一昨日に山を越したと思つたが、今日が山だつた。 少くとも下り坂ではない。後、数日悪化したら、きっと SARS です。 早朝に目覚めたが、熱で身体がだるく苦しい。 野生獣に習つて、今日は安静かつ絶食療法をとることにし、 昼間は厚着をしたまま、ずつと寝床にもぐつてゐた。 少し本を読んでは、仮眠の繰り返し。 一人で生きることは究極の贅沢ではあるけど、 かう言ふときは心細くなくもないね。 凄く小さなネグリジブルなほどのマイナスだと思ふので良いのだけれど。 陽が落ちてから、あまり寝床にゐ続けるのも悪からうと思ひ、 無理に起きて、焙じ茶で水分を摂取しつつ、 ダイニングでコンピュータと遊ぶ。 未だに日記サーバとして現役で活躍してゐる、 下北沢時代からの PC (*1)上の Emacs で Lisp 遊び。 深夜は日本酒のお燗か焼酎のお湯割りで、アルコールの形で栄養をとらう。
*1: 今は日本から撤退した Gateway2000 の PentiumPro マシン。 フルタワーの中に基本的なボードが入つてゐるだけの、 スカスカの構成にしたおかげか、とても長生き。 今はウォークイン・クローゼットの中で主に日記サーバ、 および unix 関連の小さな仕事のために余生を送つてゐる。 昔の私は若干ロマンティックで、 各マシンに香水の名前をつけてゐたため、 これのローカル名はサムサラ。
目覚めは爽やかだつた。風邪は快方に向ふ模様。 午前中は軽い読物くらいにしておかうと思ひ、 「επιστημη(*1)のオブジェクト指向的日常」を読む。 (さて、このギリシャ文字の部分は何と読むでせう。答は以下の脚注に。) 調子が良い感じだつたので、久しぶりに Malliavin 解析の勉強。 昼食は近所のベンガル人のカレー屋で済ませて、 午後も引き続き安静に読書。 いざと言ふとき(?)のためにとつておいた 「神学校の死」(P.D.ジェイムズ著/青木久恵訳、ハヤカワPM)を読む。 相変はらず重厚、知的、華麗。やはりミステリは英国製。 私のやうなクラシックなタイプのミステリファンには、 「そうそう、斯うこなくちやね」と言ひたくなる前半部であつた。 後半にも期待。ところで、 PD つて既に八十歳を越へてゐるんだなあ。信じ難い。 失礼な言ひ方かも知れないが、PD とコリン・デクスターがいなくなつたら、 その後はどうなるのだらう…
体調は、 もうほぼいつも通りだなと思ふときと、いやまだおかしいと思ふときの、 繰り返しのやうな境界的な模様だ。まだ咳が残つてゐる。 明日から本格復帰を目指さう。
*1:
επιστημηのオブジェクト指向的日常:
DDJJ (ドクター・ドブズ・ジャーナル日本版)に 1993 年 11 月より、
五年間に渡つて連載。
ところで、まさに今、skk でギリシャ文字を入力する方法を初めて知つた
(skk-tutorial で)。
ほとんどのギリシャ文字はデフォルトで辞書登録されてゐるので
今まで知らずに済んでゐたのである。
/ で白三角を出して greek と入力、スペースで変換選択。
大文字のときは Greek, 他にもロシア語も同様。
(答:エピステーメー)
まだ咳と微熱が残つてゐて若干辛い。今日も数学には復帰できさうにない。 結局、連休を全部費して風邪を治すことになりさうで、 全く理不尽だ。計画が色々あつたのに。
昼食は生姜汁とたつぷりの葱を入れておじやを作り、 白ワインと伴に食す。食後に焙じ茶。 P.D.ジェイムズ「神学校の死」の続きを読む。読了。重厚で渋い。 イギリスの警察には、こんなインテリがごろごろしてるのだらうか… 少なくとも詩人の警視長はゐないと思ふけど。
