「Keisuke Hara - [Diary]」
2004/09版 その2


2004/09/11 (土)

カレー饂飩 (日常, restaurants, people)

午後から大学へ。書類の提出などあれこれ。 帰りにバス停で、情報学部の X 先生と一緒になり、 色々と話しながら南草津まで。

夕方、桃山御陵前で待合せて、 京都の薬屋R 氏と一緒に「鳥せい」に飲みに行く。 造り酒屋で原酒や古酒などをいただきつつ、 焼鳥などを食べる。 人気の店らしく、4時半に行ったのだが既にかなり席が埋まっていた。 確かに鷄も酒も美味しい。 最後の晩餐シリーズである。 4時半から始めて、8時前くらいまでここで飲む。 久しぶりに会った R 氏は、 あいかわらず話題豊富な人で、楽しく時間を過す。 続いて、四条に移動し、「前豊」で飲み直す。 最後は、またしても「味味香」のカレー饂飩。 ここのカレー饂飩が一年間食べられないのは辛いな…



2004/09/12 (日)

小さな墓 (日常, travels)

目が覚めたときには若干、昨日の酒が残つていたが、 シャワーを浴びてから、日帰りで和歌山の実家へ墓参に行く。 最寄り駅から実家に行く途中に、 母方の祖父と祖母の墓参りを済ませ、昼頃実家に到着。 日曜なので妹もいて、皆元気そうにしていた。 何故か、母は「ナンバープレイス」とか「数独」 と呼ばれるパズルに夢中になっていて、 朝から晩までぶっつづけでやっているそうだ。 その集中力を生産的なことに向ければ…と妹が言っていた。 まあ、ボケ防止によろしいのでは。

午後は、父に車を出してもらって、 妹も一緒に父方の祖父母の墓参りに行く。 こちらは和歌山の海岸沿いの町、加太にあるので、 実家からはかなり遠い。 この墓は寺の敷地の西側からかなり離れて、 その近辺でも一番小さな慎しい墓である。 私に信心はないが、 花と線香を手向けて、手を合わせる。 ご挨拶のようなものだ。私は若くて、 死者とつきあう以前に、まだ生者ともうまくつきあえない。 父が後ろで、 「なんもかも無くして、一番辛いときで、 こんな小さな墓しかよう建てんかったわ」 と小さな声で言っていた。 墓の横を見ると、昭和三十年代はじめの建立で、 父はまだ十代の終わり頃だったわけだ。

ついでに本家の墓にも手を合わせておく。 こちらは一番西にあり、大きな墓が三つ並んでいる。 右が昔からのもの、左が昭和の初期に建てられたもの、 真ん中に挟まれて守られているようにしてある少し背の低い墓は、 行くところのない使用人たちの骨を一緒に納めたものだと言う。

帰りに加太の町が見渡せる山に登り、 結核サナトリウム跡にある喫茶店で休憩。 ここは所々に大きな木々のある広々とした芝生に面していて、 犬の散歩やバドミントンを楽しむ人々がいた。 両親もたまに犬を連れてくるそうだ。 田舎の暮らしもなかなかのどかで良いものだ。 夕方、実家に戻って、 稲荷寿司と巻き寿司のお土産をもらって、京都に帰る。



2004/09/13 (月)

お揚げと海苔 (日常, foods)

今日も34度、絶賛真夏日。 外出する気力もなく、午前中は掃除など家事をして、 午後から昨日さぼった分も含めて翻訳の仕事。 今日の最後の晩餐。稲荷寿司と巻き寿司。 母が作ってくれたのを昨日、持ち帰ってきたもの。 ちょっと酢の効かせ方があまいな…



2004/09/14 (火)

ぐったり (日常, books)

何故か午前中は疲れでぐったり。 一日おいてから疲れが来るのは年のせいですか? 昼食はポモドーロ。冷蔵庫をほとんど空けてしまったため、 自宅で食事するときには侘しいものになってしまう。 午後は翻訳の仕事。 夜は外留の準備など。 お風呂でエドマンド・ウィルソンの有名な推理小説批判エッセイ、 「誰がアクロイドを殺そうが」(松井百合子訳、 「ミステリの美学」(ヘイクロフト編/仁賀克雄編・訳/成甲書房)所収)を読んだ。 私自身はミステリ好きだが、ほとんど彼の主張に賛成だ(笑)


