Keisuke Hara - [Diary]
2003/07版 その3

[前日へ続く]

2003/07/21 (Mon.) 鴨と赤ワインのソース

昼食は近所でベンガル・カレー。 午後はチェロを少しさらつてから、膳所にレッスンに行く。 またあまり練習が出来てゐなかつたので、よろよろ。 レッスン後は近くの SBUX で珈琲を飲みながら、 講読雑誌のチェスのプロブレムを考へる。 締切が近いのだが、一問だけだうしても解けない。 小一時間考へたが未解決。 夕食は自宅で鴨蕎麦。

夜は少しゲラ校正などしてから、 明日以降のために、 余つた鴨肉を使つてパスタ用のソースを作る。 玉葱の薄切りを半時間ほど弱火で炒めつつ、 プロブレムを考へる。 主題が分かつて、解決。


2003/07/22 (Tues.) interuniversity

午前中は学内業務。 昼食は納豆と胡瓜の糠漬、豆腐と若布の味噌汁。 午後も少し午前の続きの仕事をしてから、 大阪大学でのセミナーに出席。 来日中の X. M. Li の講演で、 その後の食事会にも出席したので帰宅は11時前になつた。

阪大で R 大の院生を見かけたので、 何をしてゐるのかと思つたら、 京大などの院生たちと一緒に自主ゼミをしてゐるらしく、 今回の会場がたまたま阪大だつたらしい。 いつの間にかそんな活動をくりひろげてゐたとは、 なかなか頼もしいではないか。 関西確率論の未来は明るい…かも知れない。


2003/07/23 (Wed.) 安価な幸せ

朝は自宅で学内業務。 昼食は胡瓜の漬物、伊丹流猫まんま、豆腐と若布の味噌汁。 玄米にも慣れてきたが、白米に比べてどうしても粘りが少ないので、 納豆なり卵なりを一緒にしないと食べ難い。 午後からキャンパスに行き、 答案を採点したりしてから、教室会議。 結構長引いて終わつたのは6時半くらい。 帰宅は8時頃。 夕食は作つておいた鴨のソースでパスタなど。 上出来。我ながらしばらく感心してゐたのだが、 鴨でソース作れば、そりや美味しいよね… と思ひ直した。このレシピの素材は鷄肝くらいで十分と思はれる。 ちなみに私は鷄肝も好きで、豆腐と言ひ、茄子と言ひ、 アーリオオーリオと言ひ、 私の好物と言つたら大抵、大変に安価なのでおトクだ。 夜は校正作業を少し。


2003/07/24 (Thurs.) 五輪の薔薇

午前中は Williams の校正をし、 近所の「バタバタ」で BLT サンドウィッチを買つて出勤。 個研でサンドウィッチの昼食を食べつつ事務作業。 12時半からファイナンス・シンポジウムの準備ミーティング。 その後はまた個研に戻つて、ばりばり採点。 情報学科時代に一科目に二百枚とか採点をしてゐた頃に比べれば夢のやうだ。 今なら少し無理をすれば、 一日で全ての採点をすることすら可能である。 実際、昨日と合はせて二日間で終わつた。

「五輪の薔薇」(C.パリサー/甲斐萬里江訳/ハヤカワ文庫) の翻訳の文庫版全五巻が完結したので、生協で一括購入。 久しぶりに刊行を心待ちにしてゐた小説なので、 これから読むのが楽しみである。 来週の辛い一週間の、夜の憩ひに取つておかう…

帰宅して里芋を煮ながら洗濯をし、 夕食は里芋の煮つけ、胡瓜の漬物など。 夜は合間にチェロを弾いた以外は、校正作業。 進捗は現在、本文の半分くらい。


2003/07/25 (Fri.) 龍と興

午前中は Williamas の校正。 昼食は里芋の煮もの、玉葱と卵の炒めもの、 若布の味噌汁、胡瓜の糠漬。 午後も少し校正作業をして、 夕方から京大での関西確率論セミナーに参加。 火曜に続いて、X.M.Li の講演。 その後は、X.M.Li を囲んで近所のレストランで会食。

