Keisuke Hara - [Diary]
2002/02版 その2

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2002/02/11 (Mon.)


2002/02/12 (Tues.)


2002/02/13 (Wed.)


2002/02/14 (Thurs.)


2002/02/15 (Fri.)

採点業務終了。 毎年のことながら結構、大変であった… 採点中はいろいろ面白いこともあったのだが、 残念ながらこの場ではお話しできません。 それに宗教上の理由もありますので(笑)

NTT-○Tの殺し屋N氏によって開始された「あいてー(IT)革命」が、 入試採点中に執事の手によって完遂されていた。 無線LANで我が家のどこでもブロードバンド(数メガbps)。 そういうわけで、この日記は二階の寝床から一階の日記サーバに接続し、 さらにどこかにあるISPのサーバにアップロード。

こちらは採点と卒論修論添削で忙しかったのだが、 執事はついにマスターアップして暇そうなので、 この期間ゆったりと時間をとったチェスを何度か。 採点期間中の悲惨な戦績*1。 けっしてアルジャーノン・ゴードン効果のせいではなく、 やはり、昼間の摩耗の結果、 注意力と集中力を著しく失なっているためと思いたい。 主人としての面目を失なって、全てに自信を失ない、 修行の旅に出たいところである。四国八十八箇所巡りとか…

南草津で採点終了後恒例の打ち上げ。 一次会後、A堀先生が「もう一軒行きましょうか」と、 これまた恒例の二次会を提案していたが、 生憎、昨夜も別口でTK大のS君などと相当に飲んだせいでちょっと辛かったので、 御遠慮させていただき即帰宅。 とにかく、今年も無事採点シーズンが終わって良かった良かった。

*1: 第一局、白番、クイーンズギャンビット、 IQP(孤立したクイーンのポーン)の主題、負け。 IQPをうまく使えなかった上に、中盤以降に愚手を連発した。 第二局、黒番、カロカンディフェンス。 負け。完全に読み切った(自分では充分と思っていた) 局面になってみたら、 次の手でクイーンとキングの両取られだった。 第三局、白番、クイーンズギャンビット、また負け。 また序盤がおかしくて終始押され気味に進み、 快心の一撃を放ったが、直後でそれを台無しにして、 悲惨なエンドゲームでリザイン。 平手で初と思われる三連敗。 第四局、白番、スラブディフェンス、 また有利に進めていた序盤で愚手をくり出し、初の四連敗。


2002/02/16 (Sat.)

採点シーズンも無事終了。 感心にも本業に励んでいる執事の休憩時間にチェス。 私の白番、執事は得意のスラブディフェンス。勝ち。 連敗記録を4で阻止し、主人としての面目を保つ。

採点シーズンの影響で、朝早く目覚めてしまう。 午前中に一時間ほどチェロの練習をする。 昼は冷や御飯があまっていたのでまた炒飯。 午後は膳所でチェロのレッスン。 ヴェルナーからヴィヴラート入りのスケールや、 簡単なデュエットの練習。 弦のデュエットは音程を微妙に揃えて和音を愉しむ楽しさがあるなあ、 とちょっと目覚めてみたり。 さらにシュレーダーから親指ポジションのエチュード、 マルチェロのチェロソナタ1番。 夕方帰宅して、セール中の近所のワイン酒屋で、 モンペザ のキュベ・プレステージ'99を十二本購入。 夜は久しぶりに真の休日をエンジョイしている執事を伴なって、 その同じ酒屋が経営している六角新町のバーへ食事に行く。

ところで、明日の日曜日は会議が沢山あるそうである。 私の信仰する宗教*1では日曜日は安息日であり、 静かに日々の平穏を感謝し、かつ儚い人生の意味について瞑想するため、 一切の労働を禁止されているので、非常に悩ましい。 R大学のスタッフとして業務に励みたいのはもちろんであり、 サボることは社会人として許されない。 今さら言うまでもないことだが、私は自分の社会的責任について、 非常に厳しく考えているのである。 しかし、一方では宗教的偏見は除き難く、 日曜日に働いたりしようものなら自宅のドアの前で神の雷に打たれ、 地獄に落ちるのではないかと言う蒙昧な恐怖を拭い切れない。 このジレンマをいかに解決すべきであろうか。 日曜日に働いても決して罰などあたらないのだ、 と明日までに納得するとか、 キャンパスに行って会議場にたまたま居合わせているものの、 「仕事はしていないのだ」と自分に言い聞かせるとか…

*1: 「生きてる内が花なのよ、死んだらそれまでよ教」: 重要な禁忌は、安息日である日曜日に働く、 ファーストフード店(生協食堂を含む)で食事する、 コンビニで買物する、など。


2002/02/17 (Sun.)

