケジュールが終わった後は、 アクロスのディーリングルームで少し雑談をして時間をつぶし、 夜は草津の焼肉屋で夕食。

帰途の電車の中では乗りあわせた醉客に、 「確率は結局ディタミニスティック(決定論的)ではないから意味がない」 と確率論全体を一刀両断に否定されたりしながら帰宅。

明日はシンポジウム最終日、かつ情報学科の方の卒研発表日。 僕には今年の卒研生はいないが、 まったく顔を出さないわけにもいかないだろうなあ。


2001/02/23 (Fri.)

シンポジウム最終日だが、 情報学科の卒業研究発表に出なくてはならなくなって、 朝からそちらに出席。

6時過ぎになってようやく発表会が終了して、 バスで草津のホテルへ。 シンポジウムのレセプションパーティ会場に到着したのは7時過ぎ。 宴は既に佳境に入っていたが、 パーティの幕合のTsirelson 教授の挨拶には間にあった。 (ちなみにこちら(Streaming Video)は、 MSRI のアーカイブに保存されているTsirelson 教授の 講演風景の一つ)。 ちなみにジョン・マルコビッチの変装ではない。

レセプションパーティでほぼ全日程が無事終了。 僕は名前だけの関係者でほとんど仕事をしなかったが、 兎に角シンポジウムが無事に終わって良かったなあ、と少しだけ感慨にひたる。 関係者の皆さんはお疲れさまでした。参加して下さった方々にも感謝。

パーティ終了後、 若手二名、WarickのWarrenとETHのセイン・カミュ もといFilipovic と一緒に、まだ飲み足りない人達とホテルのバーに移動。 三田のI先生、TK大のNさん、Warren 等が抜けた後も、 長々と飲み続け、さらに草津駅近辺の居酒屋に三次会に行く。 結局、Filipovic は最後の最後までずっとつきあっていた。 A 堀先生に「君は秀れた数学者であるだけではなく(not only)、 非常にいいやつであるだけだ(but only)」 などと無茶を言われながらも笑顔を絶やさない、 さすが数理ファイナンス界の young star にして、 評判の好青年である。多分、次世代の数理ファイナンス界の 中心人物の一人になるだろう。

とっくに終電も過ぎて帰れないので、 A堀さんの南草津の新居のダイニングルームに寝かせてもらう。


2001/02/24 (Sat.)

9時前にA堀マンションで起床。 A 堀先生はよほど何かに追いつめられているらしく、 「ノオー、ソウリー、バット、、、バット、ザ…」 と隣りの部屋で寝言を言っていたので、 よく眠れなかった。 Filipovic を見送りにいった A 堀先生と南草津で別れて、 山科に帰宅。夕方まで寝る。


2001/02/25 (Sun.)

まだ疲れが残っているようで、早寝したのに、 正午近くまで寝てしまう。 昼食にカレーピラフを作って食べる。 午後から久しぶりに三条に出る。 本屋をまわって、 「確率で言えば ― 日常に隠された数学」(J.A.パウロス/青土社)を買い、 某カフェで紅茶をいただきながら読書。

上の本、原題 "Once upon a number - The hidden mathematical logic of stories" は物語と数学の間、 または文学と科学の間のグレーゾーンについてのエッセイで、 非常に面白かったです。 プルーストも毎日読んでいるものの、あまり進まない。 まだ「ソドムとゴモラ」二の第三章(ちくま文庫版で第七巻)。


2001/02/26 (Mon.)

研究上ちょっと必要な本をいくつか図書館に借りに行く。 本を借りるカウンターで、 貸し出し係の人が親切にも「プルーストの食卓」 を持っていそうな大阪の古書店を教えてくれた。 思いがけぬ所にも、読者発見。

帰りにスーパーマーケットによると、 神戸牛のいい牛筋を安売りしていたので500グラムほど購入。 夕食を作るのとは別に、気長に下茹でする。 明日以降、どうにかして食べよう。 茹で汁は煮こごり用に取り分け、茹でた牛筋は冷凍。 夕食は白菜と豚肉の酒蒸し。


2001/02/27 (Tues.)

今日は確か入試事務の代理休日なので、家にいることにする。 昼食に、昨夜下茹でした牛筋で味噌煮込みを作ってみる。 なかなか良く出来たが、ちょっと唐辛子を入れ過ぎた。 これは酒の肴にちょうどいいくらいであるなあ、 と思い、昼から安ワインを飲む。

午後は論文を書くための資料を整理する。 あれこれいろんなコピーやノートや私信やらが、 ごちゃごちゃになっていて、 部屋をあちこち引っくり返して探しまわる。 僕は研究用のものは全て自宅に置くようにしており (つまり大学では数学をしない)、 大学の研究室にある事務用の整理システムとは独立なので、 結構大変であった。

今日の一曲。
F.シューベルト「幻想曲 D.940」(連弾デュオ・コダマ)。


2001/02/28 (Wed.)

雨。午後から大学へ。 今日は数理の修論発表会。 数理では代数、幾何、解析などとおおまかに分野で分けて、 並行して発表会をするようだ。 僕はS先生と留学中のT先生の院生の話を聞いたので、 去年までと同じ調子であった。 いや、去年までの院生は情報学科で膨大な人数に紛れて あわただしく発表するので、ヒドくてもそう気にならなかったが、 今回はじっくり30分も話さなくてはいけないので、 聞いている方も辛かった。 朝、ワシントンポストの "We've Apologized Enough to Japan" の論説を読んで、普段からのアメリカ嫌いが刺激され、 朝から虫の居所が悪かったこともあって、 もうちょっとでテーブルを蹴って立ち上がりそうになった。 途中からA堀先生がやってきて、比較的なごやかな雰囲気になったのが、 (学生にとっても)救いになったかもしれない。 その後、学系会議。

帰宅。 雨で寒いので、夕食はおでんにしてみる。 と言っても、急な思い付きだったので、 具は牛筋、豆腐、じゃがいも、茹で卵だけ。 練りもの、大根、菎蒻のようなおでんらしい具がなく、 脇役だけを集めたような変なおでんだった。

今日のプルースト。「ソドムとゴモラ」二(ちくま文庫版で第七巻)読了。 主人公はアルベルチーヌに飽き、別れを告げようと決意するが、 まさにその時ある会話をきっかけに、 彼女がヴァントイユ嬢と関係を持つことを悟り、 今まで何度かほのめかされていたレズビアンの疑いと嫉妬が、 数々の映像として主人公の中によみがえって、 突如として明晰に事実として確定する。 その事実が主人公のアルベルチーヌに対する気持を急旋回させ、 激しい嫉妬に襲われた主人公はアルベルチーヌと結婚する、 と母に告げる。 第五篇「囚われの女」、ちくま文庫版第八巻に入る。


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp, kshara@mars.dti.ne.jp

この日記は、GNSを使用して作成されています。