会食の時に少し話題が出てゐたのだが、 最も画数の多い漢字はなにか。 私はたまたま知つてゐた。 と言ふのも、私は中学生の頃、同じ疑問を抱いて (子供らしい疑問だ)、 学校の図書室にあつた諸橋「大漢和」で調べたことがあるのである。 諸橋大漢和は全巻で本棚の一列を占める巨大な漢字辞典で、 中国でも漢字の研究者はこの辞典を引くために日本語を勉強する、 と言ふほどの名著であるが、 中高の図書室などにはなかなかあるものではない。 今思ふと、やけに立派な図書室だつた。 諸橋もあつたし、「数学セミナー」の別冊のシリーズや、 東大出版会の数学の教科書なんかも揃つてゐた。 それはさておき、 最も画数が多い漢字は、 ここにフォントで出すことは出来ないが、 龍の字を正方形の形に四つ並べた字、 それからもう一つ、興の字を同じく四つ並べた字である。 龍の方は、一字の「龍」の字と同じ意味と読みを持つのだつたやうに記憶してゐるが、 「興」の方の意味と読み方は忘れた。


2003/07/26 (Sat.) 龍と雲

昨日の画数の多い漢字の話のフォローアップ。
TeX 界の大御所 S 大の O 部君から以下の情報を教へていただいた。 東京大学多言語処理研究会 によれば、 「龍」を四つ 2x2 の正方形型に並べた漢字の(日本での)読み方は「テツ」、 「興」を四つ並べた漢字の読み方は「セイ」ださうである。 ちなみに画数は 64 で、何となくおめでたい。 さらに、国内で用ひられる漢字では、 これより画数の多いものがあり、 下半分は「龍」の字を山の形に三つ重ね、 上半分は「雲」の字を山の形に三つ重ねた漢字があつて、 読み方は「タイト」ださうである。意味は分からないが、 いかにも勢ひがあつておめでたい感じなので (下半分と上半分を逆にした方が良いやうに思はないでもないが)、 ひよつとしたら「泰斗」なのかも知れない。 画数は 84 画。 国内で用ひられる漢字、と言つても、 私は見たことも聞いたこともないが… とりあへず、O 部氏に感謝。 (こんな、便利な検索ソフトウェアも教へてもらひました。) (26 July 2003 10:30 記)

午前は Williams の校正。昼食は里芋の煮もの、だし巻き卵、素麺。 午後は校正の続きと学内業務を少々。 夜は近所のワイン屋での試飲会に参加する。 この店ではほぼ毎月無料の試飲会をしてゐる。 私は日程の都合もあつてあまり参加できないのだが、 今回はピノ・ノワールの特集だつたので参加してみた。 と言ふのも、この店の女社長が無類のピノ好きらしいので、 きつと気合ひが入つてゐるだらうと思つて。 実際、なかなか良いものが出てゐた。 ささやかな贅沢を味わひ、ほろ酔ひ気分で帰宅。


2003/07/27 (Sun.) セドリ

午前中は学内業務をし、 昼食は梅干、胡瓜の糠漬、若布の味噌汁。 食後は少し午睡をしてから、外出。 古書店で本を売つたり、買つたり。 夕食は炒飯。チェロを少し練習したあと、 柳瀬尚紀がゲストだつたので「N 響アワー」を視聴。 この人を見るともつと翻訳と言ふ仕事を評価すべきだと思ふ。 翻訳作業は本当に面倒で大変で、世のため人のためになり、 しかも真に知的にチャレンジングな作業なのに、 人から言はれるのはあそこが間違つてるだの、 ここがおかしいだの、真面目にやれだの…失敬、愚痴です(笑)

ブックオフにも立ち寄つて、つまらない本を数冊売つたのだが、 特に内容に関係なくハードカヴァーは一冊150円、 ソフトカヴァーは一冊100円で評価してゐたやうだ。 昔はセドリ(背取り)と言ふ商売があつて、 これは古書店の店頭で安い値付けがされてゐる本を購入して、 それを高く買つてくれるだらう古書店で売るのである。 一種の裁定行為と言へやう。 とは言へ、買ふ時は販売価格で、売る時は引き取り価格なので、 日本の多くの古書店の知識の水準からして、 これで儲かることなどほとんどなくなつてゐた。 しかしブックオフの登場で、 再びセドリ行為が可能になつて来てゐるのではないだらうか。 例へば、以前、 ブックオフの三条店で「分裂病者のダンスパーティ」 (当時はまだ再版されてゐなかつた)が「家庭の医学」のコーナーに(笑)、 普通の値段で置かれてゐるのを見たことがある。 二束三文で山積みされてゐる自費出版詩集コーナーも怪しい。