今日は安息日なので、心静かに昼まで自宅で過し、 午後は散歩のつもりで京都駅の美術館に綺麗な着物でも見に行こうと外出する。 そのついでに、休日のBKCキャンパスにでも行ってみようかなと、 ふと思いたち南草津に向かう。 他に行く所もないのでウェストウィングにいると、 「弁当あります」などと連絡板に書いてあったので、 何ごとかなと思ってその部屋でくつろいでいると、 数理のスタッフが集まってくる。 偶然に集まったついでに何ごとか相談していたようだ。 次は場所を変えて普段はあまり行かないコアに行ってみる。 広い場所がよさそうなので大会議室でくつろいでいると、 理工学部のスタッフが大勢集まってくる。 百何十人も偶然に集まることは珍しいので、 そのついでに何ごとか相談していたようだ。 中にはドイツ語の勉強をしたりしている人もいるようだった。 休日らしいほのぼのした風景であった。

長い散歩を終えて夕方帰路につく。 自宅でパスタを食べて、 風呂で「ディープブルーvs.カスパロフ」(B.パンドルフィーニ)を読み、 TVで「スネーク・アイズ」を観る。 深夜はK川先生に録画してもらったスヌーカー(*1)の試合を観る予定。 理論派の「精密機械」ヒギンズvs.直感派の天才オサリバン、 こういう対決図式ってあまりにお約束ですが、やっぱり燃えますね(笑)

*1: スヌーカー: ビリアードの一種。 普通のビリアードより広い台で玉もずっと多い。 自分が点を取れなくて相手に手番を渡さなければならない時、 相手にいかに意地悪な配置を残すかに主眼の一つがあるらしい。 ルールはこちら などが参考になるかと。


2002/02/18 (Mon.)

食べ物の話が多過ぎると御批判もありますが、 今日も負けずに夕食は担担面(タンタン麺)を作る。 もちろん麺から打ちました(笑)。 麺の太さや長さがバラエティに富んでいるのは御愛嬌と言うことで。 自分の好みで味つけしたので、我ながら咳こむほど激辛。 とにかく、北京面食(Beijing Mianshi)(*1)、万歳…

黒番、シシリアンディフェンス。勝ち。 白が序盤でクイーンを飛び込ませてきてポーン得されたが、 やり過ぎを咎める意味でクイーンを苛めつつ駒組み。 結局、決定的だったのは、 白が中盤で時間に追われて反射的に駒に触ってしまったため、 それと知りながら不利な手を差すはめになったことで(*2)、 後は圧倒的に有利な終盤であった。

昨夜のスヌーカー観戦(録画だけど)。 オサリバンvs.ヒギンズ戦。 忙しいので一日2フレームほどしか観ないので、 現在前半4フレームを終えて後半1フレーム目。スコアは4対2。 既にオサリバンに負けはない。 私はヒギンズを応援しているので悔しい。 何とか引き分けまで持ち込んでほしい。

大体、天才肌の野生派vs.オーソドックスな秀才派、 という図式では後者の方が心理的に不利過ぎるのではないだろうか。 オサリバンが冒険的なショットを決めると「ワーオ」とか大拍手で、 失敗しても「いやー残念です、でもナイスチャレンジ」とか感心してくれるのに、 ヒギンズに対する誉め言葉は、 せいぜい「さすがに渋いですね」とか 「これぞお手本と言う感じです」等の落ち着いたコメント。 それどころか「教科書的でつまらないとも言えますね(笑)」なんて、 言われちゃったり。 私はこういう図式では、 ついつい地味なオーソドックス派に肩入れしてしまう。 花がない方を応援してしまうのだろうか。 でも、昨夜のフレームの解説によると、 オサリバン自身は最もヒギンズを高く評価していて、 常々、最強のプレーヤーはヒギンズだとさえ言っているそうだ、 と聞き、ちょっと心あたたまる。 こういう対照的なライバル同士が、 相手を評価しあっているって所が、なんだかいいなあ、と。

