Keisuke Hara - [Diary]
2001/09版 その1

[前日へ続く]

2001/09/01 (Sat.)


2001/09/02 (Sun.)


2001/09/03 (Mon.)

原稿書き。数学の部分は今週中に出来あがりそうだ。 来週の集中講義ノートとして使ってチェックしよう。 京都は雨で随分と涼しい。 このまま秋になってくれればいいが、予報によればまだ残暑は厳しいらしい。

昼食は大根、しめじで雑炊。卵をかけてしばらく蒸し、 刻み葱をかけて食す。 夕食はアーリオ・オーリオ。

ついに私としてはベストを尽したアーリオ・オーリオに至った。 今までの反省としては、 最大のポイントはやはりパセリであった。 普通のパセリとイタリアンパセリは似て非なるものどころか、 そもそも似てもいなかったのである。 普通のアメリカンパセリの独特の苦みがなく、 爽やかで濃厚な香りがある。 それから大蒜の炒め方というか揚げ方というか、 かりっとさせようとするあまり時間をかけ過ぎていた。 そしてそのタイミングが丁度、 麺の茹であがる時間になることが大事。


2001/09/04 (Tues.)

自作のお弁当を持って大学へ。 今日のお弁当は梅干し、五目豆、ままかりの味醂干し。 ままかりは昨日の夜ストリチナヤの肴にしたので、 その残りである。 ちょっといい紀州梅をはりこんでみたら、やはり美味であった。 私の経験では梅干しの質は値段に大体比例するようだ。

昔は和歌山の実家でも梅干しを漬けていたもので、 その時は特に好きでもなく、いや、むしろ、 年寄り臭い食べ物めと積極的に嫌っていたのだが、 今から思えば残念なことであった。 そう言えば、自宅で天火干しする鰯の味醂干しなんかも、 今から思えば旨かったなあ。 太陽の味がするっていうんでしょうかね。 行商の移動八百屋で買う、どうということもない鰯を使っていたのに。 夏休みだとその八百屋が来る時間も自宅にいるものだから、 その荷降ろしの手伝いなんかして、 駄賃にもらう売れ残ったコロッケが無性に美味しかったよ。 夏休みには鰹ぶしだけから作ったつゆで食べる素麺が御馳走だったなあ。 たまに椎茸を使うこともあるが基本的には鰹ぶしを煮つめるだけで、 長い間、あれは下品な蕎麦つゆの作り方だと誤解していたものだった。 でも、蕎麦つゆってのは他の料理用のダシの取り方とは違って、 ああいう風に煮つめて作るのが本式なんだってね。 伊丹十三氏がそう書いていました。この夏には美味しい素麺は食べなかったなあ。

昼はファイナンス・シンポジウム関係の打ちあわせをして、 午後は久しぶりの教授会。 夕方帰宅して、夕食は、パセリのオムレツとベーコン、 納豆、大根としめじと葱の味噌汁。


2001/09/05 (Wed.)

昼食(私の場合、朝食兼用)はベーコンエッグ、梅干し、 大根としめじと葱の味噌汁。毎日ほとんど同じである。 夕食はまたアーリオ・オーリオ。 パセリを早く使い切らないといけないので。

自宅でプレプリントの最新版を作成。 夕方に散歩のついでに酒屋に焼酎を買いに行く。 ままかりの味醂干しがまだ余っているので、 こういう甘辛い味には焼酎が合うのではないかな、 とふと思いついて。 焼酎と言えば芋焼酎。さつま白波と伊佐美の間で大分迷った末、 結局はさつま白波で。伊佐美は桶買いをするようになって、 昔ほどよくない(と言っても昔と言うのは20年くらい前だろう)、 などと年配の通人は言ったりするものだが、そんなものだろうか。

酒屋の帰りにちょっと本屋にも寄ったが、 一升瓶を抱えて本屋にいると言うのはちょっと変なものである。


2001/09/06 (Thurs.)

大学でプレプリントの印刷、郵送など。 学校に行ったついでに、 京都駅近辺で子母沢寛の「味覚極楽」を買おうと思ったら、 なぜかこの名著がどこにもなくて、 結局足を棒にしただけで疲労困憊。

夏休みはキャンパスが静かで、がらんとしていていいですね。 一年中こうだといいだろうなあ、、、


2001/09/07 (Fri.)

京都は雨。これは秋雨らしい。 家で仕事などして、 夕方からチェロを少しさらってから膳所にレッスンに出かける。 サムポジションのスケール、エチュード、 課題曲はサン・サーンスの「白鳥」。 「白鳥」は難しい曲である。 色々と技術的な点を注意されるのだが、そうでありながら、 湖に遊ぶ白鳥の優雅さが主題であり、 自ずから白鳥の気品が滲みでなければならないのである。 水面下の水かきと言うわけだがなかなかそうはいかなくて、 最初の二小節、音符にして6つ、をあれこれ稽古をつけてもらう。 いつもに増して勉強になった一日であった。 夜、九時前に帰宅したものの、冷蔵庫がほとんど空なので、 卵の清し汁を作って、冷奴、梅干しで夕食。