K-L 対決 (chess)

今月25日から来月18日にかけて、 マジョーレ湖畔にて、 世界チャンピオン戦 が開かれるとのこと。 挑戦者レコをクラムニクが迎え撃つ。 私としてはあまり興味のわかない組合せだが、 普段はげんなりしないでもないレコのしぶとさが、 逆に対局を面白くしてくれることに期待。 キャラクタが対照的なので、意外に興味深いマッチになるかも。


Fischerle (chess, books)

もう一つ、そうは見えないかも知れないが、 実はチェスの話題でもある。 エリアス・カネッティの小説 「眩暈」(池内紀訳/法政大学出版局)が欲しいのだが、 絶版なんだなあ。



2004/09/15 (水)

嵐の日に陸から船を見るのは楽しい… (books)

昨夜、夜なべをしてクリスティの "The Three-Act Tragedy" を読了してしまい今朝は寝坊。 昼まで使いものにならず。 クリスティはほとんど子供の頃に読んだのだが、 今、原書で読み返してみると本当に良く出来ている。 けっして衝撃的ではない、 少し驚いた後で、 腑に落ちるような納得のある意外性の、 微妙なバランス感覚が見事だ。 確か、クリスティがどこかで書いていたと思うのだが、 人々は多くではなく少しだけ驚かされることを好む、と。


先取り (日常)

なんだか、おかしな時間に眠かったり、夜に目が冴えたりで、 今のうちから、時差ぼけを先取りしているようだ。 出発の準備もあまりやる気がしない。 と言うより、今になってみると、 「これもやろうと思っていたけどやる必要は特になさそうだ。 あれもやろうと思っていたけどやる必要は特になさそうだ」 と言うことばかりで、 結局何もしなくていいんじゃないか、 とさえ思えてきて、そして、眠いばかりなのである。



2004/09/16 (木)

ノクターン (日常, films, music)

午後は区役所に手続きに行く。 二条城近くなので、その後、 地下鉄で三条に出て SBUX で休憩。 プロブレムを二題ほど解く。 夕方、帰宅。 DVD で「戦場のピアニスト」を観る。 ポランスキと言えば、 私には「赤い航路」が強烈な思い出に残っているので (理由は言えませんが)、 こんな映画も撮れるのだなあ、と感心。 「戦場のピアニスト」の原作となったシュピルマンの手記では、 ナチス将校の前で弾くのは、 確かショパンの夜想曲嬰ハ短調だったと思うのだが、 映画では別の曲になっていて意外だった。 思うに、こんな極限状態でこの繊細な名曲を弾くと言うのは、 あまりに劇的で嘘っぽいと思ったのかも知れない。 しかし、現実にはその曲だったわけで、 現実は時にドラマよりドラマティックに嘘っぽいのかも知れない。


解釈と教養 (chess)

Chess Paradise 最新号が届く。 前回分解説などを読んでいると今回は特に、 やはりプロブレムは観賞能力に「教養」が必要だな、 と思った。特にオーソドクスなど。 でも、プロブレムも芸術の一つの形式であるならば、 それも当然のことであって、 否定的に考えるべきではないと思う。 ただ日本人にはなかなか勉強し難い、 と言う環境の問題はあるかな…



2004/09/17 (金)

地球シミュレータ (science, films)

京都はようやく真夏日を終えようとしている。 が、今日も太陽が燦々と降り注ぐ、蒸し暑い一日だった。 国立環境研究所と東京大学気候システム研究センタのシミュレーションによると、 2050年の日本では真夏日が年間100日を越え、 今年の猛暑が冷夏に思えるほど、高温多湿化が進むと言う。 (今年だって100日くらいあったんじゃないの、 って思うのは京都だけでしょうか。) それまで生きているかどうか分からないが、 年々暑くなって行くことはほぼ確実らしい。 できるだけ早く北の方に引っ越すのが吉か。 東北地方とか北海道とか、いっそ北欧で仕事ないかなあ… 某 A 社に頼めば、フィンランドとかに飛ばしてくれないだろうか。 昔、自由遺伝子逃亡経路(*1)と言う言葉があったが、 これからは人類の精神文化圏は極の方へ移動するんじゃないかな。

