Keisuke Hara - [Diary]
2002/12版 その2

[前日へ続く]

2002/12/11 (Wed.)


2002/12/12 (Thurs.)


2002/12/13 (Fri.)

シンポジウムのための出張はいつもの通りで、特記事項はなし。 強いて言へば、 K 大の S 君が別のシンポジウムに出席してゐてこちらには来てゐなかつたので、 やたらに「あれ S 君は?」と尋ねられた一週間だつた。 あ、それからもう一つ。 シンポジウムの二日目に眼鏡のレンズのコーティングが剥れてしまひ、 やむを得ずたまたま持つてゐた度入りのサングラスをかけてゐたら、 「ヤクザですか」「何があったんですか」と会ふ人会ふ人に言はれて、 苦笑したことであつた。 眼鏡を新調するまで、曇つたレンズの眼鏡で暮らすか、 サングラスで暮らすか問題。

シンポジウム中は渋谷に泊まつてゐたので、 一人で久しぶりに「黒い月」に飲みに行つた。 一年、いや二年ぶりくらいかも知れない。 目を合はせずにヴィンテージへの愛と蘊蓄を語る 女性のバーテンダー兼ソムリエは健在であつたが、 もう一人の男性バーテンダーの方は、 作りものみたいな美青年の新しい人に変わつてゐた。 言いなりになつてゐると大散財する店なので、 おとなしくグラスワインなどをいただきながら、 一人で今年の反省会をする。 最後につい油断して「あとマールを一杯だけ飲んで帰る」と言ふと、 やはりヴィンテージを並べられ今回も罠にはまる。 お酒の肴は、バローロを作る時の葡萄の絞りかすで くるんで熟成させたと言ふイタリアのチーズが美味でした。 バッハの無伴奏の CD をかけてもらつて、機嫌良くホテルに帰還。

出張中に「ドン・キホーテ」前篇の(三)、 後篇の(一)(二)(三)を読み、全て読了。

シンポジウムの懇親会で同門の S 大の O 君に会つたので、 pTeX の Gui-Shell が XP でころころと落ちるんだけど…と文句を言ふと、 「バージョンアップして下さい」と開発者らしい明解な回答をいただき、 早速自宅で二段階のパッチをあてて最新版らしきところまで辿りつく。


2002/12/14 (Sat.)

午前、午後と Williams の翻訳をし、補遺の部分を全部終えた。 他の箇所の進行がわからないので、 次の打ち合はせまで作業は休憩しやう。

夕方、食材の買ひ出しのついでに本屋に寄つて、 「四季の味」の冬号などを購入。 夕食はじゃが芋とトマトのサブジ。

サブジとはインド料理らしく、大体次のやうな手順によるもの …だと思ふ、私の理解によれば。 油でスパイス(クミンシードとか)を炒めて香りを出し、 メインの野菜を入れ、 粉唐辛子と塩を適当に入れ、 蓋をし極弱火で蒸し煮にして、 最後に味を整へてスパイス(面倒ならグラムマサラ)で仕上げたもの。 野菜の種類と好みに依るのかも知れないが、 野菜から出る水分で充分なので水は足さない。 でも足したところで、悪くはならないだろうし、 焦げる心配がなくていいかも知れない。 さう言ふタイプのいい加減な料理で、 唐辛子系の辛さとスパイスが好きな人にお勧め。


2002/12/15 (Sun.)

昨夜は夜更しをしたので、正午近くになつて起床。 昼食は御飯を炊いて、高野豆腐、納豆、大根と葱の味噌汁など。 午後は JF の翻訳の 4 回目のドラフトを作成したり、 読書をしたり。 JF の翻訳はおそらくこれが最終ドラフトで、 今年度中にリリース出来ると思ふ。 夕食はサブジの残り。

読書は「レッド・ドラゴン」(T.ハリス)、再読。 レクター博士が初登場するシーンを読んでゐる時に、 生協の岩波書店割引期間中に「デュマの料理大辞典」 を予約注文するのを忘れてゐたことを思ひ出した。 絶版本であるが、最近、特装版が出版されたのである。 高価な本なので(税別 28,000円)割引期間に注文できなかつたのは痛い… ところで、 amazon.co.jp で「デュマの料理大辞典」の項目に、 グールドの CD などへのリンクがあるのは、 やはりレクター博士効果だらうな。


2002/12/16 (Mon.)

朝、「赤と青の殺意」(*1)を再放送でやつてゐたので、 そんなに二時間サスペンスドラマ好きと言ふわけでもないのだが、 若い頃の鷲尾いさ子の演技を再確認したくて、 ヴィデオを仕掛けて出勤。

午前は「プログラミング演習」。 出席を取らないせゐか、 聴講者が随分減つて静かな環境である。結構なことだ。 来週の月曜日は世間では国民の休日だが、 勉強熱心な学生の希望に応えるために R 大では平常営業なので、 年内にもう一回あることになる。 午後は M1 のゼミをして、夕方帰路につく。 夕食は御飯を炊いて、 高野豆腐を吸い加減のだしで煮て卵を落としたもの、 里芋、大根、白葱、お揚げに青葱と具沢山味噌汁の、一汁一菜。

増税つてのは取れるところから、 つまり源泉徴収で取れるところから、 さらにつまりサラリーマンから取つていくものなのですね… とは言へ、フランクリン曰く、 我々は国から重税を課せられてはいるが、 それ以上に怠惰であるために二倍、 虚栄のために三倍、愚かであるために四倍もの税金を背負つてゐり、 国がどんな減税策を取つたところで、 これだけは減りも免除もされないのである。 そう思つて自らを慰め、 ますます勤勉に働いて行くのが勤め人と言ふものであらうか。

