Keisuke Hara - [Diary]
2002/11版 その3

[前日へ続く]

2002/11/21 (Thurs.)


2002/11/22 (Fri.)


2002/11/23 (Sat.)


2002/11/24 (Sun.)

佐賀大でのシンポジウムが終わつて、ほつとする。 今回が初めての世話人だつたのだが、 予稿などに色々と不手際があつた上に、 現地では全て地元の代表者の先生に仕事を押しつけぱなし、 しかも自分の講演はいつものやうに準備不足と、 失敗だらけで反省。でも、 参加してくださつた方々の力でなかなか活気のあるシンポジウム にしてもらへたやうに思ふ。 講演のあとで、「これは講演者もかなり儲かつたな」 と思ふやうな良い指摘が出たり、鋭い質問が出たりすると、 ぐんと雰囲気が締まるものだ。ありがたいことである。

しかし逆に考へるとそんな質問や指摘を、 自分こそが出来るやうにならなくてはいけないわけで、 そのためにはもつと勉強と広い視点が必要だし、 身を入れて講演を聞かねばならない。 これもまた反省材料。

移動中の読書。「カーラのゲーム」(G.スティーブンス/藤倉秀彦訳/東京創元社)。


2002/11/25 (Mon.)

雨の中、遅れを予測して早めに出勤。 実際、電車は行きも帰りも遅れてゐた。 朝は「プログラミング演習」。 午後は M ゼミの予定だつたが、学生側の都合で中止。 あまつた時間で何を思つたのか突如、 個研で休眠してゐた余分の PC に Windows 2000 Pro をインストールする。 Windows とは言へ、セキュリティ上の最善は尽さうと思ひ、 現在までの累積パッチをあててゐたら、夕方になつてしまふ。

その最中、数学研究会の会長 T 君が大学祭のために 作つたらしい会誌を配りに来た。 どこかで見覚えのある題名だな、 と思つたら、私が先週の佐賀でのシンポジウムの予稿の中に、 間違へてその表紙を混ぜこませてしまつたやつだつた…

夕食は御飯を炊く時間がなくて、カルボナーラ。 何の拍子か、傑作に仕上がつた。 晩酌はチーズ(ブリー・レノミ)とワイン。


2002/11/26 (Tues.)

朝は Williams の翻訳、 昼食は鰯、納豆と卵、人参の漬物、白菜の味噌汁。 小雨のせゐか、今日もまた遅れてゐる電車で出勤。

夕方から教授会。7時半まで3時間半に及ぶ。 でも、偉い人たちはその後さらに学位審議会で 7 件の審議をするらしく、少し気の毒になる。 南草津ではまた電車が遅れてゐたが、方向が逆で幸運だつた。 帰宅は 9 時前。夕食は、 小さな土鍋で白菜と豚肉と豆腐を水炊きし、七味と酢醤油で。 最後に残つた冷や御飯を入れ、葱と卵で雑炊を作る。

小鍋仕立て、つて言ふんですか、 小さな土鍋で炊く鍋料理つて良いものですね。 なんと言ふか、色気があつて。 多分、池波正太郎が出どころだと思ふのだが、 かう言ふ話を聞いた。 一番、色気のある小鍋仕立ては、蛤ださうだ。 小さな土鍋に良い日本酒を張つて塩少々を入れ、 差し向かひに座つてゐる間の火鉢か何かで煮る。 で、煮えてきたら、蛤を一つ入れる。 蛤が口を開けたら、一人がそれを食べ、 また蛤を一つ入れる。それが口を開けたらまた食べる。 一つずつ入れるところが眼目である。 もちろん、これは食事と言ふより酒の肴であつて、 澗の酒など飲みつつ、「じや次は君が」 「いえ、もう一つあなたが」などと、 料理屋の二階かなんかで延々とこれをやる。 わびと言ふか、さびと言ふか、しみじみとした境地である。 私は豚と白菜はともかく、鮪と葱だとか、 甘鯛とレタスだとか、油濃いものを作つてしまひがちなので、 その境地に至るのはまだまだ先のやうである。


2002/11/27 (Wed.)