チェスで言うとちょっと古いが、 長く続いたロシア人同士の世界チャンピオン争い、 「カスパロフvs.カルポフ」のK-K対決と言うところだろうか。 ちょっとクラシックで攻撃的で華やかなカスパロフ対、 現代チェスの頂点、ポジショナルプレイの静かなカルポフと。 私はやっぱり、カルポフの方が好きである。

*1: 「ウー・ウェンの北京小麦粉料理」(ウー・ウェン、高橋書店)。

*2: タッチ・アンド・ムーブの原則: (特に断りなく)駒に一旦触れたら、 ルール上可能手である限り必ずその駒を動かさねばならない。 相手の駒に触ってしまった場合でも、 その駒を取る手が可能ならば取らねばならない。 良く問題になるのは、キャスリングしようとして、 うっかりキングより先にルークに触ってしまった場合で、 この時はルークだけを動かさねばならない。


2002/02/19 (Tues.)

昼食は餃子と昆布豆。もちろん餃子の皮から作りました(笑)。 北方中国で餃子と言えば茹で餃子のことで、 焼き餃子のことは鍋貼(ゴーティエ)と言うらしい。 ウーさんによると、本来餃子は季節の野菜を使って、 皮に閉じこめた旬の味と香りを味わうものだとか。 もちろん僕が作ったのも茹で餃子で、餡は白菜、韮、豚バラ。 二度目なので今回は手際良く出来た。 茹でたてのあつあつを噛ると野菜の香りと肉汁が拡がって、 たいへん美味しゅうございました。

夕食は、散歩がてら六角新町まで歩いてバーで取る。 辛いトマトソースのペンネと、 子羊を焼いたものにじゃが芋と菜の花をつけあわせたもの、 二皿にグラスワインの赤。 本来のこのバーの「早い時間」メニューでは、 今日の肉料理は地鶏の赤ワイン煮込みだったようだが、 この前に頼んだメニューだったことを覚えてくれていて、 それでは申しわけないからと言って子羊にしてくれた。 グラスワインも立派だし、これで全部あわせて2500円は安い。 歩いて行ける距離に良いバーがあることは、人生を豊かにする。 しかし、不便な場所(*1)にあり過ぎて、 どうもつぶれそうな予感がして恐い。

昨日の戦績。 黒番、4ナイツゲーム、勝ち。これで三連勝。 序盤でクイーン側に作らせたダブルポーン周辺の形の悪さへの狙いを、 キング側でピンしたナイト苛めに変換し、破壊的に勝ち切る。 局後の検討によると、適当なタイミングにピンを外せば、 2ポーンダウンくらいで済んだようではあった。

スヌーカー、オサリバンvs.ヒギンズ戦。 応援のかいあって、第7フレームをヒギンズが取り、4対3まで返した。 どうなる最終第8フレーム…

食べたことと遊んだことしか書いてませんが、 決してサボってるわけではないです ;-) 強いて言えば、「逃避」です。

*1: 六角新町、 「瓢亭」の暖簾分け先、料亭「瓢樹(ひょうき)」の脇を入って真裏。


2002/02/20 (Wed.)

大学へ。午後は卒論発表と修論発表の指導をする。 今週末は卒論発表会、来週水曜は修論発表会で胃が痛い。 K川先生に借りていたスヌーカーのヴィデオをポストに返して帰宅。

例えば、数学の入門的な講義で、 「数学って面白いんだ」と言うことは大事だと思う。 これは数学の面白さを分からせるのとは違う。 それはとても難しい。そうではなくて、 単に「数学って面白いんだ」ということを言うことが大事だと思う。

チェス。 黒番、私の十八番の(はずの)フレンチディフェンス、負け。 序盤で白が間違えて2ポーンアップし、中央を完全支配したので、 楽勝ムードでぼんやり差していたら、サドンデス的にメイトされる。 アルコールが入っていたせいか、 どちらともにめろめろなゲームだった。
スヌーカー、オサリバンvs.ヒギンズ戦、最終第8フレーム。 なんとこれまたヒギンズが取り、4対4の引き分けで終了。 ヒギンズは第6、7、8フレームと「精密機械」の名にふさわしい完璧なゲームで、 一人で得点を続け、オサリバンは座りっぱなしで、 ほとんど観客みたいなものだった。 こういう「調子に乗った秀才」はやはり憎らしいもので、 勝てば憎らしいと言われ、負ければ同情もされず、 結局、秀才というものは報われない。


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

この日記は、GNSを使用して作成されています。