「Keisuke Hara - [Diary]」
2004/08版 その3


2004/08/21 (土)


2004/08/22 (日)


2004/08/23 (月)


2004/08/24 (火) 新日記システム試験中

悩める書棚 (books)

「本の愉しみ、書棚の悩み」(アン・ファディマン著/相原真理子訳/草思社)。 蔵書家同士の結婚には、お互いの蔵書のマージが最大の障害になる。 記憶しておくべき教訓である。使うことはなさそうだが… それはさておき、良い本である。 やや甘いが、本好きなら愛さずにはいられないエッセイ集。 いい本がちゃんと出版されていると安心する。


パンのみにて生くる (foods)

昼食は近所の定食屋で。夕食は自宅で貧しくスープとパンのかけら。


ディーヴァー (quotation, books)

「…しかし、収穫はあった。それは彼自身の中にあった。 長いあいだ忘れていたなつかしい感情 ― 人が生まれながらにして持っている情熱、 知りたい、理解したい、あきらかにしたいという情熱がよみがえったのだ。 さらに驚いたことに ― 三度死に、酒に勝負を挑み、酒断ちというもっとつらい勝負に挑み、 結婚生活をだいなしにし、 亀と銃撃戦まで演じたというのに ― 神はどんな人間にも目的を与えてくださるということが、 なぜかまた信じられるようになっていた。 それを探し当てるのが、この世における人間の唯一の役割なのだ。 たとえ、疲れや悲しみや早すぎる死のせいで、 神に授けられた能力を試す、 貴重な時間がわずかしか残っていないとしても…」

「監禁」(J.ディーヴァー著/大倉貴子訳/ハワカワミステリ文庫)より



2004/08/25 (水) 新日記システム試験中

秋風 (season)

秋来ぬと目にはさやかに見えねども、か… 実際は、今年は9、10、11月と気温は高く、 秋は遅いとの予報。


担々 (foods, restaurants)

昼食は近所の担々麺専門店「担々」で冷やし担々麺。 夕食は自宅でカレーライス、 デザートはクロタンとワインのジュレ。 丁度、後一箇月で、イギリスに発つので、後悔のないよう、 この一箇月はクンドー氏ばりに「一食入魂」、 予算は度外視して食べたいものを食べる、 と決めたのだが、 育ちのせいで根が貧乏性のため、なかなかそう出来そうにない。 そんなことをこの前、渋谷の「黒い月」で話していたら、 イギリスは最も良いワインが優先的に仕入れされる国であることからも分かるように、食は決して貧しくない、と力説された。 私の経験によると、どうかなあ…


問題を解く (chess, science)

今回の目標は、 ヘルプメイト問題 12 題を全て解く、だったのだが、 今日、どうしても解けなかった一題が急に解けて、 目標を達成した。それとはまた別の話になるが、 最近、「問題を解く」と言うことが、一体どういうことなのか、 どういう精神的活動の仕組みなのか、に興味があって、 自分とプロブレムを題材に色々考えている。 チェスプロブレムは粒が揃っていて、 その粒も十分細かいので、観察と実験がしやすい。 ただ、自分以外の実験動物の精神活動をモニタできないので、 対照実験が不可能な所が難点である。



2004/08/26 (木) 新日記システム試運転中

長い定理 (math)

午前中は今さら無駄だと思うが英語の勉強。 午後は四条烏丸の SBUX で、 A 堀先生が作ってくれた共同研究の原稿を読む。 A 堀先生の英語の文章はやたらに長い、 と言う特徴がある。私自身は一文を極端に短く書く傾向にあるので、 そうでない文章のロジックが追い辛い。 論文の書き方には色々、好みと言うものがあり、 この前どこかで議論していたのは、 某有名数学者の論文は、異常に定理が長いと言う。 普通、定理と言うものは短くまとまっているから定理なのであって、 準備が色々必要でもそれらは事前に用意しておいて、 定理自体は短く簡潔に書くものである。 しかし、その数学者は定理がいつ終わるか分からないほど長いのである。 偉いから許されるスタイルだと思うが…


最後の晩餐シリーズ1 (foods, restaurants)