ところでイギリスが舞台の小説の中には、 たまにトロロップと言ふ作家の小説が、 教養的装飾として登場することが多いやうに思ふ。 PD のミステリにも時々ちらつと出てくる。 今回は、超エリート的だが時代遅れとされ閉校真近の 英国国教会神学校の晩餐会で、 学生の一人がトロロップを朗読するシーンがあつた。 多分、アンソニー・トロロップだと思ふ。 私は彼の小説を一つも読んだことも見たこともない。 今、調べたら、ハロウ校出身で、郵便ポストの発案者、 と言ふ、変なトリヴィア情報しか得られなかつたが、 図書館で借りて一度、読んでみることにしやう。
確か、山科に住んでゐたとき、経済の O 先生に、 「トロロップを持つてゐるか」と聞かれた記憶があるのだが、 私の教養の程度を測られたのだらうか(笑)
夜、咳が止まらないせゐでなかなか眠れなくて困る。 今日も朝方になつてやうやく咳疲れて眠り、 11時頃になつて、こちらが病気でも何の考慮もなく、 ドアの前で大声で朝御飯を要求してゐるクロに起こされる。
昨夜は回復具合をみるために、執事と二局チェスをした。 1局目黒番、フォーナイツゲーム、勝ち。 2局目は白番。執事が珍しくニムゾ・インディアン。 新たな方向性を探つてゐるのだらうか。これも勝ち。 お互い1ピースただ取りくらいなら簡単に見逃すコンディションなので、 散々なゲームだつたが、 勝ちの盤面になつてからの単純化の場面に、 我ながら若干の知性らしきものが感じられた。おそらく知的にも回復基調。 後は咳がなんとかなれば良いのだが。 咳が続くと体力が物凄く奪はれるし、 結局何も集中して出来ないんだよなあ。
久しぶりに体重を計つたら体脂肪率とともに激減してゐた。 インフルエンザ・ダイエットの素晴しい効果である。 なんとか後一日で講義が出来るところまで回復しますやうに。
夜は TV でポランスキの「ナインス・ゲイト」を観る。 オカルト趣味はどうでもよいが、希覯本の小道具が素敵。
まだ咳が残つてゐるが、かなり回復。
明日はいきなり、
講義二つ、ゼミ一つ、委員会一つが、休憩なく連続してゐるが、
講義の準備は連休前にしておいたし、
何とかなるだらう…と思ひたい。
さらに明後日は長時間の会議が予想される。
明日からの二日間を何とか乗り切らねば。
近所の定食屋で過食療法をしてから、 午後は自宅でどうしても一題だけ解けないプロブレムを考へる。 互ひの K の他、白に Q, R, P が一つずつで盤上に駒が 5 つだけの、 シンプルな3手問題(将棋の数へ方で5手詰、毎回王手の必要なし)。 午後の数時間を使つても解けず、 つひには印刷ミスだらうと確信して、 正しかつた配置を予想しやうとさへしてゐた所に、 急転直下、盲点になつてゐた手筋に思ひあたつた。 萌絵嬢風に「まあ…驚いたわ」などと一人ごちてから、確認。 うーむ、これは傑作。単純な問題だが、 この正解はなかなか見つからないだらう。 おかげで気分が良くなつて、少し体調も良くなつたかも。
夜はおそらく、昼食に続いてまた過食療法のあと、
明日の講義内容をざつと再チェックなど。
時折、激しく咳こむが、気分はそれほど悪くない。 昼から「確率過程論」。伊藤の意味の確率積分の定義。 続いて「計算機数学続論」。既約剰余類、フェルマーの小定理など。 続いて M2 のセミナー。多次元ランダムウォーク。 続いて、某委員会。 終了は 7 時半。やむなく生協で食事して帰路につく。 帰宅は 9 時過ぎ。明日さえ乗り切れば…
委員会は参加人数が少ないので、内職が出来なくて困る。 内職が可能なら、 この時間で Math Review が一つ書けたのだが。