夏休みで特に出来事もないので、 自宅で仕事とその日、食べたものくらいしか書くことがない。 それで毎日、食べもののことばかり書いているので、 おわかりのように私は自炊しております。 で、人前で、特に女性の前で、料理をしますなどと言うと、 ははん、男の料理というやつね、という侮った顔をされるのが悔しい。 きっと、休日になるとあれこれと高価な材料を買いこんで、 色々と蘊蓄を垂れながら、台所をしっちゃかめっちゃかにして、 得体のしれない料理を作り、 あとで奥さんが泣き泣き半日がかりで後片づけをするような、 そんな料理好きだと決めつけてかかるのである。 本当の家庭料理は作れないくせに、ふふん、という顔をするのである。

けしからん。失敬この上ない。噴飯ものである。 そういう時こそ、私は言いたい。 料理と言うものは作りながらどんどん片付け、 完成した時には最後に使った鍋を除いては、 料理を始める前より綺麗になっているくらいでなくてはならんのである。 貴女は男の料理と侮るようだが、 味噌汁をダシから取って作っているのか。 清し汁の作り方を知っているのか。そうでないとすれば、粉末だしを使い、 それで節約した10分弱の時間を何に使うつもりなのか、と。 マヨネーズとウスターソース味の炒めものや、 好き焼きの素の味の煮物を家庭料理だと言うつもりなのか。 手間をかけ過ぎない素直な家庭料理こそ本当の日本料理である、 それは心の美しい白粉気の少ない麗人でなければならぬ、 と辻嘉一先生はおしゃっている。 貴女は家庭料理という概念すら間違っているのではないのか。 貴女の包丁と俎板を見せてみろ、と凄みたいくらいなのである。 まあ、ただでさえ縁遠い縁がさらに遠ざかりそうなので、 もちろん実際そうは言いませんけど ;-)

来週は名古屋に出張しておりますので、平日中も更新しません。 そのかわりと言うわけではありませんが、 明日と明後日の土曜日曜は更新します。


2001/09/08 (Sat.)

朝、と言っても実はほぼ昼、起きると、 執事が家の中をあれこれメンテナンスしていた。 昼食はまだとっていないと言うので、 ここしばらく研鑽を重ね自信を深めてきた アーリオ・オーリオを作ってやる。 二人前を作ったことはなかったのだが、 我ながら今までで最上の部類に属す出来だったので満足する。 執事は主人に対する礼儀かも知れないが 「生き返りますね。おいしゅうございます」 などと言って食べていたので、まあ悪くはなかったのであろう。

午後は大学に行き、事務手続きや出張の準備などをする。 今日のキャンパスは何故か結構、人が多かった。 何か企画があったのだろうか。 さらに偶然、帰りのバス停でD大先生とG先生にも会った。 休日ゼミだろうか。

夕食を食べて、チェロをさらった後、 ふと左手の親指を見てはっと気付いた。 おお、これはサムポジションだこではないか。 いつの間にこんなに成長してたんだろう。 普段はネックの下にある親指を弦の上において、 高音部を押さえるテクニックがあって、 そのためにチェリストの左親指には、 関節の横のあたりに胼胝があるのである。 ようやく私も少しはチェリストらしくなってきたと 感慨もひとしおであった。 でもペン胼胝より大きくなると、ちょっと問題。


2001/09/09 (Sun.)

正午も近くなって起き出してきて、 作りおきの梅かつおでお茶漬を食べて、 北山の京都コンサートホールに向かう。

現代音楽のコンサートで、 タケミツなどの日本人作曲家たちと、レスピーギ。 レスピーギは「ボッチチェリの三枚の絵」。 やっぱり、現代音楽は楽しみ方がよく分からないな… レスピーギはなかなか良かったけど。 それから、ハープのお嬢さんが綺麗だった。 ハープってのはやはり最も貴族的な楽器ではないかな。 第一、どういう動機でハープを習って見ようと思ったりするのだろうか。 よほど育ちが良くないとハープに出会うことなんかないと思う。 少なくとも私の人生では今の所、ハープを真近で見たことはない。 それに楽器自身が貴族的だ。 弦楽器なんかと違って、誰がつまびいても妙なる良い音が出そうで、 苦労知らずな気がする。 もちろん、あくまでそういう雰囲気だと言うだけで、 実際は大変な苦労で練習をするのだろうけど。 また演奏する姿もいいね。弾いているところも、 音を納めるためにそっと両手で弦をおさえるところなんかも、 またあの弦の向こう側に奏者の横顔が見えるのも結構なものだ。

日常における小さなパズル。 NTTのサービスにCカードと言うものがあって、 公衆電話の料金を自宅の電話同様口座払いできる。 それはどうでもいいのだが、Cカードでは最初に4桁の暗証番号を決める。 で、説明書きに、「セキュリティのため、次のような番号は避けて下さい。 (例)1234, 2580, 1212 など」と書いている。 クレジットカードやキャッシュカードでも同様だが、 1234とか、9999とか、誕生日などを避けるのはわかる。 1212にはちょっと理由があって、 Cカードの最初の登録に使う番号と同じだからであろう。 では、2580は何故、駄目なのか。 なかなか他人が思いつきそうにない良い番号に思えるが? 数学者は 3141 などを使ってしまいがちだが、 普通の会社勤めの人にとって2580はすぐ思いつく番号なのか? 私はこの説明書きを前に10分近く悩んだ。

明日から出張です。集中講義は木曜までですが、 その後もあわただしい日々ですので、 次回更新は来週の月曜日、17日の夜です。


2001/09/10 (Mon.)


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

この日記は、GNSを使用して作成されています。