昼食、自家製のラッキョウ漬、ハバネロ・レトルトカレー (変なものが好きですみません)、 白ワイン(フーヤ/ソーヴィニヨン・ブラン2003)。 夕食、近所の「ワイングロッサリー・バー」にて。 ポーチドエッグとベーコンのサラダ、 雛鳥の白ワイン煮、つけあわせはアスパラガスと茸とじゃが芋。 ルイ・ラトゥール/プイィ・フュッセ 2001。 一年、日本を離れるなら何を食べてから行きたいか、 と尋ねたら、広島出身の新人バーメイドが、 「落雁と紅葉まんじゅう、 あと、(広島)駅で売ってる揚げ蛸」 とか訳のわからないことを言うので却下。 シュフとの議論の中では、 味噌汁、鰻丼、鯛飯、鯛茶漬、などが挙がり、 それらは全て賛成できる。 鯛茶漬ね、、、確かに日本の味だ。 この前、東京に行く前に気付いていれば、 竹葉亭にでも行つたのだが。


世界最悪の旅 (books, quotation)

今日の読書。 「世界最悪の旅」 (チェリー・ガラード著/加納一郎訳/中公文庫Biblo)。 暑いのが嫌なので、世界で一番寒い本を読んでみる。 これはスコット南極探険隊の数少ない生き残りガラードによる、 南極探検の記録。 南極点に初めて到達したのはアムンセンで、 スコットはその先陣争いに負けた方である。 しかし、スコット探険隊はイギリスでは英雄であり、 宗教的な訓話に登場するほど国民的人気がある。 おそらくそれは、 「紳士的な敗北の美学」ではないかと思う。 いついかなる場合においても紳士であり、 それであるが故に勝負に負け、 紳士的に負けを認め、 愚かしくも雄々しく命を落としすらする、と言うところが堪えられないのだろう。 アムンセンは犬ゾリで一直線に極に向かい、 一番のりし、帰りはその犬を食べながら、 一人の隊員の命も失なわず、 楽勝で南極から帰ってきた。完全勝利である。 一方、スコット探険隊は、 動物愛護精神から(!)犬ゾリを使わず、 採取した標本を持ち帰るため物資を削り、 先陣争いに負け、しかも生還できなかった。 この記録を読むと、その愚かしくも悲惨な大冒険が、 極光のように輝いて見えるのが不思議である。

「みなはすっかりだまりこんでいた。 ものをいうのは容易ではないのである。 もともとソリ旅行はいつも静かな仕事ではある。 今われわれは異常な寒さ ― この寒さは氷原上として普通の寒さであるか、 また特別に寒いのであるか、特別に寒いとすればその原因は何かということ ― について長い議論をやったことをおぼえている。 この議論は一週間もつづいた。 ものをゆっくりにせよ、いつもゆっくりせよ、 というのがウィルソンの隊長ぶりの本旨であった。 そしていつも、行ってもよろしいかという問いの答えはよろしいであった。 「食欲がいい間は、だれもみな調子がよいのだとわたしは思う」 とビルはいった。 常に辛抱づよく、自分を失なわないで、騒ぎたてたことのない彼は、 この地上で、 このような探険隊を率いることのできるただ一人の人間だとわたしは固く信ずる。
その日、われわれは六キロすすんだ。つまり一八キロ歩いたことになる。 気温はキャンプの時マイナス五四・五度で、われわれは…」
(「世界最悪の旅」冬の行進より)



2004/08/27 (金) 新日記 weblog システム試運転中

会議 (日常)

久しぶりにキャンパスへ。 今日も電車は遅れていた。 午前中から昼にかけて、M2 のゼミ。 サンドウィッチの昼食のあと、午後は大学院入試の面接と、 教室会議。


最後の晩餐シリーズ2 (foods)

今日の入魂の食事。 昼食はコロッケサンド。 夕食は、関西風お好み焼き、牛すじモダン(蕎麦)。



2004/08/28 (土) 新日記 weblog システム試運転中(更新随時)

The more you give, Babe, the less you lose, Yeah. (math, thought)

オーヴァドクタ問題について。 昨日 K 川先生と、自分たちの頃はどうだったかなあ、 と言う話を少しした。 勿論、学位をとったところで、 大学は勿論、どこにも就職がないことは当時もそうだったのだが (ここで、「足の裏の御飯粒」ジョークを書く必要はなかろう)、 それでも博士課程に進学したと言うことは、 どういう気持ちだったのか、と。 今、学位をとってもまだ就職がない人に、 自業自得じゃないか、と私にはとても言えない。 実際、私も大して何も考えていなかったからである。 一般に若者は無意味に楽天的なものだ。 私が思っていたことなんて、 走り出したら何か答が出るだろうなんて俺もあてにはしてないさ、 男だったら流れ弾の一つや二ついつも胸に刺さってる、 とくらいのものだった。(この一文が分からない若者は、 近所のおじさんに聞いてみよう。 どうせ一度の人生さ。)


事象 (math, books, 日常)