*1: 「赤と青の殺意」: 「踊ろう、マヤ」で泉鏡花賞を受賞した有為(うい)エンジェル作のミステリ。 外国でレストラン経営をしてたり、 インド思想にかぶれたり、子供とアジア放浪したり、 今一つよく分らない作家のような印象があるが、 「赤と青の殺意」は意外に佳作。 10年ほど前に土曜ワイド劇場でドラマ化。 レストラン経営者役の主演鷲尾いさ子とオカマ役の阿藤快との、 どっちがオカマか分らない怪演ぶりが印象的。


2002/12/17 (Tues.)

lunch サブジと白飯をベトナム式弁当箱に入れて出勤。 金属製なのは、そのまま火にかけて温めるためらしい。 昼からファイナンスシンポジウムのミーティング。 A 堀先生から、 私が出張してゐた先週に起きた激動の一週間情報を聞く。 「T 山先生の不機嫌問題」も、 常に情報が最後に周つてくる私にも知るところとなつた。 しかし、この事件もストラテジスト(戦略家) A 堀にとつては、 数理ファイナンスと確率論で数理科学科を、 いや理工学部を、いやいや R 大学全体、 ひいては関西財界全体をも牛耳ると言ふ野望のための、 一つのステップに過ぎないと思はれるのであつた…(続く)。

その後、教授会までの時間を個研で潰してゐると、 その T 山先生が現れて雑談など。 夕方から教授会。夜の 8 時まで四時間以上に渡つて続き、 腰痛になりそうになつた。 ちなみに会議中に「ローマ帝国衰亡史 3」を読了。 帰宅は 9 時半。パスタを茹でてしめじ茸のスパゲッティ。


2002/12/18 (Wed.)

朝は Williams の翻訳。練習問題の章を始める。 昼食は御飯を炊いて、沢庵と胡瓜の浅漬、納豆、里芋とお揚げの味噌汁。 午後は卒研その 1 、続いて卒研その 2。 定常マルコフ過程、 猿がシェイクスピア全集をタイプする確率は 1 であること、など。 ゼミの後は、 最近夕食を取る暇もないほど忙しいと言ふ A 堀先生と歓談。 その後、帰路につく。夕食は豆腐の卵とじなど。

その間、暇を見つけて、ちよこつと環境設定。 単なる中継地点としてしか使つてゐなかつた se ドメインのメイル環境を整へ、 こちらからは ssh を使つた簡単なコマンドを作つて、 いつでもメインとして使へるやうにしておく。 と言ふのも、theory.cs ドメインの存続が怪しくなつてきたからである。 年始あたりを境に序々に移行して行こう。

昨日、ベトナム式の、と書いたが、良く見たらタイ産だつた。 ベトナムで良く見かけたのだが、 多くの国で広く使われてゐる様式なのだらうか。


2002/12/19 (Thurs.)

朝は積分論の講義ノートを見直したりして、 昼食に納豆とオクラのスパゲティを食べ、出動。 午後は「積分論 II」。 中心極限定理を示すための準備として特性関数の話。 続いて、M ゼミ。 独立性の続きを終へ、ギャンブラー破産定理に入る。 7 時前に帰宅して、夕食は温麺。 お揚げを甘辛く煮つけた後を、 若布と鰹節でひいた一番だしでのばしてつゆを作り、 お揚げ、湯がいたオクラ、卵を乗せ葱を散らしてみた。

チェロを弾いてゐるとドアの表付近でクロが暴れてゐるのは、 音楽に合はせて踊つてでもゐるのか、 それとも抵抗行動なのか…


2002/12/20 (Fri.)

午前、午後と Williams の翻訳。 合間の昼食は、御飯を炊いて、 里芋とお揚げと葱の味噌汁、胡瓜の浅漬、沢庵。 午後に散歩がてら、烏丸まで買ひ出しに出かける。 まず SBUX で珈琲豆を買つて、錦市場で鰹節を買ふ。 叩き合はせて音を聴いたりして選ぶのが本筋らしいが、 私はそこまで至つてゐないし、削るのがまだ下手なので、 削り易さうな形の良い物を慎重に選ぶ。 店のおばさんに 「いつも削つてはるの?やっぱりおいしいでしょ。 若いのに感心やねえ…」 と褒められた。 さらに、近所のデフレ酒屋がワインの割引日だつたので、 まとめ買ひして帰る。

散歩から帰つて、「警視庁鑑識課」の再放送を横目で見つつ、また翻訳。 今も地味で暗いシリーズだが、初期はもつと地味。 夕食はだし巻き卵、冷や奴、沢庵、豆腐と若布の味噌汁。 夜は JF の翻訳の info ファイルを作つたり。 原著者から許可ももらつたし、 つひに明日あたりリリースをお願ひすることにしやう。

失踪中のネットワークインフラ屋、N 氏から久しぶりに、 (謎のメイルアドレスにて)連絡が来る。 しかも謎の日記サーバを立てた模様。 とにかく、無事、生き抜いてゐるやうで一安心。 N 氏も、「黒い月」の女性バーテンダーも、 例のベトナム式(タイ式?)弁当箱を持つてゐる、 とか細かい情報を得る。


[後日へ続く]

[最新版へ]
[日記リストへ]

Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

この日記は、GNSを使用して作成されています。