2003/07/28 (Mon.) 今日も涙の陽が落ちる

朝から出勤して夕方まで学内業務に勤しむ一日。 R 大の七月最後の週は、学生にとつても試験期間で忙しいだらうが、 教員にとつても大抵、試験監督や採点の傍ら、 学内業務で極めて多忙である。

この前、亡くなつた祖母の四十九日の法要がそろそろ なのではないかと思ひ、気を効かせて実家に連絡を取つてみたら、 とつくに済んでゐて、 どうせ来られないだらうと思つて連絡しなかつた、 とのことであつた。 「どうせおいらはやくざな兄き、わかあっちゃゐるんだ、妹よ…」 と思はず口遊んだことであつた。次のイベントは初盆か。


2003/07/29 (Tues.) 酢蕪とコルトン・グランクリュ

今日も朝から学内業務。午後は教授会。 その後が学期末の親和会なので、今日は早く始まつて早く終わつた。 親和会に参加したいのはやまやまなのだが、 どうも運が悪いやうで常に所用と重なつてゐて、 今回も不参加。図書館で論文をコピーして帰宅。 うーむ、いい思ひつきだと思つたが、 既に知られてゐる可能性が高いな…

夕食はオクラと納豆のパスタ。 オクラも、安くて何にでも使へて美味しい野菜である。 食後、酢蕪を作る。小蕪を薄めに切つて塩を振り、 唐辛子、昆布と一緒に瓶に詰める。 一方、酢と水を沸かして塩と砂糖で適当に味つけして漬け汁を作り、 熱いまま蕪を詰めた瓶に注ぎ蓋をして放置。 冷蔵庫であと二日くらい置くと食べられる。

今日で Williams のゲラ校正を全て仕上げ出版社に送つた。 次の校正まではしばらく時間があるだらう。 今週一杯かかるはずだつた業務も、 思ひがけず早く進み今日で終了。 採点も採点報告も済ませた。 私には特に夏休みと言へるものはないので、 あくまで気分の問題だが、 個人的に明日からが夏休みと言ふことにしやう… そんなわけで、この前買つたワインを開ける。 瀬在丸流に、何にも祈らず、何も願はず、乾杯。


2003/07/30 (Wed.) 蕪の菜

昨夜はすごい雨だつた。 午前中はゆつくりと寝坊して、 昼食は納豆とオクラ、胡瓜の糠漬、梅干し、蕪の菜の味噌汁。 午後は洗濯などの家事と読書。 夜は情報学科の N 尾氏と、 八坂神社前で待ち合はせて祇園の焼肉屋に行く。 私は滅多に焼肉なんて食べないもので、 注文の要領が捕めなかつたせゐか、ちよつと食べ過ぎ…

私の方が京都暮らしは長いのだが、 N 尾氏は昔から食通なので京都においても、 かう言ふ食の情報はほとんど受け取る一方である。 次回は私の方からお誘ひすることを約束して帰宅。


2003/07/31 (Thurs.) ディケンズ

私的夏休み二日目。 午前中は「五輪の薔薇」第三巻を読む。 主人公がこれでもかと言ふほど不幸になつて行き、 おそらく今がどん底あたりで、この後、 その理由の解明と復讐劇が始まるものと予想される。 今のところの感想は、これはディケンズであるなあ、と。 18世紀末から 19 世紀初頭のイギリスつて、 小説の舞台にもつてこいですね。 そういや「囲ひ込み運動」とかつて昔、習つたなあ… などと思ひながら読んでゐます。

昼食は納豆、胡瓜の漬物、蕪菜の味噌汁。 まだ少し早いが味付けの微調整のための味見を兼ねて、 酢蕪も二枚ほど。旨い。適当に味をつけたわりに微調整の必要なし。 夏は酢つぱいものが美味しい。季節のせゐか糠漬も絶好調で、大変結構だ。 食後は午睡と読書。夏休みはかうありたい。 「五輪の薔薇」第三巻読了。四巻に入る。 予想に反して主人公の不幸には二番底、三番底があり、 さらなる不幸に一直線。まだまだ続きさうだ。 夕食は、胡瓜と蕪の葉の糠漬、オクラに鰹節、里芋と若布の味噌汁。 夜は読書や、チェロ、料理の仕込みなど。


[後日へ続く]

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Keisuke HARA, Ph.D.(Math.Sci.)
E-mail: hara@theory.cs.ritsumei.ac.jp
kshara@mars.dti.ne.jp (for private)

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