冒険に備えて、 丸善でモールスキン(Moleskine)の手帳を買った。 それ以外は自宅で読書など。 「確率論の基礎」(伊藤清著/岩波書店)。 あくまで「基礎」なので、 数学的には私が知らないことは書かれていなかったが、 時折、どきっとすることが書いてある。 例えば、 「事象、条件、 推定という言葉は実は同じものを異なった面から見たに過ぎない」 とか。

ちなみにこの本は私が学部の卒業研究で読む予定だった本である。 実際は私と指導教官の両方が間違えたまま、 別の本を読んでしまったのだが。 結局私は、伊藤先生の英語の某ノートと、 McKean のフーリエ解析のテキストを卒研でやった。


伊丹流 (foods)

最後の晩餐シリーズ3。 今日の夕食は、伊丹十三流の親子丼(自作)。 御飯はいつもの土鍋炊き。 自家製のらっきょう漬け、白ワインの残り。 伊丹流のポイントは、玉葱を使わない、 三葉を大量に使う、砂糖を入れない。



2004/08/29 (日) 夜はやさし

麻生探偵事務所 (日常)

昨日の引用は、 今、某人気 TV 番組の、 とあるコーナーでテーマソングとして使われているので、 今の子供たちでも良く知っているはずだ、と教えていただいた。 そうなのか…名曲は死なず。 でも、ブーメランもダーツも鰺サンドも多岐川裕美も出てこないらしい。

少し予定より早いですが、今日以降、 こちらでのみ、日々の log を更新します。


作品としての暮らし (books)

今日の読書。 「優雅な生活が最高の復讐である」(C. トムキンズ著/青山南訳/新潮文庫)。


鷄、葱、おむすび、味噌汁 (foods)

最後の晩餐シリーズ4。 昼食は、鷄モツとアスパラガスと白髪葱のパスタ(自作)。 ついでに、酒の肴に軟骨を揚げておく。 白ワインの残り。食後に珈琲。 夕食は予定通り、おむすびと胡瓜の糠漬、三葉の味噌汁。 本当に最後の晩餐、ということになったら、 「おむすびと赤だし」とかリクエストするかも知れないなあ… 貧しいことではあると思うが。



2004/08/30 (月) ヨブ

だしの味 (foods)

最後の晩餐シリーズ。 前に半年、外国にいたとき、 無性に食べたくなった和食があって、 それは自分でも意外だったのだが、そうめんだった。 御飯でも味噌汁でもなく、 もちろん寿司でも鯛茶漬でも鰻のひつまぶしでもなく、 冷たい素麺である。 なぜだったのだろう。だしの味だろうか? そういうわけで、今日の食事は素麺。


人格 (books, thought)

「世界最悪の旅」にしても、 「優雅な生活が最高の復讐である」にしても、 思うのは、やはり人間の質や品格は、 逆境や不幸や苦難の中で初めて測られるものだ。 当り前だが、ストレスのないときは、誰だって、 愉快で心優しい善人でいられる。



2004/08/31 (火)

一年の一冊 (books)

外国に暮らして食を渇望するのと同じく、 日本語の文章に飢えると言うこともある。 4年前は、一冊だけ文庫本を持って行った。 新渡戸稲造「武士道」(岩波文庫)である。 当時、これほど世間が右傾するとも、 サムライが流行るとも思っていなかったので、 流行の先取りをしたわけではない。 薄くて荷物にならないし、 心細い初めての外国暮らしで勇気を出すのに良さそうだ、 と思っただけのことである。 さて、問題は今回も一冊、持っていこうと思うが何がよろしいか。

伊丹十三は、 外国に行くとき子母沢寛の「味覚極楽」を持って行く、 と、どこかに書いていた。渋い。 私も大好きな本である。これなら一年読める。しかし、 現在絶版になっているため手に入り難い。 実際、図書館で借りて読んでいるので、持って行けない。 (ところで、どうして中公文庫はこの本を復刊しないのか。 Biblo は食をテーマの一つにしているのに、 一番に挙げるべきものを敢て避けているのには、 何か理由があるのだろうか。) 今、候補として有力視しているのは「古今和歌集」だが、ちょっと厚い。 なにかいいアイデアがあれば教えて下さいませ。


(foods, restaurants)

最後の晩餐シリーズ。 近所の定食屋「だいこんの花」で、 鮭の塩焼と、御飯と漬物とすまし汁。


Prelude (cello)

普段、夜には、少しばかりチェロを弾く。 スケールとロングトーン、エチュードなど。 今日はバッハ無伴奏一番のプレリュード。




この日記は、GNSを使用して作成されています。