朝は Williams の翻訳作業。 昼は鰯、納豆、漬物、葱と豆腐の味噌汁。 午後は卒研 I 、続いて Williams 本の卒研 II、 Kolmogorov の重複対数定理、Strassen の定理など。 これはかなり高度な内容なので、Williams の中では証明抜きのお話だけ、 と言ふところ。 学生の発表に対して、 確率解析的な変てこなコメントをしてしまつたが、 後で考へれば大偏差原理との関係を指摘すべきだつた。 どうも大偏差原理については表面的な理解しかしてゐないので、 かう言ふ時にすらつと出てこない。 夜は明日の講義の準備。

年末宝くじのシーズンだが、 私は生まれてこの方、宝くじの類を買つたことがない。 競馬、競輪、競艇等もしたことがない。 プロバビリスト(確率論屋)の端くれとしてそんな分の悪い賭けはしない、 と言ふことでもないので、まあ根が真面目なのであらう。

宝くじは数学が苦手な人への税金である、 と言ふ説もありますね ;-)


2002/11/28 (Thurs.)

朝は自宅で仕事、昼食はベーコンエッグ、納豆、漬物、 白菜と豆腐の味噌汁。 午後は「積分論II」。内容は今までにやつた積分論の知識を使つて、 確率論の基礎づけ。 夕食は一昨日から煮込んで、 今日の昼に仕上げにじゃが芋を投入したカレー。

昨日の日記で宝くじを買つたことがない、と書いたら、 K 大の S 君から「昔、一緒にナンバーズを買つたじやないか」 とメイルで指摘があつた。 すつかり忘れてゐたが、学生の頃、 ナンバーズに統計的な偏り、または何らかの法則がある、 と言ふ噂があつて、S 君たちと一緒にコンピュータまで使つて分析、 予測し、共同購入したことがあつたのである。 しかも結果は一人あたり八千円の儲けだつた。 しかしながら、 その当たつた当選番号は、我々が熱心に予測して挙げた数字ではなく、 それとは無関係に S 君の「夢のお告げ」で買つた番号だつた、 と言ふオチであつた…


2002/11/29 (Fri.)

朝は Williams の翻訳、 昼食はまたカレーライス、人参と白菜の漬物。 午後は JF の翻訳ドラフトの手直しをし、 洗濯をし、烏丸の SBUX に珈琲豆(クリスマス・ブレンド) を買ひ出しに行き、 夕方はまた Willimas に戻つて翻訳作業。 補遺の部分をやつてゐるのだが、 ベールのカテゴリー定理(*1)の証明を終へて、 やつと第一章の補遺部分が終わつた。 夜もまたカレーライスに、冷奴、葱と豆腐の味噌汁。 これで一応カレーライス終了。残りはペーストにして、 冷蔵庫に保存した。

*1: ベールのカテゴリー定理: 完備距離空間が高々可算個の閉集合の和として書けるならば、 それらの閉集合のうち、少なくとも一つは開球を含む。


2002/11/30 (Sat.)

昨夜は執事と月末の精算端数を賭けたチェス。 実は一回負けたのだが、精算の計算が間違へてゐたため、 再度の仕切り直しによつて勝ち。 20 分プラス一手 10 秒、黒番、 シシリアンディフェンス・アクセレイテッドドラゴン。 お互いにミステリアスなルーク(*1)が興味深いゲームではあつたが、 結局は白番のポカによる即詰めで勝つた。

午前中は一時間ほど Williams の翻訳をし、 昼食はアーリオオーリオ、 午後と夜は JF の翻訳ドラフトの手直しと、 Williams の続きを二時間ずつほど。 その合間に里芋を煮染め、米を買い、洗濯物を畳み、読書をした。 学校に行かなくて良ければ、どんどん仕事が進むんだがなあ… 夕食は里芋、豚と白菜の炒めもの、白菜の漬物など。

今年はおせち料理を作ろうと思つてゐるので、 今からおせちの花である煮染めの練習中である。 煮染めは、材料の中の水分とだしを入れ替える作業なので、 材料にだしを含ませるために冷ます過程と、 材料から表に出た水分を飛ばすために煮る過程を、 何度か繰り返さなくてはならないので手間がかかる。

*1: ルークを自陣の中で一見意味のなさそうな所に移動する静かな手。 ポジショナルな深い戦略に基いてゐる場合と、 自分勝手な思ひ込みに基いてゐる場合がある。


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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

この日記は、GNSを使用して作成されています。