朝と昼兼用の食事をとつて、出勤。 「積分論I」。まだ体調が悪いため、ぼんやりしてゐてサエのない講義。 しかも、後30分弱と言ふ帯に短し襷に長い時間を余らせてしまつた結果、 悩んだあげくに、 単調族定理の説明と証明を無理矢理に駆け足でやつてしまひ、後で大反省。 あれでは、学生側はノートを取るのに精一杯で、 その場では何も理解できない。 そもそも私は講義や講演の時は、早口過ぎるとよく言はれる。 自分ではさう思つてゐないどころか、 ゆつくり話さうと意識してさへゐるのだが、 常に黒板に式を書く手がもどかしいので、実際のところ速いのだらう。
しばらく研究室で事務仕事をして、 夕方 4 時から大学院進学者の面接、続いて教室会議。 教室会議は今日もまたヘヴィーな内容で夜 8 時にようやく終了。 K 川先生と生協食堂で食事してから帰る。 自宅に帰りついたのは 10 時少し前。
K 川先生から京都駅の謎の一つを解説され愕然とする。 私が日々通勤に使つてゐる路線の京都駅ホームは、 他のホームとの脈略なく、30番台と言ふ謎の番号がふられてゐる。 変だなあ、とは思つてゐた。 しかし、まさか「山」陰線だから 「サン」の1番で31番だなんて…(ホントらしいです)。
京都の朝は嵐のやうな激しい雨で、 その後もずつと寒い一日だつた。 午前は「確率解析」の勉強。 午後は河原町に珈琲豆を買ひに行つた以外は 自宅で来週の講義の用意など。 昼食は麻婆豆腐と若布の味噌汁。夕食はアラビアータ。
なんだか最近、TV を観ると激しくストレスになるので、 徐々にその時間が減つてきた。結構なことだ。 もう一切観ないで、 一年に一度、高槻の TV ウォッチャー T 部長に 「この一年のマスコミの要約」 をレクチャーしてもらつて済ませることにしやうかな。
朝は「確率解析」の勉強。 Wiener 汎関数で定まる分布の滑かさを示す問題。 ここまで至つてようやく Malliavin の部分積分公式が登場。 部分積分と言はれれば部分積分だが、 有限次元の所だけ取り出しているのがズルイなあ。 簡単なトリックだけど、 高い見地からかう言ふ方針に至つて、 実際に問題を解決したところが偉い。
昼食は若布と油揚の味噌汁とちりめんじやこ、胡瓜の漬物。 午後も少し勉強してから、京大での関西確率論セミナーに行く。 非線型シュレディンガー方程式の話。 ネルソン流の確率過程量子化のアイデアを 非線型シュレディンガーの問題に応用する話だつたやうだ。 でも、 余程なじみのある分野の話じやないと、 講演者自体が今も模索中で未完成、 と言つたこのタイプの進行形の話は良く分からないな…
夕食はまたアラビアータと赤ワイン。 夜は Malliavin 解析ノートを TeX で少し書き、 チェロを弾く。
9時起床。寝床で読書。 昼食は御飯を炊いて、ちりめんじゃこ、胡瓜の糠漬、 油揚と若布の味噌汁。 午後は膳所にチェロのレッスンに行く。 二週間ほとんどインフルエンザで倒れてゐたので、 全然練習しておらず、ぼろぼろな出来であつた。 夕方帰宅して、 Lisp の入門書の最後のところをプログラミング例で確かめながら読んで、読了。 次は "The Little Schemer" (Friedman-Felleisen-Bibby) を読もう。 夕食は適当にパスタ。夜はタリの棋譜を読んだり。 面白いが、全くためにならない、 むしろ害になるタイプの棋譜である。
楽曲のレッスンで難しいのは、 素朴な意味での楽譜通りには弾いてはいけないところだらうか。 そもそも楽譜通りにも弾けないところに、 そんなことを言はれても…と思はないでもないが、 さう言ふ要求があることも知らないと音楽の勉強にならないのでしやうがない。 弦楽器の場合は音の長さの問題以外に、音程の問題もあつて、 そこの音はほんの少し高めに、とか少し低めに、 なんてこともあるのでなお厄介。
この日記は、GNSを使用して作成されています。