*1: 多分、LSD の教祖、ティモシー・リアリーが、 当時カリフォルニアが人類の意識の最先端の地なのだ、 と言う主張の中で根拠にした概念だったと思う。 トンデモ系ではある。 最近、彼が映画 「クローン・オブ・エイダ」 に出演しているのを知って驚いた。


晩夏のキャンパス (日常)

キャンパスへ。 コピーを取りたい論文がいくつかあったので。 今日も猛烈に暑い。 しかも、今日は何か事務手続きの日なのだろうか、 バスは満員、キャンパスもにぎわっていた。 研究室で論文を整理していると、 事務の Y さんが挨拶に来られた。 今月で退職されるそうで、私もつい最近知って驚いた。 これまで冬の数理ファイナンス国際シンポジウムを裏方で支えてくれていた優秀な方だったので、これからの国際シンポが不安だ。 急なことだったので、 どこかに引き抜かれたのだろうと思っていたら、 留学されるらしい。 Y 富先生も部屋に来てくれて、サーバ管理のことなど依頼。 夕方また満員のバスで帰宅。 夜は、「キル・ビル2」のサウンドトラックで、 梶芽衣子の「怨み節」を聴きつつ翻訳の仕事。



2004/09/18 (土)

原博士の静かな世界 (日常, foods)

昨深夜、18日になったので、 年男記念として一人でキッチンで祝杯を上げつつ、 三十六年間の反省会をする。 ワイン、ドメーヌ・ドゥー・ロッシュ/サン・ヴェラン2002、 酒の肴、瓶詰のコルニッション。

18日の午前、午後と翻訳の仕事。 夕食は「上々」で水餃子、ピータン、麻婆豆腐など。

夕方、久しぶりに執事を見かけた。 誕生日の贈物にと、 ミラ・ショーンのカフス・ボタンを受け取る。 副業があまりに過激に多忙なため、 最近ではすっかり使用人としての徳を失なっていると思っていたが、 ぎりぎりの線は守っているようで、結構なことだ。 また、講談社からおまけの豆本 "The Silent World of Dr. Kishima" が偶然にも今日届き、 これもまた嬉しいプレゼントであった。



2004/09/19 (日)

苦手 (日常, foods, thought)

この連休は秋の学会だが、私は外留の準備を口実にサボり。 随分遅い起床の上に、午後も昼寝をした。 夕食は鴨のコンフィ、アスパラガスのサラダ。

三十六なんて子供時代から思えば夢のような年になっても、 特に変わることもなし。 もっと頑張っていれば、と思わないでもないが、 元来頑張ることが苦手なのが性格の一部なので、 もう一度やり直しても同じだろう。 むしろ、今の人生ほどの幸運に恵まれる可能性は低い。 しかし、もっと頑張っていればなあ…



2004/09/20 (月)

白味噌 (season, 日常, restaurants)

昨日も今日も京都は真夏日。 今日で今年、92日目の真夏日となり観測記録と並んだ。 しかもまだまだ夏は続き、記録更新はほぼ確実。 地球シミュレータを使わなくても、 45年先どころか、今年中に年間真夏日100日達成もありうるし、 数年以内には大台達成は確実と思う。 北海道に行ってれば良かった…

少し遅い昼食は最後の晩餐シリーズで、 木屋町四条「志る幸」(しるこう)。 冷酒を飲みつつ、食事。甘口の白味噌汁が美味しい。 ここは味噌汁屋なので、四条あたりで飲んだ後に行くのにぴったり… のはずなのに、夜は9時で閉まるので、 そういった用途には使われていない。 鯛茶、天茶などのお茶漬もあるのに惜しい。 祇園の方を少し散歩して夕方帰宅。 大橋を渡ったときに思ったが、 今年の夏は床(ゆか)に行かなかったなあ。


天動説 (thoughts, science)

国立天文台が全国の公立小学校四年生から六年生に調査したところ、 四割以上が「太陽が地球の周りをまわっている」と信じていた、 とニュースになっている。 しかし、実は今、小学校では地球の自転や公転どころか、 地球が丸いことすら教えていない。 だからこれは当然のことで、むしろ残り六割の生徒がどこかから、 国の方針に反してそんな無用な知識を身につけていることが、 ニュースなのである。




この日記は、GNSを使用して作成されています。